人生最期のBGMは…こんなメロディで♫

人生最期シリーズ第2弾は、最期の瞬間に耳元で流れるメロディ♫にしてみました第1弾の『最期の晩餐』同様、これまたわたしには、好ましいと思う明確なイメージがあるのよね(笑)。まあ、それは一番最後に紹介するとして、いつものように友人たちに敢行した聞き取り調査の結果を綴っておきましょう。シチュエーションも込みのお遊びで語っていただきましたよそれにしてもやっぱ人それぞれで笑ったなあ

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🎼【Entry1】Hotel California/The Eagles

一番バッターに指名した、昼夜問わずパワフルに働きまくっているTは、スカイダイビングしてる途中に死ぬ絵が浮かんだと言ってマース(笑。「飛んでる途中に死ぬってキモチ良さそうだな~、パラシュートが開いて、少し気流にのって下がったくらいのタイミングがベスト」だって。ナチュラルハイのまま昇天…だからBGMは風の音になるんだけど、最期の一曲と問われたら「Hotel California」を選択。マジ?イントロ長すぎじゃねぇ?これじゃあ歌に入る前に事切れそうだ(爆)


[4K] The Eagles - "Hotel California" Live At the Capital Center (1977)

🎼【Entry2】Ghosts/Albert Ayler 

お次はジャズに詳しいNさんに、今日限定(2018/01/30 16:23)の1曲をあげてもらいましたホームレスになって絶命しかけたとき、亡くした猫の幻影がでてきて、手をのばしたらガブと指を噛まれて死んでいく」そんな設定だって ははーん、これは野垂れ死にと言っても、舞台はNYでいマフラーしてそうだなあ…と返したら、「赤いマフラー施設で嫌々もらってきたとか、エルメス路面店から万引きした、みたいな未来像が描けた★」と大喜び(笑。我ら映画好きは、ディティールが肝ですから◆


Albert Ayler - Ghosts

🎼【Entry3】6代目三遊亭圓生の落語で

憧れの職業が専業主婦で、引きこもりが大好きなIZくん(男)は、落語を聞きながら昇天するのが理想の最期。わかるわ~、本人が落語に出てきそうなキャラなのよ。親から譲り受けた一軒家で長年独り暮らしを謳歌してるようだが、噂では相当奇怪なゴミ(?)屋敷らしい(汗)。そんな自宅で「4匹の野良猫に見守られながら、最期はうっすら微笑みを浮かべてがいいなあ~」と、はなはだズーズしい願いを口にしておられます。その前にくれぐれもボケないでね!と言い聞かせてますが…(笑

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🎼【Entry4】あえて抵抗しない/ゆらゆら帝国

IZくんとお誕生日がご一緒のIくん。超仲良しのふたりには、ヤン坊マー坊天気予報でも聞きながら、最期も同時に息を引き取ってほしいものだが(苦笑)、いちおうIくんは、ゆら帝の「あえて抵抗しない」をBGMに、とーってもシュールな状況下で最期を迎えたいそうなー。「温度は高からず、低からず…なんだよね~」だって。おいおい、抵抗しないと言っておきながら、オーダーがやけに細かすぎないか~(爆)


ゆらゆら帝国 - あえて抵抗しない

🎼【Entry5】邦楽のひととき/NHKFM

「楽曲と言うより、自然なかんじで耳に響く音色をBGMにしたいなあ。ラジオから流れる常磐津や筝曲、地唄なんかが邪魔にならなくてイイ。」と、的をきっちり絞り込んできたF(笑)ってことは、NHKFMの帯番組「邦楽のひととき」がベストですかね時間も自ずと決まり、お昼ご飯前です、はい。「ベッド横の窓からは青空がのぞき、風が割と強く吹いてて木の葉が揺れてるんだよね…」―と、妄想はどこまで具体的に進行。もしかして臨死体験してたとか?(汗)

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🎼【Entry6】Frontin' ft. Jay-ZPharrell

さてさて F以上に具体的なのが、妄想させたら日本一のRです。これはもう老後の脚本ですね(爆)。「介護施設なのか、何かのコミュニティで暮らしていて(人との交流がある場所)、死の予感がしたら直前まで元気にふるまうんです。で、一人部屋に戻り、一応ヘアを整えて、メイクもして、寝床に入る。BGMに「Frontin’」、画像は「トムハ主演 マッドマックス」を流し、わたしの愛するイケメンたちに囲まれながら、息をひきとる。―翌日、食事の時間になっても現れないので、誰かが私の部屋を訪ねると…リピート再生されていた「Frontin’」と「マッドマックス」が流れる中で、幸せそうな顔のわたしの亡骸を見つける…でどうでしょうか」。スゴ過ぎ!死の翌日までスケッチした人はあなただけです(爆)


Pharrell - Frontin' ft. Jay-Z

🎼【Entry7】Spiegel im Spiegel/Arvo Part

うって変わって、こちらはしっとり静謐派ナンニ・モレッティの映画『母よ』(傑作)でも使われていたアルヴォ・ペルトをご所望。「映画監督たちは、ペルトがホント好きですね。この曲は余分な音が削ぎ落とされていて美しいなあと感じます。そして人生最期は、ヘンリー・ダーガーのように死ねたら、本望かなと最近思ったりします。」。おー、控えめに見えて、それはかなりハードル高いぞ。まずは今日から絵描きにならないとね(笑)


Arvo Part - "Spiegel im Spiegel'

🎼【Entry8】映画『メランコリア』('11)

絵描きといえば…画家のマブダチSが妄想する最期は、映画のラストシーンに重なるとか。なんとその作品はラース・フォン・トリアー監督の『メランコリア』とハシャいで口にするから気が気じゃないだって超美しく壮大なシーンだけど、惑星メランコリアと地球が衝突する人類最後の瞬間なんだよ~(汗)。「人類最後の日が自分の最期だといいなあ~♪全員いっしょに死ねば死はないものとなるじゃない?映画のラストのように光に包まれて消滅するのよ~」「明日のことをもう考えなくていいしね~」だって(汗)。ってことは、わたしもいっしょ死なばもろともってヤツおい、コラ、勝手に巻き込むな~!


