3月に予定していたお江戸で2泊3日の美術展ハシゴ旅が、半年寝かせてようよう実現できマシタ!再開した美術館は感染症対策が敷かれ、事前予約が必要になったりして、スマホを持っていないあたしには面倒が増えましたが(汗)、それでも作品とのナマの対峙は格別です★ 5本まとめてちらっとご紹介しますね~♫
※久しぶりの新幹線、旅のお供本は『「文」とは何か』橋本陽介。スマホがないから携帯地図も必須😊
1本め👀『画家が見たこども展』三菱一号館美術館
▶こどもが登場する絵画を集めた企画展が妙に好き♥ 子どもたちの予測不可能さに、作家自身もビビりながら近づいている気がして―。本企画は、19世紀末のパリで活動したナビ派の画家たちの作品を中心に構成。なんとイッパツ目の絵がこれですから~、モーリス・ブーテ・ド・モンヴェルの『ブレのベルナールとロジェ』(1883)。当時流行のセーラー服でキメ込んだガキ2人。媚びた表情を見せず、女子プロレスペアみたいなドスコイポーズで、離れて並んでカッケ~!繊細な風景描写との対比もタマラン👍
▶次はポール・マティ『室内の子どもと女性』(1890)。こんな印象派風タッチも、少年の斜めったポージングと左奥へ目が行くスナップショット的構図で、とても今っぽい。一方で、大人の女性は古式然としたロングドレスなのに、こどもの衣服には現代と変わらぬ機能性が追及されているから、いつの時代の絵かわかんなくなる(笑)。都市生活者の動向をキャッチUPしていたナビ派の視線には、日常の中のドラマ性を感じるよね。
▶フェリックス・ヴァロットンの木版画『女の子たち』(1893)に至っては、色味なしの線描写だけだからよりイラスト的で、100年以上の時を飛び越え、しれーっと我々に近づいてくる。さすがに幾何学模様のタイツは画家のアレンジだろうが(本当に流通してたらぶったまげ!)、こまっしゃくれた女子トークが今にも聴こえてきそう👂
▶モーリス・ドニ『青いズボンの子ども』(1897)、やっぱ奥の間の様子が気になるなあ…換気して3密回避?(笑)壁に掛けられたボッティチェリ『聖母子と幼い洗礼者ヨハネ』の絵と、母と子の姿を呼応させ、全体を青いトーンでまとめて聖なる世界に―。でも、宗教画風に見せかけながら、ママの指はちょっとエロくて…おもしれ~。
▶そう、本ブログのサイト基調カラーを見てもわかるように、ちんぴらは青色に弱い💦カラオケでは渡辺真知子の『ブルー』を歌います♪ よってエドゥアール・ヴュイヤール『青いベッドにいる祖母と子ども』(1899)から放たれる青色ビームにもフラフラと吸い寄せられたわ。あえて背中、しかも窓もない室内の角っこで白の肌着が怖いほど輝く―。
▶こんな調子で並んだ112点。予想より、うーんと見応えがあった。特に会場最後のコーナーに並んだピエール・ボナール晩年の3枚が抜群だった。3枚続けて動物つながり~♪ まずは犬を抱いた『イザベル・ルコント・ドゥ・ヌイ嬢』(1929)。ざっくりまとめられてても、少女の自我がしっとり浮び上がってて…あたしもこんな絵が描きたい!
