勝手にシネマ評/『ロスト・イン・パリ』('16)

わーい、わーい、心底うれしい!夫婦道化師、ドミニク・アベルフィオナ・ゴードンの新作を紹介できる日がついにやって来た!何かと一言多いこのわたしが、もろ手を挙げて「ブラボー!」と喝采を贈る数少ない作り手、それがアベル&ゴードンだ。

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本当は余計なことなど、グダグダ書きたくないんだよなあ…。何せ2人はパントマイムを芸道の神髄にしているから、言葉で説明するほどに野暮になってしまう(汗)。見事な身体フル稼働おしゃべりを、黙って眺めているだけで、じわじわと彼らの波動に感染し、「これ以上、なにか要りましたっけ?」なーんていう境地に至るわけだ。でも、監督・脚本・主演もこなす名コンビとはいえ、もともと舞台出身の道化師だから、強力な前フリがないと、多くの人にとっては「誰それ?」「何それ?」で終わってしまいかねない…。

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幸運なことに、わたしは2010年に公開されたアイスバーグ』(‘05)と『ルンバ!』(‘08)を、立て続けに目撃してノックダウンしちゃった口なんで(どちらも傑作!今すぐチェック!)、ここはあえてデバって、鑑賞の動機づけにしてもらおうと筆を取った次第です、はい。

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新作『ロスト・イン・パリ』のあらすじはこうだ―。

雪深いカナダの田舎町で暮らす図書館司書のフィオナ(フィオナ・ゴードン)の元に、パリで自由な独居老人生活を謳歌しているはずのマーサおばさんから、助けを求める手紙が届く。心配になったフィオナは、“はじめてのおつかい”さながらに、憧れの地パリへ旅立つが、アパートを訪ねてもマーサの姿はないわ、セーヌ川に落ちて所持品を丸ごと失くすわ、怪しげなホームレスの男ドム(ドミニク・アベル)にまとわりつかれるわで、踏んだり蹴ったり。果たして、フィオナとマーサとドムの3人の関係をグルグル巡る人生すごろくが、“あがり”に着地する日はくるのか?!―

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どう?なんとなくお気楽な喜劇を想像したのでは?そうそう、のんきに構えて頂いて大いにけっこう。ひとたび幕が上がれば、そんなに単純な映画じゃないってことが一瞬でわかるから。むしろギャップを味わえて、ちょうどいい塩梅よ。さてここから先は注目ポイントをご紹介★

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まずは身体性。セリフを抑え、パントマイムを語りにして物語を紡ぐ彼らの作法は、これぞまさに身体を張った純度100%のアクション映画。例えば、フツーに歩く、フツーに走る、そしてフツーに立つ姿までも、けしてフツーじゃない。いや、この説明じゃわかんないか(苦笑)。つまり、無意識で行う動作のすべてに、想像力をかきたてる芽がぎっしり生えているので、一つの動作を機転にして何が巻き起こるか、予測不可能な愉しみがある。物語に奉仕するアクションではなく、アクションによって物語が自然発生し続ける…そんなニュアンス

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しかも、フツーの動きから逸脱しているのに、意図的に映らないから驚く。2人の足は、シャガールの絵のようにファンタジーの絨毯に乗って浮世を離れることはなく、軽やかではあるが、絶えず我々の足元と同じ大地をステップしている。彼らの作品に流れる親密さの源泉は、こんなところにある気がした。

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次に色彩設計。赤、黄、青の3原色を惜し気もなく使い切る彼らの作法は、パントマイム同様、色を語りに用い、物語の展開に花を咲かせる。雪の「白」から始まり、カナダ国旗の「赤」が小物となって飛び跳ね、ウブな心を持つフィオナには「緑」、ヒロインを照らすドムには光の「黄」をまとわせて、2人を引き合わせたマーサが「青」いマフラーで聖母の象徴となる―。色彩とアクションの掛け合わせで、映画のマジックがさらに際立つ設計。そのうえ、これだけ色彩を前面に押し出しながらも大袈裟な印象は皆無で、ノンシャランな香りが損なわれないのも、特筆すべき点だろう。

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最後は世界の捉え方である。映画は、おばさんを救出しに行ったヒロインが脱線を繰返し、「ミイラ取りがミイラになる」スケッチをしつこく盛り込む。ステップは軽妙、絵はカラフル、情感は控えめ…なのに、行く先々で遭遇するハプニングは、かなり酷くてギョッとする。緩急交えながらのノンストップ波乱中継。そう、ギャグと匂わせる一方で、リアルな世界の不条理さもつかまえて逃さないから、やけに骨身に染みるのだ。

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火葬場に閉じ込められるコント、コインランドリー野宿にゴミ箱あさり、はたまた自由すぎるおばさんの下半身事情までぶちまけ(!)、我々を煙に巻いて澄まし顔♫ えぐいエピソードの数々が、ここでもアクションの浄化作用で、愛らしく様変わりするからタマらない~。

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やがて3者3様に世界を彷徨い、多様なメロディーに乗って身体一つでたどり着いた先には、エッフェル塔自由の女神がしっとりと浮び上がる。原題は裸足のパリ。自由を我がものにした“あがり”の絵に、もっともふさわしい地、パリのきらめきの中で、無常観まで漂わせて映画は幕。散骨に降る雨までも自由で心憎いアベル&ゴードンの世界…無論、締め括りの一言は「ブラボー!」でキマリよ★

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名古屋シネマテークにて公開中!

9/16(土)~ 9/22(金)⇒12:45~   18:40~

9/23(土)~ 9/29(金)⇒11:00~


映画『ロスト・イン・パリ』予告編

 

『ロスト・イン・パリ』

2016年/ 仏・ベルギー/カラー/83分
監督・脚本・製作・主演  ドミニク・アベル フィオナ・ゴードン
撮影      クレール・シルデリク ジャン=クリストフ・ルフォレスティエ
美術      ニコラ・ジロー
キャスト    エマニュエル・リバ ピエール・リシャール フィリップ・マルツ

 

PS 次回は10/2にUPします

テオ・ヤンセン展と“夏休み自由研究” PART 2

【どうやって動かす?

さて、前号『テオ・ヤンセン展と“ティンカリング” PART  1』 で記したように、テオ・ヤンセンの作品群に触発されたわたしは、―どうやったら手動で動く物体を生み出せるか―を、四六時中考えることになったのであります(笑)。これがねー、頭で考えてもぜんぜん思い浮かばないわけ(汗)。だいたいわたしの長年培った発想では、「動く」どころか「平面」でしかプログラムできないからさー、マジに、自我を揺さぶる意識改革となったのよ~。で、そういうときは、ゴタクを言わず、手を動かして頭をほぐすっていうのがわたしのモットー。なので、前号でご紹介した本―『THE ART OF TINKERING(ティンカリングをはじめよう)』の中から、わたし好みのアイデア「オートマタ」(からくり)を真似て作ってみた!

