あしたの料理🐔2017初夏編

そろそろ料理を取り上げなきゃね~。料理するの好きなのよ、ちんぴらだけど(笑)。

「毎日のじぶんひとり用のゴハン」「友人を招いてのもてなしゴハン」、「ひとんちにお邪魔して作る出前ゴハン」、そして「仕事場へ持参するお弁当」まで、暇さえあれば台所に立ってるわ(汗)。化粧しない日はあっても、料理しない日はないなあ~(笑)。

でも誤解しないでよ。大したものを作ってるわけじゃあないからね。レシピもありもの!アレンジはするけど、オリジナルメニューの創作!な~んて面倒なことはやらない(苦笑)。参考にするのは、Eテレの「きょうの料理」を基本に、クックパッドなどのWebをのぞいたり、新聞や雑誌の料理ページを切り抜いたり…と、ごく一般的でしょ?なにせ時代は理研究家の戦国時代ですから(爆)。プロセス工夫も、食欲のそそり方も、日々進化しまくってて、料理家たちの知恵を使わない手はない!

さて、そんな多様なレシピの中からわたしが選ぶ基準は、“繰返しに堪えうる味”“簡単&リーズナブル”の2本柱。今回は旬の野菜を使った初夏にふさわしいメニューをご紹介♪ とにかくすぐ作ってみて。料理は実験と研究の場数を増やすことがすべてです!

 

◆野菜タップリお惣菜レシピ

【にんじんの梅煮】この春「きょうの料理」で見かけて、何度も作ったお気に入りのシンプルメニュー。ほろ甘じょっぱさがクセになる。日持ちも◎。

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材料/春にんじん(2~3本)梅干し(2~3個)

①にんじんは皮をむいて、長さを2~3等分してから四つ割り程度に長細く切る

②鍋に、①と梅干しと、合わせ調味料(だしカップ2 砂糖大さじ3 薄口しょうゆ大さじ2)を入れて中火にかける

③煮立ったら弱火にして15分ほどコトコト煮る。にんじんに竹串がスッと通るようになったら完成。

冷蔵庫で冷やすとデザート感覚で食べられてまた味わい深い!春にんじんでなくてもOKだよ。

 

【水菜と卵焼きのナムル】枝元なほみさんが紹介していたこのナムルは、薄焼き卵をトッピングにしていて新感覚。白めしの上にのせて混ぜ合わせながら食べれば、まるでチャーハンでーす★

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 材料/水菜(2/3束)卵(1個)

①水菜は3~4センチのざく切りにして、ボールに入れ、小さじ1のごま油であえておく

②卵1個を溶き、塩少々で味付け。ここから大さじ1の溶き卵を取り除き、取り除いた溶き卵に水大さじ1をまぜ、①に入れてあえておく

③フライパンを温め、ごま油大さじ1/2をひいて②を薄焼き卵にする。両面焼いて⇒これも3~4センチの細切りにしておく

④今度は油をひかず、フライパンに①を入れ、蓋をして強火で20秒火にかけ、かき混ぜず蓋をしたまましばらくおいて自然に蒸す

⑤ボウルに、調味料(薄口しょうゆ小さじ1 鶏ガラ顆粒スープの素小さじ1/2 にんにくのすりおろし小さじ1/2 コショウ少々)を混ぜあわせ、④と③を投入し、全体をあえてできあがり。今回は茗荷の千切りとすりごまを入れてさらに複雑な味わいに!

 

 ゴーヤとツナのホットサラダ】野菜の水分を活用し、レンジだけでお手軽にできるチビ惣菜。これからの暑い季節にピッタリな時短料理です。そうめんのお供によし、冷やし中華のトッピングによし、お弁当の副菜にも重宝するわよ。

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 材料/ゴーヤ(1本)しめじ(1パック)ツナ缶(小80g)

ゴーヤは縦半分に切り、タネとワタを取り除き(スプーンでかき出す)5mm幅に切る

②しめじ(あれば白マイタケがベスト)は手でほぐしておく

③耐熱ボウルに、①と②とツナ缶を汁ごと入れ、鶏ガラ顆粒スープの素小さじ1を振りかけ、全体を混ぜて、ふんわりラップをして電子レンジで5分加熱

④③にしょうゆ少々をかけ、もう一度ラップしてそのまま味が馴染むまでしばらく放置

朝作って夜食べると味が染みて美味しいです。ゴーヤの代わりにピーマンの薄切り(横にしてカット)でも◎ 野菜からの甘み水分がたっぷり味わえまーす★

 

◆野菜+肉のレシピ

【味付け豚肉の春キャベツ巻き】軟らかで甘い春キャベツをガッツリ楽しめるサラダ感覚の肉料理は藤井恵さんのレシピ。生春巻きのキャベツバージョンってかんじ。ボリューミーなおつまみとしても活用できます。

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 材料/春キャベツ(4枚)豚薄切り肉(4枚)青じそ(8枚)万能ネギ(4本)

キャベツをラップに包み、電子レンジで3~4分加熱⇒ザルなどにあげて冷ます⇒硬い芯の部分は、巻きやすいように綿棒などでたたいておく

②万能ネギは4等分の長さに切る

③豚肉に調味料(ナンプラー大さじ1、しょうゆ・豆板醤各小さじ1/2 砂糖・ごま油各小さじ1)を揉み込み、温めたフライパンにサラダ油少々をひいて焼く⇒一旦取り出す

④①のキャベツを広げ、青じそ2枚と(この日はエゴマを使用)万能ネギ4本を置き、③を1枚のせ、キャベツの手前と両端を内側に織り込んでキッチリ巻く。これを4本作って完成。食べやすく半分に切って盛り付けよう♪

少ない肉量ながら味がしっかりついているので、別タレがなくても十分美味しい。キャベツは少しくらい破れても、巻き込んでごまかせるからへっちゃらでーす(笑)。

 

【牛肉と人参の韓国風炒め】コチュジャンを使った炒め物は白めしとの相性抜群!コウケンテツさんレシピで、本場韓国の家庭料理味をマスターしよう♫

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 材料/にんじん(小2本)牛コマ肉(150g)ネギ(10cm)

①にんじんは皮をむいて斜めザク切り、ネギはみじん切りにしておく

②フライパンを熱し、ごま油大さじ1をひいて、にんじんを炒める。全体に油が回ったところで、牛肉も加える

③②の牛肉の赤身がまだ残っているくらいの状態に、砂糖小さじ2を入れ⇒次に酒大さじ2⇒みりん大さじ2⇒しょうゆ大さじ2と順に調味料を加えて炒め、コチュジャン大さじ1/2⇒にんにくのすりおろし小さじ1も入れて炒め合わせる

 ④最後にネギのみじん切りを投入し、皿に盛り付けて、上から白ごま大さじ2を振りかけて完成。

牛肉は炒めすぎない方が美味しい。すき焼きの工程をイメージするとわかりやすいかも。おろしニンニクを炒め終わりのタイミングで入れるから、風味が残り、中華とはまた違った味わいになるよ。

 

◆ヘビーローテ豚肉レシピ

【究極煮豚】煮豚のレシピは、巷にたっくさ~ん出回っているけど、これが一番簡単&美味しいと太鼓判を押したい一品!15年以上作り続けている高橋栄順さんのレシピです。多めに作ってチャーハンやラーメンの具材に2次利用するのも◎よ。

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 材料/豚バラ肉ブロック(300~400g)しょうが(50g)ニンニク(1片)

