ふたりの“しゃべり場”物語 🎨🖌

マブダチAくんが絵筆を取るようになったのは、確か50歳になる頃だ。パステルで絵を描く教室に行き始めたのをきっかけに、若い頃好きだったアクションをもう一度掘り起こす楽しさに目覚めたようだった。ただし50代って、仕事の重圧は大きくなる一方で体力は確実に衰えるから、好きなことに没頭する時間をKEEPするのは意外と難題…💦でもAくんはその後も地道に描き続けた。

しかも継続するだけにとどまらず、作品が描きたまったら西荻にあるギャラリー<ヨロコビto>で個展を開くようにもなっているではないか👍さーすが、イケてるビジネスパーソン!目標設定をした方が燃えるのか(笑)。でも絵に関しては、他者からの評価はあくまでオマケで、100%じぶん軸でトライしてて、社会性の高いAくんの今までにない横顔を見ることになった。そう、「絵を描く」ことに、仕事とは別の歓びを見出しているような印象を受けたのだ。

そんなAくんから、来年(2023年)夏にまた個展を開くと聞いたのは、ちょうど1年前。それまではスマホの画像で時折り見せてもらうだけだったから、今度こそ上京してナマで見よう!と早々にスケジューリング。Aくんとは、長年あらゆるテーマでしゃべり場してきた稀有な異性のマブダチだけど、創作に関してだけは照れなのか配慮なのかよくわかんないまま、何となくツッコミあってなくて…(笑)。やがて冬が過ぎ、春が過ぎ…残暑厳しい折に届いた個展のDMがこちらです👇

ゲッ!すんげー骨の折れることしてるじゃんこんなに根気があるヤツだったっけ?(笑)今までよりうんと増殖性が複雑になってるし…どのくらいのサイズなんだろう…、クラフト的な風合いはあたしが作るものと共通するような…。思わずシゲシゲと眺めていたら、何だか絵の中のモチーフに刺激され、手芸タッチで再現したくなってきた。例えばこんなかんじに—。

テクがないからめちゃザックリなんだけど、そこが味わいだから~(言い訳)。ある意味、Aくんの作品に対する“返歌”のつもりで作ってみた。最後は、個々のモチーフを箱型額縁にコラージュ。どうよ、Aくんの世界観とハモってない?😊

今年還暦になるAくんは、60作品描くのを今回の目標に1年間奮闘。途中、思うように進まず、焦ってボヤキメールが届くこともあったけど、蓋を開ければ見事にクリア。設営の様子が画像で送られてきたときは、思わず名古屋で拍手喝采した👏「へーっ、こんな描き方もするのか…」― ようよう全体像が見え始め、あたしも約束通り、開催2日めに会場へ👣

タマゲたのはすでに作品の半分以上が売れていたってこと!噂には聞いていたけど…まだ2日目ですよ2日目💦いつも「俺の作品はお手軽価格だからさー」と自己韜晦してたけど、それだけじゃないだろ~、よっ、人気者!そして初めてナマでゆっくり鑑賞させてもらい、あたしはこちらの👇<図書館司書・キョウコ>('23)を購入はい、しかとお気に召したわよ~♫

会場では白いフレームに入って展示されていたキョウコ。額装をちょっとデコラティブにした方が絵画っぽく見えると思い、作品が自宅に届いて早々近所の老舗の髙山額縁店へ。額縁を選び、その場で額装し直してもらったら、お店の人からも大絶賛!

萌黄色の壁紙コーナーにディスプレイした。素敵でしょ~😊

さてDMに返歌を贈ったんだから、ウチに届いた絵にも返歌をしなきゃ…と思い立ち、今度はキョウコの図柄をクッションカバーに仕立てることにした。押入れの端切れ箱から迷彩柄を引っ張り出し、まずはカバー本体を作った。

いよいよメイン部分。パッチワークする前に、こんな風に色や素材の風合いを吟味しながら端切れを並べてイメージ。このプロセスが最もスリリングで興奮する。実際に手を動かし始めると、思うようにいかないことばかりだからね(笑)