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まずは材料集め。竹串、ストロー、発泡スチロール、段ボール、ガムテ、目打ち…など、ウチにあるもので調達できた。ここから⇒「カム」「レバー」「継ぎ手」の3つのパーツをテキスト通りに作り⇒全部を組み付けていちおう完成。こんなシンプルな構造で本当に動くかどうか、作りながらも半信半疑だったわよ(笑)。でも、せっかくなんで、動かす部分につける飾りは、わたしの仮想メンターとなったテオ氏に敬意を表し、彼の顔にしてみた(笑)。こちらがテオからくり人形の完成品♪

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どう?置物としてもけっこうよくない?(笑)いやいや、それだけじゃございません!マジにいい動きをするのよ~、サイコーに愉快なんだよ~!動画UP方法がわかんなくて(汗)、動画でお見せできないのが悔やまれる(涙)。黄色のレバーをグルグル回すと⇒小さい赤いカムが回転し⇒大きい赤いカムフォロアに伝わり⇒垂直の竹軸が回転。テオ氏の顔と紐が回って回ってまわ~る~♫状態に(爆)。カムの位置と、カムの形を楕円にすることで、上下運動も加味され、想像を超えた玩具制作が実験できた。最も素朴なからくりだけど、シンプル故に、工夫次第で味わい深い動きになることがわかったわ

 

【風鈴もどきもあり?

とはいえ、アイデア一発トライじゃあ、イマイチでしょう~。ここで、何かと強欲なマブダチKとMの顔を浮かべたら、ダメ出しされるのは目に見えているもんなあ(爆)。本当なら、風を動力にしているテオ氏に倣いたいところだが…できっこないし…。そこで2作目は、風鈴もどきでお許しいただくことしました(苦笑)。

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せめてを受けやすくするため、紙にひねり技なんか駆使してみたよ(笑)。テオ氏がヘビーローテしてる重要アイテム、「結束バンド」を真似してあしらってみたり(爆)。素材が軽すぎて、びゅんびゅん動きすぎるのは舌打ちもんだったけど、フォルムはなかなか気に入ってるわ。ロシア構成主義のデザイナー、ロトチェンコ(1891-1956)風に見えなくもない?!(関係者のみなさま、勝手書いてすみません…ぺこり)

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【工作界のヒーロー発見!

そうだ!困ったときはネット検索。やっぱり、動きのバリエーションを増やしたくて、「工作」「からくり」「玩具」etc…テキトーに入れて検索したら、出てくる出てくる―。作り方まで載っけた大量の動画がUPされてて、興奮しちゃいましたよ~。その中でも、わたしの眼にとまったのは、野呂茂樹氏の作品たち。動きも、デザインもセンス抜群!可愛いったらありゃしないのよ❤一体、このオッサン何者?


ミニしかけ絵本(3)

野呂茂樹氏の経歴は、【昭和17年(1942年)生まれ。弘前大学卒業。昭和40年~平成15年まで青森県高校教諭。所属に日本物理教育学会、科学読物研究会、サイエンスレンジヤー(日本科学技術振興機構)、科学する心応援隊(青森県)】と、お地味に紹介されていた。理系のせんせいだった方なのね。これぞまさにわたしがイメージするティンカリングの体験者。イデアが炸裂していて、まったくびっくりポンですよ。あれもこれも真似して作ってみた~い(動画を眺めるだけでもホホがゆるむ)。取り急ぎ、テオ人形3つめの動きはこのカエルバージョンで!

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市松模様の部分を押したり引いたりすると、テオ氏の骨格が伸び縮みするしくみ(爆)。手はアイスクリームの棒でーす。背中に★をしょってまーす。ボディにお菓子の箱を利用したけど、野呂せんせいのカエルように、薄い紙の方がジャンプが軽快になる気がした。今度は折り目の位置も変えてみよーっと。

 

アルカトラズからの脱出

野呂せんせい、UPしている動画のセンスもサエてんの。子ども向け動く工作教室と侮るなかれ!


科学工作:羽ばたく蝶

イデアはもちろん、モチーフが◎、ユーモアが◎、構成が◎、作りのユルさも◎だし、動画のテンポまでぜんぶ◎(笑)。映像の最後に「おしまい」とテロップが出るのも大好き❤ ジャック・タチの映画に通じる上等喜劇の香りさえ漂って見えるのはわたしだけ?(爆)


『ジャック・タチ映画祭』予告編

鉄棒シリーズは、素材違いで様々なバージョンがあるけど、手足の屈伸を入れたゴリラ版が一等お気に入り★ 4つめのテオ人形の動きに取り入れてみたよ。


手動クランク式鉄棒人形

なんとわたしの鉄棒人形は、テオ氏を囚人に見立て、さながらアルカトラズからの脱出だ!海と鮫が迫り来る~(笑)。

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手足の関節に切れ目を入れての大車輪!あー、このダイナミックな動きを、テオ氏にお見せしたい~(笑)。怒られるかな?(爆)ヘへへ

 

というわけで、自由研究に夢中になった2017年の夏の想い出は、いかがでしたでしょうか―。手動で動くモノ作り熱は、しばらく続きそうです。―次は友だちの顔を貼りつけてプレゼントしちゃお~っと(有難迷惑?笑)。

 

PS 次回は9/17にUP予定。アベル&ゴードンの新作映画『ロスト・イン・パリ』を紹介します!

テオ・ヤンセン展と“ティンカリング” PART 1

【“ティンカリング”って知ってる?

ある日。図書館で何気なく手に取った1冊の本―『THE ART OF TINKERING(ティンカリングをはじめよう)』にはスッカリ魅せられた。貸出延長×2回をもってしても、ワクワクは沈静化せず、「いつかこの中のアイデアを具体化しよう!」と、頭の中に仮置きしておいた。何せひねくれ者のちんぴらゆえ、「ラボ」「サイエンス」「クリーンで知的な遊戯」…そんなイマドキな匂いにはスンナリとはノレず(苦笑)、しばらく寝かせてからトライしようと考えたわけ(めんどくせー奴でスイマセン)。

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だってさー、ティンカリングには理念があるらしいのよ(汗)。ほらこれ―。

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ティンカリングとは何かというと―「実際のものを組み合わせたり分解したりして、実用的なもの、風変わりなものなど、さまざまな目的に合うように作り変える基礎的な技術」(本文より)と書いてある。えっ?つまりありものを活用する工作でしょ、昔からやってるじゃない?なんで工作じゃダメなんだー!と突っ込みましたよ、はい。どうもイマドキの工作は、科学+ART+技術の3本柱を組合せ、試行錯誤を繰り返す中で自らの探究心を育成させようとの目的があるらしい。「教育」機能として注目されているみたいなのよね。ふーん、わかったような、わからないような…。消費社会に対する、ある種のスマートな浄化活動とおいてんのかもね~。まっ、崇高な理念を棚に上げたとしても、単純にこの本は楽しい。例えばこんな作業場風景を目にするだけで、わたしは血が沸騰する!職人の家に生まれたサガですかね~。