Melancholia (2011) - Official Trailer [HD]

🎼【Entry9】Fly Me to the Moon/Frank Sinatra

いくらマブダチとはいえ、いくらアーティストの気まぐれとはいえ、Sの派手なお誘いには乗りたくないですぅ(笑)。神様、わたしの最期はひっそりお地味にお願いしますフツーでいいです。フツーに病院で、相撲中継(できれば中入り後すぐあたりの時間)をぼんやり眺めながら…が長年の理想です。廊下からは夕食のにおいがうっすら漂い、枕元に置いたトランジスターラジオから流れてくるのはシナトラの「Fly Me to the Moon」♪ そう、一点豪華主義の最期です(笑)うーん、マンダム


Frank SINATRA Fly Me To The Moon In Other Words Live 1969

さて 全9編の最期のメロディはいかがでしたでしょうか?…明日にはまた変わっていそうですが、それもまた一興(笑)。ではおあとがよろしいようで―。

 

PS 次回は2/26にUPします

 

勝手に年間cinema🎬2017年版

さて、今回のちんぴらジャーナルは年間映画特集です。忘れないうちに昨年観た映画の振り返りをメモっておきますね。長年ベスト10形式でまとめてきましたが、「ランキングにする必要ってあるのか?…」とフト疑問に思い(汗)、括りを変えての備忘録にリニュアルしてみました。よろしかったらお付き合いくださ~い★

 

屹立した女と出会える3本

▶今、ハードボイルドなトーンで映画を描こうとしたら、主役は断然女性でしょう。ラブ・ディアス監督作品『立ち去った女』('16)は、深い絶望の淵にたたずみながら、ひるむことなく独り屹立するヒロインのお姿が拝顔できる桁外れの1本です。30年間無実の罪で投獄されていた女ホラシアがたどる復讐の旅路に(なんと4時間!)、頭のてっぺんから爪先までもって行かれ、かつ、帰れなくなります(汗)。お気をつけて~!

f:id:chinpira415:20180120113250j:plain▶こちらは、しゃべりまくりのブルドーザー母性に圧倒された『ローサは密告された』('16)。ディアス監督と同じフィリピン出身のブリランテ・メンドーサ監督は、マニラのスラム街を舞台に、雑貨屋家業に精を出す女店主の抵抗開き直り悔し涙殴り描きし、有無を言わせぬ迫力がありました。“金”と“雨”が降り注ぐ世界の四つ角で、茫然と串をほおばるローサ…。どん底と、とりあえずの腹ごしらえが共存する演出に、ひたすら感服するばかり(涙)。

f:id:chinpira415:20180120124054j:plainそして、若いながらもすでに苦み走った女”と言い切って余りあるヒロインが登場した『午後8時の訪問者』('16)も忘れ難い1本です。詳しくはこちらを参考に。

 

米映画ならこの3本

スティーブン・ソダーバーグ監督が、引退宣言取り消し後初めて撮ったローガン・ラッキー('17)は、「強盗」+「脱獄」の娯楽フォーマットに、家族を持てないプア・ホワイト層の現実を炙り出し、笑ってばかりもいられないお話でしたよ。センス抜群の役者&キャラ設定は無論、負け犬たちにこの先どんな夢を見せるのか、米社会の未来図展開も気になるところでした。

f:id:chinpira415:20180120135413j:plain▶一方、市場を遠ざけ、個人的志向に体重をかけて制作を続けるジム・ジャームッシュ監督は、新作『パターソン』('16)でバスの運転手をしながら詩を書く男の平凡な日常を綴ります。ここでは競争のない代わりに、内と外との融合を図るための問い掛けが、主人公の中で繰り返されます。そう、意外にもアグレッシブな映画と言えるのです。

f:id:chinpira415:20180120150605j:plain▶最後は、3台のスマホだけで映画を撮り切り話題になった『タンジェリン』('15)です。出所したばかりのトランスジェンダーの娼婦と、その仲間たちの品位の欠片もない内輪揉め(爆笑の連続!)が、終わってみれば聖なる一夜に奇跡的に着地するというズルい1本。“LA発、愚者の贈り物”といった趣でした(笑)。好きだわあ~♥

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イレギュラーな愛を語る3本

▶去年見た映画の中で最も控えめに恋心を描いてみせたのが『ムーンライト』('16)。過酷な貧民街に生まれた黒人少年の成長プロセスが、3人の役者をつないで描かれます。しかも、荒れた境遇をあえて美しく静謐に切り取り、内気な主人公の声なき声を想像させながら進行するので、全身をそばだてながら魅入ってしまいました。

f:id:chinpira415:20180120170027j:plain▶南京のマッサージ院を舞台にしたロウ・イエ監督作品『ブラインド・マッサージ』('14)は、なんと登場人物全員が盲人で、目の見えない彼らの日常が至近距離でスケッチされています。しかも、あまりにのびやかなので、我々観客の方がアウェイになるという画期的な作品です。盲人の不自由さだけに注力せず、彼らの自由な振舞いに柔らかな光を当てることで、様々な愛の形が浮び上がって見えました。

f:id:chinpira415:20180120174001j:plain▶意外性が高かったのは、アントワープが舞台の犯罪映画『汚れたダイヤモンド』('16)。主人公ピエールはダイヤをめぐって何人もの「父」と出会います。冷酷かつ渇いた犯罪タッチで描き進む一方、父性の力に守られて、ご都合主義だわウェットだわでやたら可笑しい(笑)。成功の要因は“泣き虫の強盗”という新キャラ設定にありました!

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巨匠が吠える映画2本

『オン・ザ・ミルキィ・ロード』('16)は、旧ユーゴの悲劇にどこまでもこだわるエミール・クストリッツァ監督、渾身の一本。長引く戦時下で、絶望深く生きてきた主人公が運命の女と巡り合い、死と隣り合わせの逃避行に旅立つ波乱万丈ドラマです。頭でっかちな思想は一つもありません。愛を知り、ひたすら生の交響曲を奏でる男に生まれ変わるだけのシンプルな構成です。そのうえクストリッツァの愛はハンパなくデカイ!世界を360度見渡しながらの語り口と、動物たちとのコラボの力で、映画は神話の領域にまで達していました。

f:id:chinpira415:20180120184227j:plain▶88歳にして、まるで旅芸人一座を率いる座長のごとき存在感を放つアレハンドロ・ホドロフスキー御大。監督自身の青年期を描いた自伝的作品エンドレス・ポエトリー('16)は、青春の彷徨を思う存分高らかに歌い上げ、その迷いのなさに胸を打たれます。かつてのじぶんを、老いたるじぶんが見守る構図のハマりっぷりには、心底唸りました。

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2017年ベスト1作品

▶強いて1本と言われたら…ジャンフランコ・ロージ監督が、イタリア最南端の小さな漁師町ランペドゥーサに1年半移り住み、住民たちと暮らしを共にしながら撮ったドキュメンタリー『海は燃えている~イタリア最南端の小さな島~』('16)ですね。予測できないもの同士を結びつける知性もさることながら、観客の想像力を呼び覚ますための余白の取り方が素晴らしいのです。こちらにガッツリ感想を書いております。興味のある方はぜひ。

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オマケ:邦画3本!

