勝手にシネマ評/『つつんで、ひらいて』('19)

やるなあ、広瀬奈々子初めてのドキュメンタリー作品の被写体に、超手強そうなお相手を選ぶなんて!まだお若いのに大したもんだ👍

f:id:chinpira415:20200208092137j:plain広瀬監督が3年に渡り密着したのは、1943年生まれの装幀家菊地信義。わたしも、お名前だけはウッスラ知ってはいたものの、本を買うときに、装幀家を意識したことなどありませんからね(汗)。逆に本作を見て初めて、我が本棚にも少なからず菊地氏の手掛けた本が並んでいることを知ったという体たらくです(…遅まきながら気づかせてもらえてよかった)。

f:id:chinpira415:20200208092228j:plain本作『つつんで、ひらいて』では、そんな“縁はあっても認識の乏しかった”菊地氏の動く姿が、冒頭からいきなりつぶさに捉えられ、妙に興奮した。憧れや妄想がない分、かえって「えっ、こんなに至近距離で、鶴の機織り場面をのぞいてイイの?…」と、ちょっとした後ろめたさも感じつつ前のめったのだ。というのも、銀座にある菊地氏の事務所は、トップランナーのイメージとは裏腹なこじんまりした静かな空間で、ご自宅の茶室にでもおじゃましている感があったから―。よく知らない年長者に前振りもなく急接近、だから余計にドキドキ

f:id:chinpira415:20200208092334j:plainそのうえ、いかにも使い勝手が良さそうなコックピット的作業机のすぐ横には、さりげない風情の坪庭がのぞいたりして…どんだけ趣味がイイねん!ですからね(笑)。菊地ワールドには野暮なものが一切見当たらない。菊地氏=手強そう&面白そうスイッチは、瞬く間にONになった。

f:id:chinpira415:20200208092427j:plainそして、高い山に挑む広瀬監督の姿勢がこれまた上等なのだ。知性と度胸の両方が備わっている。カメラに四六時中つきまとわれるのを嫌う菊地氏が、舌打ちしながら「いやだねぇ…」とイラつくシーンを、あえて開始早々お披露目したりなんかして、なかなかツワモノですわ。監督は、おっそろしく審美眼の肥えた被写体からこぼれ落ちる自意識を見逃さず、丁寧に織り上げる。尊敬するお相手とはいえ、じぶんの作品にするための批評性はけして手放したくないとの覚悟が、何ともあっぱれではないか!

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さて長期密着記録は、7つの章に分けられ、本に見立てた構成になっている。これが、シンプルなアイデアながらも楽しさ倍増♪ 章立てにしたことで間口が広がり、日頃お目にかかることのない本作りに携わる現場を、砂被り席から見られて大満足だ(製本工程の映像が艶めかしくて、思わず工場萌え!)。何より、生業側のアクションを通じ、消えゆく運命にある紙の本のことを、今一度考えるきっかけになり、有難かった

f:id:chinpira415:20200208092701j:plainそんな風に周辺事情も充実させつつ、もちろん映画の本丸は菊地氏である。例えばメインとなる制作シーン。なんとなくアナログな作業をしているタイプかな?…と、想像はしていたが、シャレじゃなく本当に“鶴の機織り”だったとは!たまげましたね。

f:id:chinpira415:20200208213132j:plainそもそも机の上に並ぶのは、PCではなく、はさみ、のり、カッター、定規などごくフツーの文房具。誰にも馴染みのある道具を使い、アイデア出しの段階からデザインを確定させるまで、そのすべてを自身ひとりの手作業だけで処理して行く…サクサクと手際よく滑らかに。菊池氏の手や目のちょっとした動きから、思考がどう展開するのかも窺い知れて、実にスリリングだった

f:id:chinpira415:20200208092914j:plainとはいえ、印刷業界がDTP化されて久しいわけで、入稿用データ作成のタイミングには、菊地イズムを熟知しているベテランの技術アシスタントさんが隣室から登場。そこからお2人で、並んでPCに向かうのではなく、壁越し(!)でミリ単位の修正を始めるのだが、息のあったやりとりに昔懐かしい銭湯での記憶が蘇ってしまったのはわたしだけ?男湯と女湯の壁を挟み、「もうすぐ出るよ」と声を掛け合う昭和の風景が連想されて…(笑)。お2人の信頼関係は、そのくらい強固なものに見えた。

f:id:chinpira415:20200208092940j:plain他にも、印刷・出版関係の方々をはじめ、作家の古井由吉や、行きつけの喫茶店、庭に遊びに来る猫までも、菊地氏とつながりのあるものすべてに、長く深い交流の痕跡が感じられる。それも、東京生まれの美意識なのか、べたつかず、さらりと縁を結んでいる風情だったな…。なるほど、彼のたったふたつの手は、こうしてずーっとずーっと緊張と愛着の時間を行き来しながら本の身体を拵え、それが巡り巡ってわたしの本棚にもつながっているってことか―

f:id:chinpira415:20200208093017j:plain唯一関係性の毛色が異なって見えたのが、かつてのお弟子さんで、いまは独り立ちして活躍されている水戸部功氏のインタビューシーンだ。映画の中で、何かと師と対照的に映るよう配置されるが、一方で師との間に横たわるもどかしく複雑な感情を、よくもこれだけ客観的に述べられるなあと感心してしまいましたよ

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反発するでも皮肉るでもなく、素直に「全部やられてる」と認識しながら、本の未来をどう担うかの岐路に立つ若手代表の声…。ここには、同じように映画界の先人たちを意識しているであろう広瀬監督自身の内なる声も重なって見えたなあ。好きなら溺愛すればいいし、イヤなら無視すればいいのに、どちらにも振り切れないのがツライところなのか…。若者たちは繊細だねぇ

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ぶっちゃけ菊地氏は、全方位にスゴすぎて、いささかめんどくさいおっさんにも映る。装幀哲学を語る言葉にスキはないわ、骨董市めぐりに、蕎麦屋に、蓄音機に、鎌倉在住…と、趣味方面でも筋が通った“美の壺”おやじだし、今までに「手」がけた装幀が1万5000冊以上って…もぉー、気絶しそうだ(汗)。

f:id:chinpira415:20200208093301j:plain映画の中では仕事の「質」を間近に堪能させてもらったが、実際は世に送り出した膨大な仕事の「量」こそが、菊地氏の唯一無二の存在感に直結している気がしてならない。どんな球も拾いまくり、長年世の中に請われ続けてきて今に至る何よりの証だからね。“受注仕事における創造性”―ジャンルは異なるが、作曲家・筒美京平と近しいスタンスも感じたわ。

f:id:chinpira415:20200208093407j:plainそんな御大は、映画の後半で「やればやるほど自分が空っぽになってゆく」「装幀家としての達成感がない」などとキャリアと裏腹な発言を漏らしたり、はたまたアイデアが浮かび「夜中の大発見!」と無邪気な笑顔を覗かせたり、重鎮に収まり切らない横顔も披露する。オレサマで突き抜けている人こそ、じぶんに固執せず、じぶんから最も自由でいたい人なんだろうな。じぶんをつつみ…じぶんをひらき…絶えず独りリニュアル。

f:id:chinpira415:20200208093517p:plainそれが映像で記録されて、ホントよかった。広瀬監督の粘り腰によって、ある種の絶景を、みんなが眺められるのだから!


12月14日(土)公開映画『つつんで、ひらいて』予告編

★アンコール上映が決定しましたあ~!