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女性フェルティング作家のアトリエもいいわよ。今すぐお友だちになれそうだ(笑)。

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本の構成は、ティンカリング気質を持つ人気作家(自己表現者)たちをピックUPし、お得意のスタイルや技術について具体例を見せながら紹介していくもので、ジャンルが多岐に渡っているところがミソ。ARTよりは普段着で、工芸みたいにお手本はなく、ユルくて自由な風が吹いてるかんじ。だから、ノウハウ本じゃないけれど「これ試してみたいなあ♪」なんて気分に、すぐにスイッチが入るわけ。特にわたしの場合は、今まで封印していた「モノを動かす」という好奇心に火がついちゃったから、さあタイヘン(汗)。

 

【『テオ・ヤンセン展』へGO!】

さて、どうやったらわたし好みの「モノを動かす」が実現できるかなあ…。タイミングよく三重県立美術館でテオ・ヤンセンが始まった。これはもう行くしかないでしょう~♫ さっそく、いつもの大人美術部のメンツで津までひとっ飛び!

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実は『THE ART OF TINKERING』の中でもテオは紹介されているの。でも、ちょっとレベルが違いすぎ(フィッシュリ&ヴァイスも別格。Makerムーブメントの人たちと並列に扱うのは、わたしの中では抵抗があったなあ…。どっちがエライってことじゃなく、やっぱアーティストで勝負している人たちの創造性は跳躍力が高いよ。まずは、この動画を見て―


DVD Theo Jansen "Strandbeest" / テオ・ヤンセン 「ストランドビースト」

な、な、なんだこれは!と椅子から転げ落ちそうになったでしょ?はい、これは「21世紀のレオナルド・ダ・ヴィンチ」と称されるオランダ出身のテオ・ヤンセンが、1990年から制作している風で動く作品―「ストランドビースト」を紹介した映像なの。「ストランドビースト」という名称には、“砂浜の生物”という意味が込められてて、テオが作る“風を食べて動く作品”たちの総称なんだよね。ホラ、他にもこんなに様々な形態の「ストランドビースト」が生み出され続けているんだよ、壮観でしょ(他にもYoutubeには多数の動画がUPされてるよ。ロケーションと音の組合せが絶妙で、ずーっと眺めていても飽きませーん!)。

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でもって三重県立美術館では、「ストランドビースト」シリーズ誕生前のエピソードを皮切りに、彼の構想の軌跡を年代順にわかりやすく展示してるの。テキスト、スケッチ、映像、素材、実物作品、デモンストレーションと…さまざまな角度から、テオの創作の源泉に近づけるという仕立てです

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 次が「ストランドビースト」の基本歩行機構。風だけをエンジンにして歩行する、あの独特の優雅でエロティックな足さばきーまるで砂浜をトゥシューズで可憐に舞う絵❤ーの秘密はここにあり! 

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Scilabによるテオ・ヤンセン機構の解析

展示の中で一番興奮したのは、「ストランドビースト」に使用されるパーツ紹介のボード。近未来の骨格標本みたいでしょ?モノとしても、いちいち美しくて、ウットリ。フェティシズムがそそられたなあ~。

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テオは若い頃から生物の進化に強い関心があって、「ストランドビースト」を人口生命体と位置づけ、絶えず進化させ続けてるってわけ。無料配布されたパンフには、その進化系統樹が掲載されていて、なんだか壮大な叙事詩を目の当たりにするようだった。

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 あとねー、ナイロン製の結束バンドが出回ったことで、イッキに進化に拍車がかかった逸話や、動かなくなった「ストランドビースト」を化石と呼んだり、圧縮した空気を入れたペットボトルを「筋肉」に見立てるセンスとか、ネバーエンディングストーリーを立ち上らせる小ネタのどれもが愉快で上等、心底感服しちゃった。こうしたドラマ性が作品に強い求心力をもたらせているんだよね。もはや単に風だけで動く制作物ではない。人口生命体と呼ぶにふさわしい半ナマな気配にゾクゾクしちゃったわ。

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この日、デモンストレーションを担当していたティム氏の腰にぶら下がった、なが~い結束バンドにも注目したわ❤新種のアクセサリーとして巷で流行りそうではないか(ウソ)。ついでに会場の片隅にあった圧縮空気用のコンプレッサーもパチリ(爆)。

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最後はご本人に登壇してもらいましょう!自身による作品解説をしたTEDがおもしろかったの、オススメです。テオ・ヤンセン:新たな生物の創造 | TED Talk Subtitles and Transcript | TED

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テオ・ヤンセン展は三重県立美術館で9/18(月)まで開催中。この後、沖縄へ巡回するらしいです。めったに見られないこの機会に、ぜひ実物と対面してみて。

 

【オマケ】大人美術部のMが、お盆にダンナの実家の土佐清水へ帰省中、車窓からテオ的な風景を撮影して送ってくれた(笑)。なるほど、風では動かないけどフォルムはテオっぽい?(笑)

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 そして、次回の『テオ・ヤンセン展と“ティンカリング” PART 2は、ついにわたし好みの「モノを動かす」に初挑戦★お盆休みに繰り広げられた血と汗と涙の(?)の制作レポートをお送りいたします。乞うご期待!

 

PS 次回は9/3にUP予定です

 

お見立て天国!アルチンボルド展🌼

七夕に、ちょっくら国立西洋まで足を伸ばし、アルチンボルド展を見てきた。アルチンボルドなあ…。たいして思い入れがあるわけでもなかったんだけどね…(苦笑)。

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教科書なのか、何なのか、今となっては特定できないけど…野菜や果物で覆い尽くしたこの横顔に、みなさまも見覚えがあるよね?でも、どの時代にどんな活躍をした画家なのかも知らないまま、奇怪な肖像画のイメージだけが刷り込まれていない?…わたしはそう。正直言って、画家というよりデザイナー扱いしていたわ。だって1度見たら忘れられない⇒1度見ただけでお腹いっぱい⇒瞬く間に消費…ってかんじがするんだもの(笑)。良くも悪くもポスター(イッパツ決め!背景黒だし!)風な効果が先行してしまっている印象だったんだよね。ハプスブルグ家に仕えた正真正銘の宮廷画家なのに、あえて重厚感での勝負を避けているというか…

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でも実際に、寄せ絵のシリーズを集結させた部屋に一歩足を踏み入れたら…いやいやどうして、軽口叩いてごめんなさいです(ぺこり)。連作《四季》《四台元素》が重々しく並ぶ部屋は、空気が一変。そんな単純な仕事じゃなかったですぅ。本気と書いてマジと読ませるみたいな…(笑)。動かない肖像画なのに、プロジェクションマッピングより動的なの。生命が蠢いてる。特に匂いがしそうなところがヤバかった!アルチンボルドの目に、世界は本当にこんな風に見えているんじゃないかな…。あっ、でも、じぶんの好みで言ったら、わたしは断然これが好き❤『ルドルフ2世に献じられた馬上試合の装飾デザイン集』(1585)。ハプスブルグ家のイベント担当アート・ディレクターでもあったアルチンボルドによる、青の淡彩画集。センス抜群~♪

