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サクッと大阪✑備忘録①

2月某日。雪をシンパイしながら、日帰りでサクっと大阪へ。案の定、米原は見事な雪景色で15分遅れの到着となったが、大阪・筑前橋は穏やかな晴天。勝ったも同然!

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1番のお目当ては国立国際美術館で開催中のクラーナハである! だけどこの強欲なちんぴらが、わざわざ金も時間も使って足を延ばすんだから、それだけで済むはずはありません。ドイツ・ルネサンス期を代表する芸術家⇒90歳の現役ペインター⇒ご贔屓作家の写真展⇒究極の陶磁器…と、あらゆるジャンルをぶっ込んだコースに挑んで参りました(笑)。―ということで、今回と次回の2回にわたり、大阪美術探訪記をお送りいたします♫

 

500年後の誘惑 『ルカス・クラーナハ展』

 ▶ルカス・クラーナハ(1472-1553)…誰それ?との声が聞こえてきそうですが…いいです、いいです。そんなもんです。わたしだって詳しくは知りませんでした(汗)。ウィキで調べてください(苦笑)。わたしの場合は、かなり前に深井 晃子女史の『名画とファッション』(小学館)で見たのが最初です(この本、かなりオススメ)。その絵がこちら。

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「ホロフェルネスの首を持つユディット」(1525年頃)。生首ですよ~、ぶっ飛びでしょ?A5サイズの本でながめても、強烈なインパクトで頭くらくらしましたよ~。これがナマで見られる…ウィーンに行かなくても、向こうからやって来る!となれば、そりゃあ行くしかないでしょう♪ 日本初となるクラーナハの大回顧展。ナマ鑑賞しながらこの作家の全貌を、しかとお勉強させていただきました、はい。

クラーナハの予備知識として覚えておきたいことは次の3つ。 ①旧東ドイツ南部の領主ザクセン侯に使えた宮廷画家 ②工房を開設して絵画の大量生産を始めた実業家 ③マルティン・ルター宗教改革に大きく関与 そう、作品の変遷を見ながら歴史の大きな流れに立ち会えるという興奮もありましたね★

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クラーナハの初代ボスはこちらザクセン選帝侯フリードリヒ賢明公」(1515年頃)。何とここんちの3代に仕え続け、宮廷芸術家人生を全うしたらしいです。まっ、相思相愛のいい関係だったんでしょうね(隣は彼のサイン―指輪をくわえた蛇)。それにしても、この見事な毛皮の描写力!そして背景の黒無地の効果で、存在感はあるけど、エラソーには見えず、ひどくモダンな印象がしませんか? お次はルター夫婦の2連肖像画マルティン・ルターとカタリナ・フォン・ボラ」(1529年)。ここでもブルー一色の背景が超クール。肖像画から手垢を消し去り、あえて人工的にパッケージングしてるような…極めて“今”なかんじです。

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▶ーというわけで、たくさんの肖像画を描いているけど、顔とお召し物のトータルで人となりが完結していて、無駄な画き込みが一切ない印象を受けましたね。ズバリ、カッコいい!わたしの遺影用にもお願いしたかったわよ…500年早く生まれていたら~。

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 ▶その他、版画はチャレンジ精神にあふれているし、一風変わった聖母の表情に目が釘付けになる宗教画も楽しい。雀百まで踊り忘れず~♫なーんて調子の、次の一品を見て!「メランコリー」(1533)と題したこの1枚にはタマげましたね。若い女が部屋の片隅で、かったるそうにゴボウのササガキ(?)しながら妄想してる絵でしょうか…(爆)今夜はきんぴら?