2/29(土)~3/6(金)まで名古屋シネマテークで 連日11:50~上映

 

『つつんで、ひらいて』

2019年/94分/日本

監督・撮影・編集 
プロデューサー  北原栄治
出演          菊地信義 水戸部功 古井由吉

 

PS 次回は2/25に更新します

勝手に年間cinema🎬 2019年版

今更ですが、あけましておめでとうございます(ぺこり)。今年も『ちんぴら★ジャーナル』をご贔屓に さて正月明けは、ちんぴらジャーナル恒例の年間映画特集です。去年は、洋画56本+邦画9本の計65本を劇場でチェック。その中からリバイバル上映以外で、あたしの食指が動いた作品の数々をご紹介しておきましょう

 

クサレ縁映画の傑作2本


映画『COLD WAR あの歌、2つの心』本予告

『COLD WAR』('18)は、冷戦下のポーランドを舞台に、歌手とピアニストとの運命的なつながりを長期スパンで描いた正統派クサレ縁ドラマ 国家にも愛にも溺れない一匹狼同士の男女が、流れ流れてこの世の果てまでたどり着くくだりに、メロメロになること間違いなし!目によし、耳によし、そのうえ監督の実の両親のエピソードだと聞いて腰を抜かしました、ひぇー。


『帰れない二人』予告編

▶一方、経済発展著しい中国を舞台にした『帰れない二人』('18)は、時代に取り残されたクサレ縁やくざカップルを、ねっとりと演歌のパッケージでまとめあげ、そのアナログ感が妙に新鮮。歌は世につれ、世は歌につれ~で綴られた17年間にグッときた。2本とも、ラブストーリーというより、同じ時代を生き抜いた同志的絆が絵になっててシビレました👍

 

サエない男のちゃぶ台返し映画2本


『ドッグマン』本予告編

話をややこしくするキャラがいる。海辺の田舎町でドッグSHOPを営む『ドッグマン』('18)の主人公は、気のイイ男だが、町の厄介者に目を付けられてなすがままの下僕状態。提灯持ちに成り下がるがゆえに、暴力を助長させ、負の連鎖は止まらない。じぶんの妄想で一発逆転を図ろうともがく姿は哀切きわまりなく、その生き地獄絵図が様式美にまで到達していたのにはタマゲましたね。寂れた町のロケーションもカンペキ~


バーニング 劇場版

村上春樹の短編をモチーフにした韓国映画『バーニング劇場版』('18)には、なんともイケすかない金持ち男が登場して話をややこしくする。ビニールハウスを燃やすのが密かな愉しみだとのたまうこの男に、小説家志望の貧乏青年が振り回されるという展開。意味深なモチーフをどっさり用意されるのに、なぜだかミステリーに回収できない迷宮めぐり…。お地味な青年に殺意を抱かせる“薄ら笑いとあくび”の演出が秀逸デシタ。

 

実話を映画愛でデコった傑作2本

f:id:chinpira415:20200113115119j:plain▶劇場の暗闇に身を沈め、世の中からはぐれた輩どもの輝きをこっそり拝む時間は映画の醍醐味『ワンス・アポン・ア~』('19)は、浮き沈みの激しい映画ギョーカイを、レオとブラピが二人羽織作戦で、新橋のサラリーマンさながらに生き抜いてく様子がめちゃ愛らしいの。しかも、へなちょこコンビは映画の女神を守り抜き、しれーっと史実をチャラにする!極上のハッタリで観客に至福をもたらすタランティーノの映画愛に乾杯🥂

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▶今年もランクインだぜ、イーストウッドまつり自ら主演した『運び屋』('18)は、実際にあった麻薬密輸事件の映画化。折れ曲がった背中でダーティーワードを連発する90歳の老人が、超お手軽&高額バイトに精を出し、次から次へと失くしたものを買い戻す…。ただし、女子供とは和解するフリだけして、心根が向かう先は男同士のジャレあい鎮魂にあり。これぞ映画ならではの血統書付きアウトロー、恐れ入りました(ぺこり)。

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ちっこいフリして大きな企み2本


映画『幸福なラザロ』予告篇(4.19公開)

▶予測不能なイタリア映画『幸福なラザロ』('18)。なんとこちらも実話が元ネタです。山奥の隔離された村で搾取され続けてきた村民たちが、ある日突然大都会へ放り出され、今度は文明生活に食い物にされるという皮肉な展開。やがて、村民たちからラザロと呼ばれる澄んだ瞳の寡黙な若者が、ぼーっと突っ立ってるだけで奇跡を起こし始めちゃうからおったまげただあ~。現代に舞い降りた聖人伝説、ごっつ鳥肌もんでした🐓


【映画 予告編】7月の物語

▶若さ眩しい女子たちのひと夏をスケッチした『7月の物語』('17)は、パリ編と郊外編の2本組。どちらも決定的なことがまるで起こらない…。なのに鑑賞後は、どちらも刻々と変化し続け、一瞬たりともじっとしていない印象だけが残るというスゴ技映画。終始、「人の細胞は、こうして入れ替わるんだなあ…」を目撃していたような気がしてならない。移り行くものすべてをすくいあげてなお、散漫にならずにスクリーンを多幸感で満たす監督ギョーム・ブラック、いま最も目が離せない作家の1人です👀

 

不覚にも涙が…を連続体験!

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▶そういえば2019年の映画レース後半戦では、なんとこのあたしが、不覚にも劇場で涙を流してしまう珍事が立て続けに勃発(汗)。人生初のマレーシア映画『細い目』('05)『タレンタイム~優しい歌』('09)にノックダウンしてからの~、『ファイティング・ファミリー』('19)で“好きこそものの上手なれ”プロレス一家にほだされ~の、ターナー家を乗せた“難破船”から少女のすすり泣きが漏れる『家族を想うとき』('19)に涙し…と、驚愕の4連発。涙腺が弱まったのは年のせいか―?

 

Netflixを映画館で享受♫

f:id:chinpira415:20200113101527j:plain▶さて、2019年あたしのナンバー1映画は…ヘップバーン扮するアン王女を気取り「ひとつだけあげるとしたら…ローマ…何といってもローマです」とお答えしましょう~(笑)。はい、イタリアのローマじゃなく、70年代メキシコシティのローマ地区を舞台にした『ROMA』('18)一等賞👑 感想はこちらをご覧くださいませ。

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▶ところで2019年映画界一番の事件と言えば、Netflixの襲来ですね!『ROMA』もNetflixによる制作だから、自宅のちっこいPCモニターで見るしかないのか…と地団太踏みましたよ(汗)。しかし、限定ながら劇場でも公開されて、身も心もこの傑作に浸ることができマシタ😊やっぱ自宅では「闇」「音」が足りませんから~。

f:id:chinpira415:20200113101625j:plain▶同様にアイリッシュマン』('19)も、Netflix➡劇場で鑑賞👀 わざわざ仕事を休んで4時間(!)監禁されたからこそ、老いぼれヤクザたちの徘徊ドラマが、今も腹の底に鈍く響いてるわけです。あたしの目の黒いうちは、スコセッシの新作は劇場チェックがMUSTですな。ご贔屓監督の次回作が見られるなら、蒙古襲来もあたしは大歓迎よ~

 

またもや二ノ宮にもってかれた~

▶他にも触れておきたい映画はイロイロあるけど、みなさんが胃もたれしないかとシンパイで(汗)…。ラストは邦画から手短に1本。去年、デビュー作『枝葉のこと』で突如映画界に降臨した二ノ宮隆太郎。夏の鎌倉を舞台にした『お嬢ちゃん』('18)が、2作目にしてすでにかなりの手練れで、腰を抜かしましたあ~。