▶何しろ邦画は鑑賞数が少なすぎて、わざわざ書くのも気が引けますが…。目下若手の日本人監督で一番注目している小林啓一監督の逆光の頃('17)がダントツ好きでした!幼なじみ以上恋人未満の高校生カップル(葵わかな高杉真宙)が、京都の古い町並みを、2匹の猫がじゃれあうようにお散歩してて美しいったらありゃしませーん。


『逆光の頃』予告編

高杉真宙つながりで、散歩する侵略者('17)も必見です。役者たちを、すごーく高レベルで脱力させ、つかみどころがない。そのくせ“愛情”の扱い方は正々堂々たるメロドラマ調でキメる黒沢清監督。長谷川博己の怪演が光ってましたね。最後は北野武の『アウトレイジ最終章』('17)。黒光りするオッサンたちは、今やスクリーンでしかお目にかかれない絶滅危惧種塩見三省に座布団5枚進呈いたしましょう!

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ということで、今年も劇場通いは続きます♫

PS 次回は2/11に更新予定です。

 

日記はともだち 📓

あけましておめでとうございます。

我がブログも、3年目に突入しました(パチパチパチ)。本年も“ヒマつぶしの友”として、ちんぴらジャーナルをご贔屓に(ぺこり)。2018年、さて「何から書き始めようかな…」とボンヤリ考えていたところ、「そうだ、まだ紹介していなかったコレだ!」とひらめいたのが…日記に関するあれこれです★ すでに日記がともだちになっている人も、日記と聞いただけでゲンナリする人もいるでしょう。―が、ここはひとつ年の初めにふさわしいお題で、“エアー日記”ごっこでもして寛いでみてくださ~い(笑)。

 

『日記をつける』を読む

荒川洋治『日記をつける』(岩波アクティブ新書)という本を知ってますか?15年以上前に出された本ですが、贈り物にしたり&薦めたりしたこともある、わたしのお気に入りの1冊です。冒頭で荒川氏は、人が体験する様々な日記をサラリと紹介してくれます。それも絵日記から始めるんですよ~、キャハ♫f:id:chinpira415:20180112183151j:plain◆でね、なんと荒川氏は郷里に帰り、ご自身の小学校1年生のときの絵日記を見つけ、先生が赤インクで描いた感想を紹介してるんです。これがタマランのです!わずか2ページ半のエピソードなんですが、瞬く間にじぶんの体験が蘇り、おそらくすでにお亡くなりになっているであろうわたしの担任だったK先生の書き文字が鮮明に思い浮かんじゃったの(涙)。そう、人には多かれ少なかれ必ず日記体験がある。その先陣を切るのが絵日記だったことに遅まきながら気づきました。あー、とっておけばよかった…7歳のじぶんと出会えるチャンスだったのに~!

f:id:chinpira415:20180112191650j:plain◆もちろん本の中身は絵日記だけではございません(笑)。日記のつけかた、日記のことば、つける順序、名作日記紹介など、穏やかな語り口とシャープな視点で日記にまつわるあれこれが綴られていて、何度読み返しても感服してしまいます。

 

…日記は、自分を笑うことでもある。「うれしい」なんて書いたりして、いいのかな、調子に乗りすぎではないのかななどと思いながら、筆はその「うれしい」ということばに、つながろうとする。そして自分の書いたことばに、にっこりする。「ばかだな」とも思う。自分の批評家がひとり生まれる。その批評家はときどき現れ、消えていく。日記をつけることは、自分のそばに、自分とは少しだけちがう自分がいることを感じることなのだ。その分、世界はひろくなる。一日もひろくなる。新しくなる。…(荒川洋治「日記をつける」より)

 

本文の最後に書きしたためられたこの一節を読み返すたび、「日記っていい奴だなあ…滋味深い相棒だなあ…。」と思わずにいられません。そして、日記というアクションの本質を突いたことば―“自分の批評家がひとり生まれる”―には、つたない表現だろうが惰性だろうが、じぶんの他にこの批評家になれる幸運がないことに気づかされ、思わず胸が高鳴ってしまいます。日記をつける人にもそうでない人にも、強くオススメしたい1冊です。

 

日記と名がつく読みもの

 ◆日記は文学として扱われてもいますよね。で、学校の授業で習う日記文学の王道が、土佐日記だったり紫式部日記だったりの古典じゃない?申し訳ないけどあれはマズイ(汗)。絵日記から始めたリアル体験なのに、数年後には、絵はないわ&意味不明のコードが使われるテキストの解読だわで、日記=文学+古典⇒敷居が高い という刷り込みになってしまう…(それがイイ!と思われる方は素晴らしい~★)。日記文学には隣の庭を覗き見する俗な愉悦があります。でもそれは、じぶんの庭にもそれなりに芝生が生えて初めて比較して眺められるから面白いわけで、日記と名がつく読み物との出会いは、大人になってからこそ貴重なんですよね。

f:id:chinpira415:20180113110957j:plain◆現在私の手元にあるのはこんなラインナップ。あえてタイトルに日記が入ったものを選びました。プライベートで書いた日記の書籍化もあれば、形式だけを借用したコラムもありますね。日記と名付けることで、逆に歯止めがかかり、じぶんをダダ漏れにしない含羞のある書き手がわたしの好みです。

 

日記、つけてます!