①ニンニクとしょうがはそれぞれ薄切りにする

②鍋に、バラ肉ブロック、酒150cc、水150cc、しょうゆ120cc、種を取った赤唐辛子2本と、①を入れ、途中ひっくり返しながら30~40分煮る(最初の画像が煮上がった状態です)

たったこれだけ!薄切りにして、煮汁を少しかけて、練りからしを添えて食べると、サイコーに美味い。もてなし料理にもってこいです。

 

【シンプル豚天】わたしのソールフードのひとつ…母がよく作ってくれた豚肉の天ぷらで~す。ウチでは定番だったけど、豚肉を天ぷらの具材に使う家庭は、意外と少ないみたい。でも絶対オススメ!邪道かもしれないけど、ウチで揚げるなら、気取らないネタこそベスト。誰に出しても、マジにみんな箸が止まらなくなる(爆)。しかもレシピにするのも気が引けるほど超カンタン♬

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 材料/豚薄切りロース肉(300g)天ぷら粉(100g)

①天ぷら粉は表示通り水でといておく。最近の天ぷら粉は、卵液も冷水も使わずに、お店屋さんのようにカラッと揚がってすんごく便利。

②豚肉(部位はお好きなものを)は一口大に切り、バットに並べて薄く塩コショウをしておく

③①に②をくぐらせながら、揚げる。薄切りだから揚がるのも早い。タレは市販のポン酢と練りからし。冷めてもうま~い。

 

というわけで、惣菜7品のご紹介はいかがでしたか?どれも、“繰返しに堪えうる味”“簡単&リーズナブル”の2本柱を踏まえた、ザ・家庭料理の王道です。やっぱ近所のスーパーで買い揃えられるもので作ってこそ我が家の味。凝りすぎず、冷めても美味しくて、翌日のお弁当にも使いまわせる…どう、言うことなしでしょ(笑)。さー、今すぐトライしてみて!

 

PS 次回は7/3にUPします

サクっと京都✑備忘録

5月某日、日帰りでサクっと京都へ。今回のサクっとシリーズは、高校時代からの同級生と結成している「大人美術部」の遠征バージョンです。ちなみに同級生KとMの合言葉は、「だって、わたしたち強欲だからぁ~」(爆)。欲望を絶えず経常利益の2割増しで盛り続ける2人は、もちろん朝からのぞみ車中でビールっす★ 一方わたしは、後部座席から聞こえてきた話(同僚の男4人で京都観光へ繰り出す模様)が可笑しくて、40分間聞き耳を立ててましたあ(笑)。さーて、これ以上ないくらいの“ザ・五月晴れ”の中、美術展3本をハシゴしてきたレポートをお届けいたします

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1本め👀相国寺で『伊藤若冲展』

▶昨年、生誕300年を迎え、特別展示が長蛇の列だった伊藤若冲(1716年3月1日 - 1800年10月27日)同志社大学のすぐ北にある相国寺承天閣美術館で、まだこっそり特別展示が公開されていると知り、いそいそとのぞいて参りました。予想通り混雑もなく、大穴鑑賞。大昔、マブダチM氏はここを立ちションエリアにしていたらしいけど(笑)、禅寺らしい重心の低い趣きと、掃き清められた敷地内が、キリっと美し~い。

▶そういえば、お寺でガッツリ絵を見る機会は今迄になかったな…。なんと、玄関で靴を脱ぎ~の(!)⇒下駄箱に入れて番号札(!)を持ち~の⇒カーペット張りの床を歩きながらの鑑賞です。これがねー、意外と悪くないのよ★若干、旅館に来たみたいな気分になるけど(京都だし…)、物理的にも精神的にも絵との距離が近くなって、ゴキゲンでした。特に目玉の鹿苑寺金閣寺)大書院の障壁画群が、こんな風にガラス1枚隔てたすぐ側で見られるのは、サイズ感をダイレクトに味わえてなんとも贅沢。

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松鶴図襖絵』(八面)。鶴のお腹まわりが、いともあっさり描かれていてすばらしく粋!あー、この鶴、ウチの襖にも飛んできてほしいよ~(爆)。

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 ▶こちらは『竹図襖絵』(四面)。「これが竹かいっ!」って、ひとり突っ込みを入れつつも(笑)、未知の惑星を連想させる斬新な世界にホレボレ。

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▶そして芭蕉叭々鳥図襖絵』(八面)。この空間処理センスを見て!最後に取り上げる海北友松展でも叭々鳥(ハハチョウ)をモチーフにした絵があったけど、若冲のスピード感&おっちょこちょいぶりにわたしは一票。南国ムード漂う芭蕉との組み合わせにも唸ったなあ~。オマケに叭々鳥の写真を付けておくね。小ぶりの烏みたいでスキ♥

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▶それにしても、若冲金閣寺の襖絵をこんなにたくさん手掛けていたとは…圧巻でしたね。どうやら靴を脱ぐと、自然と頭も口も柔らかになるようで、3人でひとしきり感想を挟みつつ眺めていたけど、美術館と違ってお咎めを受けることもなく…(笑)。重文のオンパレードをラフに見られて至福のひとときでした。墨絵と禅寺と若冲の関係性も、もうちょっと真剣にお勉強したくなっちゃった。

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 ▶そういえば、1F奥に展示されている金閣寺茶室『夕佳亭』内部の再現にもハマった。わてら3人は茶の湯の心など微塵も理解していない凡人だが(汗)、夕佳亭の不思議な間取りには目が釘付け。こんな数寄屋造りもあるんだねぇ。3畳の茶室に、斜めに竹の床張がついてて、そこから一段上がったところに、南と北に窓を設けた2畳の上段の間が張り出してるの。3部屋の流れが得も言われぬリズムを生み出していて、思わず「ここに住みた~い!」と大騒ぎ(爆)。茶道のことはわかんないけど、理想の小宇宙を見つけたわ。

 

2本め👀シャレオツな『杉浦非水展』

▶さて、同志社大の学食で学生たちに交じって昼食を取った後、今度はガラッと趣向を変え、岡崎公園すぐ横の細見美術館杉浦非水展をチェック。

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杉浦非水(1876年5月15日 - 1965年8月18日)の名前は知らなくても、このポスターに見覚えがある人はけっこういらっしゃるでしょう~。

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▶日本モダンデザインの先駆者と呼ばれ、多摩帝国美術学校(現・多摩美術大学)の初代学長という肩書をもつ非水は、新しい時代の精神と美術をシンクロさせたまさに時代の申し子。黒田清輝に西洋絵画を学び、黒田が持ち帰ったアールヌーヴォー様式のポスターに魅せられ、「そうだ、図案家になろう~♪」と我が道を決めたとか。そう、いまで言うグラフィックデザイナーのはしりです。当時の印刷技術の飛躍的な進歩の波にのり、思いついたことをどんどん形に変えてゆく彼の才能は、様々な媒体を横断して発揮されました。これがいま見返しても洗練の極みで、ブラボー!と叫ばずにはいられない~。

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三越の広報物をアートディレクターとしてトータルプロデュース。

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 ▶その他、雑誌の表紙、本の装幀、絵葉書、ポスター、タバコや商品パッケージまで、多種多様な表現方法を駆使して大活躍。企業イメージを打ち出す企画力も込みで、当時の最先端のお仕事ぶりが一望できる内容でしたね。特に見事な色彩設計に酔いしれ、展示ケースの前に陣取ったわたしたち3人は、どれだけウットリしたことか~。