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中でもこの2つ『コック』『そり』、素敵でしょ~★品良く描いてる風に見えるけど、ディティールのはじっけっぷりは侮れず、どこかうっすら狂っていて、ソワソワしたなあ…。何かにおびき寄せられて抜け出せなくなる迷宮気分(汗)。その反対面に並んでいた養蚕の素描を紹介する参考パネルも必見よ!資料がなくてネット検索したら、同じように興奮した人のをブログを発見して嬉しくなっちゃった(笑)。ボストン美術館サイト(Treatise on Silk Culture and Manufacture | Museum of Fine Arts, Boston

で全ページ公開されているから、ぜひのぞいてみて!養蚕工程を記録しながら、ついフェティシズムが溢れだしてしまう怪しいタッチに酔いしれました。

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 で、ここからが本題(笑)。東京で大暴れした翌週、こちらが到着―。

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弥冨に住むYちゃんから、段ボールにぎっしりの御届け物!ゼリーに、味付け海苔に、でっかいポポロ(!)まで入ってる♪でもってメインは―

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ジャジャーン、夏野菜の詰め合わせですよ~。Yちゃんは料理好きなわたしのために、自家製野菜を定期的に送ってくれるの(涙)。いつもなら、早々に下処理して⇒惣菜の作り置き…という手順だけど、アルチンボルドを見て来たばかりだもん、こりゃあもう、やるしかないよね?はい、画力がないわたしは、実物でお見立てですよ!

 

作品その① 福笑いバージョン

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 野菜って1個1個ぜーんぶ表情が違うから、床に並べるだけでもメチャ楽しい!ひとりでどこまでもテンション上がったよ~。

作品その② 額縁バージョン

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お次はフレームを利用して肖像画風にトライ。小物を引っ張り出してきて、盛り始めたらきりがない(汗)。

作品その③ 横顔立体バージョン

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やっぱ、本家アルチンボルドにならった立体的な横顔をやらないことには…ねっ!

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顔に見立てようにも、マジに配置が難しくてさー(汗)、絵に描いた方がかえってラクチンかも(爆)。何でもそうだけど、頭の中だけでイメージするのと、実際に手を動かしてやるのとは大違い。まっ、だからやめられないんだよね~。

 

そして何と翌週も!今度は羽島に住むAさんから、こちらが到着―。

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ワォー、今度はスイカがやって来たよ~♫これまたAさんちの農園で作っているもので、ご主人が音を聞き分け、甘そうな一品を選んでくれたとか(マジに甘かったです…涙)。でも、もちろん食べる前に…やるしかないよね?(笑)

作品その④ スイカ丸ごとバージョン

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くっだらねぇ~。すでに並べるだけでは飽き足らず、スイカがスイカを食べてる銅像に見立てましたあ~ハナ肇。なにせ暑さで頭ん中、ゆるんでますから(爆)。

作品その⑤ かぼちゃ丸ごとバージョン

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続いてマオ毛沢東)プリントのクッションを使ってみた!

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パーツが重くて並べるだけでタイヘン、ひと汗かいたよ~(爆)。さながらスイカ&かぼちゃ革命。

作品その⑥ かりもり丸ごとバージョン

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最後はかりもり。スイカの皮とYちゃんちから送られてきたポポロのコラボ(笑)。もはや、アルチンボルドのことなどスッカリ忘れ、野菜を見たら見立てに走るちんぴらなのでした。遊んでよし、食べてよし、ゴキゲンなひと夏の想い出。あー楽しかった♫

 

【番外編】新宿の奪衣婆(だつえば)

オマケにもう一つ!新宿に住むYちゃんから「太宗寺というお寺に鎮座している婆さまの写真送るね!」とメールが入ったの。なんでも、普段は錠がかけられ、金網越しにしか見られない奪衣婆が、1年に2度、1月と7月の15.16日の縁日だけに御開帳されるんだって。偶然立ち寄って撮った写真がこちら。こっわ~!星一徹入ってないか?

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 三途の川で、渡し賃が払えない亡者から着物を剥ぐ(右手を見よ!)トンデモ婆(笑)。アルチンボルドよりグロい~。さ~すが新宿、日本のクンストカンマーだわ★

 

PS 次回は8/20にUPします。みなさま、よい夏休みをお過ごしください―

勝手にシネマ評/『ありがとう、トニ・エルドマン』('16)

『ありがとう、トニ・エルドマン』は、見ようか止めようか迷った作品。割と早くからチラシは目にしていたが、タイトルがビミョーだわ、毛むくじゃらの妖怪イラストの意味がわかんないわ、キャッチもつかみどころがないわで、判断に困っていた。

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監督でも役者でも観客を呼び込めない…それもドイツ映画(汗)。配給会社も悩んだのか、世界各国の映画賞を総なめにした戦歴を、チラシ面積の半分に書き並べ、ありがたみデコレーションで間をもたせている。違う、違う!この華やかな戦歴が、むしろドン引きさせる要因なんだから~。一体この映画は何モノなんだ?と敷居が高くなる一方だろう~。


【予告編】映画『ありがとう、トニ・エルドマン』

そのうえ予告がいただけない(汗)。噛み合わない父と娘の“やさしさごっこ”が前面に押し出され、いかにもハートフルな人情喜劇にパッケージ。「…で?それがどうした?」と、思わず突っ込んでやりたくなったのは、私だけではないはずよ。ただ1点、2時間半以上(162分)もある、クソ(失礼!)長い映画だという点がやけに引っ掛かり、【女の監督】【長編で勝負】して、【世界中を熱狂】させたという、それまでほとんど聞いたことがない事例を目撃しようと、重い腰を上げたのである―やれやれ。

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「へーっ、そうきたか!」映画は冒頭から、予告のトーンとはまるで異なり、音なし、オチなし、笑いなし(爆)。ケッタイな行動をとるオヤジの出現に、「このリズムで2時間半、最後まで耐えられるか…」と気を揉むほど奇怪だ。最初に暴露しておくと、これは噛み合わない父娘の物語というよりは、それ以前に、映画の振る舞いと我々観客の呼吸が終始噛み合わない2時間半なのだ。「まどろっこしいのダメ。わたしのリズムに合わせてくれなきゃイヤ~!」…と、性急に決着を付けたい方は、どうぞスルーしてお昼寝でもしてください。問題ないです(笑)。でも、「親子ってめんどくさいなあ…、できればまともに向き合わず、ずっと保留にしていたいなあ…」と、厄介ごとを引き伸ばしにする性分の方には、強力にお薦めしたい。笑えない、突飛すぎる…とぼんやり眺めるうち、いつしか “いずこも同じ秋の夕暮れ”心境にたどり着き、やんわり慰められるというファニーな映画なんですよ!

