勝手に年間cinema🎬 2019年版

今更ですが、あけましておめでとうございます(ぺこり)。今年も『ちんぴら★ジャーナル』をご贔屓に さて正月明けは、ちんぴらジャーナル恒例の年間映画特集です。去年は、洋画56本+邦画9本の計65本を劇場でチェック。その中からリバイバル上映以外で、あたしの食指が動いた作品の数々をご紹介しておきましょう

 

クサレ縁映画の傑作2本


映画『COLD WAR あの歌、2つの心』本予告

『COLD WAR』('18)は、冷戦下のポーランドを舞台に、歌手とピアニストとの運命的なつながりを長期スパンで描いた正統派クサレ縁ドラマ 国家にも愛にも溺れない一匹狼同士の男女が、流れ流れてこの世の果てまでたどり着くくだりに、メロメロになること間違いなし!目によし、耳によし、そのうえ監督の実の両親のエピソードだと聞いて腰を抜かしました、ひぇー。


『帰れない二人』予告編

▶一方、経済発展著しい中国を舞台にした『帰れない二人』('18)は、時代に取り残されたクサレ縁やくざカップルを、ねっとりと演歌のパッケージでまとめあげ、そのアナログ感が妙に新鮮。歌は世につれ、世は歌につれ~で綴られた17年間にグッときた。2本とも、ラブストーリーというより、同じ時代を生き抜いた同志的絆が絵になっててシビレました👍

 

サエない男のちゃぶ台返し映画2本


『ドッグマン』本予告編

話をややこしくするキャラがいる。海辺の田舎町でドッグSHOPを営む『ドッグマン』('18)の主人公は、気のイイ男だが、町の厄介者に目を付けられてなすがままの下僕状態。提灯持ちに成り下がるがゆえに、暴力を助長させ、負の連鎖は止まらない。じぶんの妄想で一発逆転を図ろうともがく姿は哀切きわまりなく、その生き地獄絵図が様式美にまで到達していたのにはタマゲましたね。寂れた町のロケーションもカンペキ~


バーニング 劇場版

村上春樹の短編をモチーフにした韓国映画『バーニング劇場版』('18)には、なんともイケすかない金持ち男が登場して話をややこしくする。ビニールハウスを燃やすのが密かな愉しみだとのたまうこの男に、小説家志望の貧乏青年が振り回されるという展開。意味深なモチーフをどっさり用意されるのに、なぜだかミステリーに回収できない迷宮めぐり…。お地味な青年に殺意を抱かせる“薄ら笑いとあくび”の演出が秀逸デシタ。

 

実話を映画愛でデコった傑作2本

f:id:chinpira415:20200113115119j:plain▶劇場の暗闇に身を沈め、世の中からはぐれた輩どもの輝きをこっそり拝む時間は映画の醍醐味『ワンス・アポン・ア~』('19)は、浮き沈みの激しい映画ギョーカイを、レオとブラピが二人羽織作戦で、新橋のサラリーマンさながらに生き抜いてく様子がめちゃ愛らしいの。しかも、へなちょこコンビは映画の女神を守り抜き、しれーっと史実をチャラにする!極上のハッタリで観客に至福をもたらすタランティーノの映画愛に乾杯🥂

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▶今年もランクインだぜ、イーストウッドまつり自ら主演した『運び屋』('18)は、実際にあった麻薬密輸事件の映画化。折れ曲がった背中でダーティーワードを連発する90歳の老人が、超お手軽&高額バイトに精を出し、次から次へと失くしたものを買い戻す…。ただし、女子供とは和解するフリだけして、心根が向かう先は男同士のジャレあい鎮魂にあり。これぞ映画ならではの血統書付きアウトロー、恐れ入りました(ぺこり)。

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ちっこいフリして大きな企み2本


映画『幸福なラザロ』予告篇(4.19公開)

▶予測不能なイタリア映画『幸福なラザロ』('18)。なんとこちらも実話が元ネタです。山奥の隔離された村で搾取され続けてきた村民たちが、ある日突然大都会へ放り出され、今度は文明生活に食い物にされるという皮肉な展開。やがて、村民たちからラザロと呼ばれる澄んだ瞳の寡黙な若者が、ぼーっと突っ立ってるだけで奇跡を起こし始めちゃうからおったまげただあ~。現代に舞い降りた聖人伝説、ごっつ鳥肌もんでした🐓