とはいえ…できたー半立体パッチワーク版<図書館司書・キョウコ>🙌

仕上げは、本体とメインモチーフを合体させ、四つ角に縁飾りを縫い、中にパンヤを入れてめでたく完成🏁 還暦の誕生日祝いに間に合うよう発送…ふーっ🎁

実はAくん1年前の59歳の誕生日に重い病気が発覚。その直後に、深夜にメールで病状を打ち明けられた時は、「冗談やめてよ…」と呆然となった。この先も、しゃべり場し続けることを当たり前のように思っていたから、全身から力が抜けた。ただあたしも、人生の無常を十分承知できる年齢にもなっている。打ち明けてくれたことに感謝しつつ、今まで以上に友情も全開でありたいと思って過ごした1年だった。悔しいことに、ヤツに教えられることの方がうーんと多いんだけどね(笑)

Aくんの病状は、医療科学的に見たら今も安心できる段階へは至っていないらしい…。でもヤツは、絵を描くことで“じぶん十分”になれる可動域を広げ、間違いなく幸福指数を高めた。つまり医療とは別の次元で、じぶんでじぶんのための特効薬を生み出し、自身で手当する道を見つけたのだ!本当に人間の力は計り知れない。時に思いもよらない跳躍を見せてくれる。科学療法とじぶん治癒力と、2方面からのアプローチで病との折り合いをつけ続けるAくんの姿が、妙に清々しい―

👆Aくんに贈ったクッションの画像が送られてきたこれにて交換成立だね(笑)。さあAくん、今から来年に向けて絵画制作再スタートだよ。次の作品制作ミッションは61歳61枚でどう?🎨

PS 次号は10/29にUPします

勝手にシネマ評/『君は行く先を知らない』('21)

予告映像を目にした時から気になってしょうがなかった。絶えずテンションMAXのクレイジーなガキが、スクリーンを占拠していたからだ。そのうえ、荒野を車で移動するロードムービーとくれば、間違いなく退屈はしないはず…。公開早々、急ぎ足で劇場へ直行した。

イランのパナー・パナヒ監督作品『君は行く先を知らない』は、いかにも長編デビュー作にふさわしい疾走感を保ちつつ、その一方で、葛藤という名の回り道も滋味深くつなぎ、なかなか手練れな仕上がり。改めてイラン映画の魅力に開眼した93分だった。

さて、ロードムービーと書いたが、映画はだだっ広い道路の脇に停められた1台の車中から始まる。おやおや、移動の要が動いていない(笑)。しかも、脚のギブスが痛々しい父親が不機嫌顔で後部座席を占拠し、停滞感満載ではないか。そんな父に、ハエのようにまとわりつくのが、予告で目を付けたあのチビガキ!この一家の次男坊とのことだが、予想を遥かに超えた減らず口で、車内の温度を確実に上昇させている。映画とはいえ、真夏日にこのチビと対面するのはちょっとした苦行だ💦

助手席では、やけに美人の母親がヒジャブを付けて静かに目を閉じている。ただし、やんちゃな次男にイエローカードを切るときは、手加減知らずでなかなかの迫力。ユーモアの切れ味も鋭くて、見た目とのギャップが◎ですね。そしてもう1人、どこか思い詰めた面持ちで休憩中のドライバーの姿を車外に発見。メガネの奥に頑なさが漂うこの青年は、どうやら一家の長男らしい

映画は、エンジンOFFのオープニングから家族4人を短いスケッチで狙い撃ちし、我々の好奇心に火をくべる。そもそも、車をメインに使ったロードムービーとなれば、車中は自動的に乗車メンバーたちの居間と化すので、そこへカメラが中から外へ、外から中へ自在に潜入すれば、一家4人はより立体的に捉えられる。もちろん、観客もあっという間に5番目の同乗者に早変わりだ

とはいえ、このロードムービーがフツーの家族旅行でないことはすぐに気づく。例えば、次男が携帯電話を隠し持っていてそれがバレたときの騒ぎっぷりや、長男が尾行されてるんじゃないかと疑心暗鬼になる様子とか、この旅がレンタカーを借りてわざわざ計画されたものだとわかったりもして、どうものんきなイベントではなさそうだなあ…、やんごとなき事情があっての移動なんだな…と、推察できるのだ。