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▶余談ですが、非水と歌人で妻の翠子は、当時のモガ・モボと呼ばれるオシャレ番長の代表で、人々の憧れの的だったらしいの。この浮世離れした暮しぶりを御覧あそばせ。なんだかジャズ・エイジを象徴するスター作家、スコット&ゼルダフィッツジェラルド夫婦みたいじゃない?あー、カラーで見たかったなあ~。

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3本め👀桃山の絵師「海北友松展」

▶みなさま、桃山時代に名を馳せた海北友松(1533年 - 1615年6月27日)という絵師をご存知?海北友松は「かいほうゆうしょう」と読むの。日曜美術館で紹介されるまで、わたしはまったく知らなくて、目撃した時は慌てましたね。でもほら最近、美術展も情報番組も、あの手この手を使って煽ってくるからさー、疑い深いわたしは「実際に体感するしかない!」⇒「そうだ、京都へ行こう!」と、今回の小旅行を計画。つまりはチラシの惹句―「京都国立博物館開館120周年記念開催 会期は36日間、京都でしかご覧いただけません」に、マンマとノセられたってことです、はい(汗)。

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▶新館ができて初訪問の京都国立博物館。まず目に留まったのは『柏に猿図』

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▶2幅の猿図。強欲Mがお気に召し、お持ち帰りしそうになったのをやんわり止めました(爆)。猿というより毬栗にながーい手が生えてる風よね。そして顔は笑っていないのに円形の効果なのか、とーってもご陽気。ぶら~ん、ぶら~んとマッドマックス 怒りのデス・ロード並のアクションをお披露目してました。それにしても白猿の足技、シルク・ドゥ・ソレイユにスカウトされそうだ。

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 ▶猿の次は馬(笑)。6曲一隻の『野馬図屏風』。馬は馬でもメタボ。これじゃあ牛だろ?でもなんかまばゆくて、艶っぽい♥ 恥じらいってやつですかね(わたしと最も縁遠い…)。こういう女の人、いるよなぁ~なんて、オッサン目線で見てました。

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▶でもって、出るわ出るわ怒涛の雲龍図群!まあ、すごいことになってましたよ。展示の後半では、インスタレーションとして味わってもらおうという狙いなのか、照度を落とした演出まで(汗)。うーん、どうなんだろう…。わたしは通常照明で見た一等最初の建仁寺の8幅で十分満足しましたけどね。特に左4幅の一番はじの3本指!ピッチャー死神が振りかぶって第一球を投げましたポーズでサイコー(笑)。絵の強度がここに集結してるかんじ、しんぼうタマラ~ン。

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建仁寺に元あった姿で眺めるとこんな風。現在は超精密コピーで対応とか。いやー、かなり派手だよね(爆)。相国寺で見た鹿苑寺の障壁画群もそうだったけど、描かせる禅寺側がこれを良しとする美意識って、一体何が元になってるんだろう…。すごく知りたい。何せ時は戦国、桃山時代。武士たちがしのぎを削る背景からすると、なんでもありなのかもしれないなあ。

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▶そしてオオトリは、友松最晩年の最高傑作にして本企画の目玉『月下渓流図屏風』。ネルソン・アトキンズ美術館(米国)から60年ぶりに里帰りしたという6曲1双。もう一人の強欲Kが「これで決まりだな…」と、ひとりごちておられました(爆)。おっしゃる通り、右隻中央に置かれたつくしの可憐さには、めまいがしましたね。今にも宵闇から渓流の音色が聴こえてきそう…。

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 ▶―が、しばし呆然とするも、すぐに冷めて工芸品に見えちゃったわたし…。当時のトレンド狙ってないか?(笑)それに、ここも部屋暗くしてんだもん、もったいぶりすぎじゃない?(爆)わたしは断然こちらを押したい、『楼閣山水図屏風』6曲1双。

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▶なにぶん画像が小さくてわかんないでしょうが(汗)、たおやかな峰、屋根と壁と舟の横線の響きあい、穏やかな入り江の表情に泣いた…。ここには武士の気概も消え失せ、まさにわたしのイメージする桃源郷そのもの(涙)。横長の引きの絵は、ついスクリーンに見立ててしまい、映画好きの血が騒いで身体が持っていかれちゃうのよねぇ。タイトルをつけるなら、左隻が“永遠のあの世”で、右隻が現世の1日”か―。それにしても重文ゴロゴロの恐るべき企画展。京都、さまさまですな。恐れ入りました(ぺこり)。

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そんなこんなで、「サクっと京都」と言いながら、ダラダラ盛ってしまってスイマセン。いやいや、ここに書ききれないことばかりで、削る作業のほうがタイヘンでした(汗)。帰りの車中では、「生まれ変わったら、京都で学生した~い♪」「障壁画は絶対ナマ見物♩」「やっぱ行きたいと思ったら迷わずGO♫」の3指標を胸に刻んだわたしたち(笑)。それではおあとがよろしいようで―。

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 PS 次回は6/18にUPします

わたしがシビレるヒロインたち💀

映画の感想で「主人公に感情移入できなくて、つまんなかった」という内容のものがあるけど、あれ、わたしにはよくわかんないのよね。だってさー、無理でしょ?そもそもフィクションなんだし(笑)。

つまりみなさまは、リアリティの匙加減を問題にしてるんだろうね。荒唐無稽なものが見たい…かつ、じぶんの日常(リアリティ)を若干かすめながら~という、相反する体験をスクリーンに求めているのでしょう。わからなくもないです、はい。

わたしの場合は、やっぱりじぶんの経験則で測れない主人公が、銀幕を疾走して絵になることこそ映画の醍醐味!と思っていますね。だから、目が留まるのは自然とじぶんと反対性別の男性役がほとんど。それも、恋人願望を満たすべく「ス・テ・キ♡」と惚れるのではなく、じぶんが男になり切り、フィクション全開でその役柄を味わいたくなるってわけ。感情移入というより、ちょっとした着ぐるみ体感ですかね(笑)。

そんな女性主人公に無頓着なわたしが、つい最近「げーっ、カッコイ~イ!」と胸を高鳴らせたヒロインを発見★『午後8時の訪問者』('01)に登場する若き女医ジェニーです!

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ある夜、彼女は診療時間を過ぎた午後8時に鳴ったドアベルに応じず、友人との飲み会へ向かう。この後、ベルを押した少女が、身元不明の遺体となって見つかるとはツユ知らずに…だ(汗)。ここから始まるジェニーの単独大捜査。ほとんど感情を表に出さず、救えたかもしれない命の周辺を、どこまでも粘り強く嗅ぎ分けて突き進むハードボイルドな彼女に、すっかり魅了されたのよ!特に目を惹いたのは、この映画が真相究明の形を取りながらも、ヒロインを単純な正義感へ集約させないところ。亡くなった少女の声なき声を丹念に手繰り寄せる姿勢と、患者の身体に耳を澄ます医師としての横顔とをシンクロさせ、ジェニーというヒロイン像を絶えず重層的に映し出しているんだよね。そう、見ず知らずの少女の死を想像しながら、世界を想像するジェニーの屹立したカッコよさに、心底シビレたってわけ。そこで今回は、「わたしがシビレるヒロインたち」と題し、お気に入りのヒロイン像を振り返ってみることにしました~♪

 