◆さて、さんざんエラソーなことを書き並べてきましたが、わたしの日記体験はここ10年ばかりのひよっこです(汗)。それまでは、ちょっと始めてはフェイドアウトの連続で、そもそも日記を通じてじぶんの毎日と向きあうような行為に興味が持てませんでした(汗)。一変したのは、うーんと若いマブダチMがつけていた10年日記帳に触発されたから。そんな日記帳があるのか!と、道具の発見で意識が変わったんです

f:id:chinpira415:20180113124545j:plain◆わたしが選んだのは博文館の5年日記帳。同じ日の5年分の記録が縦に並ぶ形式です。そう、荒川氏の例えを借りれば、1ページ開けるたびに、自分の批評家がMAX5人誕生している様子が眺められるってわけ。もともとが定点観測好きな性分ゆえ、これにはすぐにノレました♫ しかも1日がこの分量なんで、ハートより事象描写を優先し、スイスイ書ける書ける~。読み返すときも胸焼けがしません(笑)。

f:id:chinpira415:20180113131505j:plain◆2008年から始めて11年目。青いやつがニューカマーで、今年3冊目に突入しました!正直言ってわたしの場合、終わった日記帳を引っ張り出してまで読み返すことはありませんね。でも、「押し入れのあそこにかつてのわたしが眠っている…」と想像するのは悪くない。もはやそれはじぶんであってじぶんでないような距離感に変わります。書いてる瞬間だけはじぶん十分だけど、書き終わったら最も親密なともだちに早変わりする日記。やっぱ日記っていい奴なんです~(笑)。

 

お布施で生きる🎍

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◆さて年末年始、わたしの日記はマブダチたちとの交流話で花盛りになってましたよ~(笑)。K夫にはキットカットと郵便局がコラボったお年玉をもらい、帰省中のYちゃんからはマイブームお菓子3点セットをいただき(「ブルトンヌ」の缶入りクッキー、美味すぎてめまいが…)、Tからは空きカン再利用を見越しての鳩サブレが入り(笑)、Mがお正月飾りにと庭に咲く花を届けてくれました(涙)。

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◆いただきものが、エピソードとともに次にウチに遊びに来てくれるマブダチのお茶菓子になる…という相互扶助数珠つなぎ。これを称して「ちんぴらさーん、お布施で生きてますね!それ、新しい~」と言われました(笑)。いやはやなんとも、ありがたいことです。せめて家庭料理の腕を磨き、お招き体制を整えておきますので、今年も夜露死苦お願い申し上げます★

 

PS 次回は1/28にUP予定です

2017年「1日1枚シリーズ★」発表!

2017年の制作テーマは…「1日1赤ヌード」!

さて恒例の「1日1枚シリーズ★」。2017年ももちろん、1月1日から、“日々是丹誠”大和屋の守口漬けのように(笑)1テーマを追い駆け続けております(汗)。今年のテーマは「1日1赤ヌード」。…と、書いたところで、なんのことかわかりませんよね?(笑)取り急ぎ、こちらをごらんくださいませ~♫ 毎日こんなことやってんです―

f:id:chinpira415:20171223132334j:plain 見てもよくわかんないって?…そうでしょう、そうでしょう~。では作業工程を説明しましょう。古今東西の名画、それも裸婦に注目し、まずはトレースをします。トレぺを載せて濃い目の鉛筆でなぞるのです。ちなみにこの日はゴーギャンさまの『かぐわしき大地』(1892)がモチーフ。

f:id:chinpira415:20171223132441j:plain次になぞったトレぺをひっくり返し(汗)、赤の画用紙の上にのっけて、線の上をとんがったペンでひっかくと、鉛筆がカーボンになり画用紙に転写できるってわけ。どう?めまいがするほどローテクでしょ?…すでに21世紀も17年経ってんですけどね(爆)。

f:id:chinpira415:20171223132540j:plainで、これを切り取ったら、一丁出来上がり!いちおう作品のデータも備忘録として残しておこうと、切り絵にタックシールを付けたりなんかしました。標本みたいにね。 

f:id:chinpira415:20171223132850j:plain最終的には、毎日切り抜いた赤ヌードをBOOK形式でファイリング。動かないように台紙に切り込みを入れて挟み込んだんだけど、このシンプルなアイデアはなかなかヒット。では、コレクションの中からいくつかお披露目いたしましょう~♫ 裸婦からフォルムだけを抽出すると、画家の女性を捉える視線に別の角度から肉迫できる気がします。まずは2月に連続したピカソのミューズたちのページ。

f:id:chinpira415:20171223133006j:plain8月~9月は足長のシルエットが際立つクラーナハに集中♥

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こうしてページをめくって行くと、なんだか猪熊弦一郎せんせいが手掛けた三越の包装紙に見えてきたあ~(笑)。

f:id:chinpira415:20171223143512j:plain異色なのは映画『リリーのすべて』のモデルにもなった女流画家ゲアダ・ヴィーイナ。女が女のエロスを絵にするとマネキン風になるみたい。つい理想を追い駆けるのか―。 

f:id:chinpira415:20171223133321j:plainポージングで作家性を際立たせたバルデュスは切り絵向きか―。

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美術の世界で名著とされているケネス・クラーク『ザ・ヌード』なんかも、いちおう読んだりしたんだけど、そもそもなぜ裸婦に着目したのかというと、じぶんがばばあになるにつけ(笑)、女の人の裸体の美しさに今更ながら気づき始め(遅いって!)、特にその丸みを帯びた塊に感動する機会が多くなったってことが大きいわ~★臀部をカッターでなぞるときなんて、メチャ気持ちいいのよね~。単純におっさん化してます、はい(爆)。

f:id:chinpira415:20171223141832j:plainやり続けて発見だったのは、「はいはい、あの名画ね!」と一目でわかるものもあれば、ひどく見慣れた裸婦でも赤一色でフラットに切り取った途端に判明できなくなったりすること。そう、切り絵にすると全部マチスに見えちゃうのが可笑しかった~マチス、すんげー!(笑)

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そこで、敬愛を込めてマチスjazzを表紙に使わせていただきました。西瓜の段ボールを活用して(笑)。無駄に豪華なHARVARD印の布張りハードカバー(もらいもの!)もご愛敬♪

f:id:chinpira415:20171223133943j:plainお気に入りの赤ヌードは、屋外に持ち出してロダンの足元にはべらせたり、いただいた花束にトッピングしたり…やりたい放題(笑)。ぺらぺらな紙1枚なんだけど、赤色の魔法でいきなりその場がゴージャス&ムーディーになるから面白い。

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花屋に営業しようかな~。錦のキャバ嬢をクドくときにもってこいじゃない?(笑)

f:id:chinpira415:20171223134406j:plain今年は友だちの誕生日プレゼントにも赤ヌードを登場させたの。こちらは、マブダチKに進呈した手のひらサイズの赤ヌードコラージュBOOK

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画家のマブダチAに、左隻にティッィアーノの『ダナエ』、右隻にブーシェの『オマフィー嬢』、背景に天才Tetsu ImamuraのピザBOYSを配した赤ヌード風神雷神図屏風を贈ったら、どうやらかなりウケたみたいで巻紙の礼状が届いたよ~(爆)。

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f:id:chinpira415:20171223135550j:plainそしてマブダチMんちのリビングには、わたしの赤ヌードモビールがきょうも風になびく~★どなたさまもこんなゴミみたいな遊びを喜んでくれて、まっことありがたいことです。いつもお騒がせしてすいません(ぺこり)。

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 そうそう、驚いたことに、来春横浜美術館『ヌード NUDE』展が開催するらしいの!英国テート美術館のヌード コレクションがお披露目されるんだって。もしかして先取りしちゃった?言ってくれればわたしの365裸体もお貸しするのに~(笑)。

artexhibition.jp さーて、今年も残りわずか。所要時間15分のアクションの最後を飾るのは、目下国立近代美術館で開催中の熊谷守一のこの1枚、マブダチRが送ってくれたポストカードに決定♫ もちろん年明けからは新たな「1日1枚」がスタートです、乞うご期待!

f:id:chinpira415:20171223141646j:plainブログも年内はこれにて終了。年明けは、1/13から再開です。ではよいお年を!

