読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

なぜか魅かれるもの―③

年明けから始まったバイト先が、地下鉄「鶴舞」駅から徒歩10分ほどの場所にあり、毎日「鶴舞公園」を通り抜けて出勤している。人生、何があるかわからないものだ。名古屋で生まれ半世紀以上もここに暮らしているが、1日に2度、広大な公園内を歩く生活が始まろうとは…予想だにしなかった。どちらかと言えば、通勤なんてものは利便性だけで捉えてきた人間である。駅と勤務先が直結していて、傘要らずな通勤をしていた時代も長く、それをラッキー!だと考える即物的でせっかちな性分なのだ(笑)。ところが公園通り抜け通勤は連日至福のひととき!たまらん!ブラボー!ホホが緩みっぱなしで申し訳ないくらいである(笑)。生きている間にこんな貴重な体験ができて、速攻(やっぱりせっかち!)で神に感謝しましたね(しかも大袈裟!)。でもって、なにぶん根拠探りたがりのわたしゆえ(汗)、「鶴舞公園」の何に魅かれているのかを少々整理してみた。

 

▶躙口(にじりぐち)だと、勝手に想像

地下鉄の改札を出て、地下通路の一番奥の突き当り、4番出口をめざして歩く。「朝からどんだけ歩かせるんだあ~!」と突っ込みたくなるながーい通路を、まずは堪えるところからスタートだ。この直線コースまでは、各々が抱える日常の時間ゾーンだから、うんざりするのもしょうがない。しかも突き当りには長い階段が待ち受ける(汗)。果たしてあの出口に希望はあるのか…⁈

f:id:chinpira415:20160220131822j:plain

 へへへ、あるんですね★わたしはここに上がり切ったあと、必ず深呼吸をする。そしてこの先の非日常体感を前に武者震い。そう、鶴舞公園の正面入口を、茶室の躙口(にじりぐち)だと勝手に仮想し、足を踏み入れようとしているのである。茶室に招かれたことさえないのに。しかもこんなにデカイ入口なのに!だ(爆)

f:id:chinpira415:20160220133807j:plain

 

印象派誕生秘話を、勝手に創作

あえて少し右に回って正面入口方面から歩く

f:id:chinpira415:20160220134104j:plain

桜林の足元から、向こうに抜けて見える景色にむちゃくちゃテンションが上がる。なぜかわからないが、自然を色っぽいと思うのはこんな構図。印象派の名作絵画の数々が脳裏をよぎる。室内から屋外へ―。世界が飛躍的に広がった歓喜は、21世紀を生きる私にも鳴り響く

f:id:chinpira415:20160220141248j:plain

木立の影が、優雅なレース模様を描き…

f:id:chinpira415:20160220135314j:plain

そこにいきなり姿を現す噴水塔!ここはどこ?わたしは誰?いまは何時代?遠くから馬車の蹄の音が聞こえてきそうではないか。すごくない?毎日これだよ、しかも無料(タダ)で!

f:id:chinpira415:20160220142505j:plain

ちんぴら改め、心は貴族

 

▶1930年竣工 名古屋市公会堂は、松が命

噴水塔の真正面には名古屋市公会堂が鎮座する。個人的には1984年のユーリズミックスLIVEの思い出が一番濃厚。アニー、ほんとかっこよかったなあ~

Annie Lennox & Eurythmics - Would I Lie To You / Day Tripper Live

おっと、話がそれた(汗)。今のわたしは車寄せの両側に並ぶ松がお気に入りだ。重厚でモダンな近代建築と、書き割りの松が並んでいるような絵柄にそそられる。そもそも「鶴舞公園」は、近世フランス式の洋風庭園と伝統的な日本庭園を複合したもので、大規模な和洋折衷スポットなのである

f:id:chinpira415:20160220154427j:plain

 

▶まるで時代劇のセット

やがて通り抜け通勤の真ん中に、ひっそりと茶店が登場。ここはどこ?わたしは誰?いまは何時代?ここいらで茶でも一服、草鞋を脱いで…なんて言ってる場合ではないが(汗)

f:id:chinpira415:20160220155538j:plain

さらに茶店を越えると右手奥に橋が顔をみせる。やばい、現実世界に戻れなくなりそうだ

f:id:chinpira415:20160220155836j:plain

 

▶そして鬼門に蘇鉄(ソテツ)登場!

公園東北通用門まであと少し。フィナーレを飾るドン付きのロータリーに、生きた化石と呼ばれる蘇鉄が登場する

f:id:chinpira415:20160220161312j:plain

まさに恐竜、ギョッとなる

f:id:chinpira415:20160220161549j:plain

この蘇鉄は鶴舞公園開設の時に公園の鬼門の位置に魔よけとして植えられたらしい。公園は明治42(1909)年生まれだからなんと100歳超だ。蘇鉄で思い出すのは、何といっても桂離宮ですね。こちらは桂離宮の蘇鉄山

f:id:chinpira415:20160220162236j:plain

蘇鉄は江戸時代に大名庭園や寺院で盛んに植えられた。九州など暖地の海岸沿いに生育するものだから、わざわざ取り寄せて愛でる=道楽の証だったのかもね。現代を生きるわたしは蘇鉄を配した鬼門を抜け、妄想茶室を出た先の職場でお仕事です(笑)

 

▶さらに、夕暮れの帰路は勝手にPARIS!

一粒で2度おいしいとはこのことだ。仕事の疲れなど瞬く間にぶっ飛ぶ帰路。わたしの眼には、泰樂堂を奥にした景色がリュクサンブール公園としか映らない(笑)

f:id:chinpira415:20160220165517j:plain

労働の後に暮れなずむ公園に浸る毎日。冬枯れがさらに抒情的

f:id:chinpira415:20160220165701j:plain

 

鶴舞公園」勝手に定点観測日記。いかがでしたでしょうか。とはいうものの、わたしは通勤時に利用する北東の一角としか戯れていない。戦後、GHQに接収され、1956年まで連合軍兵士専用劇場として使用されていたりする公園史にも興味が沸いている。まっ、続きは追々―。

PS・そういえば、1/20、名古屋に大雪が降った朝の公園が素晴らしく美しかった!モネの『かささぎ』(下図)を思い出して嬉し泣き(涙)。しかも、早朝に関わらず公園土木員さんたちの総力で通り抜けコースに雪かき道ができていて、これまた感動だった(涙)。

f:id:chinpira415:20160220172225j:plain