映画『お嬢ちゃん』予告編

▶四六時中不機嫌ヅラしたヒロイン・みのりの空回りを、映画は諭すわけでも罰するわけでも慰めるわけでもなく、彼女のエネルギーの放出にひたすら付き合い、めんどっこいみのりの頬に時折り優しい風を送るだけ…。映画史的に、鎌倉のお嬢さんと言えば原節子(汗)。そうか、みのりは笠智衆(父)を亡くした現代のパンク原節子か―


映画『リチャード・ジュエル』本予告 2020年1月17日(金)全国ロードショー

というわけで、2019年のラインナップを振り返りながら、どうもじぶんは実話の映画化が好みらしい…と判明(笑)。目下公開中のイーストウッドの新作『リチャード・ジュエル('19)も実話が下敷きでおもろいのなんの…89歳の爆弾じじいにまたもやしてやられたよ~。はい、こんな調子で2020年も劇場通いは続きます👣

 

PS 次回は2/9に更新します

 

2019年「1日1枚シリーズ★」発表!📅

2019年の制作テーマは…

「1日1枚 左手Mckee(マッキー)」!

今年も年末恒例「1日1枚シリーズ★」の発表です!2019年の1月1日から日々是丹精、続けてきたのは…はい、「1日1枚 左手Mckee(マッキー)でございます。内容を説明する前に…いきなりですが、みなさんは束見本(つかみほん)って知ってます?今年の制作テーマは、印刷会社に勤務するマブダチFにもらった束見本を見て思いつきました👍

f:id:chinpira415:20191223221108j:plain束見本とは…冊子や書籍を製作するとき、完成時の背の厚みや全体の分量を事前にイメージできるように、実際に使用する紙で作ったサンプル本のこと。要は印刷会社の営業道具なんですわ。だから真っ白、ワクワクするでしょ!ただ、もらったのは某美術館の図録用の束見本だったから、紙は厚くてツルツルだわ、ズシリと重くご立派すぎるわで落書き帳にもならず(汗)。そこで取り出したのはご存知油性マジックマッキー

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いつもなら裏写りを気にして用途が限られる油性マジックが(汗)、ここでは晴れて堂々の主役になれたってわけ。こんなに思う存分油性マジックを使う人生がやってくるなんて~(笑)でも、それだけじゃ面白くないと思い、あえて左手で描くことにしたのです画力の乏しさから目を背ける思惑と、利き手を封じることで大胆になれる効果も狙いマシタへへへ😊

f:id:chinpira415:20191226214720j:plainそこで、どしょっぱつ、2019年1月1日に描いたのは… ダダダダダダダダダダダダダダダン!(ドラムロ~ル♪)『お餅』です。人間、簡単には大胆になれませんね(汗)。

f:id:chinpira415:20191226215545j:plainそして、1月16日『TVリモコン』1月17日『黒豆』…早々に飽きてます(笑)。限られた時間でその日何を描くか…一番苦労するのはモチーフ選びなんですよねぇ(汗)

f:id:chinpira415:20191226215742j:plain訃報から立ち直れず2月1日橋本治。翌日はなぜか無性にステーキが食べたくなって『オージービーフ。肉を食いながら…メメント・モリ=“死を想え”ですかね(笑)

f:id:chinpira415:20191226223317j:plain3月17日、18日大阪で見た『クリスチャン・ボルタンスキー展』の興奮を左手に託して描いてみました。 日常とは異なるアクション体験があると自ずとモチベーションUP!

f:id:chinpira415:20191226224249j:plain次は今年ならではの見開きページ。4月30日『平成』5月1日『令和』(笑)。利き手じゃない似顔絵は、覚束ない分、かえって味わい深いかも~

f:id:chinpira415:20191226225911j:plainずるずるっと長~く伸びてるものに目が留まり、6月3日『PCのアダプター』6月4日『トイレットペーパー』。丁寧に描くほどゴツゴツしちゃうんだけど、逆に物としての存在感は増すような気が…しなくもないな。

f:id:chinpira415:20191226230820j:plain調子に乗って6月13日『毛糸6月14日『リボン』。自慢じゃないけど、右手じゃこんなに一生懸命追い駆けないよな…。利き手を変えると、ひたむきに取り組むことに照れがなくなるのか?58歳、知らないじぶんに出会う旅👣

f:id:chinpira415:20191226230903j:plain6月21日、22日『村山槐多のスケッチ』を模写。美術展に行った後は、速攻で芸術家になり切ります(笑)。半年以上使うと油性マジックもいいかんじでかすれ始め、新しい武器に!

f:id:chinpira415:20191226232554j:plain7月から2冊目に突入写真家の楢橋朝子さんから頂いた深瀬昌久の写真集『鴉』に感銘を受け、何枚も左手スケッチ。暑い最中にさらに圧をかけ、集中して描いてたみたい(笑)。深瀬氏が見ていた鴉のいる風景に、なんとか近づこうと夢中になってるわ。

f:id:chinpira415:20191227085934j:plain7月14日、15日も同じ写真集から。黒マッキーは、鴉を描くためにあるといっても過言ではない!(爆)極太、細、極細、使い分けての鴉三昧。ブラボ~、マッキー✑

f:id:chinpira415:20191229180823j:plain後半に入ると、モチーフ探しにあくせくせず、目にとまったものを描けばいいやと開き直れてラクチンに😊7月24日、25日インダス文明土偶。ソフビの怪獣描いてるみたいで愉快だったな。デカチチ星人か!

f:id:chinpira415:20191229184901j:plain女つながりで8月5日、6日クリムト模写』。左手でも、けっこう“ぽく”なってきた

f:id:chinpira415:20191229191035j:plain8月29日、30日には小村雪岱にまでトライしたぜ~!バックの白地で辛うじて間がもった(汗)。雪岱先生、へたれマンガにしてしまって申し訳ございません(ぺこり)。

f:id:chinpira415:20191229191909j:plainかと思えば、10月4日、5日太陽の塔縄文土器岡本太郎まつりだよ~

f:id:chinpira415:20191229192344j:plain話題になった映画も描いてみました。10月10日『サタンタンゴ』10月11日『ジョーカー』。しかし、映画のチラシを描き出したら、もはやネタ切れ宣言も同然(汗)。残り2ヵ月どうするべー…。そこでフと取り出したのが長谷川利行画集!運命の邂逅

f:id:chinpira415:20191229192925j:plain前前回のブログでも少し触れましたが、漂泊の画家・長谷川利行の模写を始めたら、止められない止まらない!10月16日以降、身も心もどっぷり浸かりマシタ~

f:id:chinpira415:20191229194518j:plain油性マジックと長谷川作品の相性は、まるでイザナギイザナミ(笑)。よって、たくさんの落書きを毎日毎日産み落としましたあ~

f:id:chinpira415:20191229194618j:plain何描いても、長谷川画伯っぽく着地できちゃう。風景画でさえ、大胆に突き進んでも絵になる。あたしの左手じゃなくても、誰もが憑依されてしまうんだと思います、はい。

f:id:chinpira415:20191229194657j:plain「この感覚、以前どこかで味わったなあ…」と記憶を蘇らせたら…そう、この1日1枚シリーズをスタートさせた2013年の『1日1枚名画模写』で、ゴッホの作品を鉛筆だけで毎日毎日1ヵ月間描き続けたときと同じ感触だと気づいたのですよ。

f:id:chinpira415:20191229194858j:plainゴッホ長谷川利行元がすごいと、トーシローの真似事にまで生命が宿る。どちらもそのくらい天下無敵の画家なんでしょうね。どうか、大晦日までなり切らせてねっ

f:id:chinpira415:20191229194750j:plainマブダチたちにプレゼント

とはいえ、せっかく楽しんでいるのだから、誰かにあげちゃえ~っことで、長谷川模写を東京に住むマブダチOの誕生日祝いに送りつけたら…彼のお宝のガンダムが背後に佇むベスポジに額装して飾ってくれたってさ。隣は息子Sくんの絵🎨いいかんじ~

f:id:chinpira415:20191229205722j:plainさらに長谷川タッチでマブダチたちの似顔絵を描き始めたら意外にもウケて…ご贈答品にもってこいか?(笑)長谷川タッチというより、なんとなくご本人にちょっとだけ似てるかも…が、みなさまのお気に召すのかもね🌼

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女子たちの場合は、ほんのちょっと似てる&若干痩せて描くがウケるコツですな(爆)

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そんなこんなで「餅」から始まった1年間の格闘は、“そ・れ・な・り・に”芸の肥やしとなったのであります。もちろん来年もやるよ~『1日1枚シリーズ★』。乞うご期待!