「やさぐれ少女」編

▶今さらですが…若い頃ってバカでイイですよね(爆)。中でも、ティーンエイジャー時の鬱屈した思いを、独りでどう消化するかにスポットを当てる映画は、年を取るほど“ご馳走”になる(笑)。すぐに思い浮かぶのはゴーストワールド('01)。ヒロインは、なーんの実績もないくせに、自ら蓄えたセンスに対する強烈な自負心だけを拠り所に、カッタるく若者やってるイヤなガキ。世の中にイチイチ「ケッ!」と毒づいてる様子が、とても他人事には見えなくて、冷や汗が出たな~(苦笑)。でも、自意識ばかりをギンギンに尖らせるこのクソ生意気な身振りこそ若者のすべて!あの頃、いかにやせ我慢して突っ張ったかの記憶は、やがて思わぬところで花開くものなのだ★

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▶お次の少女ヒロインはなんと吸血鬼!『ザ・ヴァンパイア ~残酷な牙を持つ少女~』('14)は、イランの架空の町を舞台にし、夜な夜な廃墟を徘徊して悪事を征伐する美少女ドラキュラが怪しい魅力を放って新鮮だった。孤独な彼女は、ペルシャ語を使い、ボーダーTシャツが似合う“オリーヴ少女”ビジュアルで、趣味は音楽(笑)。黒くて長ーいチャドルをドラキュラに見立てるアイデアもムードたっぷりで、もの哀しさにクラクラしちゃった。けっこうガッツリ血をしたたらせるけど、相当カッコいいわよ~(笑)。


『ザ・ヴァンパイア ~残酷な牙を持つ少女~』予告編

▶イギリス映画17歳の肖像('08)のヒロインは、お地味な暮らしと、父の期待通りの優等生でいることに退屈さを覚え始めるまともなティーンエイジャー(笑)。年上の男に恋をし、大人の世界の入口に立ってからの暴走っぷりも、一事が万事予定通りで可笑しい。―が、この映画の一番の魅力は、ヒロインの抑えきれない知性によって、もう一度世界をじぶんのものさしで捉えなおそうと覚醒するシーンなの!堅物だった担任の先生(素敵!)のフォローや、厳しい階級社会を立ち上らせるスケッチも的確で、小品ながらもズシッと手応えが残る作品に仕上がってます。

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「闘いモード」編

▶恋愛は“自我の崩壊”にこそ醍醐味があるわけですが、そこんところをいかに血をたぎらせて描くかの王者は、今も昔もおフランス映画でしょう~。どこまでも対等な真剣勝負で輝くヒロイン、まずは『ラブバトル』('13)。見ている間中、ずーっと「マジか?」と呆気にとられます(笑)。なんたって父の葬儀のために田舎へ帰省した若い女と、隣家の独り暮らしの中年男との壮絶な戯れだけで、映画が一本出来上がっているんだから♥ 言葉を介在させず、共に生傷を重ねて取っ組み合いのケンカSEX(!)を繰返すうち、分かち難い絆を成熟させるという離れ業作品。意味わかんないでしょ?(爆)嘘だと思ったら取り急ぎこちらの動画をのぞいて見て♪ あっぱれなヒロイン、受ける男も豪胆でっせぇ~。


『ラブバトル』予告編

▶もう1本はコスプレもの。19世紀フランスの社交界を舞台にしたバルザック原作のランジェ公爵夫人('06)。空虚な生活にドップリ浸かる高慢な貴族夫人と、ウブで優秀な軍人男との、ある意味頭でっかちで未熟な恋の駆け引きが展開されます。どこを切ってもザ・おフランス(笑)。ただし『ラブバトル』とは正反対に、こちらは油分を抜いてカラカラに乾燥させた“押し花”みたいな印象で意表を突かれます(笑)。ヒロインは押し花になるのにふさわしく痩せてギスギスした変形美人。この薄く伸びた影みたいな女の、猛者を煙に巻きながら徐々に血流をめぐらせる姿が、なかなか渋いんですよね~。同時代の絶世の美女、あのレカミエ夫人と比べたら、同じバッスルスタイルのドレスを召していてもヤっす~くて笑えるが、徒花としてのリアリティは◎なのだ!

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「ボーダレス」編

▶家族を守ることに全体重をかけ、危険な仕事に手を染めるヒロインもいる…フローズン・リバー('08)にはヤラレましたね!舞台はNY州最北端の殺風景な小さな町。縁もゆかりもない2人のかあちゃんが、困窮の果て、タッグを組んでカナダからアメリカ側へ不法移民者たちを密入国させる商売に乗り出すの(汗)。しかも闇の商売とはいえ、凍てついた川を車で渡るという危険極まりない方法で!男抜きの開拓史ドラマを見るようで、その骨太さにノックダウン。ヒロインの眉間の皺にシビレっぱなしだったなあ…。男女問わず必見の1本、ヒリヒリしていただきましょう~。

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▶フランスのマクロン新大統領と奥様は年の差25歳で話題を呼んだが、まだまだ甘い(笑)。60歳の年齢差カップルが登場する伝説の映画がハロルドとモード~少年は虹を渡る』('71)です!自殺マニアの孤独な少年ハロルドは19歳。一方お相手のモードは、ナチスの強制収容体験を持つ79歳。少年は、限りある生を全うしようと冒険の歩みを止めぬこの老女に恋することで、世界と親密な関係が結べるようになるの。ルース・ゴードン扮するモードは、分別くさくなるより前に、命を色っぽく使い切りことに徹する演技で目を見張るわよ。若者の恋心を自然に受け入れるシーンに一切の無理がなく、心底タマげました!映画はこんなにチャーミングなウソをサラっとつけて、「あったらいいな~♪」とまで想像させる魔法の装置★45年前の作品とは思えない瑞々しさがたまんないっス。

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▶最後は、見たばっかりホヤホヤの1本『タンジェリン('15)。全編3台のスマホだけで撮り切ったというこちらのヒロインは、ムショから出たばかりのトランスジェンダー。とあるX’マスイブの1日、彼女が痴話ゲンカの決着を付けるためにLAの町中をガンガン歩き回るだけのストーリーなんだけど、一見ガサツな騒動が意外な噛み応えを秘めていて、侮れませーん!お下劣極まりない与太話が、終わってみれば可憐な一輪の野バラに化けるいう、とんでもないイメージの飛躍体験さえできちゃうの。女もイロイロ、ヒロインもイロイロ。バリエーションが増えるだけ、自由に近づくのは間違いないね★


『タンジェリン』予告

 

▶ここでは、他であまり取り上げられない小さめの作品、かつ洋画のみにスポットを当てて選んでみましたが、振り返れば、わたしがシビレるヒロインたちは全員迷いがありませんでした(笑)。チマチマまどろっこしい女より、絶えず巻きが入ってる女たちを面白く思っているみたい(爆)。よかったらレンタルの参考にでもしてみてね♫

 

PS 次回は6/4にUPします

ポーチという名の宇宙★

いいですか~。今回はいつも以上にくだらなさ濃厚です(笑)。極めてどーでもいいネタです。しかし、女子のみなさま、または、女子を理解したいと考えているみなさま方には、血が沸騰するやもしれません。

例えば、女子たちの個々の“物語”を知りたい!としましょう。見知らぬ彼女が、日々何を大切にしているのか…そんな好奇心を持った場合です。はい、そんなとき、わたしが彼女に近づくためのヒントにする指標は、お洋服でも、美容でも、食べ歩きでも、愛読書でも、パートナー選びでもありません。ズバリ、愛用している「ポーチ(小袋)」です!ひとりひとりがお持ちの「ポーチ(小袋)」をチラ見したら、そこに現れる志向を手掛かりにして、精神性まで浮き彫りに~♪ …というのは、まったくもって大袈裟ですが(汗)、その場で「ポーチ」を酒の肴に、ひとしきりおしゃべり三昧、突っ込み三昧、大ウケ三昧できるのは間違いございません。誰もが参加できかつ、互いの素顔が開示し合えて楽しいひとときが創出できるってわけです♫ 

ではここで、我が友たちに取材した企画…題して「ポーチという名の宇宙」をとくとご鑑賞ください。きっと、じぶんのバッグの中身を点検したくなりますよ(笑)。

 

🔱ファッショニスタRの スタメン・ポーチ!

