勝手に映画年間ベスト10! 2016年版

どうやら2016年は邦画の当たりだった年らしいが…申し訳ございません(ぺこり)。ちんぴらは10本も見ておりません。もはや映画について語れませんね(汗)。そもそも最も多く劇場に通っていた頃と比べたら、1/3の量になっているんで、かなり偏ったベスト10になっていると、あらかじめお断りしておきます。ただ、映画年間ベスト10をピックアップして総評する作業は、なんと31回目(つまり31年も継続)!それだけ楽しい作業だということだけは間違いないのよね~★では恒例のドラムロール夜露死苦

 

第1位 とうもろこしの島(’14)ギオルギ・オバシュビリ監督作品

文章にするのをちょっとためらうなあ…。私の乏しい言語表現能力では、どうあがいても本作の魅力を伝えきれないだろうから―。つまり、実物を鑑賞して頂くしかないんだけど(汗)、とりあえずここでは外堀だけ、メモっておくね。

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舞台となるエングリ川(地図で調べて!)は、かつてコーカサス山脈からの雪解け水による洪水で、肥沃な中洲がぽっかり出現し⇒次の洪水で流され、を毎年繰り返し、理想的な農業が行われていた場所らしい。映画は、そんな中洲に川岸から老人と孫娘が小舟で渡り、掘立小屋を建て、中洲を拠点に地道にとうもろこし農業に勤しむ日々を、静謐な筆致で定点観察しながら進んで行くの。と同時にここは、アブハジアジョージアが敵対する紛争真っ只中の、最も危険な中間地点でもあるわけ。つまり、終始寡黙な老人と孫娘だけど、実は2人はある意味すんげ~博打打ちなの!キナ臭い状況下を素知らぬ顔でうっちゃり、天と地の恵みを信じて自分たちの生業を貫く賭けに挑むのだから―。

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ところがですよ、ラスト10分、想像を絶する展開に言葉を失い茫然自失!まさに“口あんぐり”とはこのことです。反戦映画のフリをしながら、実は神との闘い映画だったと恐れおののく苛烈なエンディングが待ち構えてて、気絶しかけちゃいました(汗)。

現在のエングリ川は上流にダムが出来て中洲ができるようなことがなくなったため、撮影は、川を模した大きな貯水池に人工島を作り、シーンに合わせて何度もとうもろこしを植え替え、CGを一切使わず制作されたとか(涙)。ただ、そう聞いても、どうやったらあんな絵が撮れるのか、やっぱりわからない…。奇跡としかいいようがない映像美に着地してるんだよね。生きている間にもう一度、劇場で再会したい1本になったわ。


映画『みかんの丘』『とうもろこしの島』予告編

5位にランクインした『みかんの丘』と同時予告。こちらも傑作!

 

第7位 コップ・カー(’15)ジョン・ワッツ監督作品

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2016年一番の掘り出しモノがコレ!『とうもろこし~』は劇場必見映画だけど、こっちはDVDでもじゅうぶん楽しめるよ~。今すぐレンタル店へGO! 家出中のワルガキ2人組(小学生?)が、なんとパトカーを盗み、田舎道を舞台に人生初乗車体験をおっぱじめて大騒ぎするドラマ(爆)。盗まれた側の警官がその上をゆく本気の悪人で、超ヤバイ展開に爆走するけど(汗)、終始こわおもろい匙加減が絶妙だから、新しい娯楽映画の予感すら感じたわ。痛快な原っぱ追いかけっこ対決と、哀愁漂う逃避行劇をミックスさせたセンスに舌を巻きましたね。さらに言えば、『スタンド・バイ・ミー』と、フィルム・ノワール(虚無的・悲観的・退廃的な指向性を持つ犯罪映画 を指した総称)と、なぜかNHKみんなのうたを連想したのは私だけ?(笑)初遭遇の監督ジョン・ワッツ、しかと赤丸つけましたあ~。


「Cop Car/コップ・カー」予告編

 

 

第10位 マジカル・ガール(’14)カルロス・ベルムト監督作品

f:id:chinpira415:20170128160932j:plainさて3本めはスペイン映画。うーん、これは上記2作品とはまた違った厄介な内容だから、マジに説明が難しいっす(汗)。例えば映画の視点から分類すると、『とうもろこし~』⇒定点観察 『コップ~』⇒移動観察 『マジカル~』⇒運命観察ということになるのかな…。アニメ好きな白血病の娘に、高価なコスプレ衣装を着せてやりたくて銀行強盗を思いつく父親から始まった物語が、自己犠牲と復讐のつづれ織りへと有無を言わせず突入する展開。すべてのエピソードは、「愛」と「金」が引き金になって艶めかしく這いずり回り、ときにメーターが降り切れるほどのインパクトを与えるが、一方でひっそりと咲く野菊のような清楚な印象も…。カトリックが強いお国柄も影響しているのかなあ…正直言って、未だ整理できていません(汗)。不思議な肌触りのランジェリーを身に付けた気分とだけ書いておきましょう。これまた“要注目赤丸”監督です!


映画『マジカル・ガール』予告編

 

その他のベスト10洋画はこちらの映画評でたっぷりお楽しみくださいまし!

2位『キャロル』

http://chinpira415.hatenablog.com/entry/2016/03/19/003424

3位『母よ』

http://chinpira415.hatenablog.com/entry/2016/04/24/202845

4位『オマールの壁』

http://chinpira415.hatenablog.com/entry/2016/05/24/230324

6位『彷徨える河』

http://chinpira415.hatenablog.com/entry/2016/10/20/175957

ドキュメンタリーはこちらから―。

2位『FAKE』

http://chinpira415.hatenablog.com/entry/2016/07/10/225118

4位『ヒッチコックトリュフォー

http://chinpira415.hatenablog.com/entry/2017/01/09/230246http

 

ドキュメンタリー映画年間ベスト5も同時掲載の一覧です

DVDをレンタルする際のご参考にどうぞ★もう店頭に並んでいるものもあるよ~♪

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PS 次回は2/12にUP予定です