ジャコメッティ展✑備忘録

豊田市美術館で開催中のジャコメッティ展に行って参りました!南仏のマーグ財団美術館のコレクションを中心に企画された大回顧展、かなりイイですよ。年の瀬の何かとバタバタするこの時期に、足を向けるのは大正解かと思います。コレクション全体が1つのインスタレーションのように体感でき、ちょっと体内時計が変わるような気分になりました♫ 

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ところで、アルベルト・ジャコメッティ(1901‐1966)って何者?…と問われても、わたしもよー知らんかったです(爆)。正直なところ興味がなかった…。情報ストックは、せいぜい「はいはい、あの針金みたいにガリガリに痩せた人体像で有名な彫刻家ね~」程度(汗)。それだって実物を見た印象なのか、写真なのかも定かじゃなく、定型のイメージと本人のお顔だけが刻印されてました。同時代の彫刻家じゃ、わたしは断然ブランクーシLOVE♥派なんで(笑)。だから今回の回顧展は、初めてまともに全体像を探求できる機会になったわけです。たまたまギャラリートークにも参加でき、今じゃあイッキにジャコとお近づきになれた気がしちゃってます。(この、お調子者が~!)

 

✑備忘録① 故郷スタンパが原風景

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ジャコの故郷はスイス南東部の小さな村スタンパ。幼い時、ここで洞窟と樹々に魅せられた記憶が創作の原風景になっているとか。20歳でパリに出た後も、頻繁に帰省し、画家だったお父さんの残したアトリエで制作を続けたみたいです。ジャコを被写体にした写真はたくさん残されていて、非常にフォトジェニックな人なんだけど、いつだってジャケット着用が可笑しい!社会科の先生にこういう匂いの人いるよね?(爆)

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さて作品紹介に入らねば!まず、初期の作品が並ぶお部屋で遭遇した『ディエゴの肖像』(1919)を見て早くも確信をしましたね、「ほーっ、これは惚れそう♥」と。弟を描いた25.5×19 の小さな油絵。じぶんの見慣れた家族をこんなに奥行のある人物に描くなんて。弟、1歳違いだろ?すでに30代半ばの成熟感が…。しかもジャコが10代に描いた作品だって!

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✑備忘録② シュルレアリスム時代

1922年。田舎からパリに上陸したジャコは、新旧の芸術に刺激を受けたり、同時代を生きる様々な芸術家たちと知り合います。そうそう、若いってだけで世界は無限に広がって行くものよね~♪そんな中、当時もっともトンがってるシュルレアリスム運動に誘われて手掛けた彫刻作品も、今回の展示で見られるの。これがやたらカッコイイ!運動の本家たちが残したものより風化していない。どうやら我々が抱いてるジャコのイメージは第二次大戦後のものらしく、戦前の模索時代作品ももっと深掘りしたくなりました。

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 ✑備忘録③ ちっちゃいの、おっきいの…

とはいえ芸術のトレンドとはあっさりおサラバしたジャコ。1935年、モデルを使った彫刻へ作風を一変させるのです。この路線変更がまたまたユニークな表現方法に発展!

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隣にタバコでも置いてくれないと比較できないのだが(汗)、左の『小像(男)』は高さ6.6cm、右の『小像(女)』はその半分…ちっちゃ~‼‼  ところが、実物を凝視してると頭ん中でグングン像が拡大され、どの角度から眺めてもなんとも絵になるお姿に変身するから驚く。これ1個、ポケットに忍ばせて指先で撫でていたら、ちんぴらハートも浄化しそう…まるで小説『一切れのパン』ですね(爆)。とはいえ、作品があまりに小さくなってしまうので、ジャコは「高さ1m」というルールをじぶんに課したらしいです。するって~と、今度はどんどん細長くなってしまった―という有名な逸話があるとか(汗)。

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悪ふざけでも何でもなく、ジャコはいつだってじぶんの目で「見える通りに」対象を捉え、制作し続けていたらしいんですよ~。つまり、リアリズムを追及したらジャコの場合はこういう表現になった―ってことなんですね。

 

 ✑備忘録④ 細長のヴァリエ

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1956年に制作された女性立像シリーズヴェネツィアの女』乱暴に言えば、クラッシュアーモンド・ポッキープラットフォームシューズを履かせたフォルムなのですが(笑)、肉付きの微妙な違いで、2人として同じ女はいないという世の真実を痛感しましたね。どう?圧巻でしょ。

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続いては、クラッシュアーモンド・ポッキー(しつこいって!)を織部の角皿に並べた箱庭群像小舞台といった趣の作品~♪ 『森、広場、7人の人物とひとつの頭部』(1950)

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引きの絵でながめたら…枯山水やいけばなの「立花」のようにも見える―。小さな空間を宇宙に見立てるのが好きな日本人の感性には、特にフィットしやすい気がしました。見飽きることがなかったです。

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こちらは『広場、3人の人物とひとつの頭部』(1950)。台座の反り具合がたまらん!そこに点在するか細くて不安げな人間模様。刈り込まれた表現にジャコの繊細さが際立ちます。そして3Fフロアから2Fフロアを覗き見ると、会場全体がひとつの群像作品に―。

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 ✑備忘録⑤ 一番欲しかったのは…

そして今回の展示でわたしの欲望に火がついたのは…スケッチ&リトグラフの数々です!書物のための下絵』(1951)シリーズ、その躍動感に思わず心拍数が上りました。

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そう、ドローイングも彫刻も、制作姿勢は首尾一貫して対象への肉迫というか、「コツン」とした手応えを人間の中に掴もうと全身でトライしてる風に感じました。また、そんな緊張感が漂う一方、作品の前に立つと不思議な包容力が立ち上り、実に柔らかなんですよ~。ご本人の狙いや制作の実態はかなりストイックなものだったみたいだけど、わたしはジャコの受け止め力に魅かれましたね。スケッチしてる様子が動画で残っているからチェックしてみて。「おーっ、ここから書き始めるのかーっ!」と目からうろこです★


watch Alberto Giacometti paint!