おそらく、まだ幼い次男坊だけは何も聞かされていないのだろう。まあ、聞かされたとしても、チビのあの超絶おしゃべりが止まるとは思えないが―(笑)。そのうえでザックリ言うと、一家は父親と長男が陰キャラで、母親と次男が陽キャラに設定されているのね。

カーステレオから流れる懐メロに即座に反応するのは陽キャのふたりだし、何かとリアクションに富み、目にもハートにも小気味イイ。反対に陰キャなふたりは、独りで勝手に世界の不幸を背負い込んでいる気配が濃厚で、口を開ければボヤキ調。本人たちは気づいてないだろうが、典型的な似た者親子。これまた別の意味で見飽きることがない

わちゃわちゃとむっつりが混在し、行く先も名前も不明の一家4人。あっ、失念。唯一名前を呼ばれるメンバーがいた!最後部席で大人しく横たわる愛犬のジェシー。ただし、哀しいことに死期の迫った状態にあり、安楽死させるべきかがみんなの悩みの種だから、これまた車内の空気を複雑なものにしている。

ではこの先、閉じた空間のままで物語をどう展開させるのか…と見ていると、自転車ロードレース中の一団と遭遇するではないか。意表を突かれた。しかも、最後尾で悪戦苦闘していた選手の一人が一家の車に接触して転倒したため、自転車ともども車内に招き入れることに。すると今度は、突然の珍客と、不正が発覚して永久追放されたランス・アームストロング選手ネタで大モメとなり、オヤジもチビガキも口が減らねぇ!

遂には、ピスタチオを拾っている間に競技集団を抜き去り、珍客を遥か先頭で降ろしてやって、まさかのごぼう抜き展開。ケガのシンパイより、あえて不正の片棒を担ぐアナーキーさがこの一家にはある。あー、面白い!行きずりの他者との化学反応にこそ、ロードムービーの醍醐味がある。

やがて一家の旅の目的が輪郭を見せ始める。次男坊には「お兄ちゃんは結婚して家を出る」と言い聞かせていたが、実は長男は単身で国外逃亡する意思を固めているのだ。そんな長男のために、父親は家も車も処分して金の工面をしており、母親のシンパイはもっとストレートに「行かないで」。詳しくは語られないが、合法的に母国を去るのではなく、家族4人が生きて再び会えぬレベルの別離が待ち受けている

そう、これは最後の家族旅行。そして4人はいよいよ最終コーナーのトルコとの国境近くの村へ、長男を送り届けに到着。目の前には、山間で羊が群れる景色が広がるが、一服の風景画のごときのどかな眺めが徐々に謎めきはじめ、案の定、ここから先は息を凝らして見守る絵の連続となる

羊飼いが亡命請負業者だったり、霧の中から覆面をした手配人が現れたりと、あれよあれよという間に映画のトーンが変わり果て、風雲急を告げる展開になるではないか。何が何だか分からない。霧の効果もあって、劇中劇に突入したような、ハシゴの外され方だ。

しかも、状況が変わるたびに引きの絵が増え、4人の姿が米粒くらいに小さくなり、目で追えない。我々は親しくなった一家と引き離され、もはや山の向こうに響き渡る差し迫った叫び声から成り行きを想像するしか手立てはなく、心細さの極致へ放り出されるのだ。

自国に希望が持てぬ若者が、家族との生き別れを承知の上で亡命を決断するとは…テーマとしては相当深刻で重い。ただ、そんな長男と共に、父性も母性も次男坊の無邪気さも極限まで出し尽くして旅してきたからか、閉幕に向けて奇妙な爽快感が一家に宿り始める。一家4人がそれぞれに、「家族だからこそ」と「家族といえども」の間を行ったり来たりして抱いた様々な感情が、旅の時間の果てに浄化され、輝きに転じたように見えたのだ。

イランの懐メロが流れる中、泣き笑いのエンディングが胸に染みる…。4人+1匹で始まった旅が、幕切れには3人にシフトチェンジしても、それでも人生はつづくのだ―


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『君は行く先を知らない』

2021年/93分/イラン

監督/脚本   パナー・パナヒ
製作    ジャファル・パナヒ パナー・パナヒ
撮影    アミン・ジャファリ                                              
出演    モハマド・ハッサン・マージュニ パンテア・パナヒハ           