 いささか前フリが長かったでしょうか…(汗)。きっかけは、「女子ってやたらポーチが好きだよね~、いったい何にこだわってあんなに持ち歩いているんだろう?」というちっぽけな疑問を、マブダチRに尋ねたのがはじまりです。さーすが元編集者のR、速攻でビジュアルで返してくれたのがこの1枚!

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「スタメン・ポーチは、全て、マチなし、です。無意識だったけど、マチなしがほとんどでした^_^;。プラダのものは、使用感ハンパない状態だけど、捨てられません。黒いのは、アニヤハインドマーチのレザーもの。4年ぐらい、ずっと使ってます。化粧品入れてます」とレポート。なるほど、よく目にしていたけど、ピンクとブルーの色違いで持っていたのね。何よりサイズ感が伝わるよう、ハサミを登場させているのにウケましたあ~。なんだかこのハサミもおプラダ製に見えてくるよ(爆)。

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これが旅行の時のスタメン!シャンプー、ヘッドケアやスキンケアやメイクラインを入れる、マチあり。100均でゲット。内側撥水加工で、優秀アイテム。あえて色違いの3つ使ってます!ふむふむ、キャスキッドソンもどきの100均ね(笑)。キャスよりペラペラなコーティング素材だから、かえって軽くて使いやすそう。それにしても100均の企業努力には、いつも脱帽です。

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そしてここ1~2年、ハワイに魅せられてるRはハワイの土産品も活用中。左はスタメン用の控え選手。カワイイなあ~。右の巾着タイプは薬用だって。「袋と目薬のサイズがピッタリなところと、バッグのなかで、ごそごそ探してると、ヒモが手に引っかかりやすくて探しやすい^ ^。」らしい(笑)。わかるわ~、わたしも毎日のようにバッグに手を突っ込んで素材感や突起物で探り当ててるよ~。すぐに出てこないとイラついちゃったりして(爆)。

 

🐤子育てママYちゃんの スタメン・ポーチ!

さてお次は、5歳の女の子を持つYちゃんの場合。この日は、20年くらい前に買って愛用していたkakatooのバケツ型のバッグを、久しぶりに引っ張り出してやって来た!すごーく、今年っぽいじゃないの~。

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ここにバッグ・イン・バッグとして入っているのが次の2種。左のDisneyサブラ刺繍ポーチは3年くらい使用中。携帯、財布(Felisi)、小銭入れ、エコバッグ、ボールペンでひとまとめ。右のポーチは財布と同じFelisiノベルティで、こちらには最低限のメイクもの、ウェットティッシュ、普通のティッシュ、そしてなぜかポチ袋でひとまとめ。母の横顔が垣間見られます(笑)。バッグを変えても、この2種を適宜突っ込めば即出発できるという仕様らしいです。

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ポーチは、ざっくり言うと、「マチあり」派と「マチなし」派の2つに分かれると思うんだけど、Yちゃんは「子育てが始まって「マチなし」派に変わった」んだって。「子どもがまだ小さい頃の外出バッグは、ほとんど子どものものでいっぱいになって、じぶんのものは片隅に追いやられるの。だから最小限のものをコンパクトにまとめるためにマチなしばかりになったよ」

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そしてYちゃんの旅行時は、ぜーんぶ、ベトナム製の刺繍巾着袋に仕分けて持参!長年愛用していい風合いになってるね~。「ポーチの予算は、MAX5000円くらい。そして決め手の70%はデザイン性ね!気に入ったものを長く持ちたいから、何としても洗って使えるものを選ぶよ(笑)。専門コーナーでなく、雑貨屋や洋服屋で常日頃からチェックしてるなあ~。」とか。そうそう、毎日のように引っ張り出すものだから、洗えるかどうかは重要ポイントだよね!

 

手ざわり感重視派Hの スタメン・ポーチ!

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日頃からどんなものでも、触り心地に敏感なH。彼女のスタメン・ポーチは熱帯柄プリントのマチつきコットン製。シャリ感がある素材が、パリっとしてて気持ちイイ。サイズはもっともポピュラーなタイプで、これぞ化粧ポーチの王道ね★それと、Hは鍵入れも布ポーチ。モン族の刺繍入りミニポーチの内側にキーホルダーを取り付けて愛用してるの。「刺繍ものは丈夫だし、カバンの中に入れても他のものを傷付けなくて◎。ジャラジャラ音もしないしね。バッグの中をまさぐったら、刺繍の手ざわりで見つけられて便利よー」。やっぱり触感がキモになってるみたいね。ポーチ選びの目安は「予算は2500円まで。機能性50%、デザイン性30%、値段10%、耐久性10%で探す」。男っぽい目線の持ち主です。

 

🌸ピンク好きKの スタメン・ポーチ!

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「ピンクはマストアイテム!カーキは同じデザインの一回り小さいサイズ。どちらもB印 YOSHIDA。布ポーチが好き♥ゾウ柄のミニポーチは、ネットで購入して届いたばかりだよ~」。同級生Kはバッグ・イン・バッグ用のポーチをずーっと探していたんだけど、ようやくこれに落ち着いたみたい。重宝してるらしいよ。じぶんのベストサイズを探り当てたんだろうね。そして、ピンクとカーキーは彼女のお洋服選びのキーワードといっしょ!着るものとシンクロしてるんだね~。

 

👜小袋の帝王KKの スタメン・ポーチ!

 KKとはすでに35年以上の付き合いになるが…、正真正銘のオタクと呼べる唯一のともだちだ!彼女のフィールドは多岐に渡り、それこそかる~く10回以上は特集が組める稀有な逸材だが(汗)、まずはもっともベーシックなポーチ(KKはすべて“小袋”として分類してる!)で登場していただきました♫

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「好きじゃないものは持ちたくない!」…KKの基本姿勢はけしてブレません。ここ2年くらい、KKのスタメンになっているのがこの4つの組み合わせ。全部「マチなし」ですね。マリメッコはロゴ入りプリントにしか興味ない。ジッパーの房が気に入ったアニヤハインドマーチ。意外と使い勝手のいいヴィトンの モノグラム の小銭入れ。でも一番好きなのはこのQ-Potの手提げ袋!」…そしてどうしてもいっしょに写すべきだと、Dunkin' Donutsのマグネットを並べていたKK…。すでについていけない熱気で頭クラクラ(汗)。なに?Q-Potって…?しかもこれ、ムック本についていたいわゆるオマケ袋で、ストック用に同じ本をもう一冊買い置きしてるんだって!!!

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スタメンとは別にKK最近のお気に入りが、アーバンリサーチのアクセサリーブランドSMELLYの手提げ袋。ポーチタイプもゲット済み。ブランドキャラの白熊の刺繍がなかなかキュートだ。わたしも欲しい(笑)。…が、アクセサリーブランドのこんなニッチな商品までくまなくチェックしてるとは…恐るべしKK。そう、彼女は「企業もの」オタクなのだ!