PS 年明けは1/22にイッパツめを更新します。2020年も「ちんぴら★ジャーナル」をご贔屓に♫夜露死苦

 

勝手にシネマ評/『タレンタイム ~優しい歌』('09)

へっ?いったい何ごと?聞いてないし…(汗)。チラシには「8年の時を経て“伝説の映画”がついに待望の劇場公開」とある。そう言われても、逆に引いてしまうが…(汗)。ただし、いかに宣材に無関心なあたしでも、予告を見れば自ずとカンは働く。取り急ぎ、こちらの動画をチェックしてみて。


『タレンタイム~優しい歌』予告編 Angel ver.

結論から言うと、『タレンタイム~優しい歌』の予告は、早々に公開日を心待ちにさせる2分間である。データベースの乏しい人でも、「なんだかイイかんじ…これ見たい!」と、思わずホホを緩ませる道案内になっているのではないか。ついぞ触れたことのないマレーシアの映画だが、なるほどここには「伝説」と呼ばれるに値するテイストが網羅されている。ちなみに辞書によれば、「伝説」ある時、特定の場所において起きたと信じられ語り伝えられてきた話―とある。

f:id:chinpira415:20191207114300j:plain話は前後するが、本作は完成後8年間、観客の口コミを支えに日本各地でささやかに自主上映され続け、今回初めて劇場公開が実現した息の長い映画だという。つまり、映画そのものが描いているのも「伝説」なら、作家の手を離れた映画が、観客に息をつながれて「伝説」と化してもいるらしい。未だDVDになっていないことも、前のめりに拍車をかける大きな要因だろう。

f:id:chinpira415:20191207114455j:plain驚くのはまだ早い!監督のヤスミン・アフマド(1958-2009)は、本作完成直後に51歳の若さで急逝。全編にわたり、生と死が非常に接近した形で描き進められたこの1本が遺作となるとは…。すべてがあまりに劇的すぎて茫然としてしまうが、『タレンタイム~優しい歌』は、この先も何度となく人々の口の端に上る傑作である。天界に召された彼女は、作品と共に永遠に語り継がれる―。

f:id:chinpira415:20191207114951p:plain本音を言えば、「伝説」とは予備知識なく、バッタリ出くわしていただきたいので、いつものようにエンジン全開で映画評にまとめるのは、いささかためらわれるのだが―。そもそもあたし自身、マレーシアのことは、何一つ知らなかった(汗)。地図上で指し示すことさえできなかったし、宗教や言語の異なる人々が共生する他民族国家だという事実も、映画を見て初めて知った。何かにつけて、日本人には想像しにくい背景じゃないか―。

f:id:chinpira415:20191207120433j:plainところがヤスミンの映画には、あたしみたいなボンクラを最短最速で射止める決定打が随所に用意されている。その一つが「音楽」である。

f:id:chinpira415:20191207120018j:plainドラマは、学内の音楽コンクール“タレンタイム”に挑戦する高校生たちを描いた群像劇。当然ながら音楽は肝になるが、競技シーン以外でも音楽を活かした演出がことごとく素晴らしい。多様な楽曲のきらめきが、ときに雄弁に、ときに思慮深く我々の胸を打ち、見知らぬ国との距離をイッキに縮めてくれるのだ。選曲はもちろん、登場人物のキャラの違いを、扱う楽器で色分けしてみせるのも、わかりやすく楽しい試み♪

f:id:chinpira415:20191207115557j:plainここで競技に絡む高校生諸君を紹介すると…。しっとりとピアノの弾き語りで魅了するのが、リベラル&リッチなおウチ育ちのムルー嬢。ギター片手に陽気にオリジナル曲を歌う転校生のハフィズ君は、母親が末期の脳腫瘍で入院中。そんな転校生を何かにつけて敵視するのが中国系のカーホウ君で、見事な二胡の腕前をお披露目。ここに、ムルー嬢の送迎役に抜擢されたインド系のハンサムBOYマヘシュ君が加わり、キーマンの多さにたじろぐほどだ(汗)。

f:id:chinpira415:20191207121527j:plainいや、まだまだ序の口。たじろいでいる場合じゃない。4人の他に、彼らの家族や親族や友人たちが出張るわ、キャラの濃い先生たちも黙っていないわ、さらにはメイドに天使に亡霊(!)までもガッツリ組み込まれた、多民族かつ大所帯のドラマなのである。

f:id:chinpira415:20191207120227j:plainそのうえ誰一人欠かすことができない役どころを配されていて、登場人物全員が主役となって奏でるオーケストラ仕立て「音楽」を網の目に張り巡らし、多様な人々がゆるやかにつながることで映画内相関図は豊かさを増し、やがてマレーシアという一国の枠を超え、目の前にすーっと「世界」が出現する! そう『タレンタイム』は、「音楽」を共通言語に「世界」が立ち上り、我々に「希望」の在りかを授ける映画なのだ

f:id:chinpira415:20191207121758j:plain例えば、耳の聞こえないマヘシュ君とムルー嬢の中越しの初恋がある。残された時間を精一杯慈しみあうハフィズ親子の情愛があり、同僚を慕う片思い先生の一途さもある…。甘い触れ合い、清らかな願い、苦く切ない別れ…など、映画は人と人が織りなす様々な情景を捉え、ときに憎々しい感情にさえも「希望」を見い出し、ユーモアを交えながら切り捨てることなく、もてなして描く。とてつもない包容力で。

f:id:chinpira415:20191207122129j:plainまた「希望」は、各人の胸の内を伝える「告白」のアクションと常に抱き合わせて紡がれるので、画面の強度は増し、我々と映画の親密度はより高まるというわけだ。だが実際の社会はそうじゃないそうじゃない状況を見据えているから、この太っ腹が胸を打つ!

f:id:chinpira415:20191207122445j:plainヤスミンは、人と人との距離が近づくほどに、民族、宗教、言語、文化のすれ違いをあえて露呈させ、むしろ世界のままならなさを容赦なく浮かび上がらせるが、黙って立ち去りはしない。まず他者との間に風を通す。そして困難さを引き受けたうえでなお、人が皆、こうありたいと願ってやまない理想の世界図を描き切る。愛は月より古く”、相互理解はけして見果てぬ夢ではないと…。うーん、思わず武者震い!