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ヒロイン・イネスの両親は、離婚してすでに長い月日が経ち、父は音楽の先生をしながら、老いた母親と犬一匹と暮らす毎日。ところがこのオヤジ、道化の役回りをしないことには、他者とまともに会話ができない変わり者。誰に頼まれるでもなく、自ら進んで世の中をユーモアと温かみで満たすべく孤軍奮闘している様子だが、その横顔はまるでゴルゴタの丘を登るイエスのように痛ましい。一方、里帰りした娘イネスは、大手コンサル会社で働く30代後半の独身社畜。顧客の信頼を勝ち取るため、こちらもある意味父同様に、自ら進んで孤軍奮闘しているが、思うようなキャリアパスを描けず、内心焦っているのはミエミエ。

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そんな親子が、久しぶりに一緒の時間を過ごすことになる。イネスの誕生日を祝おうと、父が赴任先のブカレスクへひょっこり訪ねて来たからだ。怖いよね~、父親が連絡もなしに職場のロビーでウロウロしていたら(汗)。だってサラリーマンって、職場で疑似家族めいた関係を演じているでしょ。そこに本当の家族が舞い込んだら、どっちの顔つきで舞台に上がったらいいのかドキマギしないか?多国籍企業相手に澄まし顔でバリキャリやってるイネスが、思わず素無視してしまうのも無理はない。しかもコイツは、空気「読めない」というより、「読まない」爆弾オヤジ。一ヵ月も休みとって来られたら、マジに困惑するよな…。愛犬に死なれて落ち込んでる父を邪険には扱えないが、スケジュールはパツパツ。そこでイネスは無謀にも、自分のアポに父を同行させてお茶を濁そうと画策する―。

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父親同伴の接待って…マジですか?我々の心拍数はイッキに上昇、気が気でない。そもそもこの映画、面白おかしく軽妙に進めるのを定石とするスケッチで、あえて句読点をつけたりなんかして、どうでもいい箇所をイチイチ間延びさせて語り、常にムズ痒い。変化球の連投が、ギャグにもシリアスにも受け取れてしまえる仕立てなのよ。つまり、それでなくても照れ臭い親子の関係が、さらにバツの悪い絵にデフォルメされ、悲劇と喜劇が紙一重状態に映し出される。まさかブカレスクのショッピングモールを眺めながら、小津安二郎の『東京物語』('53)を思い浮かべるなんて、予想だにしなかったわ、ふーっ。

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結局、大切な商談に失敗したイネスは、ブチ切れて父を追い返してしまう。親子の遠慮と甘えが極端な形で露呈するこのくだりは、前半戦のハイライトといえるだろう。では、再会→接近→戸惑い→怒り→決別までまとめ切り、このあと映画は何をお披露目するのかというと…はい、後半戦では帰国したはずの父がトニ・エルドマンと名乗り、ご丁寧に変装までして、娘の行く先々に出没するというトンデモ話へ展開。そしてここからのしつこさが本作のキモだ!

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四六時中社内評価に過敏なイネス、汚れ役も厭わずに顧客の下僕と化すイネス、SEXも飲み会もパワーゲームに見立てて処理するイネス、ビジネス以外の文脈に対応できずツイ熱唱してしまうイネス…。現代を闊歩する娘の様々な側面が、滑稽ななりをしたトニ・エルドマンの出現によって、お約束の虚無と享楽の構図で炙り出されるというダンドリ。しかし従来の映画と大きく異なり、ここには特効薬も出てこなけりゃ、内なる声も描かれない。そうイネスは、常にドタバタして疲れてはいるが、タスク管理をしているだけで考えて生きていないから、疑問は持たないし、じぶん以外の世界を想像すらしていない。父に指摘された通り「おまえは人間か?」状態なのだ。そして、ヒロインを宙ぶらりんなまましつこく走らせ続け、お手軽に覚醒させないところが、この映画の良心にもなっているのだ。

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やがて、愚直なマシンの彼女が、あの手この手を使って揺さぶられながら、ようよう少しだけじぶんの中の他者性に気づき始める。メンバー・フォローのために開いたホームパーティーで、“あれ?もしかして、わたしのガンバリってスンゲーくだらない?…”と、突如タガが外れ出すのだ。それも、タイトでゴージャスなワンピースのファスナーが閉まらなくて七転八倒するその瞬間にだ!女の監督でなければ絶対に描けないリアリティの横溢。女芸人たちも嫉妬しそうなほど突き抜けたこの全裸もてなしシーンは、切なく意表をつき、我が映画史にしかと刻印されましたよ~。美人が身に染みない女優サンドラ・フラー★、御見それいたしました(ぺこり)。

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 父と娘は似たもの同士、親子揃って含羞の人だった。めんどくさい作業を経ないことには、「ありがとう」の一言さえ、まともに伝えられない距離感なんだよね。よって、裸と毛むくじゃらだからこそできたハグ。なーんだ、ドイツ人も親子を語ることがこっぱずかしかったりするんだあ…、そして世界中の人たちも照れくささに共鳴したんだあ…ちょっと意外だったわ(笑)。それでも、父を亡くしてすでに9年経つわたしが、もうじぶんには「守ってくれる父」はいないんだという事実を、今さらながら思い起こした映画でもあった。自転車の乗り方も、跳び箱も、逆上がりも、何度も父にダメ出しされ(汗)、しつこく伴走してもらい、できるようになったっけ…。そんな記憶がフト蘇ったのも、162分という長丁場だったからだ―。宝物を紐解くには時間がかかる…贅沢な体感だったと思わずにいられない。

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 伏見ミリオン座で上映中。この映画こそ、仕事サボって行くべき1本(爆)、ぜひ★

 

『ありがとう、トニ・エルドマン』

2016年/ ドイツ=オーストリア/カラー/162分
監督・脚本   マーレン・アデ
撮影      パトリック・オルト
編集      ハイケ・パープリース
キャスト    ペーター・ジモニシェック サンドラ・フラー

 

PS 次回は8/6にUPします

男子推薦本と勝負!📚

「今晩は~。渋谷陽一です!」…じゃなくて、「今晩は~、ちんぴらジャーナルです♪」。しょっぱなからくだらなくてすいません(ぺこり)。NHKFM愛好家限定の小ネタで幕開けしてみました。何せ渋谷陽一の洗礼を浴びて洋楽に目覚めた世代ですから(笑)。さて、ROCKは渋谷社長にまかせるとして、今回わたしは書評に初トライです!

本はわたしにとって欠かせないお楽しみ世界ですが、じぶんの食指に引っかかったものをお披露目するだけじゃ芸がないと思いません?(笑)そこで、他人に薦められた本、それも知り合いの男子たちにススメられた本の感想をまとめてみることにしました。案の定、男子推薦本のラインナップは、じぶんではまず手に取らない本ばかりで、テンションあがったなあ~♬ そのうえ「どうして彼にこの本が刺さったのか…?」まで紐解きながらの読書三昧だから、深読みする面白さもタップリ味わえましたね。―というわけで、バラエティに富んだ4冊を一挙にご紹介しましょう!