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そんなわけで、CITROENのミニバックもロゴの魅力とサイズ感でお宝入り。車、飛行機、文房具、軍関連など、男子御用達の企業もの領域が彼女の十八番なのです。しかし、振り返れば、未使用の小袋が部屋に溢れかえり、「大事にしすぎてウチの中で失くす」こともしょっちゅうとか(爆)。で、肝心のポーチの中身だが、整理するために小分けしているはずなのに、手提げ袋にお金を直接突っ込んでいたり、ポーチにどーでもいいゴミが入っていたりして、まったく脈絡なし(爆)。いつもたくさんの小袋を持ち歩いているが、好きな小袋&ポーチを身に付けていることそれ自体が歓びのようで、とにかくユニーク★ 引続き笑わせてね~。

 

最後はちんぴらの スタメン・ポーチ!

オオトリながら…わたしが一番貧相で芸がないです(汗)。まず、ポーチを金を出して買うこと自体が、めったにない(爆)。基本、「もらいもの」「オマケ」「手作り」だ。荷物を極力軽く&薄くしたいんだよね。人生といっしょ、ペラペラこそブラボーなのよ! 最近のわたしのスタメン(スタメンというのも憚られる…汗)がこちら―

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この中で買ったものは、サイフと一目惚れしたモン族の刺繍入りの袋(メガネ入れにしてる)。どちらも10年以上愛用。うっすうす~。あとは全部もらいものだ(汗)。水玉のポーチ(化粧品入れ)と煙草入れはエコバッグのケース側を利用してて、フランス土産のゴブラン織りのミニポーチはデジカメ入れに。でもって、ピンクの富士山プリントは、宝くじ買うとついてくるオマケらしいが、バカバカしさ満開でめちゃウケた♫ あと、ポーチのファスナーに野暮っちい根付を付けるのがわたし流。これまた、探しやすさという実用面も兼ねてます。

というわけで、「ポーチという名の宇宙」満喫していただけたでしょうか…。この宇宙は奥が深いですよ~(笑)。その人が着ている服装の趣味より、ある意味饒舌&本音全開。むせかえるほど唯一無二のドラマが立ち上って見えますね。いつか男子バージョンをやりたいけど、ポーチの代わりになるのは何かなあ…。じっくり考えてみたいところです。

 

PS 次回は5/21にUP予定です。

 

勝手にシネマ評/『バンコクナイツ』('16)

ほーっ、山梨の次はタイですか?…

富田克也監督は、“雲の上”から、タイの首都バンコクへ舞い降りた。新作バンコクナイツ』で、自らドラマの鍵を握る元自衛隊員オザワ役を演じ、実に気持ちよさそうだ。

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…ってことは、おそらく本人の体内スイッチをONにさせる何か強い磁性みたいなものを、この地に発見したに違いない。監督、もはや日本のしがらみにお腹いっぱいですか?日本の女はもう要らない?(笑)いや、土地に妄想する方が何倍もテンションが上がってしまう作り手だから、河岸を変え、漂泊者になるのは自然の成り行きね!本作では、バンコクからイサーン(タイの東北地方)、そしてラオスへと、地霊の気配に全身をそばだてながらの移動撮影を敢行。3時間3分。作り手側からすると、これでも足りなかったかもしれない。だって監督が手繰り寄せたいのは、いつだって目に見えない不確かなものだから―。

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とはいえ、「目に見えない不確かなもの」を吟味してもらうには、「目に見える生臭いもの」で客を呼び込む必要がある。そこで映画が最初の舞台に選んだのは、バンコクにある日本人専門歓楽街“タニヤ”だ。へーっ、こんなにわかりやすいメイド・イン・ジャパンの楽園が存在し、毎夜盛況とは!知らなかった。これ以上呼び込みにふさわしい絵はないのでは?…ひな壇、電飾、美少女アイドル風ビジュアルのタニヤ嬢たちと、たどたどしい日本語の接待が、ある意味アナログな様式美として映し出される。

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行ったこともないのに「日本男子諸君の大好物だよな~」とリアルに感じるのは、そこに目新しいアイテムが一つもないからだ(苦笑)。慣れ親しんだ空気に漂いながら、思考を停止して楽しめる一晩だけのアバンチュール。お気軽かつお安く、ストレスなしに“ごっこ”ができる場所を、今も昔も日本男子は楽園と呼ぶのだろう。もちろん背後には、楽園そのものを金のなる木に見立て、一儲けを企む有象無象たちがどっさり集結。つまりは、旦那と太鼓持ちの役割分担で、楽園という名の市場も成立しているわけだ。

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そんな夜の街の人気NO.1タニヤ嬢がヒロインのラックである。イサーンの貧しい田舎町から、身体ひとつを資本に出稼ぎに出て5年経つラックは、絶えずブーたれている。サービス外の要求をねだる男たちを、「メンドくさい」「キモチわるい」「クサい」と、一昔前の女子高生のようなノリでののしる。彼女を苛立たせるのは客だけじゃない。薬物中毒の母から携帯に入る金の無心にも気が滅入り、日本人のヒモ男・ビンに当たり散らす毎日。どいつもこいつも、私にねだり放題、もういい加減にしてよ!…これがラックの本音だろう。

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限界寸前のラックは、ある夜、まだウブだった頃に愛しあったオザワと偶然再会する。今のオザワは、日本を捨ててネットゲームと使い走りで日々をしのぐ沈没組。いわば名うての“花魁”に昇格しているラックとは、身分違いの間柄になっているのだが、この再会を機に、彼女は人生の潮目を変えようと動き出す。NO.1タニヤ嬢を封印し、ラオスへ向かうオザワに同行。出たとこ勝負の2人旅が始まる―。

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電飾から自然光へ―バンコクを出た2人は、ラックの故郷・国境の町ノンカーイへ到着する。かつての恋人同士が元カノの故郷を訪れ、純朴な大家族から、心づくしの歓待を受け、田舎の緩やかな時間に心身ともに寛ぐ…絵柄としてはそんな風に見えなくもない。アダージョ風アレンジで原点回帰パートですかね?

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いやいや、そう簡単に片目をつぶれないのが、空族と富田監督の流儀だろう。2人を通じて田舎暮らし礼賛をするつもりもなければ、社会学者気取りで、都市との比較を論じるために遠出させたわけでもない。男は金になる不動産商売のネタ探し、女は大切な家族をどう守るか、それぞれの現実問題ありきで移動させたに過ぎない。いうなれば、田舎は借景。場所を変えようが、言葉使いを改めようが、どこまでもじぶん本位な2人を、平行線のまま放り出す。青臭いほど、ロマンチック要素ゼロ(笑)。でもむしろ、そこにこの長旅の新味はある。

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地霊の気配に導かれるようにひとり国境を越え、ラオスに足を延ばすオザワ。家族へ注ぐ愛情がことごとく皮肉を招いてしまうラック。やがて男は蛮行の歴史を我が事として顧み、女は凌辱された歴史を我が事として偲ぶ。目に見えないものに導かれるまま、宙吊りで世界を見渡すこの滔々と流れる時間が、とてもいいのだ。特に魅かれたのは光の捉え方。都会の闇にねっとり輝く人工の光と、赤と青の粒子が激しくせめぎ合う田舎の太陽光の2つを、これまた追い駆けあう男女のように妖艶に差し挟み、我々を映画の時間に溶け入らせるのだ。