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▶おっと~、ストレートにヒヒジジイを転がすこんなシーンも絵にしちゃう!視線あってませんね?(笑)「不釣り合いなカップル」(1530~1540年頃)。オッサンは白肌を舐め廻し、若い女は指輪をゲット。ちゃんと等価交換が成立しております。500年も前の絵とは信じがたい若い女の方からオッサンの首に手を回す構図…なんとこれとクリソツな絵が他にも―(汗)。

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「アダムとイヴ(堕罪)」(1537年以降)。 ホラいっしょでしょ?ある意味壁ドンの逆バージョンか。それにしても、原初の男女に、こんな危なっかしくていたずらな空気をまとわせるなんて…テーマをズバッと言い当てて清々しくもあります。リンゴとイヴのおっぱいが球形で呼応してるもんだから、蛇が迷ってしまってる?(笑)後ろに横たわる鹿の目も怖~い。

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さてさて、ここでちんぴら参入!神をも恐れぬ ちんぴらコラージュ その1

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▶―が、やっぱクラーナハの最も先鋭的な試みは、女性の裸体表現になるのでしょうね。かの有名な「ヴィーナス」(1532年) 、息を飲むほどエロい!裸にアクセサリーと薄物の布だけで、小石の上に立ってぬらぬら~っと登場!生命力全開のガッツリ官能美が主流のルネサンス期に、狭い肩幅と浅い肉付きの陰影の薄い東洋的な裸婦を描くとは!恐るべしクラーナハ。60歳を過ぎて、裸婦描きまくってます。しかも時代を超越したファッション・アイコンを生み出しているわけです。意外とサイズが小っちゃいから、パトロンの女の好みを反映させ、寝室に飾るように書いたのかもしれませんね。

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神をも恐れぬ ちんぴらコラージュ その2

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神をも恐れぬ ちんぴらコラージュ その3

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神をも恐れぬ ちんぴらコラージュ その4

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 ▶クラーナハが繰り返し描いたモチーフのひとつに「ルクレティアの自害」という物語があります。このシリーズがまた、どれもわたし好みで…(涎)。自死に対して悲壮感も自己陶酔もなくへなちょこの虚無感が漂って見えたわけです―わたしには(笑)。BGMに流すなら、ぜひゆらゆら帝国『空洞です』をお願いしたい!

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▶そして見よ!こちらの「ルクレティア」(1532年)。「ヴィーナス」同様、背景黒+足元に小石が。なぜオール・ヌードに河原なのか?誰か研究者はいらっしゃらないかしら…。惑星Xから届いたエロ便りという趣。いや、深海からあがった魚か?兎にも角にもひどく謎めいています。そうそう、ルクレティア・シリーズを眺めながら、かつての私のミューズ女優・永島瑛子のことを思い出していたんですよ~。全然似ていないんですけどね(苦笑)。脱ぎっぷりの良さと、めんどくさそうに美人してる気配に共通項はありそうですが―。

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神をも恐れぬ ちんぴらコラージュ その5

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 ▶最後に恒例の「1枚もらって帰るとしたら?」妄想を発表しましょう。かなり迷いましたが、今回はこれかな…。

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「洗礼者聖ヨハネの首を持つサロメ(1530年代)。お皿に生首乗せて、うっすら微笑んでみせたりして、いいわあ~。赤いベルベットの素材感も強烈。このちょっと前に、映画『沈黙ーサイレント』を見たばかりだったから、生首つながりです(笑)。『名画とファッション』から引用すると、この頃暗色のベルベットはトレンド素材で、ダーツという仕立て方がまだ発明されていなかったから、布に切れ目を入れて、袖と身頃をリボンや紐でつないでいたとか。ダンダンになった袖がサイボーグみたいですねぇ。

 

そんなこんなで、見世物小屋に入った余韻はいまも脳裏に焼き付いてますよ。クソ寒い中を、わざわざ足を伸ばして本当に良かったぁ~。

クラーナハ展―500年後の誘惑』大阪会場

2017年1月28日(土)~4月16日(日)


クラーナハ展 4章「裸体表現の諸相」 国立西洋美術館 クラーナハ展 ─ 500年後の誘惑

 

PS 次回「サクッと大阪 備忘録②」は2/28にUPします。お楽しみに