 

✑番外編 なぜか“古代文字”

鑑賞後、繰返しジャコの作品を思い浮かべていたら、なぜか古代文字のイメージが頭の中を駆けめぐるようになったわたし(汗)。そこで、図書館で『こわくてゆかいな漢字』(二玄社書店)という本を見つけ、文字の字源を知る楽しさに浸りました。ジャコの作品も文字の起源も、人の営みの本質をミニマルに捉えてる気がして、イメージが連鎖したのかもしれません。

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こんな動画もあります。楽しいな~♫


甲骨文

 甲骨文字のデザイン性にはかねてから注目していましたが、字源を探って調子に乗ったところでわたしも創作!マブダチYちゃんからもらったダンス少女プリントのランチョンマットをベースに、酉の市の熊手を意識したミニ団扇を作り、刺繍で文字を入れてみたの~♪ 友人たちへのささやかなお歳暮にしてみましたがいかがでしょうか(笑)。

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 すいません、いつものことながら大きく脱線しましたね(笑)。もう一度ジャコに戻って締めくくりましょう。実はじぶんでもスッカリ忘れていたんだけど、去年の『1日1枚シリーズ』1月11日に亡くなった人の似顔絵ページに、ジャコを取上げていたんですよ!予知してたのかな…(笑)。引き合わせてくれた豊田市美術館に感謝★ みなさんもぜひ実物を拝顔してきてくださいませ~。12月24日(日)まで開催中です。

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PS 次回はX'masイヴの12/24(日)にUP予定。今年の『1日1枚シリーズ』を発表しますんでお楽しみに★

追跡!タンスの肥やし💎

『地球家族~世界30か国のふつうの暮らし~』(TOTO出版)という写真集を知ってます?世界30ヵ国、その国での中流」と呼ばれる家族の持ち物全てを外へ持ち出して、カメラに収め紹介するという、画期的なビジュアル・レポート集なんですわ。1994年、今から20年以上も前に発行された本なので、それこそインターネットで日々アップデートされる情報のリアリティとは大差があるとは思うんだけど、暮しの習慣や文化的背景はそうそう変わらないもの。生活道具を見比べるだけで様々なことが読み取れるこの1冊は、貴重な資料だと太鼓判を押したい。

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ーで、この本の視点がずーっと頭の片隅にあったわたしは、知り合いに「タンスの肥やしになってるものある?今は日の目をみていないけど、処分できずに保管しているものをお披露目して!」と声掛けしてみたの(笑)。本のようなビッグプロジェクトとは雲泥の差(爆)。でも、これがなかなか面白かったのよ~。わたしの質問を聞いてみなさんの頭に何がよぎったか、その捉え方の違いは予想をはるかに超えたわ。

 

【1】“一目惚れ”肥やし

モノ自体に惚れて手に入れたけど、今のところ美を真空パックして寝かせている方たちのご紹介。

マブダチ同級生Kは、むかしっから着道楽で、美しい仕上がりのものに目👁がない。未だに物欲は衰え知らずだが、本当は使うより眺めてウットリする時間の方が彼女にとっては宝物なんじゃないかな…なんて想像してる。そんな彼女のタンスの肥やしは刺繍入りシューズ。10年ほど前に上海のSuzhou Cobblersでゲットしたもの。シルクの光沢が眩しすぎるぅ~。Kは選び切れずに店ごと買い占めたかったって(笑)。こりゃあ確かに外履きにできないね。

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ご近所マブダチのF大阪でゲットしたスカジャンを引っ張り出してきた。たまたま入ったミナミのスカジャン専門店で、色目が気に入っての衝動買い。今の自分に似合うかどうかはさておき、「バアさんになったときに白髪頭で羽織ったらカッコイイかも…」という、将来を見据えてのタンスの肥やしらしい。そして隣に並ぶティディ・ベアは、10年以上前、メチャ仕事して稼いでいたときに、唯一の息抜きに通っていた老舗エステの会員様限定ノベルティ。彼女の趣味と全然違うのに保存してるのは、「散財したじぶんを振り返るため」だって。いいなあ、このじぶんに対する冷徹な視線!カッコイイっす★

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▶お次は東京から参戦のYちゃんの逸品。ジャーン、出ましたケリーバックっすよ~!!!! Yちゃんは、物欲が強いタイプじゃないんだけど、上品コンサバ路線道をずーっと歩み続けている人で、買うなら格調高いすぐれものと決めている。20年ほど前に新宿伊勢丹エルメスで念願のケリーをオーダーし、1年待って手元に届いたものの、「キズがついたら泣く〜🙈💦」と思うと持って出かけられなくてタンスの肥やしに(汗)。が、今回久しぶりに引っ張り出したら、なんと裏側に大きな引っ掻き傷があったらしく「こうなりゃ、使い倒すしかないね!」と宣言してました(笑)。そうこなくっちゃ!だって、ケリーが似合うクールビューティーな姫君なのよ~。

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【2】“想い出”肥やし

モノよりモノにまつわる想い出が肥やしになってる方たちをご紹介。このブロックは男性優位(爆)

▶マブダチ同級生MのダンナKが持ち出してきたのは、男子想い出肥やしの決定版だ。今から30数年前、東京在住時に憧れの高橋幸宏(!)の真似をして、背伸びして買ったルノー4」。愛車はずいぶん前にお釈迦になったが、Kは同じケリーグリーンのミニカーをたまに眺めては、独り愛車との想い出を振り返るわけです、はい(爆)。なぜか一緒に飾った公式野球ボールと名前入りゴルフティーについては、話が長くなりそうなので深くは触れませんでした(爆)。あ~あ、男ってヤツは…(遠い目)。

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 ▶で、これを撮影しているときに、息子のSも参戦してくれて…。去年の夏、単独で歩きお遍路をコンプリートしたときに、77番札所道隆寺の側で見知らぬお爺さんからもらった手作りのミニ地蔵です。「今すぐでも歩きに行きたい♫」と思うほど、お遍路体験は彼のアイデンティティになったらしいから、この先も想い出肥やしは何度となく振り返られることでしょう~。それにしても親子揃って“ミニ”がお好きなようね(笑)。

