サクッとお江戸✑備忘録

先週末、どうしても見たい美術展を追い駆けて、1泊2日の東京弾丸ツアーを敢行してまいりました!今年の冬はやたら寒く、心身ともに縮こまっていたんで、イッキに爆発したかんじです(笑)。頭の中が“真夏”状態になってる今のうちに、ぎゅぎゅっとメモっておきますね~♪ “赤”レンガ東京駅と、“白”旧東京中央郵便局極上ツーショットをうっとり眺めながら(後ろの高層ビルが邪魔にならないこんな曇り空がベスト!)、まずは三菱一号館美術館へ―。

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 1本め👀『ルドン―秘密の花園 展』

▶植物に焦点を当てたオディロン・ルドン(1840-1916)の作品展。珍しい企画との触れ込みだけど、そもそもわたしにはルドン作品を集中的に見た体験がありません。辛うじて、フェミニンな花々や一つ目小僧(?)をモチーフにした幻想的な作品がチラっと思い浮かぶ程度…ドガシャガールを足して3で割ったような画家だと勝手に捏造してました(汗)。関係者のみなさま、タイヘン申し訳ございませんでした(土下座)。

f:id:chinpira415:20180321113458j:plain▶当たり前だけど、お手軽に画集をパラパラめくるだけではアカンですね。そこでは仕掛け側が意図する「編集」がされているわけで、つまりフィクションを前提にして受け取り&吟味しないと…マズイ。もちろん「編集」は上等なもてなし役にもなり、ナマ鑑賞をバックアップします★はい、美術展でも「編集」はキモ。どしょっぱつに掲げられる作品はけっこう用心深く見てますよ。ルドンの1枚目は、木炭で描かれた『木々の習作』(1875)、これがよかった!最初のコーナーに提示された補助線によって、「そっか、ルドンって“木”なんだ!」と開眼できたんです。この流れで魅かれた次の1枚。

f:id:chinpira415:20180321124014j:plain『青空の下の木』(1883)。MoMA所蔵のこの小品が、わたしのお持ち帰りしたい1枚となりました~(笑)。で、同じコーナーの片隅には、ルドンの若い頃のメンターで版画家のロドルフ・ブレスダン『善きサマリア人(1861)がひっそり並びます。腰抜かしますよ、このお師匠さんの世界観!放浪の果てに死に絶えたらしい人ですが、人間の想像力がここまで跳躍できることに、茫然となります。間違いなくルドンの創造性に火を付けた方でしょう…頭の中は無限の森だと!そして次の2枚もたまらんかったですぅ~。

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▶シカゴ美術館所蔵の『預言者』(1880)と『植物人間』(1885)。寡黙なのか饒舌なのか判断が付きかねますが、圧が強くて目が離せません(爆)。わたしのベスト・ツーショットでした。とにかく他にも気づきが異様に多い展示で、メモを取りまくりましたが、一番意外だったのはドランが理系男子だった点ですね!感覚本位で描いているのではなく、幅広い知識欲と地道な写生テクで世界を編纂して行く実験的な画家だから、今もベタつかずに新鮮に映るのでしょう。ドランの粒子を浴びるには、ぜひナマ鑑賞で!

 2本め👀『熊谷守一 生きるよろこび』

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▶かれこれ30年以上、目にする度に「やっぱり好き!ずっと好き!」と惚れ込んできた画家熊谷守一(1880-1977)。名古屋周辺には、守一のパトロンだった木村定三コレクションを常設する愛知県美術館をはじめ、守一作品を所蔵する美術館がたくさんあって、遭遇するチャンスはとても多いの~♪なんで、当初は国立近代美術館での大規模回顧展と聞いても、さほど慌てもしなかったのだけど…マブダチRから初期の作品群の充実ぶりを聞かされ、閉幕ギリギリに飛び込みました★まずは『自画像』(1904)。

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▶隣が褒状を受けた『蝋燭』(1909)。今回の展示で、遅ればせながらこの2枚にぞっこん!20代で描いた絵からすでにウソや隠し事がなく、実に堂々としてるんですよ。ここには97歳で亡くなった守一と同じ守一がいて、つまりずっと変わることなく一本道を歩み続けた軌跡に胸を打たれたのです。そして、守一の代名詞と言われる赤い線”が用いられるようになったのは1936年頃。今のわたしと同じ56歳からだと知りました―。

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▶山の中央の赤と緑のベタ塗りが目を惹く『風景』(1940-50)には、まだ随所に陰影が微妙に残っていながら、赤茶の線も引かれています。この縁取りによって、馬がデカくみえません?存在感が増幅してますよね。じーっとながめていると、やがてこの馬とじぶんが同化し、見知らぬ惑星で草をはんでいるような気分を味わうのでした。

f:id:chinpira415:20180323184748j:plain▶その後わたしは『木小屋』(1966)を見て、小屋ともスンナリ同化しました(笑)。赤い線は細く凹み、そのぶん平塗り部分が全面にせり出し、筆跡のアクセントも効いて、輝いて見えます。またまた新たな惑星に降り立った感覚になりました~♫

f:id:chinpira415:20180323182608j:plain▶守一は同じモチーフに何度もトライしています。観察と推敲を重ね、ごまかしとは無縁の創作姿勢。彼も探求心の根っこにあるのは理系マインドだったようです。『海』と題したこの2枚は初めて目にしたもので、右は1947年、左は1950年作品です。小さい方が完成形になるのかな…。でもそれぞれ独立した別の世界にも見えてくる。おそらく守一が求めているのは正解ではないのでしょう。さて次の『御嶽』三兄弟も見物でした!

