月に一度のお愉しみ♫ 10月、オトナ美術部が訪れたのは、愛知県陶磁美術館 開館40周年企画展『THE YUNOMI 湯のみ茶碗 ちょっと昔の、やきもの日本縦断旅』です。「ちょっと昔」ってところに、グッときませんか~?(笑)
江戸時代中期以降、一般に広がった飲茶の習慣。個人専用の湯のみ茶碗の普及は、その頃からはじまったらしい。明治以降は各地の窯で陶磁器制作が盛んになり、土地柄を生かしたさまざまな湯のみ茶碗が作られるようになったとか。ここでは、明治末頃~昭和20年頃にかけて、坂口恭逸氏によって収集された、日本各地の湯のみ茶碗約280点が展示されています。たかが湯のみと侮るなかれ~。県別にずらーっと並んだ湯のみ茶碗コレクションは壮観そのもの!さて、最初に目👀にとまったのは…
神奈川県 眞葛焼 宮川香山作「青崋山水図夫婦湯呑茶碗」。夫婦湯呑を仲良く並べれば、山の稜線が続いて見える…。なんとまあ、美しい景色でございましょう~。霞たなびくグラデーションにうっとり♥ 同じ作家の「釉下彩三福人図湯呑茶碗」にもシビレた!文人画風の洒脱な絵付けのセンスに、これまた釘付け★
石川県 九谷焼は、トーシローのわたしでも一目でわかる細密色絵が特徴的な磁器。ホントいうと苦手な装飾性なのだが(汗)、初代 徳田八十吉の「青手九谷山水図共蓋湯呑茶碗」は、白の抜けがよくってエエ塩梅にまとまってたわ~。蓋のレイアウトも小粋よね。隣の「赤絵秋草文臼形湯呑茶碗」は、餅をつく臼に秋草絵の湯呑パートと、兎をのっけた蓋パートの合体で、秋の名月に見立てた季節ものです。
京都府 清水焼の棚は、どれもこれもちんぴら好み☆画像があがっていたこちらは、民芸運動で有名な河井寛次郎の「辰砂藍絵花鳥文湯呑茶碗」です。どこが花鳥か?は定かじゃございませんが(汗)、独特のフラのある絵付けは到底真似のできない芸当ね。
兵庫県 打出焼 阪口砂山の「上絵波に燕図共蓋湯呑茶碗」は、大人美術部全員が「これ欲しい~!」と雄叫びを上げた、ちびっこくて超キュートな逸品。色、形、絵柄、すべて上等。湯呑で使うより豆菓子か金平糖でも入れたいお姿でございました😊
技巧派湯呑たちとも遭遇。ガッツリ蟹の彫り物がされた左は、愛媛県 水月焼「色絵陽刻蟹文湯呑茶碗」。右はお土産品として作られた広島県 一角焼の「陽刻厳島神社文楽焼共蓋湯呑茶碗」。日本人の写実工芸魂ってあらゆる場面で登場するよね。写実に徹しなきゃ夜が明けない…とでも思い込んでいるのか?(笑)眺めていると意外にクセになる味わい。
佐賀県 鍋島焼「七官青磁湯呑茶碗」の貫入技もスゴかった。そもそも、ヒビ=破壊のイメージを、美へと逆転させる発想にぶったまげるわ(汗)。一度は途絶えた鍋島焼を復活させた大正時代の陶工・山本雄平は、ヒビに墨汁を含ませてこの作品を焼いたんだって。なんてカッコいいの~♫
佐賀県 有田焼の安定した優美さも目👀に気持ちイイ。十二代柿右衛門作「赤絵染付柿絵共蓋湯呑茶碗」。どこに赤を刺すかで、白と青の際立ち方も変わりそうね。
北海道から沖縄まで、想像以上に各地の特色が花開いて見えた坂口コレクション。高名な作家作品だけじゃなく、土産もの扱いの作品まで網羅しているから、民俗学的資料としての価値も大きく、すごく刺激的だった✿ 何より、これをぜーんぶひとりで集め、分類し、研究し続けた坂口恭逸その人が一番の出色なのでしたあ~。ブラボー、湯のみバカ!
※場内撮影は禁止。ネット上にあがっている画像も少なかったから紹介できたのはほんの一部(汗)。他にも見逃せない逸品がたっぷりあるから、ぜひ会場で堪能してみて。10/21(日)まで。
【湯のみ茶碗:番外編】
小津安二郎の映画で使われて有名になったのが、京焼『東哉』の湯のみ茶碗。小津作品に登場する“赤”の効果は、研究者たちの間で盛んに語られるテーマなんだけど、映画的含蓄より、単純にモノとしてこの深紅と紺白縦縞の組合せがあたしは大好き!
小津映画の美意識は湯のみ1つにまで行き届いているの。生活雑器や衣装だけに絞って、傑作選を見返すのもいいわよ~。そこは懐古趣味とは正反対の、けして色褪せない美しさに満ちている!
友だちんちの湯のみ茶碗も見せてもらったよ♫ マブダチKが愛用しているのは、京都で一輪挿しを購入して以来ファンになった増田哲士(ますださとし)氏の作品。じぶんはマグカップ、母上は湯のみ茶碗で飲茶してるって。どっちも手に馴染んでるね。
焼きものの町瀬戸で暮らすマブダチY美ちゃんのご一家は、“正統派”個別湯のみ茶碗愛用家族!湯のみ茶碗を通して家族団らんな光景が目に浮かぶ。湯のみの好みから、みなさまのお顔を想像してくださいまし(笑)。愛犬の小太郎にも登場してもらったよ。今日も仲良く飲茶してるかな~★
マブダチMんちは夫婦と息子2人の4人家族。息子たちのは、手作り体験コーナーで作った常滑焼。キレイにできててビックリ!底に2匹の魚が描かれたのはダンナ用で、タップリ飲みたいMはソフトバンクでもらったヤツだって。仏壇にお供えするホタル透かしも用意してて、家族が多いとやっぱ自分専用が確保されるみたいだね。
お茶時間好きのマブダチF夫婦は、茶葉も茶器もたくさん持ってて、その日の気分で使い分け派。一番ヘビーローテしてるのは、お茶にもコーヒーにも合うこちらのマグ☕
弥富のマブダチYちゃん一家が愛用してるイニシャル入りのチビマグは、娘用のSといっしょに、あたしが100均で見つけてプレゼントしたもの🎁その後、別のダイソーでダンナのNを探して揃えたんだって(笑)。おー、イイかんじ~。お気に召して何よりヨ。
最後はちんぴらのお茶セットだいっ!10年以上前にヨガの先生にいただいた唐子絵入りの湯のみは、珍しい三角形がお気に入り♥ 急須は、つい最近Y美ちゃんちに行ったときに、瀬戸の道の駅で衝動買いしたもの。デザインに魅かれたけど、注ぎ易いわ、洗いやすいわで大ヒット。だーれも淹れてくれないお茶時間がちょっと楽しみになってマス。
とはいえ、お茶や水を買う時代(汗)―ペットボトルのお茶が冷蔵庫に常備されるなんて、想像もしてなかったなあ…お茶文化も変わりつつあるみたい。でも、火と土と水の合体=やきものは、縄文時代からはじまってんだからさー、我々とは切っても切れない間柄でしょう。そのやきものの魅力を一番身近で感じられるのが、手のひらに収まる湯のみ茶碗だと再発見したちんぴらなのでした!
PS 次回は10/28に更新します