PS 次回は10/13に更新します

みんなの“夏を感じる一曲” アンケート🍉【楽曲重視編】

“マブダチたち”からヒアリングした恒例のアンケート特集夏を感じる一曲」の後編【楽曲重視編】です。ズバリ、耳にするだけで気分は夏全開となる楽曲が並びます。前回同様、ここでも誰一人選曲が被らない(笑)つくづく耳👂の想像力も個々に無限大だと思わずにいられません。ではではどぞー♫【レポート①K・Kさん 】私の青春ドストライクの夏ウタは、1986 OMEGA TRIBE<君は1000%です。キーボードの音色が美しいイントロ。カルロストシキの鼻に掛かった甘い歌声。あどけなさが残る特徴的なリズムの取り方(笑)…当時の私には全てが眩くて。そのうえ歌詞が倒れるくらいに素敵♥特に好きなのは「輝くハレーの雫さえ その髪に散りばめ~♬」のフレーズ。壮大な比喩が可憐な女性を際立たせています★余談ですがカラオケでよく彼の真似をしてました。特に英語歌詞のところ!ウケましたね(笑)
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▶いやー、カルロストシキの声、今聞いてもウケる!聴いてるこっちがなぜかこっぱずかしくてテレるというか(笑)。そう、ベタな少女漫画の香りがするんだよなー。Kちゃんは英語歌詞フレーズまでカラオケで披露してたなんて…バカウケ間違いなし!

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【レポート②O・Mさん 】わたしが“夏を感じる一曲” は、吉田美奈子<ラムはお好き?>(1976)。名盤<FLAPPER>に収録されてます。吉田美奈子が大好きだった…。うちの5軒隣のレコード屋で買った時の感じも何となく思い出す…。最近、Eテレのミニ料理番組「365日の献立日記」のオープニングに使われてて、久しぶりに聴いてちょっと嬉しかったなあ~


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▶はい、あたしにもMからこの<FLAPPER>を借りて、聴き惚れた10代の想い出がありまーす😊<ラム~>の歌詞には夏を匂わせる言葉は出てこないけど、ベル・エポックの時代の甘く華やかなロマンスの香りがして、何ともチャーミング★バックミュージシャンの顔ぶれがこれまた超豪華なんだわさー!

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【レポート③F・Tさん 】梅雨が終わり、蝉が鳴き始めると、かせきさいだぁ<じゃっ夏なんで>が聴きたくなります。はっぴいえんどの「夏なんです」をHIP-HOPにしたような曲。小説のような世界観が好みです。発売当時、HIP-HOPを聴かないような友人が「日本人で良かったわ、この曲を味わえて」と言っていたのが印象的でしたしかし風鈴も風情ではなく、近所迷惑のご時世になりましたが—💦


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梶井基次郎の「檸檬」がHIP-HOPに挿入されるとは!でも確かに「檸檬」のいたたまれなさの一人語りって、HIP-HOPそのものだね~。要は、いつの時代も若者は、自意識をどう消化するかで勝負してるんだな。

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【レポート④H・Rさん 】基本、音楽は洋楽派ですけど、季節しばりだとなぜか邦楽しか出てこない…💦春➡春一番が〜♫byキャンディーズ、冬➡冬のリビ~エラ〜♫by森進一、秋➡枯葉よ〜♫byナット・キング・コール(これは洋画(^-^;。だから夏は➡あー、夏休みぃ〜、ちょいと泳ぎ疲れ、胸にくぅーる、べいべー(1990)byチューブです(^^;;。歌のサビに季節名が入ってるってのがポイントですね(笑)。


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▶よりにもよってRがチューブ?めちゃ意表を突かれたわ(笑)。そして、季節しばりだとなぜか邦楽しか思い浮かばないのは、想像する際に言葉の比重が大きいんだろうね。ホント、聞いてみないとわからないねー。