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 ▶そして、未だによくわかんないのが、マブダチFのダンナKがお披露目したこちらのセット。思わず「えっ何、これ?」「どんだけ、鈴あんねん!」と、突っ込み入れましたあ~(爆)。特別、神社仏閣に関心があるわけでも、宝物でもないけど、お参りに行くと記念にツイ買っちゃうらしいです。かつてのペナントみたいなものか(苦笑)。結婚式を挙げた川原神社の造営記念手ぬぐいまで出してきたが、ヨメの方はさっぱり覚えておらず大笑い。あ~あ、男ってヤツは…(遠い目)。

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 ▶想い出は想い出でも、女の方はダンゼン豪快。2012年から3年間、ダンナの赴任先の北米で、駐在員の妻体験をしたRちゃんがお披露目してくれたのは、ホームパーティー仕様のキッチングッズ。見て見て!料理研究家並にル・クルーゼの鍋がドッサリだあ~。向こうではいろんな種類のパーティが頻繁に開かれるようで、“おもてなし”は駐在員妻のある種の業務になっているみたい(汗)。食器も豪快、翡翠色が美しいファイヤーキング祭り!でも、どちらもデカいわ重いわで帰国後は「使うときありません(笑)」だって。なるほど、住宅事情が違うと食器の出番も様変わりするんだね。こーんなにキレイキレイな器なのに~(涙)。

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【3】“収集癖”肥やし

モノは集まるが…本当に必要かどうかは神のみぞ知る方たちのご紹介。

▶1つのモノに特化して、収集に終わりがない方たちがいる。モノそのものに魅かれるのか、それとも収集という名の征服欲が目的なのか、じぶんでも判断がつかない状態になる方たち…(笑)。映画とクラシック音楽マニアのH氏は、家中なんとなーく捨てられないものばかりで出来ていると言っても過言ではないという。ほとんどが本棚の肥やしとCD(レコード)棚の肥やし。でもある日、ある時、その「なんとなーく捨てられないもの」が、「あってくれて良かった~!」と光り輝いて見える瞬間があるから「断捨離なんて知ったこっっちゃねぇ!」と爽やかに述べられております。今回そのほんの一部を見せてくれましたが、プガジャ(清順特集!)を折り目もつけず、購入した分全部保管してるってあなた、国会図書館にもないわよ~(爆)。

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▶24時間365日、ずーっとマイブーム道を歩み続ける長年の友Kちゃん。女には珍しく若干偏った趣味をお持ちで(しかもしつこい)、ユニーク過ぎていつも笑わせていただいているのだが、今回彼女が押し入れから引っ張り出してきてくれたのは、バービー人形の復刻版たち。化粧箱はもちろん、小物も完コピ。当時の着せ替え人形はコレクターズアイテムで、オリジナルは超高値。20年くらい前、お手頃価格で復刻版が発売されたときには「今だ~♪」と飛びつき、トイザらスに足繁く通いっていらっしゃいました。とはいえ集めていた頃の熱い気持ちが今では思い出せず納戸行き~。つまり熱量は新たなターゲットに向かっているということです(笑)。あー、無常(爆)。

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▶さてトリを飾るのは、知り合いの中で最も収集魂の熱い男子Kちゃん、48歳荻窪の一軒家でヨメと息子の3人暮しだが、家の中の9割はヤツが買い集めてくるモノで埋め尽くされ、ほとんど店舗のバックヤード状態なんだわさ(爆)。コレクター熱の口火を切ったのは、スニーカー・ブーム真っただ中の1996年に買ったAIR SHAKE NDESTRUKT(エア シェイク インデストラクト)。そしてただの運動靴が運動靴で終わらなかったのは、行きつけのSHOPで同好の志たちと知り合い、モノを通じたDEEPな交流が生まれたからという。そのうえ、履かない&同じものが複数あっても「全て加水分解してると思う…」というオチだが(爆)、『モノに思い出』派だから処分する気はないらしい。あ~あ、男ってヤツは…(遠い目)。

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「自分の欲は無くなってきている感じがしています。老けましたね。ですので今は、息子を喜ばせるために、仮面ライダーや戦隊、ウルトラマンのおもちゃを集めています。」 いやいや、十分欲でしょう~(爆)。とはいえ、飲む・打つ・買うに走るダンナに比べたら安上りなのか…胆力のある(?)ヨメでよかったよね~。家族円満の証です❤

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 あー、取材って編集者の醍醐味ね★めちゃ面白かったなあ~。『地球家族』の中でも、日本人一家がダントツにモノが多くて興味深かったけど、モノを通したコト語りに、日本人の特徴が表れるみたい。たまにはタンスの肥やしたちに声掛けしてあげるのも、よろしいんじゃないでしょうか~(笑)。ご協力に感謝(ぺこり)。

 

PS 次回は12/10にUPします(今年も年の瀬でーす…汗)

いつだって筒美京平 ♫

かつては、祖父母や両親が懐メロに聞き惚れている姿を、冷ややかに眺めていたものだったが、いつしかスッカリじぶんがその立場になっていて、唖然とする今日この頃(笑)。TVで歌謡曲黄金時代を振り返る特集が組まれたり、ラジオからティーンエイジャー時に刷り込まれたメロディーが流れたりするだけで、自動的に鼻歌全開になっているのだ(苦笑)。それが、当時たいして魅せられた記憶もない曲だったりすると、いったい何に反応しているのか、我が事ながら不思議でしょうがなくなる(汗)。


桑田佳祐 - 悪戯されて(歌謡サスペンスビデオver. + 映像作品『THE ROOTS 〜偉大なる歌謡曲に感謝〜』トレーラー)

でも、桑田佳祐『ひとり紅白歌合戦THE ROOTS ~偉大なる歌謡曲に感謝~』で、キチンとじぶんの“熱”と向き合っているのを目にして、なんとなく腑に落ちた。とりあえずわたしも歌謡曲ぐっとくる(©みうらじゅん)のである(笑)。特にわたしの場合、筒美京平が仕掛ける楽曲の世界観は、当時から毎回別格の体験だったのだ!