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バンコクナイツ』は、オザワとラックを隠喩として、歴史の因果を想像する刺激に満ちている。その仮説のすべてが上手くハマったとは言えないが、作り手側の身体で、過去から今につながる世界を分光し、可視できないものまでも拾い上げようとの姿勢は、さらに剛毅なものになってきた。ラストで、色彩を絞り込み、月光の下で綴られる青一色の救出劇はその最もなものだろう。合意形成に至る道のりは長く険しいが、空族なら自ら透明になって、世界のどこへでも舞い降りられる…もはや彼らは撮り続けるしかない。

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映像制作集団「空族(くぞく)」富田克也くん(左)とトラちゃんこと相澤虎之助くん。彼らとは、2008年に見た自主映画『国道20号線』に衝撃を受け、こりゃあほっておけない!とHP経由で連絡を取り、じぶんの書いた映画評を送りつけたりして(汗)、交流を深めた縁がある。何度かお会いしたこともあるが、宝物は単独で探す!派のわたしと違い、チームを組んで世界を再定義しようとしている彼らの行動がやけに新鮮に思えた。それに、制作だけでなく、上映や配給に関してもじぶんたちの流儀を貫き、映画というフィールドを耕しながら勝負していて、とにかくイキがいい!映画市場は邦画が好調らしいけど、アニメや怪獣や純愛だけじゃ、わたしはあくびが出ちゃう。一方、時代におもねることなく、じぶんたちが抱える違和感の正体を暴こうと、わざわざめんどっこいものを探り続ける空族―。こんな映画作りをしてる奴らがいるってことに、ぜひ注目してみてほしい。


【映画 予告編】 バンコクナイツ(本予告)

 4/29(土)~5/19(金)まで名古屋シネマテークにて公開

(5/5(祝)18:30の回 富田監督とトラちゃんの舞台挨拶あり!)

 

バンコクナイツ

 2016年/ 日本・フランス・タイ・ラオス合作/カラー/182分
監督/脚本  富田克也
撮影      向山正洋 古麿卓麿
脚本     相澤虎之助
キャスト  スベンジャ・ポンコン 伊藤仁 

 

PS 次号はGW最終日の5/7にUPします!

意外と難問シリーズ①「百万円で何をする?」

ある日、知人の事務所に何気なく転がっていたメモ帳を見て、ギョッとしたわたし。なんと百万円の札束を模したものだったのだあ~はい、その現物がこちら。

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どう?妙にナマナマしいでしょ?お金って、日頃マジマジ見ないものだから、色味とサイズだけで、即反応しちゃうんだよなあ~(笑)。それとこのメモ帳が、札束の分量と同じ厚みに作られているところもミソだと思うわあ~。でもさー、札束の「絵柄」がチラっと視界に入っただけで、動揺したじぶんがすんごく恥ずかしくてさー、トホホな気分になったのよ(苦笑)。ぶっちゃけ、お金のやり繰りには困っているけど(爆)、そのときの動揺はタブーに触れたような…、抑圧している要因をじぶんで掘り起こしちゃったような…(爆)。エロ本見つけた中学生坊主より始末が悪かったですぅ(汗)。

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そこで、この百万円メモ帳をモデルに見立て、出歩いた先々で撮影してみたの★どこに置いたら面白いかな~、どこにあったらもっとギョッとするかなあ~とね。やってないけど、インスタのイジワル版ですか♫

 

まずはキレイキレイに【友だちんちの庭で】

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犯罪の匂い【スーパーのベンチ】

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ARTで一服【豊田市美術館にて】

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公共のカゴに投げ込む【ペットボトル&自転車置場】

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平和を揺さぶる鶴舞公園にて】

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通勤時に目の保養?【地下鉄周辺】

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夢見るように眠りたい…【花見にて】

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あなたは神を信じますか?…【夜の街角】

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はてさてこんな遊びをひとしきりした後、今度は知り合い34人に緊急アンケートを依頼しました!「いま百万円が手に入ったら、あなたはどうしますか?」と―。はい、その結果がこちら。

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 百万円也…。「カンでいいから」と発注したら、知人たちは速攻で返信してくれましたよ~(笑)。この中途半端な(!)金額が、人の妄想に歯止めをかけ、現実的なものさしとなるみたいで、回答が速かったのかもしれないです。そもそも「予期せぬ収入」⇒「使い切るならどうするか?」という発想で、漠然と頭の中にある欲望リストからピックアップしてるかんじ。リストの中身と金額が折り合わず、今欲しいものが思い当たらない人の中にも、とりあえず「ク:貯金」して時間を先延ばしにするタイプと、カタルシスを得るために「コ:目黒川にバラまく」タイプがいてこれまた大笑い!

全回答を大まかに整理すると、「日常の改良&向上」派と、「日常からの跳躍」派の2つのタイプに分かれましたね。「日常の改良&向上」派は、その人が日常化しているもののバージョンUPを念頭に置き、「日常からの跳躍」派は、逆に日常化していないもののバージョンUPをイメージしてると推察。フリーで仕事してる人はほぼ全員「日常の改良&向上」派(左図)に属し、サラリーマンはほぼ全員「日常からの跳躍」派(右図)だったよ。他に面白かったのは、第一候補をあげた後に、「余ったら美味しいもの食べる!」と付け加える人が多かったところ。“好物に祟りなし”ですかね(笑)。

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それとねー、アンケート結果を眺めていたら、ビジネス研修でよく使われる『時間管理のマトリックスのことをフイに思い出し、 ご本人の意思はさておき(苦笑)、わたしが勝手に緊急度と重要度で切り分け、四つの領域に振り分けてみたのよ(笑)。

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「a:自宅メンテ」「緊急かつ重要」でしょう~。だって床と樋の割れ補修しないと梅雨の時期悲惨だもんね(笑)。「e:自分の分身を雇うも、ご両親の介護と実家の建て替えで落ち着いて制作できないらしいから(彼女は絵描き)、ここだよね。

次の「緊急ではないが重要」は、百万円で精神の支柱となるものを欲している人たちを並べてみた。「百万でリフレッシュ!」を合言葉に旅行へ行くもよし(それにしても旅行は強いなあ~)、通帳を眺めてウットリするもよし。そして、申し訳ないけど「緊急でも重要でもない」には、百万円をちょっとしたオマケで使おうと考えてる人たちをピックアップ。ある意味普段の生活にさして不満もなく、最も健全に生きてる人たちだと思うな(笑)。さて最後の「緊急だが重要でない」に入るのは…わたしの妄想★ 

その内容は…「百万円で自画像を発注する」です!自画像を誰に書いてもらいたいと妄想し出すとタイヘンだし、金額がショボいんで(汗)、ここはイッパツ無名の美大生に発注したいですね。タニマチ風吹かせて~♪ ではなぜ「緊急」かというと、自画像かつ裸婦でお願いしたいからで~す。身体ラインが崩れ切らない前になんとかひとつ夜露死苦ってことよ~。緊急でしょ?(爆)好みの画風は、ヴェネツィア派の巨匠ティツィアーノ風か、新しめのジョン・カリンか…。何せオーダーだから如何様にも捏造してもらえるもんねー★

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 最後はルーチョ・フォンタナ様とのコラボで締めくくり。百万円の妄想の旅は、いかがでしたか~?

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 PS 次号のUPは4/23。空族・富田克也監督の新作『バンコクナイツ』をご紹介!