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【レポート⑤N・Kさん 】夏を感じるアーティスト”で選びたいのが、ハワイ・オアフ島ノースショア生まれのJack Johnson 2005年、ミスドで流れてきた曲が気になり、聞き取れる歌詞からネットで調べて行き着いたアーティストです。その時の曲は<Sitting, Waiting, Wishing>(2005)。早速アルバム【In Between Dreams】も購入。以降、夏になれば必ずこのアルバムを車の中で聴いてます。木陰でビール飲み飲みボーっとハンモックに揺られながら聴けたら最高なのになぁ~🍺


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▶個人的には「2005年ミスドで…」ってくだりにウケた~。Kが愛煙家だった頃、毎朝出勤前に尾頭橋ミスドで時間ぎりぎりまで珈琲ブレイクしてたからさー(笑)、懐かしくて鼻の奥がツーンとしちゃったよー。そんなKも去年定年退職。ヘビースモーカーだった逸話も遠い昔ばなしに—。人生は無常だね~。

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【レポート⑥T・Yさん 】基本的に夏が得意ではなく、いつも夏空を仰ぎながら
「あ~早く秋にならないかな~」とぼやく私(笑)。よって夏への思い入れも特にないのですが…。唯一、ピン!ときたのが森山良子さとうきび畑(1969)。なんとなく晩夏を彷彿させる世界観だからか?と思って調べてみたら…ビックリ。【吹き抜ける風の中に聴こえた戦没者たちの悲しみの声…。静かに淡々と訴えかけていく反戦歌】―なんだとか。いったい私はどこに共鳴したのでしょうか???


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▶森山さん本人がレコーディングしたものの、歌詞への重責で30年間唄えなかったっていうくらいだから、むしろ曲の複雑な背景に、人知れず共鳴したんじゃね?あの一度耳にしたら忘れられない「ざわわ♫」のリフレインは、歌を越えた祈りだからなのかな…。

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【レポート⑦H・Aさん 】元々、暑いのが苦手&明るい性格でもないため、頭を捻っていたところ、ある交差点で信号が青に変わった瞬間に、「夏=Summer」ってことで、Donna Summerがひらめきました!広い音域を余すことなく使った圧倒的な歌唱力が魅力的な歌手。何より元気が出る。ここでは<MacArthur Park>(1978)を挙げておくことにします。都会的な曲想で、車窓を風景が流れていくような様は「中央フリーウェイ(松任谷 由実)」にも通じるように感じています。


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▶「夏=Summer」➡ドナ・サマーって、もう、ギャグ狙いかよー(笑)。とはいえ高校生の頃、ディスコ・クィーンの名で君臨していた彼女に興味はなかったが、いま聴き直すと、あまりの歌唱力に立ち眩みがしましたよ~。難しいカヴァー曲をじぶんのものにしちゃってて確かに“熱い”。やっぱドナ・サマー=夏でした♪

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【レポート⑧F・Kさん 】<夏をあきらめて>(1982)だなあー。サザンの名曲だけど、研ナオコのけだるい歌声が、泳いで疲れた夕方の夏にピッタリでよいわー。あとハイレグ水着とか、80年代がリアルタイムだった気分や風景も感じられて、懐かしさと今の歌にない大人の夏感が好きです。昔の若者って大人っぽいのに憧れがあって…早く大人になりたかった日々が思い出されるのよね。とはいえ季節に関係なく研ナオコは、実家から夜の国道を走らせながら聴く定番ソングです🚗


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▶そう、研ナオコは“晩夏”だよね~。しかも“挽歌”にも聴こえるというか…。鼻にかかった演歌声が、ギリギリのところでシティポップに転んで着地するよね。けっこう離れ技じゃね?上等な歌い手だと思うわ。

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【おまけ 】最後はちんぴらの夏うたです。実はあたしも夏は苦手💦早く重ね着がしたいよぉ~、と切に願うタイプ(笑)。そこで、キラキラした欧州の夏の終わりを切なく妄想するこの一曲で〆てみました。パーシー・フェイス・オーケストラ<夏の日の恋>あたしが生まれた年、1961年のグラミー賞受賞曲なのです


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前後編16曲。人に音楽あり、人に歴史ありでした~♫あー、楽しかった😊