 

文系男子Kちゃんオススメ★歴史娯楽小説

『光秀の定理』垣根涼介(角川文庫)

 ▶前々回のブログ『サクッと京都』を書き終わった直後に、マブダチKちゃんから「すごく面白かったから読んで~」と届けられた本が垣根涼介『光秀の定理』。とりあえず、作家名もタイトルもまったく初見の1冊をぼんやり読み始めたら…な、な、なーんと、書き出しからあまりの偶然に、頭がクラクラしちゃったのよー。京都が舞台、しかも足を向けたばかりの相国寺周辺からドラマが始まるとは!…タイムリーすぎるぅ~★

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▶光秀というのはあの逆臣、明智光秀のこと。1560年。牢人中の光秀、若き兵法者の新九郎、辻博打で人々を煙に巻く坊主の愚息の3人が、夜更けの一条大路で運命的に出会う―。ドラマは史実を緻密に配しながら、因縁の3人が戦乱の世をそれぞれの流儀で渡り歩いて行く様子を、キャラを立たせてのびやかに描き、いかにも男子にウケる内容です。なんたって男子たちは、歴史小説をじぶんの属する組織に当てはめて感情移入するのがお好きでしょ?(笑)おそらくここで男子読者たちは、常に自らを奮い立たせ愚直に責務を果たそうと努める光秀、空回りするほどイキのいい若造の新九郎、剛柔併せ持つ大人物で多様なアフォリズムが魅力の愚息の3者3様を、じぶんの中で勝手に合体させ、憧れのヒーロー像を作り上げて楽しんでいたりするのでしょうね ♪ そしてこの本がKちゃんにウケた理由もそのあたりにあると推察しながら読んでたわ。だってKちゃんは何かと「筋を通す」男子だからさ、この手の精神的ホモ物語(!)に目がないもんね~(爆)。本人曰く―「男3人の損得ナシの関係に憧れる」だって、ひゅー★

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▶一方、わたしにとっては、京都博物館で堪能した絵師・海上友松の時代背景を想像するのにスッゲー役立っちゃったわ。いや、もっと驚いたことに、読後ネット検索したら、光秀の重臣・斎藤利三と友松はマブダチだったとわかり、斬首された利三を葬ったのは友松だという言い伝えもあるらしいのよ~。真如堂には2人のお墓が並んでいるんだって!ひぇー、思わぬところでサブテキストと遭遇し、心底たまげましたね(汗)。ここまでシンクロするとは…さーすがKちゃん、また意表を突く本を送ってね~♪

 

理系男子M氏オススメ★科学啓蒙新書

相対性理論の世界~はじめて学ぶ人のために』ジェームズ・A・コールマン講談社ブルーバックス

▶去年、それまでまったく手に取る機会がなかった理系の書物に突如目覚めはじめ、ついには物理の世界にまで食指が伸び始めてしまっているわたし…。ヤバイ、すでに人生の2/3を消費し、残された時間は限られているというのにね(汗)。でも、物はついで(笑)。物理の世界をもう少し楽しめるといいなあと思い、骨の髄まで理系男子のM氏に「物理」に興味をもつきっかけになった本を薦めてもらいました。それが相対性理論の世界~はじめて学ぶ人のために』です。はい、言わずと知れたアインシュタイン相対性理論を一般読者向けに解説した本なの。

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▶まず見てほしいのは奥付!最初の発行が1966年8月25日で、私の手元にある最新本は2015年7月3日発行の第100刷版。どうやら超ベストセラーの1冊らしいのよ~。ところがどっこい!M氏は中学生のときに「お~~,オレの知らないこんな世界があるんだ!」と興味深く読んだらしいけど…あのですね、それはむしろ清廉な中学生だからノレたわけで、手垢にまみれたババアのわたしじゃ「お~~♪」なんてスンナリ読み流せませ~ん。専門用語や数式はもちろん、難解な言い回しなんてほとんど出てこないのに、そぎ落としたシンプルな構えだからこそ、俗にまみれた脳ミソをいちいち雑巾がけしながら読み進めないと、雰囲気すら味わえなくて、しょっぱなからモヤモヤの連続(汗)。そもそも科学的なものの考え方に慣れていないわけで、思わず学生みたいにノートを取りながら読みましたよ(爆)逆にいえば、大人のフリをするってことは、いかに自然のしくみを割愛し、合理主義に流されるかなんだなあ…と、気づかされちゃいましたね。

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▶じゃあこの本が退屈で放り出したくなったかというと、正反対!そのポイントは2点。 1つは、科学的なものの捉え方を促されるうちに、 じぶんの中に使っていない筋肉があることに気づき、その筋肉がちょろっと稼働する快感があったこともう1つは、本の構成が相対性理論以前の研究の歴史から始まっているので、研究者たちのバトンタッチの連続の果てに登場した相対性理論(特殊と一般)の起伏にとんだプロセスが、血沸き肉躍るドラマになっているところ。思わず伊藤整の傑作『日本文壇史』を思い出しちゃった!ここに名前が挙がるのはごくごく一握りなわけで、それこそ裾野には数えきれないほどたっくさんの研究者がいたんだと思うと、胸が熱くなっちゃうんだよね。しかも、人類の歩みが続く限り、この先も更新し続けるだろうという未来の博打ドラマが立ち上るからさぁ~、色っぽい話じゃないの(笑)。ただ、電子の世界が解明されはじめ、アインシュタインの発見を証明する手立てが一気に開花するところが、素人にはやっぱ早すぎて…(汗)。まっ、そこから先はさらなる自主トレですかね♬

 

文系男子T氏オススメ★純文学

『忌中』車谷長吉(文春文庫)

▶さて3冊目は、ガラリと趣向を変え、ねっとりと鈍い光を放つ車谷長吉『忌中』です。車谷作品は、直木賞受賞作の『赤目四十八瀧心中未遂』を読んだ切り、縁がない(汗)。『赤目』は映画化もされ、寺島しのぶの脱ぎっぷりが話題になったよね。車谷を評価していたのはあの白洲正子だけれど、その手放しの賞賛の様子は、深沢七郎(天才!)の才能を恐れた三島由紀夫とダブり、高貴なインテリは土俗な輩にめっぽう弱いんだなあなんて思ったものです(苦笑)。おぼっちゃま&おじょうちゃまの目には、地獄に片足突っ込んでいるような男たちが、ひたすら眩しかったのかもしれないね。