勝手にシネマ評/『海は燃えている~イタリア最南端の小さな島』('16)

『海は燃えている~イタリア最南端の小さな島~』は、第66回ベルリン国際映画祭金熊賞受賞作ドキュメンタリー映画で初の最高賞に輝いた注目の作品である。

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“世界一位の絶景”と謳われる美しい海に囲まれたイタリア最南端の島、ランペドゥーサ。監督のジャンフランコ・ロージはこの小さな漁師町に1年半移り住み、住民たちと暮らしを共にしながら本作を撮ったという。ところが幕開け早々不思議な心持になる―「あれ?ドキュメンタリーじゃなかったっけ?…」と―。

島の少年サムエレくんが、何やら木の枝ぶりを熱心に眺めまわし、ついにはナイフで切り落とすシーンから始まるが、その様子に劇映画(フィクション)の萌芽を感じさせるからだ。サムエレくんが、カメラの存在をまったく意識していないせいもあるが、かといって演技にも見えないので、「何これ?」と思う。子供の無邪気な遊び時間にしては、切り取り方に陰影が漂い、何だろうこの固いしこりみたいなものの正体は…、いったい何が内包されているのだろう…と、複雑な手触りにひとり気を揉んだ。

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いて映し出されるのが夜の海と無線の交信。救助を懇願する叫び声の主が、避難民たちを乗せたボートからだとすぐに察せられる。しかし、危険を顧みず母国から避難する話は、ニュースとしては伝わっていても、リアルな救助要請の交信をまともに耳にしたのは初めてだ。声だけなのに、いや声だけだからこそ、命がけの世界が突如目の前に出現するようで、じぶんでも意外なほど動揺した。

ランペドゥーサは、北アフリカから最も近い欧州に位置するため、アフリカや中東からの難民や移民が、最初にたどり着く“希望”の玄関口にあたるらしい。それゆえ、20年間で40万人の難民がすし詰め状態で海を渡り、1万5000人もの溺死者が出ている海難事故現場の最前線でもある。もちろん、そんな詳細情報は鑑賞後に目にした資料から得たもの。わたしは丸腰で、緊迫した状況をひたすら追いかけるだけだった―。

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んなふうに映画は、同じ島の2つの動向―「漁師町の平穏な日常」と、「難民たちが背負う過酷な運命」―を交互に映し出し、終始落ち着いたトーンで進行する。例えば、どちらか1つの設定なら、ある意味、定型化された方法だ。陽光まばゆい南仏の漁師町に暮らす少年の成長ドラマで1本、避難民たちの現状告発ルポで1本というように。同一舞台を対照的なフォーマットで描いても、どちらも飲み込みやすい。いや、2つの内容を抱き合わせ、ちょっと見せ場の多い社会派ドラマにだって、容易くイメージできる。島育ちの少年と異なる世界との交流には、柔軟性も持たせられるしね。ところが映画は、そんな推測を軽々と越えたところでさざ波を立たせる。

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ず2つの動向には接点が一切ない。それが現実だからだ。サムエレくんは、自然豊かな漁師町ですくすく育つヤンチャ盛りの12歳。おじいちゃんやお父さん同様、海の男として生きることを素直に夢見ている。そんな穏やかな家庭のラジオからは、毎日のように難民救助に関する報道が流れるが、対岸の火事扱いでおしまい。一方、命辛々たどり着く難民たちも、島は一時避難と手続きのための窓口にすぎなくて、その後は個々の希望地へ向かう仕組み。ではなぜ映画は、接点のない2つの顔を、あえて平行線のまま提示し続けるのか―。

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る日、いつも元気なサムエレくんの左目が、弱視だと医者から診断される。本人も気づかぬうちに、世界の半分を見えないものとして過ごしていたらしい。そこで、サボっていた左目もしっかり使うよう矯正が始まる。サムエレくん、手作りのパチンコでいつも遊んでいるからなあ、片目を閉じて的を狙うクセが日常化していたのかな…などと、ボンヤリ見守る。

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方、避難民側のスケッチは、次第に惨劇の内側へ足を踏み入れ始める。生存できることが奇跡にしか思えない劣悪な船内、脱水症状で身動きが取れず死の淵に漂う人々、志半ばで袋に入れられた遺体の数々、そして黙々と処理に徹する施設関係者たちの横顔…。言葉を失う光景の連続。この世界で一体何が起きているのか、映画は対象との距離を絶えず一定に保ち、事実を事実として見せ続ける。しかし、カメラを回す監督が平穏なはずはなく、深いところで受けとめるために、ひとり堪えているのは察するに余りある。…とその時、あの見ようとしていなかったサムエレくんの左目が、時折り頭をもたげていた複雑な手触りが、フイにつながり始める…、我々も無関心の果てに世界を閉ざし、見えないものはないものと編集して生きているのではないかと―。そう、自己欺瞞の常態化に、はたと気がついてしまうのだ。

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は、接点のない同じ島の2つの動向に唯一立ち会う人間がいる。初老の医師である。彼だけが、サムエレくんの治療に当たる一方で、極限状態の避難民たちを保護し、夥しい数の亡骸を見届けてもいる存在だ。いわば映画は、作品の背骨となるキーマンを平行線の真ん中に配置し正攻法で構える。ただし映画は、医師の横顔をとてもさり気なく慎ましやかに捉えているため、リアルな現場の報告というより、悲喜こもごもな物語を口承する語り部のような印象を湛え、私はすっかり魅せられた。

この映画、予測できないもの同士を結びつける知性もさることながら、観客の想像力を呼び覚ますための余白の取り方が素晴らしいのだ。すぐには見えないことも、どうつながり始め、何が紐解かれるかわからない魅力が本作では際立つ。だから、この世界の過酷な現実に対して、たじろぐだけでなく、わずかながらでも自らの思考を回して近づけた気がするのだ。

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後にもう一つ忘れられない光景を書いておこう。それは料理上手で家庭的なサムエレくんのお祖母ちゃんが、ひとり寝室の片づけに勤しむシーンだ。大袈裟でなく、私は未だかってこんなに行き届いたベッドメイク術を見たことがない。家族のために何度も優しくシーツをなで、布のたるみを取り除き、新しい空気をまとわせるその手作業の美しいこと!ゆったりした時間に心が洗われて、全身がトロトロになった。ロージ監督は、こんな小さな営みこそ見逃さない。カメラを回し続ける。平凡な母性の振る舞いを通し、平和な漁師町の尊い日常を見事に表現している。そしてこの時、私の頭の中に、性も根も尽き果て茫然自失な表情でうずくまる、たくさんの難民女性たちの横顔が浮かび始めた…。地獄を見てきた彼女たちが、せめて1晩あの清らかなベッドで横たわれたら…。心ひとつだけ持って裸足で逃げてきた彼女たちが、肌触りのいいシーツに包まれて深い眠りに落ちる姿を、夢想せずにはいられなかった―。

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督のジャンフランコ・ロージは、前作『ローマ環状線、めぐりゆく人生たち』('13) でもヴェネツィア国際映画祭の金獅子賞を受賞し、今、世界が最も注目するドキュメンタリー作家。伝えたいテーマを直截的に掲げず、滞空時間をたっぷり儲け、中心と周辺を行ったり来たりするうちに、世界の断片が克明に浮かび上がる仕立てで観客を魅了する。この名前と顔、しかと刻印して!


『海は燃えている~イタリア最南端の小さな島~』予告編

 3/31(金)まで名演小劇場で公開中

 

『海は燃えている~イタリア最南端の小さな島』

2016年/伊・仏/カラー/114分

監督/撮影   ジャンフランコ・ロージ
編集      ヤコポ・クワドリ   

 

PS 感想書いても上映が残り1週間では…。申し訳ございません(汗)。次回は4/8に更新します。