f:id:chinpira415:20191207122756j:plain映画は、念じていれば必ず見られるチャンスがやって来る娯楽。ヤスミンの作品はいずれDVDになるだろうし、回顧展も開催されるだろう。だから極力具体的なスケッチに触れないようにしてきたが、最後に1つだけシビレまくったエピソードを紹介すると―。

f:id:chinpira415:20191207123109j:plain死期が迫るハフィズくんの母の枕元を訪れては、話し相手になる車椅子の男がいる。ずいぶん打ち解けあっているが、明らかに実在の人間ではない気配。亡霊?守護神?それとも死神?…やがて迎える最期の瞬間。男が、赤く光る木苺の束を口元にそっと差し出すと、母は静かにその実を受け入れ、天に召される―。

f:id:chinpira415:20191207123632j:plainヤスミンの映画では、生者間の隔たりだけじゃなく、生者と死者の隔たりもまた溶け出して消えて行く…。未だかつて見たことがないほど慎ましく美しい最期の晩餐。まるで神話のような一節を、サラっと簡素に綴るがゆえに忘れ難い。この世のすべての優しさを引き出すヤスミンのマジック…思い返しては今も背筋がゾクゾクする―。

f:id:chinpira415:20191207194842p:plain(おまけ)名古屋で見逃したマブダチKKからこんな興奮メールが―「さほど映画を沢山見ているわけじゃないけど、これは名作。と、いうか大好き♥京都まで行った甲斐があったどころか、おつりがくるわ~」だって★タレンタイム エクスプレスですか?(笑) 伝説はこうして語り伝えられるのね…。ではバージョン違いの予告でもう一度むせび泣いていただきましょう~♫


『タレンタイム~優しい歌』予告 I go ver.

 

『タレンタイム ~優しい歌』

2009年/115分/マレーシア

監督・脚本 ヤスミン・アフマド
撮影       キャン・ロウ
音楽       ピート・テオ
出演       パメラ・チョン マヘシュ・ジュガル・キショール

 

PS 次回は12/30に更新します

わたしの“好きな時間” レポート2019📄

ネタに困ると、マブダチたちへの無茶ぶりアンケートが命綱のちんぴらです(汗)。今回は、最近のじぶんの生活を振り返り、「いま、〇〇してるときが至福の時間~♪」を教えて!と質問してみました。あの文豪トルストイは「幸福な家庭はどれも似たものだが、不幸な家庭はいずれもそれぞれに不幸なものである。」と書いておられますが、いやー、幸福も人それぞれですよ~(笑)

 

やっぱ王道か?/ペット編

【Entry NO.1】マブダチM猫達との時間🐈

f:id:chinpira415:20191114102400j:plain「至福の時、それは猫達との時間。三十郎が遊んで欲しい時に私の足をカプッと甘噛みする時。丸めた紙をキャッチボールしてる時。ふわふわの身体を捕まえてスリスリする時。かわい~い」 だって(笑)。あたしはペットと生活を共にした経験が1度もないが、三十郎のくつろぎ大胆姿態、やばくない?ノーカットOK?(爆)ヤツも絶頂タイムだよ~♥ 愛は生物系統を軽々と超えて共振するんだねっ🌼

 

【Entry NO.2】マブダチY愛犬との散歩時間🐕

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「1人で行くコテツの散歩。コテツの行きたいところに着いて行く道すがら、『今日のご飯』等々、何か考えたりする時はだいたいこの時間で、たまにコテツに意見を聞いてみたりして…。ボーッと何も考えずに、ただ歩いたりの日もあって、そんな時は本当に『無』の状態。能面みたいな顔で歩いてんだろうなーと思う。稲刈り終わったなぁ〜とか、藁燃やしてんなぁ〜とか、季節の到来に気付くのもコテツの散歩の時。」 ひとりの時間がなかなか持てない子育て真っ最中のYちゃんにとって、コテツはじぶんを刷新してくれる騎士なのね♘ むしろYちゃんがコテツに導かれているんだろうな~♬

 

 本能のまま?/フィジカル編

【Entry NO.3】マブダチF触感増幅時間

f:id:chinpira415:20191114151524j:plain「“ベストな布団で寝る”ですな。それも太陽の光でパンパンにあったまったカッサカサの布団。そして洗い立てのシーツと枕カバー!ホテルじゃんと言われそうだけど、そうじゃない。自宅のいつもの布団がいつもそうなっててほしい!だってすべてがチャラになるくらいの贅沢な気分になるんだもん」 確かにそう!Fはいつも触感と睡眠へのこだわりが強くて、ベッドも一生モノのマットレスを選んでたな。あと、乾いたコンクリート壁や紙の質感を頻繁に指先で確かめたりしてて…指先と脳が直結してるよ~(笑)

 

【Entry NO.4】マブダチK寝落ちの瞬間💺

f:id:chinpira415:20191114154522j:plain「ソファで寝落ちする瞬間。ベッドよりソファ。ベッドで寝なきゃと一瞬思いながら…速攻で寝落ちしちゃうんだよね。録画見ながらの寝落ちも嫌いじゃない。毎回同じところで寝ちゃう…ビックリするけど…でも4~5回続くと笑える。体勢がやばくて首と背中を痛める時があるけど、未だに繰返してます(汗)。でかいソファが欲しいわ」 おいおい、でかいソファってつまりそれがベッドだよ(爆)。居間の真ん中にベッドを置けよ!とツッコみたいが…ダメヨダメダメの罪悪感が寝落ち快楽のキモなんだろうね★

 

集ってハジける?/遊戯編

【Entry NO.5】マブダチYKカラオケ時間🎤

f:id:chinpira415:20191114160458j:plain「気の合う友達と仕事帰りに行くカラオケでーす。いま、歌っているときが至福の時間〜ビール片手に、昔懐かしの曲から、ちょっとだけ頑張って今の曲にチャレンジしてみたり…3時間コースで発散してます。大きな声を出すって気持ちいい〜サイコ〜」YKちゃんのカラオケタイムは、フィジカルな要素も強いけど、独り暮らしだから時には集ってハジけたい気持ちもあるんだろうな。気兼ねなくカラオケに行ける相棒がいるってイイよね~。遅まきながら気分は新宿の女子高生?👧

 

【Entry NO.6】マブダチKK麻雀時間🀄

f:id:chinpira415:20191114162852j:plain「やり始めると時間を忘れるというものは、麻雀ですね。家族麻雀ですが、始めると一日やっている気がする。夫、息子、私のパターンと、夫、私の母、私の2パターンしかメンツいませんが…。」 いいなあ~!あたしの理想のインドア遊戯👍でも老後は日がな一日雀卓を囲んでいたい…と願っているのに、役を覚えるのが面倒で、未だ参戦できない(汗)。ところで家族麻雀って、誰が言い出してどんなタイミングで始めるのかな?…互いの性分をわかり切ってる間柄でも、やっぱ負けず嫌いの血は騒ぐってか?