【映画 予告編】7月の物語

▶若さ眩しい女子たちのひと夏をスケッチした『7月の物語』('17)は、パリ編と郊外編の2本組。どちらも決定的なことがまるで起こらない…。なのに鑑賞後は、どちらも刻々と変化し続け、一瞬たりともじっとしていない印象だけが残るというスゴ技映画。終始、「人の細胞は、こうして入れ替わるんだなあ…」を目撃していたような気がしてならない。移り行くものすべてをすくいあげてなお、散漫にならずにスクリーンを多幸感で満たす監督ギョーム・ブラック、いま最も目が離せない作家の1人です👀

 

不覚にも涙が…を連続体験!

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▶そういえば2019年の映画レース後半戦では、なんとこのあたしが、不覚にも劇場で涙を流してしまう珍事が立て続けに勃発(汗)。人生初のマレーシア映画『細い目』('05)『タレンタイム~優しい歌』('09)にノックダウンしてからの~、『ファイティング・ファミリー』('19)で“好きこそものの上手なれ”プロレス一家にほだされ~の、ターナー家を乗せた“難破船”から少女のすすり泣きが漏れる『家族を想うとき』('19)に涙し…と、驚愕の4連発。涙腺が弱まったのは年のせいか―?

 

Netflixを映画館で享受♫

f:id:chinpira415:20200113101527j:plain▶さて、2019年あたしのナンバー1映画は…ヘップバーン扮するアン王女を気取り「ひとつだけあげるとしたら…ローマ…何といってもローマです」とお答えしましょう~(笑)。はい、イタリアのローマじゃなく、70年代メキシコシティのローマ地区を舞台にした『ROMA』('18)一等賞👑 感想はこちらをご覧くださいませ。

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▶ところで2019年映画界一番の事件と言えば、Netflixの襲来ですね!『ROMA』もNetflixによる制作だから、自宅のちっこいPCモニターで見るしかないのか…と地団太踏みましたよ(汗)。しかし、限定ながら劇場でも公開されて、身も心もこの傑作に浸ることができマシタ😊やっぱ自宅では「闇」「音」が足りませんから~。

f:id:chinpira415:20200113101625j:plain▶同様にアイリッシュマン』('19)も、Netflix➡劇場で鑑賞👀 わざわざ仕事を休んで4時間(!)監禁されたからこそ、老いぼれヤクザたちの徘徊ドラマが、今も腹の底に鈍く響いてるわけです。あたしの目の黒いうちは、スコセッシの新作は劇場チェックがMUSTですな。ご贔屓監督の次回作が見られるなら、蒙古襲来もあたしは大歓迎よ~

 

またもや二ノ宮にもってかれた~

▶他にも触れておきたい映画はイロイロあるけど、みなさんが胃もたれしないかとシンパイで(汗)…。ラストは邦画から手短に1本。去年、デビュー作『枝葉のこと』で突如映画界に降臨した二ノ宮隆太郎。夏の鎌倉を舞台にした『お嬢ちゃん』('18)が、2作目にしてすでにかなりの手練れで、腰を抜かしましたあ~。


映画『お嬢ちゃん』予告編

▶四六時中不機嫌ヅラしたヒロイン・みのりの空回りを、映画は諭すわけでも罰するわけでも慰めるわけでもなく、彼女のエネルギーの放出にひたすら付き合い、めんどっこいみのりの頬に時折り優しい風を送るだけ…。映画史的に、鎌倉のお嬢さんと言えば原節子(汗)。そうか、みのりは笠智衆(父)を亡くした現代のパンク原節子か―


映画『リチャード・ジュエル』本予告 2020年1月17日(金)全国ロードショー

というわけで、2019年のラインナップを振り返りながら、どうもじぶんは実話の映画化が好みらしい…と判明(笑)。目下公開中のイーストウッドの新作『リチャード・ジュエル('19)も実話が下敷きでおもろいのなんの…89歳の爆弾じじいにまたもやしてやられたよ~。はい、こんな調子で2020年も劇場通いは続きます👣

 

PS 次回は2/9に更新します