なぜか魅かれるもの―④

「紙の着せ替え人形」というものを知ってるかな…。リカちゃんやバービーに代表される塩ビの着せ替え人形が爆発的に広がる前に、女の子たちが愛用していた紙製の着せ替え人形のことだ。わたしが子供の頃、昭和30年代~40年代に、毎日のように楽しんだ遊び道具の定番である。主に、当時の子供たちの解放区=駄菓子屋で売られていた。バラ売りあり、ノートの裏表紙に印刷されたものあり、子供向けの冊子のオマケあり…縁日の店先で箱入りで並ぶこともあった。基本は人形とお洋服や雑貨がセットになって印刷されていて、それを自分でハサミで切ってようやく遊び道具になるという、今にして思えば手間暇かかる玩具なのだ。粗悪な紙に原色の洪水!なぜか、ちゃんと後ろ姿もついている(笑)。例え2次元だろうと、あくまで人形を目指そうという意気込みが泣かせる(涙)。雑貨にペット、何とおやつまでひとまとめにし、少女の夢を紙一枚に描き切る…見事としか言いようがない。痒いところすべてに手の届く、まさにMade in Japanの神髄だ★

バラ売りタイプ

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ノートタイプ

ノート本体より、裏表紙狙いで物色!だって買って即切り取るんだから、ノートは使い物にならない(笑)。まるで仮面ライダースナックのような扱いだ。お人形が好みでもお洋服がイマイチだったり、逆にお洋服のデザインは好みでも、色合いが悪いとノレなかったなあ(苦笑)。

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そうこうするうち、お人形を作るのはハードルが高いが、気に入ったお洋服がなかったら、自分でデザインすればいい!という発想になり、ガシガシ作った。既成の玩具に多くを望まない⇒自分の好きなようにどんどんアレンジしてゆくわけ。自作ドレスを、遊び友だちの前でお披露目し合うのもまた一興。近所のY子ちゃんK子ちゃんと3人で、狂ったようにお洋服コレクションを発表していたっけ。その後、3人は塩ビ人形へと移行し、ひとしきりはじけるのだが、私はやっぱり紙製の野暮っちさが好きだった。つまりママゴト遊びではあっても、極力ナマなかんじは避けたかったのだ。紙のペラペラ感が少女漫画から抜け出たようで楽しくて、フィクションの世界の再現の方が私にとってはリアルだったといえるかもしれない。すでに現在同様の仮想世界は始まっていたのだ。

そして今も目に付けば…

 集めちゃうんだよね(苦笑)。ポストカードあり、シールタイプあり、右は50年代のアメリカ製ボーイズもの。海外製はリアル描写で絵画チックなものが多いんだよな。

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こんな風にBOOK形式で出回っているものも多い。右はシャネルの着せ替え人形。こうなるともはや少女の遊び玩具という意味合いではないね。

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工作タイプの着せ替え人形

ずいぶん前に西荻の古着屋でゲットした紙製でもしっかり立てて飾れる工作タイプの紙人形。箱入り中古品。髪に人口毛がついていたのでバービーの眼鏡をあしらい、お洋服も小細工をほどこし、蘇らせた。

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PARISの蚤の市で…

変わり種は、何と蚤の市で見つけた着せ替え人形をモチーフにした木製の判子だ!もしかしたら、塗り絵用の木版かもしれない。お洋服は全部裏面もあって笑っちゃうわよ。小物も充実。判を押して、画像で取り込み、年賀状に使ったこともある。

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塗り絵で一世を風靡した蔦屋きいちの人形

塗り絵と言えば蔦屋きいち。この三頭身タッチがたまらなくシュールでしょ。塗り絵と着せ替え人形を合体させたバージョンもあったなあ…。たぶん私は、1枚の中に何でも詰め込む紙の着せ替え人形のこのデザイン性が好きなんだと思う。俗な味わいのカタログ的世界として眺めているような気がする。

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そしてオリジナル着せ替え人形

退職記念、誕生日記念、クリスマスプレゼント…一体今までに何体作っただろう(笑)。進呈する対象者の顔画像を使い、世界でただ一つの着せ替え人形スタンドを作成している。台座となるのは無印良品のスケルトン・フォトスタンド。こちらは、高校の同級生Kの誕生日祝いに作った一品。左は彼女の母上用だ。喜んでくれるかな…。

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老いも若きも、男も女も、自分が着せ替え人形キャラになるのはかなりウケるみたい。それにしても、半世紀もの間ずーっと同じものを作り続けて遊んでいる自分を振り返ると冷や汗が出る(爆)。いやー、進化とは無縁ですな(トホホ)。