 

 スタート前勝負?/妄想編

【Entry NO.7】マブダチR映画鑑賞前時間🎬

f:id:chinpira415:20191114202615j:plain「お休みの日に、どの映画を見るか、一覧表見ながら、スケジュールを組み立ててる時間が好き!」「一番見やすい情報は新聞!劇場が横並びになってるから、2本ハシゴしたい自分には、とっても便利^ ^。あと、ストーリーを調べずに見るのが好きなので、チラシ、役者、監督をざっくり把握しておいて、“ どんな世界に誘ってくれるかなぁ〜”、とほんの少しの期待を抱きながら映画館へ向かうまでの時間が、好きです スマホで海外ドラマを早送りで見たりするRが、なんとここ一番の妄想源が新聞とは!鉄道マニアでいうところの「時刻表鉄」「スジ鉄」ってやつか(笑)。

 

【Entry NO.8】マブダチKOちゃん休日前時間

f:id:chinpira415:20191114210115j:plain「明日から3連休以上の仕事終わりで、嫁さんと息子が実家へ行って帰ってこない夜。映画観て帰るか?パチンコに寄って帰るか?倍ビッグマックセット買って帰り、家でAmazon Prime Video観るか?…と妄想しているときが至福の時間です。何でもそうですが、実際何かしているときではなく、妄想しているときが一番幸せなのかも…汗」 いいわー、世のサラリーマン家庭持ち男子の見果てぬ夢ではないでしょうか😢しかもその夢のちっこさが何とも切実で泣けるぅ~。ちなみにKOちゃん、一部上場企業の役員です(汗)…がんばれ~🚩

 

やりたい放題?/創作編

【Entry NO.9】マブダチの息子Oエネルギー爆発時間🎨

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「Oが一番ハッピーなのは…①昆虫を観ている時 ②弟と遊んでいる時 ③何時までと限定されない遊び&工作時間!」 

f:id:chinpira415:20191114223644j:plainエネルギー爆発~、子どもはこうじゃなきゃねー!目下、あたしの一番のライバル。ちなみに彼は4年生です(爆)。でも、じぶんからお受験に手を挙げたもんだから、遊び時間が限定されるようになり、ちょっとハジけ切れないのがイマイチとか…。まっ、しょうがねえサ、ぜんぶやり切れ~、世界は宝の山だ~、欲張ってよし

 

【Entry NO.10】ちんぴら左手模写時間🎨

f:id:chinpira415:20191114230054j:plainそして最後は ちんぴらの出番 「ジャーン、目下あたしが好きなのは…長谷川利行(1891-1940)の絵を模写する時間です!」去年開催された大規模回顧展で、見る絵見る絵ぜーんぶに武者震いしちゃってさー(汗)、今そのとき買った図録を引っ張り出してきて、毎日模写してるのよ、楽しいったらな~い。

f:id:chinpira415:20191114230126j:plainまともに模写するだけでは面白くないので、油性マジックを使用して 左手で描いてます(爆)。で、これが意外にも長谷川作品の自由奔放なパッションを浮かび上がらせるのに、ピッタリなのよね。家はないわ、日銭暮らしだわ、画材も買えずに最期は野垂死んだ波乱の画家とのコラボ、「明日は我が身」と思いながらニコニコ描いてま~す😊

―というわけで、幸福な時間は十人十色。そして移り変わっていくものです―1年後に同じ質問をしたら、みんななんて答えるかな~(笑)

PS 次回は12/14に更新します

勝手にシネマ評/『エセルとアーネスト ~ふたりの物語』('16)

『ドッグマン』『ジョーカー』そして『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』…と、ここのところ、あたし好みの狂気をはらんだ映画に立て続けに出くわして、至極ご満悦。どの作品も、内なる境界線を踏み越えてしまった主人公が、危うい領域へ転がり落ちる瞬間を捉えていて、とてもスリリングだった。予想を超える見事なタガの外れっぷりに、思わずホレボレ(笑)。ユルく凡庸な毎日を生きてる人間側からすると、ちゃぶ台返しのアクションすべてに快哉を叫ぶってわけだ。

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―が、今回取り上げるのは、これとはまったく真逆な一本。英国の絵本作家、レイモンド・ブリッグズが、今は亡き両親の想い出を綴った『エセルとアーネスト~ふたりの物語』(’16)である。

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恥ずかしながら、この著名な作家に関する予備知識はゼロ。作品も読んでいない。そのうえ原作のアニメ化だという…(汗)。チラシを見れば、写実的な画風や真面目な人物タッチ、「ささやかな幸せを大切に生きたふたりの日々に温かな涙があふれる―」との惹句も照れくさくて、むしろ腰が引けるばかりだった。…が、なぜか劇場へ出掛けた(汗)。そして悪態をついてるヒマがないほど面白く見てしまったのだ!

f:id:chinpira415:20191106225603j:plain映画は、原作者レイモンドが慣れた手つきでミルクティーを入れる、なんと“実写”シーンで幕を開ける。自宅と思わしき台所や仕事部屋を背景に、ご本人が本編の前フリをする仕立てだ。特に、ゆっくりハニかみながら両親の想い出を紐解く老画家の語り口は、レイモンドを知らない&ファミリーヒストリー好きなあたしに願ってもない導入となり、苦手意識は早々に吹き飛んだ―。

f:id:chinpira415:20191106225848j:plainさてアニメ本編は、1928年のロンドンを舞台に、若かりし頃のレイモンドのご両親の馴れ初めから始まる。陽気な牛乳配達員のアーネストが、5歳年上のメイドのエセルと偶然目が合い、手を振りあって、デートに誘ったと思ったら、あれよあれよという間にご結婚!

f:id:chinpira415:20191106225941j:plain古今東西の映画を愛好してきたあたしでも、ここまで高速ゴールイン・ドラマは記憶にないかも…マジで(汗)。しかも、ほころびを想像する気も失せるような、安心、安全、誠実、純粋なほのぼのカップルの誕生に、「おい、おい、開始早々ハッピーエンドか~!」と、意表を突かれて苦笑い。まるで、半年分の朝の連ドラを5分で早送りしたみたいなノリではないか(笑)。

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そして、若い夫婦が新居の購入にチャレンジするくだりも見物。ここでは一転、人生すごろくのスピードはスローダウン。学のない牛乳配達員が、労働者としての誇りを胸に夢のマイホームを手に入れ、夫婦で知恵と力を合わせ、丁寧に暮らして行く様子を事細かにお披露目するのだ。

f:id:chinpira415:20191106230302j:plain25年のローンを組み、入り口には鉄の門。小さいながらも庭があり、トイレは水洗、お風呂だって付いている…。エセルが思わず涙ぐむほど、それは当時の憧れの文化的生活だったのだろう。さらに言えば、少し背伸びしての人生設計が、立ち上げたばかりの若い共同体の絆をより強固にしていて、90年前の英国庶民の“暮らしの社会史”として眺めても、興味深いスケッチになっていた。

f:id:chinpira415:20191106230424j:plain1934年。ふたりに待望の子どもが授かる。雪の日の朝、難産を乗り切ってレイモンド誕生。そして同じ頃、世界はキナ臭い匂いに包まれるようになる。新しい歓びと、忍び寄る戦争の影を、映画は相互に組み入れながら、再び流麗に飛ばす

f:id:chinpira415:20191106230952j:plain「外」にどんなに荒波が立とうが、「内」は絶えず穏やかで、生活者目線を崩さないブリッグズ家のエピソードの数々…。ささやかな日常の一コマが、緩急使い分けた編集のリズムによって、イチイチ粋な小話に豹変するのには驚いた。もちろん、夫婦の素顔には夫々の個性がくっきりと浮かび上がり、日本人のフツーとは異なる側面も伺われる。ラジオから流れる政治情勢に、敏感に反応するふたりが、互いの見解を自由に語る姿は、我が国のホームドラマではついぞお目にかかれない代物だろう。

f:id:chinpira415:20191106231211j:plainまた、エセルとアーネストにとって共に身内を亡くした前回の大戦の傷は深く、あの絶望を乗り越えることで、彼らの質実剛健な生活者スタイルが確立されたことにも気づかされる。生きている限り人生の時間は、絶えず後ろへも前へも伸び続けるのである