▶次の2枚はでかいよー、横幅1m以上あるからね~★『雄牛と子ども』(1946)。雄牛が画面の大部分を占めててインパクト大。恥ずかしそうに隅に身を寄せてる少年との組み合わせがおじいさんと孫みたい。様々な筆使いで埋め尽くされた背景も味わい深いな~。
▶『サーカスの馬』(1946)もハミ出すくらいでかい馬ヅラUPだが、こちらはどことなく物悲しさが漂っていたりして、ちょっと胸が締め付けられた。もしかしたら人も馬も画家自身なのか…。牛と馬、亡くなる前年ボナール79歳に描いたこの2枚は、絵描き人生を十二分に生き切った証に見えたよ。
2本め👀『ピーター・ドイグ展』東京国立近代美術館
▶ピーター・ドイグ(1959-)?誰やんそれ?“英国が誇る画家の中の画家”だって…。会期延長してたから、予備知識入れずにとりあえず行ってみた。するってーと…マズイ…最初の1枚で「なんで今まで知らなかったんだろう…」と焦りまくり。だって『街のはずれで』(1986-88)の上半身裸男、傑作4コマ漫画『自虐の詩』のイサオじゃん!…冗談はさておき、暴れん坊魂を抱えながらどこか消化不良気味な男の横顔と速攻で意気投合★
▶イッキにスイッチ入っちゃいました。流れ流れてイサオ(くどいって!)は『天の川』(1989-90)で小舟に乗って浮かんでます。おー、なんてロマンチック♫ 詩人になったのか。ところがどっこい、ホラー映画『13日の金曜日』からのイメージなんだって💦
▶でもって、ちょっと待て✋小舟に川に森…静寂に包まれているけど…たどり着いた場所、なんかヤバくない?警察が捜査?こんなモチーフ見たことない(汗)。ただ、想像力は掻き立てられるよね。幻想的で美しいから余計に…『エコー湖』(1998)。
▶お隣に並んだ『カヌー湖』(1997-98)になると、小舟は未知の発光体と化し、怪しく光る生き物も亡霊のような…ついにイサオは宇宙人にさらわれたか?(笑)横に分割された画面に漂う水や木立の表現にクラクラしつつ、一番下の黒のベタ塗り部分が抒情性を打ち消してもいて、心が宙吊りにされました、はい💦
▶しかもどの絵もデカイ!美術館にキャンバスという名の謎の円盤が舞い降りて、ずらーっと並んでるかんじ。壮観。右手の『のまれる』(1990)は初期の代表作。不気味な気配に思わず身が固くなる。クリスティーズで約30億円で落札だって!円盤、高っ!
▶スコットランド生まれで絵の勉強はロンドンでしたドイグ。彼の創作の源泉は、少年期まで暮らしたトリニダード・トバゴやカナダの風景にあるとか。まあ、画家なんていう方々は、生命体としてのじぶん全部が“絵の具”みたいなものだからね。次の『ラベイルーズの壁』(2004)は、映画『東京物語』('53)を念頭に描いた1枚。小津安二郎の影響力たるや、どんだけ~!って驚愕するわ。「画家の中の画家」が影響を受けた「映画監督の中の映画監督」…すなわち我らが小津の勝ち?(笑)
▶この後の2枚は2019年制作の最新作。初期の作品と比べると、透明感が高くずいぶんさらっとした印象。ただ、水を鏡面にしてもう一つの世界を映していたのが、『二本の樹木(音楽)』では、樹木の間に落ちた影が別世界への扉となっている。右の樹にくっついているのは何だろう…不気味。いやはや、ぜんぜん軽くないじゃんか~💦
▶そしてフト隣の『音楽(二本の樹木)』に目をやると…影が流れ者のギター弾きに化けて―。ドイグの絵には迷宮の入口がいくつもある。それは人懐っこいが油断ならない。
▶さて初期から最新作までを集めた日本初個展。恒例の「もらって帰るならこの1枚」は欲張って2枚で。マティス風な『無題(肖像)』(2015)と、青鬼になってイサオ(!)が再登場する『無題(パラミン)』(2004)。しびれた~、めちゃくちゃ欲しい!どっちも小ぶり、しかも青い(笑)。飾る場所も勝手に決めた~♫ 余生は青鬼といっしょに生きる🎨
▶最後のコーナーでは、映画好きなドイグが、トリニーダド・トバゴのアトリエで自主映画上映会を開催していたときに描いたポスターが勢ぞろい。誰でも無料で見られる集いを開き、毎回ポスターまで描いちゃうなんて、なんてノリのいいヤツ😊
▶40作品中、30作品は見てたちんぴら(笑)。同世代の映画ファンですから~。でも例え作品やドイグの名も知らなくても、きっと飛びついてたな。だって一目見ただけで忘れられない即興タッチ、映画の世界観とはまた別の物語が強烈に立ち上ってたもんね!というわけで、何から何まで大収穫のドイグ展でした👍
ランチは日比谷公園で🍴
▶コロナ禍以降、初の上京なんで、せっかくだからとマブダチKに声を掛け、日比谷公園内の老舗洋食展『松本楼』でオムライスランチ。うっま~い★近況共有おしゃべりも止まりましぇーん(笑)。で、このあと場所を変えてさらに一席。連れて行ってもらったのが、帝国ホテル内の会員制ラウンジ☕げっ、こんな穴場があるとは!フランク・ロイド・ライトのカップで優雅にお茶飲んできたよ~、冥途の土産か🎁
まだまだ続くお江戸備忘録!後半戦は次号10/29にUPします。しばしお待ちを―。