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▶ところで『忌中』を薦めてくれたのは、ドキュメンタリー映画を撮っているT氏。「もし自分が劇映画を撮るならこれ!」と、かなり惚れ込んでいらっしゃるご様子。あらすじはこうだ―67歳になる主人公の菅井という男が、寝たきりになった女房に自殺幇助を懇願されて実行する。じぶんも後を追うつもりが死に損ない、茶箱に入れた女房の腐敗した死体を愛おしがりながら、人生最期の大博打に身を任せるという墜落劇。40ページほどの短編だが、さすが最後の私小説作家と呼ばれるだけあって、異様に濃厚かつ緻密な設計。無駄な場面が一切ない。主人公は、死の淵にたたずみながら、どこまでも他人事のように世間さまと最後のダンスに興じる…。確かに映像化したくなる気持ちもわかりましたね。

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▶ただ、やっぱ男が好きそうな話だなあとは思った。キーワードは「女」と「借金」と「将棋」。渇き切った風に描いているけど、底の方がウェットなんだよね(笑)。わたしの苦手な“無様なオレに酔ってる匂い”が、時折り鼻をかすめたし…。で、そこを突破するにはキャスティングですよ~。わたしなら菅井役をぜひ左とん平(大好き♥)でお願いしたい!だってとん平には死のイメージがないから、かえって恐ろしい絵になると思うのよ。Tさん、このプランでカメラを回すのはどう?Tさんのノンシャランとした作風で、業の深い男の挽歌を撮る―面白くなりそうじゃない?(笑)

 

理系男子H氏オススメ★ノーベル賞物理学者自伝

『ご冗談でしょう、ファインマンさん』上・下 R.P.ファインマン岩波書店

▶いつも朗らかで上機嫌なH氏に薦められた『ご冗談でしょう、ファインマンさん』は、理系の研究者なら誰もが知る名著らしい。聞いたことも見たこともない人の自伝、しかも上下2冊…(汗)。一瞬腰が引けたけど、H氏は落語がお好きな方だから、きっとありきたりの偉人伝ではないだろうと踏んで、さっそくトライ。…するってーと、もー、タイヘン!ノックダウン!すっかり脂っ気の抜けたこのちんぴらババアが、寝ても覚めてもファインマンLOVE♥いやー、こんなにチャーミングが男がいたなんて、思わず地球を抱きしめたくなったわよ~、恋ですよ恋(爆)。運命のメンズをみつけた~♫ 

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▶鬼籍に入ってすでに久しいリチャード・P・ファインマン( 1918年5月11日 - 1988年2月15日)は、アメリカ合衆国出身の物理学者。その肩書たるや、わたしと0.1ミリの接点もない歴史に名を遺すエリートざんすが、ハッキリ言って“ちんぴら魂”はいっしょ!紛れもなくソウルメイトよ(笑)いま、彼の魅力を語れと問われたら、まるでお付き合いしていたかのごとく、優に3日はしゃべり続けられる自信があるわ(爆)。そのくらい本人からの聞き語りでまとめられた幼少期からノーベル賞受賞後の後日談までの回想録は、活字を拾いながら同時に目の前で実際のエピソードに立ち合っているかのごとく、精彩を放っているの。日本語訳がこれまた素晴らしい!ファインマンの娘さんと同級生の子を持つ、言わば保護者友だちの女性に氏が任せたそうだから、より人柄が加味された仕上がりになったんだろうね。

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▶世の中を絶えず旺盛な好奇心で観察していて、誰に対しても対等に心を開き、何でも面白がり知らないことを恥じず、いかなる定説だろうがじぶんで確かめいたずら好きで、安楽な地位を拒否し、生徒に教える時間を尊び、自分は自分以外の何物でもないとの信念を崩さず、いつもやりたいと思ったことをやり、可愛い女の子に目がなくて、ストリップ小屋で勉強をし、考えることが大好きで、これと決めたらモーレツな集中力で習得し、音楽も絵もじぶんの表現に結実させ、天下国家におもねることなく偽善を蹴散らし、絶えず直球勝負で、自分を欺くな&何ものをもいとわず「誠意を尽くしてやり通せ」と科学的良心を説くファインマン―こんなに上等な男と遭遇できなかったとは一生の不覚!初の奥さんが亡くなった後のエピソードを読んで、彼に惚れない女子はいないでしょう~。ビジュアルもとびっきりイイ男なのよ★

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▶どう?ちょっとテニスのフェデラー、入っているよね?(笑)映画化するなら、監督はロバート・アルトマン、青年期役をアンドリュー・ガーフィールドでひとつ夜露死苦!なにせわたし、生まれ変わったらMIT(マサチューセッツ工科大学)に入っていっしょにお勉強するって決めましたから(爆)。でもどうする英語?…とりあえず「Take Me!」で乗り切るわ♪

 

PS 次号は7/20にUPします

あしたの料理🐔2017初夏編

そろそろ料理を取り上げなきゃね~。料理するの好きなのよ、ちんぴらだけど(笑)。

「毎日のじぶんひとり用のゴハン」「友人を招いてのもてなしゴハン」、「ひとんちにお邪魔して作る出前ゴハン」、そして「仕事場へ持参するお弁当」まで、暇さえあれば台所に立ってるわ(汗)。化粧しない日はあっても、料理しない日はないなあ~(笑)。

でも誤解しないでよ。大したものを作ってるわけじゃあないからね。レシピもありもの!アレンジはするけど、オリジナルメニューの創作!な~んて面倒なことはやらない(苦笑)。参考にするのは、Eテレの「きょうの料理」を基本に、クックパッドなどのWebをのぞいたり、新聞や雑誌の料理ページを切り抜いたり…と、ごく一般的でしょ?なにせ時代は理研究家の戦国時代ですから(爆)。プロセス工夫も、食欲のそそり方も、日々進化しまくってて、料理家たちの知恵を使わない手はない!

さて、そんな多様なレシピの中からわたしが選ぶ基準は、“繰返しに堪えうる味”“簡単&リーズナブル”の2本柱。今回は旬の野菜を使った初夏にふさわしいメニューをご紹介♪ とにかくすぐ作ってみて。料理は実験と研究の場数を増やすことがすべてです!

 

◆野菜タップリお惣菜レシピ

【にんじんの梅煮】この春「きょうの料理」で見かけて、何度も作ったお気に入りのシンプルメニュー。ほろ甘じょっぱさがクセになる。日持ちも◎。

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材料/春にんじん(2~3本)梅干し(2~3個)

①にんじんは皮をむいて、長さを2~3等分してから四つ割り程度に長細く切る

②鍋に、①と梅干しと、合わせ調味料(だしカップ2 砂糖大さじ3 薄口しょうゆ大さじ2)を入れて中火にかける

③煮立ったら弱火にして15分ほどコトコト煮る。にんじんに竹串がスッと通るようになったら完成。

冷蔵庫で冷やすとデザート感覚で食べられてまた味わい深い!春にんじんでなくてもOKだよ。

 

【水菜と卵焼きのナムル】枝元なほみさんが紹介していたこのナムルは、薄焼き卵をトッピングにしていて新感覚。白めしの上にのせて混ぜ合わせながら食べれば、まるでチャーハンでーす★

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 材料/水菜(2/3束)卵(1個)

①水菜は3~4センチのざく切りにして、ボールに入れ、小さじ1のごま油であえておく

②卵1個を溶き、塩少々で味付け。ここから大さじ1の溶き卵を取り除き、取り除いた溶き卵に水大さじ1をまぜ、①に入れてあえておく

③フライパンを温め、ごま油大さじ1/2をひいて②を薄焼き卵にする。両面焼いて⇒これも3~4センチの細切りにしておく

④今度は油をひかず、フライパンに①を入れ、蓋をして強火で20秒火にかけ、かき混ぜず蓋をしたまましばらくおいて自然に蒸す

⑤ボウルに、調味料(薄口しょうゆ小さじ1 鶏ガラ顆粒スープの素小さじ1/2 にんにくのすりおろし小さじ1/2 コショウ少々)を混ぜあわせ、④と③を投入し、全体をあえてできあがり。今回は茗荷の千切りとすりごまを入れてさらに複雑な味わいに!