f:id:chinpira415:20191106231415j:plain世界は再び悲劇を繰り返す。ふたりは泣く泣く幼いレイモンドを田舎へ疎開させる。同時代を生きた人々なら、誰もが味わったであろう戦時下の不自由な暮らし…。だが、ブリッグズ家の体験談は、ここでも個別的であり普遍的でもあるように映る。それはなぜか。小さな幸福を積み重ねてひたむきに生きる一家の在り方に、我々自身が信じたい生のドラマを重ねて見ているからではないか。我々の営みには意味があると―。

f:id:chinpira415:20191106231739j:plainやがて終戦。再び一つ屋根の下に家族が揃い、平和な日々が戻って来るが、政治は絶えず揺れ動き、科学の進歩は生活スタイルを一変させる。何より愛する一人息子の成長が、一番予期せぬ未知との遭遇になろうとは!(笑)

f:id:chinpira415:20191106231931j:plainエセルとアーネストに信じたい生のドラマを重ねて見てきたのは我々観客だが、劇中のふたりも同じように、息子にこうなってほしい理想を思い描いていたのである。が、それは見果てぬ夢。握りしめていた親心をゆっくり手離すと、今度は自然にじぶんたちの老いが目の前に広がるようになる―。

f:id:chinpira415:20191106234937j:plain人類が月への一歩を遂げた2年後、エセルはこの世を去り、追いかけるようにアーネストも旅立つ。ふたりの最期は、唖然とするほど即物的に描かれ、極めて残酷に映る。40年以上に渡り、ふたりの日々を丹念につむぎながら、映画は最後まで観客の思惑をいい意味で外し続け、ただただ激動の時代を駆け抜けた。

f:id:chinpira415:20191106235055j:plainそうすべては無常。誰にも等しく終わりはやってくる。しかし、はかない生の一回性に賭け、生涯を全うしたふたりの軌跡は、虚無に飲み込まれない。自身の両親を描きながら、真摯に生きたすべての人々の生をも照射したレイモンド、その仕事は大きい。


『エセルとアーネスト ふたりの物語』予告編

 

『エセルとアーネスト ~ふたりの物語』

2016年/94分/英国 ルクセンブルク

原作    レイモンド・ブリッグズ
監督    ロジャー・メインウッド
音楽    カール・デイヴィス
声の出演  ブレンダ・ブレッシン ジム・ブロードベント

 

PS 次回は11/28に更新します

 

あいちトリエンナーレ2019✑備忘録

ぼちぼち定着した感があったあいちトリエンナーレ。ところが4回目にして「まさかこんな騒動になるとは…」でしたね(汗)。あいトレを知らない人々にも、あいトレ=「表現の不自由展」=「中止」は、強くインプットされたんじゃないなあ…。正直言って、腹立たしいことがたくさん聞こえてきた。でも、現代ARTは少なくともあたしにとっては不可欠な窓。この窓が閉じられたら息ができないよ~😡

f:id:chinpira415:20191003231024j:plainというわけで、今回の騒動は一旦括弧で括り、いつものようにフリーパス券を買い求め、いつものように全会場を歩き、いつものように「じぶんから近づく」を繰り返し、いつものように未知の星と遭遇して、いつもように心地よい胸騒ぎを覚えた備忘録です。なにせ現代ARTは未来への博打ですから~♬破産しても賭け続けまーす(爆)

 

桝本佳子(1982-) 

わぉ~、理屈抜きに好き♥ なんて大胆、陶磁器でこの跳躍!『メロン/壺』('16)。目を凝らせば表面にメロンの網目が…👀ぶっ刺さった切り口の角度も絶妙✌

f:id:chinpira415:20191004100021j:plain神妙なのかラフなのか、澄まして流すべきか突っ込むべきか…。作品と対峙するとき、一瞬戸惑い、照れて気まずいムードになるそのタメ感も込みでよかったあ~。はい、お見合い体感です(やったことないけど…笑)。次のイカ/壺』('18)の光りっぷりも、思わず生唾を飲み込んだ。どんだけ新鮮なんだー!今すぐ刺し身醤油もってこい!

f:id:chinpira415:20191006113504j:plain『武人埴輪紋壷』('10)では、誰もが知ってるあの埴輪のスタイルを、むりくり壺の形に変形させて、しれーっとD難度着地!伝統的な技法を使い、壺であって壺でないが、笑いのツボはけして外さない桝本作品群、今後も追い駆けさせていただきます(ぺこり)

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ミリアム・カーン(1949-) 

スイス・バーゼル出身の女性アーティスト、ミリアム・カーン。シンプルなフォルムと、鮮やかな色使いで、遠目からでもガッツリ首根っこ掴まれちゃった~

f:id:chinpira415:20191006211558j:plainどの絵も、いい意味での投げやり加減がタマランこちらは『急いで離れて!』('10+'18) 。空恐ろしさと同時に永遠の美に届いている…。どうやら、作家が掲げるテーマはかなりシリアスなものらしいが(汗)、それでも美しいものは美しい―。

f:id:chinpira415:20191006214527j:plainお次は、奈落の底なのか、はたまた絶頂の境地か…ずるずるずるーっと落ちてゆく~『美しいブルー』(’17)しりあがり寿の傑作マンガ『方舟』をしきりと連想しちゃった。好悪の感情がせめぎ合い、紙一重のところでなるものに滑り込む…このスリルこそ美術のカ・イ・カ・ン

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高嶺 格(1968-) 

太陽がギラギラ照り付ける中を「あっち~、あっち~」とボヤキながら歩いた先に、使われなくなった廃校のプールが登場。そこに聳え立つは…「えーっ、ウソだろう~!」


あいちトリエンナーレ2019 「反歌:見上げたる 空を悲しもその色に 染まり果てにき 我ならぬまで(高嶺格)」をみてきたよ!

人間は不思議なもので、あまりに「見たマンマ」だと頭ん中がカラカラ空回りしちゃって、「へっ?これ作品?工事中?」とキョトンとなっちゃうわけよ(笑)。現実なのにマンガにしか見えないのは、プールの底があまりにきれいに切り抜かれてるから(爆)。でも考えてみたら、こんな工事あるわけないし(汗)、しばらくぼーっとしてると、立ち上がったプールの底の巨大さがじわじわ押し寄せてくるんだよね~。

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反歌:見上げたる 空を悲しも その色に 染まり果てにき 我ならぬまで』('19)は、実際は、ぺろーんとプールの底を引っ剥がしたわけではなく、分解して積み上げ、鉄骨で後ろから支え、巨大な壁として出現させているの。しかも、トランプ大統領がメキシコ国境に建設しようとしているクレイジー9メートルの壁と同じ高さに!廃校のプールに反骨の源泉が埋もれていたとは…これぞカウンターパンチよ~

 

タリン・サイモン(1975-) 