f:id:chinpira415:20180323183603j:plain▶さらにおてんとうさま4兄弟も並びます(笑)。左から『夕暮れ』(1970)夕映(1970)『朝のはぢまり』(1969)『朝の日輪』(1955)。具象とも抽象とも異なる手法で、光を射抜いています。あー、なんてカッコいいんだろう…見飽きることがありません。

f:id:chinpira415:20180323184652j:plain▶こちらは『ハルシャ菊』(1954)『豆に蟻』(1958)。どんだけ生き生きしてんだい!守一作品は、色使いに魅せられてツイ「可愛い~♪」なんて口に出ちゃうけど、「いやいや、そんなにヤワじゃない!」と即座に訂正したくなります(汗)。どれも冒頭の自画像と同じように、骨格がしっかりしていて、絵の真ん中に生命が走っています。あー、彼が描く宇宙の住人にわたしはなりたい…

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▶終わった展覧会だから、サラっと流すつもりでしたが、やっぱり好きなものは歯止めが利かず…収拾がつきません(汗)。中途半端な紹介になってしまってごめんなさい(ぺこり)。興味を持った方はぜひ関連書籍も読んでみてください。

f:id:chinpira415:20180324000627j:plain▶守一は、絵と同様、うかつに読み飛ばせない上等な言葉をつぶやきます。写真集もオススメ★美男子は何してたって絵になるんですぅ。会場には大勢の外国人旅行者が詰めかけていましたが、「どうだい、これが日本のかみさまよ~!」と、ひとり誇らしげに胸を張ってしまいました(笑)。

 3本め👀『プラド美術館展』

f:id:chinpira415:20180324131231j:plain▶うって変わって最後は、“美術館の王様”プラド美術館が所蔵する16~17世紀スペイン絵画の傑作選です!かみさま、ほとけさま、4号サイズの守一さま(笑)と、どデカイ7点のベラスケス作品が、同じ東京の目と鼻の先で見られるなんて!まったくすさまじい街です(爆)。天皇陛下からの褒章をお断りした守一と、宮廷画家ベラスケスとのガチンコ勝負という考察もできました(笑)。とはいえわたしが夢中になったのはこちら―

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▶ベラくんに招かれてマドリッドで活躍したフランシスコ・デ・スルバランです!磔刑のキリストと画家』(1650頃)。いやー、この静謐さは、絵を前にして浴びていただくしか手はございません。見上げればそこにイエスが!なのにパレット持って突っ立っていてどうする?早く助けてやれよ~とヤキモキしますが(笑)、それも込みで現代に通じる絵ではないでしょうか―。「俺の迷いを聞いて聞いて~」ですもんね(笑)。

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ヘラクレスとレルネのヒュドラ』『ヘラクレスクレタの牡牛』(共に1634)の肉体表現にも目を奪われました。怪物とがっぷり四つに組むヘラクレスの臀部が、鈍く光ってやけにドラマチックです。筋肉フェチのRが見たら卒倒しそう(笑)。でもスルバランは裸体を描いてもとってもシック青い血が流れ、肌は陶器のような印象なんです。

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『祝福する救世主』(1938)もスルバラン作品。ほら、こんな憂いを湛えた眼差しの救世主なら、フラフラとついて行きたくなるでしょう~。欲しいなあ、この絵(爆)。あっ、忘れていた!やっぱ赤い血が流れてるこっちもお持ち帰りしなきゃ…少々デカイけどー(笑)。

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ティツィアーノ『音楽にくつろぐヴィーナス』(1550)。何せ今年は戌年ですから。それにナマで見るティツィアーノは、ピントも精神性もユルくていいんですよね~。お昼寝モードになっちゃいます(笑)。赤と白で始まったお江戸備忘録は、幕引きも赤と白でキメて見ました♪ ではではおあとがよろしいようで―。


プラド美術館展CM(60秒)

 【番外編】LULU TAPAS BAR

 ▶最後はおまけ!表参道communeの一角にあるスペイン タパス Bar『LuLu』をご紹介♬ うーんと年下のマブダチTが切り盛りしてるキュートな飲み屋です。都会と言う名の森の奥にこっそりたたずむ小屋のよう…守一の『木小屋』がダブります(笑)。つまみもリーズナブルで美味しいの~。ひとりでぶらっと立ち寄るのにイイかんじで~す★

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PS 次号は4/10に更新します