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天才作曲家・筒美京平のことは、いつかは書いておきたいテーマの一つだった。ところがわたし、音は聞き分けられないわ、リズム感は悪いわ、楽器もできないわの音楽的素養ゼロ人間だから、ハードル高くて…(汗)。ヤバイわあ~。

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例えば筒美氏のスゴさを手っ取り早く数字で表すと、1971、1972、1973、1975、1976、1981、1982、1983、1985、1987年と10回にわたって日本の作曲家別レコード売り上げ年間1位を記録。この71~87年は、わたしの小学生~高校生時代とガッツリ重なり、音楽にトキメク体験=筒美京平世界に直結しているってわけだ。具体的に好きだった曲名で年代順に振り返ってみると、まずはグループサウンズ(GS)界の小結役だったオックススワンの涙('68)。小学1年時からしてすでに王道のタイガースには背を向け、脇の布陣に注目してしまう性には我ながら呆れるが(汗)、少女漫画風キャラの赤松愛(わたしの髪型のルーツか?爆)と、なーんちゃって欧羅巴ムード漂うメロディに陶酔してたっけ…。


筒美京平コレクション 1

でもって1971年に入ると、出るは出るは…ヒット曲の連発!尾崎紀世彦『また逢う日まで』堺正章『さらば恋人』平山三紀『真夏の出来事』、南沙織『17歳』野口五郎『青いリンゴ』欧陽菲菲『雨のエアポート』。何とこの年筒美氏は、1年間に19曲もの新曲を世に送り出しているのだ!GSの終焉と同時に、日本の歌謡曲の幅をイッキに押し広げた立役者。子ども心に音楽で背伸びができる快感を味わっていた気がする。


筒美京平コレクション 2

そして翌年、72年年間21曲の爆走(汗)。初代アイドル歌謡の必殺仕掛け人として、西城秀樹麻丘めぐみ郷ひろみ、そのうえ小林麻美岡崎友紀まで網羅する仕事ぶり。1940年生まれの筒美氏は、若干32歳で日本のエンターテイメント界を音楽で揺さぶっていたことになる。とはいえ、子供の頃からへそ曲がりのわたし。オックス以降はアイドルに夢中になることはなく、単純に曲とアレンジのみに反応していた(どうやらわたしは、歌手=声質にしか関心がないみたい…汗)。中でも決定的だったのは、73年に人気ラジオ番組 不二家歌謡ベスト10で、南沙織『傷つく世代』を耳にしたときだ。

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カッコイ~イ!と心底ホレた★南沙織は、べたついた女子っぽさがない歌い手で、どちらかというと好感を持ってはいたが、このアップテンポな曲を我がものにしたときのイメチェンにはドキっとした。Gジャンから皮ジャンへ衣装替えしたかんじというか…(姉妹編となる『夏の感情』は、無名だった頃のキャラメル・ママが参加!今聴いても新鮮♪)。と同時に、生まれて初めて作曲家という黒子の影響力―つまり筒美京平その人に目が向いた記念すべき1曲となったのだ。


筒美京平コレクション 3

 その後も怒涛の如く歌謡界を刷新し続けた筒美氏。74年郷ひろみよろしく哀愁野口五郎甘い生活が共にヒットチャートの1位に輝き、翌75年は岩崎宏美イヤー『二重奏』『ロマンス』『センチメンタル』と、ぶっ飛びの傑作ラインナップが続くぅ~。一方でわたしも御多分に漏れず、中学&高校へと進むにつれ、背伸び欲求は洋楽にシフトし、青春気分はフォークやニューミュージックで補完していたが、夜のヒットスタジオのサロン的雰囲気で流れる都会派歌謡曲にも、やっぱり魅かれ続けたなあ…。


たそがれマイ・ラブ / 大橋純子

そして78年。渡辺真知子かもめが翔んだ日を、ユーミン『埠頭を渡る風を自作自演した同じ年に、筒美氏は大橋純子たそがれマイ・ラブを書いている。高校2年のわたしは、「なんかよくわかんないけど、女の人のバリエーションは色々あって、大人になるってカッコイイことなんだなあ…」と、この3曲によってボンヤリ噛み締めていた。そう、洋楽ではかなえられない具体性…なりたい未来の女の人のイメージを手繰り寄せた楽曲なのだ。天才筒美京平の引き出しは無尽蔵!世の中はピンクレディー旋風が吹き荒れていたけどね(遠い目)。


筒美京平コレクション 6

 そして80年代、筒美氏は勢いに乗るニューミュージックに目配せしつつ、アイドル歌謡の請負人として再びマシーンと化す!正直言ってわたしは、すでに歌謡曲のエグ味にお腹いっぱいだったが、当時の音楽業界は、発掘⇒実験⇒検証のサイクルによってアイドルの裾野は爆発的に広がり、もはや歌謡曲と一言で括り切れないほど多様な楽曲が日本中に吹き荒れていた。つまりバブっていたんですね。筒美氏も、田原俊彦近藤真彦といった最後の大物男子アイドルから、稲垣潤一CCB小泉今日子少年隊とまあ、あらゆる新素材の魅力を引き出し、黒子の帝王の健在ぶりを知らしめていた。


筒美京平 TV出演映像

筒美氏の活動「匿名性をどこまで維持しながら、音楽活動を行えるか」がコンセプトだという。これほど夥しい数のヒット曲を世に送りながらも、ご本人が取材に応じることはめったになく、もちろん今も現役。一時期、曲を発表するペースがあまりに早かったため、「実在しないのでは?」「ゴーストライター集団による擬人ペンネームでは?」といった噂まで流れたらしい(笑)。後ろ姿はおろか、その影さえ踏めないほどのスピード感で時代を牽引し続けるプロ中のプロ(知ってた?「サザエさん」のテーマ曲も彼の作品♫)。しかもこの天才が手掛けるものには、絶えず新しさと憂いが共存しているのだ―。あ~、カラオケいきて~え♫

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余談…ここで話は大きくそれるのだが(汗)、本特集を書くにあたり、多少は歌謡曲についてのお勉強をしておかなくては…と、金子修介『失われた歌謡曲を引っ張り出してきて再読した。17~18年前に非常に面白く読んだ1冊なのだが、いやー、またもやバカウケ!地下鉄車中で、声をあげて笑ったことも!ー(本文より)「洋楽ってのは結局、外国の歌謡曲のことだろ、日本の歌謡曲を差別するんじゃない」と、自ら打ちたてた理論に縛られ、その結果、大脳新皮質<歌謡曲体>が形成されてしまった ーと書く金子氏は現役の映画監督。はい、こちらの善良そうなオッサン(1955~)です。

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けっこうイイ映画撮ってんのよ。一方で、彼の説くドメスティック歌謡曲理論は、愛と屁理屈が交差し、笑って片付けてばかりもいられない鋭い考察に満ちている。特にアイドル論に関しては、日本を俯瞰した視座で捉えていて脱帽。ここに書き切れないのがザンネンだが(いつか金子特集組みたい❤)、ぜひ古本でゲットして読んでほしいわ。ちなみに監督は、わたしが今一番カラオケをご一緒したいお相手で~す(笑)。

 

PS 次回は11/19にUPします