『隠されているものと見慣れぬものによるアメリカの目録』('07)は、タイトルのまんま(笑)。写真と映像とテキストで、タリン・サイモンが我々の目に届かないものをさりげなく解き明かす。とはいえ、ことさら煽るわけではなく、鑑賞者自らが「何が写っているんだろう…」とふら~っと近づく仕立てになってて、なかなかの戦略家だ。例えばこちら、お馴染みのアメリカの男性誌PLAY BOYの表紙を撮った写真は―

f:id:chinpira415:20191009083947j:plainよく見ると、ラビットヘッドの上に点字が浮き上がっているでしょ?アメリカの国立図書館にある点字版PLAY BOYなんだって!視覚障がい者のリクエストに応えた無料サービスで、中に写真は一切なく全部点字テキストらしいのよ。さーすがアメリカ、誰に対しても知る権利を提供するってことね📚 その一方で、こんな1枚も―

f:id:chinpira415:20191012120127j:plain檻?でも光と影の分量のせいか、モダンな白いストライプのハコ型インスタレーションにも見えたりして…。実はオハイオ州にある死刑囚のための屋外レクリエーション運動場(汗)。こんな風に、じぶん自身の中でイメージと事実の落差を何度も味わう体験になり、緊張度は高い。美しく作り込んだ写真が落差をより誘発するってわけ。きっと、事実に恐れるというよりは、じぶんの脳内変化に驚かされるんだろうな…。ご本人が自作について語るTED動画があるよ~👀

www.ted.com

サイモンのもう一つのシリーズ公文書業務と資本の思想』('16)も、目の付け所がシャープで、非常に練り上げられた展示だったよ。ほれ、この“ありそうでない”&“なさそうである”お花畑、なんだと思う?あのチコちゃんにもわかんないかも~(笑)。

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小田原のどか(1985-) 

「戦後日本の彫刻を考えるうえで、長崎は最も重要な場所である…」小田原のどかの展示コーナーで配布されたテキスト Look at the sculpture 冒頭の一文に、思わずゾクゾクした。彫刻史も長崎も、個人的にはまったく縁遠いものなのに、ここにはあたしが探している何かが、必ず見つかる予感がしたから―。

f:id:chinpira415:20191012141128j:plainとはいえ、戦後日本の彫刻史と被爆地・長崎に一体どんな関係があるのか…皆目見当がつかなくて(汗)、なんとなくブースに並んだ古めかしいモニュメントが写っている土産物のような置物(スキ)を眺めたり、もったいぶった公共彫刻の設置意図や社会背景を資料で示唆され、逆に今までノレなかった理由が明確になったり(苦笑)してたわけ。公共と美術の関係性って、それこそ今回の騒動を予言するような視座だしね。

f:id:chinpira415:20191012152238j:plainそして隣のブースには、砂利の上に置かれた『↓(1946-1948)』いネオンサインを放ち怪しく光る―。さっき見た米兵の記念写真に写っていた矢印と同じ形?…これが爆心地を意味することぐらいは想像できるけど…??? こうして様々な要素を目撃し、ぜんぜん整理ができないまま帰路の瀬戸線車中でおもむろに読み始めたのが、先のLook at the sculpture。そう、ここで冒頭の一文に出くわしてイッキにが沸騰したの~👍

f:id:chinpira415:20191012153206j:plain面白いよね、会場を後にしてから展示の本丸へたどり着けたんだもん(笑)。なるほど、彫刻を通じて投げ掛けられた「問い」こそが最も手ごわい構造物だったのか!台座不要、持ち運び可能な彼女の「問い」は書籍でも読めます。手始めにHPをご覧あれ💻

 

ホー・ツーニェン(1976-)

そしてあいトレ2019、ちんぴらを最ものけぞらせた作品は、シンガポール出身のホー・ツーニェンによる映像インスタレーション『旅館アポリア('19)でした✌ 会場は、大正から昭和にかけて豊田市内で実際に営まれていた料理旅館「喜楽亭」

f:id:chinpira415:20191014092629j:plain風情漂う町家建築ってやつですよ~。「わーい、わーい、中も見学できるのかな~、ラッキ~!」とひとりはしゃいで訪問♫ フタを開ければ、室内の全座敷を順に回りながら、「波」「風」「虚無」「子どもたち」と題した映像を鑑賞する仕立てに―。

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…で、なんの予備知識もなく、恐る恐る最初の座敷に入り「波」を見るわけですが…激しく動揺(汗)。本作を制作するために、作家自身がスタッフへリサーチ依頼をしてる様子が楽屋オチ的にナレーションで流れる中、なんと背後にコラージュされる映像が小津映画のオンパレードで、しかも常連役者が振り返るたびのっぺらぼう~ぎゃー!『ジョーカー』なんて目じゃない!『シャイニング』並みのおっそろしさにめまいが~

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いやー、ヤラれました(汗)。古い日本家屋に小津映画のローアングルを同機させることで、建物自体が呼吸し始めちゃって、もうタイヘン。っていうか、この手があったのか~!…と若干悔しい気持ちになっちゃった。それに、のっぺらぼうの絵も、考えてみたら「ぼくの作品には表情はいらないよ。表情はなしだ。能面で行ってくれ」と笠智衆にオーダーした小津演出の究極の形じゃね?何より小津映画が世界のテンプレートになってる事実に胸を打たれたわ~。我々日本人が一番知らなかったりして…(汗)。

f:id:chinpira415:20191014094927j:plain映画好きだからどうしても小津に気が向いてしまったけど、本作は「戦時中は海軍さん、戦後はトヨタさん」でにぎわった喜楽亭という場所との同機がもっともスリリングな体験になるの。言うなれば、“難破船”喜楽亭を再び浮かべ、戦中戦後に様々な立場で生きていた人々の断片が浮かぶ大海を眺めながら、追体験するインスタレーション

f:id:chinpira415:20191014095058j:plain仕事がデカすぎて、正直言ってざっくりでもまとめづらいけど(汗)、ここで触れた夥しい数のイメージやテキストは情報の枠を超えて確かに身体に残った。この先も幾度となく振り返ることになりそうだわ―。

富田克也(1972-)

最後は映像プログラム。富田克也監督作品『典座』('19)。富田作品とのつきあいは国道20号線('07)以来だからもう10年以上になるけど、まさかこんな展開になるとは…。だって、シンナー中毒のへなちょこ悪ガキドラマから始まって、なんと新作では曹洞宗のホンモノの坊さんたちが出演する映画を作ったのよ~、面白すぎる!そのうえカンヌに特別招待だって👀世の中何が起こるかわかりませんね(笑)。長生きはするもんだ♫


国道20号線 予告編

映画は山梨と福島に身を置く2人の青年僧侶が主人公。ただし、頭丸めて袈裟着たりしてるから僧侶と認識するものの、迫ってくるのは、寺という家業を継ぐことになった地方の青年の横顔なんだよね。そして、いくら仏教の教えを拠りどころにする道に就いたからと言って、卑近な悩みにすら答えが見つからないのももっともなわけで、彼らの惑いをあえて宙づりにしたママ提示するあたりは、富田監督らしいアプローチだったな

f:id:chinpira415:20191022114227j:plainところが今回監督は、若者を漂流させるだけの映画にしなかったの。彼らが拠りどころとする道に確かなともし火を捧げた…それが曹洞宗の尼僧、青山俊董老師の登場シーンなのよ。一度聞いたら忘れられない語り口、Eテレ『こころの時代』で見たことがあった人でさー、富田くんの映画で再会するとは…これまたビックリ仰天だった。

f:id:chinpira415:20191022195147j:plain『典座』は、わずか62分の割に要素は多いわ、とっ散らかってるわ、そのくせ繊細だわで、大忙し(笑)。そしてやっぱりやたらと心が動く「仏教」という大きな船を見つけた富田くんの勢いが止まらないよ~。11/15(金)まで名古屋シネマテークで公開中。この機会にぜひ―。

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そして粘りに粘り、 閉幕間際に完全再開にこぎつけたあいトレ。わたしも最終日に再開したブースをのぞいてきましたよ!ただ、豊田会場にまでは足が伸ばせず、小田原さんのこの写真↑『彫刻の問題』('16)と直に対面できなかったのは心残りだったなあ…。まっ、でも念じていれば見られる機会もあるでしょう。「そしてARTはつづく…」なのだから👍

 

PS 次回は11/13に更新します