 

 ゴーヤとツナのホットサラダ】野菜の水分を活用し、レンジだけでお手軽にできるチビ惣菜。これからの暑い季節にピッタリな時短料理です。そうめんのお供によし、冷やし中華のトッピングによし、お弁当の副菜にも重宝するわよ。

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 材料/ゴーヤ(1本)しめじ(1パック)ツナ缶(小80g)

ゴーヤは縦半分に切り、タネとワタを取り除き(スプーンでかき出す)5mm幅に切る

②しめじ(あれば白マイタケがベスト)は手でほぐしておく

③耐熱ボウルに、①と②とツナ缶を汁ごと入れ、鶏ガラ顆粒スープの素小さじ1を振りかけ、全体を混ぜて、ふんわりラップをして電子レンジで5分加熱

④③にしょうゆ少々をかけ、もう一度ラップしてそのまま味が馴染むまでしばらく放置

朝作って夜食べると味が染みて美味しいです。ゴーヤの代わりにピーマンの薄切り(横にしてカット)でも◎ 野菜からの甘み水分がたっぷり味わえまーす★

 

◆野菜+肉のレシピ

【味付け豚肉の春キャベツ巻き】軟らかで甘い春キャベツをガッツリ楽しめるサラダ感覚の肉料理は藤井恵さんのレシピ。生春巻きのキャベツバージョンってかんじ。ボリューミーなおつまみとしても活用できます。

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 材料/春キャベツ(4枚)豚薄切り肉(4枚)青じそ(8枚)万能ネギ(4本)

キャベツをラップに包み、電子レンジで3~4分加熱⇒ザルなどにあげて冷ます⇒硬い芯の部分は、巻きやすいように綿棒などでたたいておく

②万能ネギは4等分の長さに切る

③豚肉に調味料(ナンプラー大さじ1、しょうゆ・豆板醤各小さじ1/2 砂糖・ごま油各小さじ1)を揉み込み、温めたフライパンにサラダ油少々をひいて焼く⇒一旦取り出す

④①のキャベツを広げ、青じそ2枚と(この日はエゴマを使用)万能ネギ4本を置き、③を1枚のせ、キャベツの手前と両端を内側に織り込んでキッチリ巻く。これを4本作って完成。食べやすく半分に切って盛り付けよう♪

少ない肉量ながら味がしっかりついているので、別タレがなくても十分美味しい。キャベツは少しくらい破れても、巻き込んでごまかせるからへっちゃらでーす(笑)。

 

【牛肉と人参の韓国風炒め】コチュジャンを使った炒め物は白めしとの相性抜群!コウケンテツさんレシピで、本場韓国の家庭料理味をマスターしよう♫

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 材料/にんじん(小2本)牛コマ肉(150g)ネギ(10cm)

①にんじんは皮をむいて斜めザク切り、ネギはみじん切りにしておく

②フライパンを熱し、ごま油大さじ1をひいて、にんじんを炒める。全体に油が回ったところで、牛肉も加える

③②の牛肉の赤身がまだ残っているくらいの状態に、砂糖小さじ2を入れ⇒次に酒大さじ2⇒みりん大さじ2⇒しょうゆ大さじ2と順に調味料を加えて炒め、コチュジャン大さじ1/2⇒にんにくのすりおろし小さじ1も入れて炒め合わせる

 ④最後にネギのみじん切りを投入し、皿に盛り付けて、上から白ごま大さじ2を振りかけて完成。

牛肉は炒めすぎない方が美味しい。すき焼きの工程をイメージするとわかりやすいかも。おろしニンニクを炒め終わりのタイミングで入れるから、風味が残り、中華とはまた違った味わいになるよ。

 

◆ヘビーローテ豚肉レシピ

【究極煮豚】煮豚のレシピは、巷にたっくさ~ん出回っているけど、これが一番簡単&美味しいと太鼓判を押したい一品!15年以上作り続けている高橋栄順さんのレシピです。多めに作ってチャーハンやラーメンの具材に2次利用するのも◎よ。

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 材料/豚バラ肉ブロック(300~400g)しょうが(50g)ニンニク(1片)

①ニンニクとしょうがはそれぞれ薄切りにする

②鍋に、バラ肉ブロック、酒150cc、水150cc、しょうゆ120cc、種を取った赤唐辛子2本と、①を入れ、途中ひっくり返しながら30~40分煮る(最初の画像が煮上がった状態です)

たったこれだけ!薄切りにして、煮汁を少しかけて、練りからしを添えて食べると、サイコーに美味い。もてなし料理にもってこいです。

 

【シンプル豚天】わたしのソールフードのひとつ…母がよく作ってくれた豚肉の天ぷらで~す。ウチでは定番だったけど、豚肉を天ぷらの具材に使う家庭は、意外と少ないみたい。でも絶対オススメ!邪道かもしれないけど、ウチで揚げるなら、気取らないネタこそベスト。誰に出しても、マジにみんな箸が止まらなくなる(爆)。しかもレシピにするのも気が引けるほど超カンタン♬

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 材料/豚薄切りロース肉(300g)天ぷら粉(100g)

①天ぷら粉は表示通り水でといておく。最近の天ぷら粉は、卵液も冷水も使わずに、お店屋さんのようにカラッと揚がってすんごく便利。

②豚肉(部位はお好きなものを)は一口大に切り、バットに並べて薄く塩コショウをしておく

③①に②をくぐらせながら、揚げる。薄切りだから揚がるのも早い。タレは市販のポン酢と練りからし。冷めてもうま~い。

 

というわけで、惣菜7品のご紹介はいかがでしたか?どれも、“繰返しに堪えうる味”“簡単&リーズナブル”の2本柱を踏まえた、ザ・家庭料理の王道です。やっぱ近所のスーパーで買い揃えられるもので作ってこそ我が家の味。凝りすぎず、冷めても美味しくて、翌日のお弁当にも使いまわせる…どう、言うことなしでしょ(笑)。さー、今すぐトライしてみて!

 

PS 次回は7/3にUPします