PS 夏休みを1回挟み、次回は9/29に更新します

みんなの“夏を感じる一曲” アンケート🍦【思い出編】

クソ暑い中、“マブダチたち”からヒアリングした恒例のアンケート特集。今回のお題は「夏を感じる一曲」です。集まった回答をながめると…今回もざっくり2つのパターンに分類できました。まずは、個人的な夏の体験から連想した楽曲が並ぶ【思い出編】のお届けです、どぞー

【レポート①O・Kさん 】夏がくれば思い出すあれはそう、大学1年の夏休み。合宿免許で1カ月間鳥取に行きました。たまたま同じように合宿に来ていた女の子たちと仲良くなり、講習のない日には、一緒に海や巨大迷路に行って遊びました。そうなんです!その時、自分はめたくそモテたんです!そして彼女たちが聞いていたのが久保田利伸。僕もハマってカラオケとかで歌っていましたねMissing>(1986)。今となってはちょー恥ずかしい💦その時に知り合った子と結婚した友人もいましたが、僕がモテたのはその時だけでしたね…切ないおもひでぽろぽろです😢


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▶聞いてねーよー、そんなとびっきり笑えるエピソード!まっ、過去の成功体験を反芻して、ひとりウットリできるのが男子の神髄、カンペキだわ~。しかも久保田ってところがなんともリアル(爆)。カラオケでMissingを歌う日本中のサラリーマンおやじの9割が、このパターンだと考察できたぜー、あついぜー👍

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【レポート②K・Kさん 】今回はかなり悩みました💦夏の歌いろいろありすぎ(笑)。一曲目、サザン愛の言霊(1996)20代も終わりの頃に、この曲を歌っている男子がいて、めっちゃかっこよくて、私にとってサザン史上一番の名曲となるわけです。なんだかんだと紆余曲折があり、その男子とは次の夏にはドン詰まって終わり、<Oh!Claudia>(1982)に浸るというサザン尽くし😢


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小学生時代の夏休みの楽しみと言えば、再放送アニメ。ラジオ体操➡子供会活動➡帰るとちょうど始まる妖怪人間ベム(1968)。汗だくで帰って1日1本のキリンレモンを飲みながら見た…ストーリーを一つも覚えてないのに…毎年見続ける謎。とにかくこのオープニングが好きで好きで💦


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▶聞いてねーよー、大体<愛の言霊>を歌いこなせる男なんて現実にいるのかよー、暑くて錯覚したんじゃね?<妖怪人間ベム>もある意味、幻みたいな傑作アニメだし(笑)。そう、ここでK・Kを物語る最も大切なエピソードは1日1本のキリンレモン!いまではビールに置き換わり、「うっま!」を連呼♫~

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【レポート③O・Kさん 】伝説のフォークデュオ・風の<海(1977)でーす♬中学生時代、初めてギターを弾いてみようとトライして挫折した思い出の曲🎸「はじめてがコレ?ハードル高すぎでしょ😆」とヨメは呆れてました~😊


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▶聞いてねーよー、そもそもヨメの言う通り、引けるイメージが1ミリもわかない💦足摺岬でワンパク坊主していた頃のKの妄想は、台風より猛威を振るっていたね~🏁

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【レポート④K・Yさん 】吹奏楽部に所属していた高校時代。校長先生のリクエストで、文化祭で演奏する事になったのがコパカバーナ(1978)。夏から練習が始まり、軽快なラテン系の音楽が季節にピッタリだった。今年も連日鬼のように聴いてる(笑)。ずっと吹奏楽用の楽曲と思い込んでいたら、大学卒業して就職した会社の部長が、カラオケで英語で歌い出してビックリ!歌詞も悲惨で、ただの陽気な曲じゃなかったと、ショックを受けた思い出の曲でもあるのです
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▶<コパカバーナ>、ディスコ全盛の高校時代、毎日流れていたわ。おそらくあたしは、世代的には校長や部長と近い(笑)。しかし歌詞の意味は今回初めて調べてびっくりドンキー。ノー天気ヒットソングかと思いきや、これほど惨酷な人生ドラマだったとは!

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【レポート⑤I・Sさん 】笑っていいとも!」が始まる前によく流れていたビオヂアスのCM曲です。私が高校時代に所属していた合唱部は、毎年夏の合宿で缶詰めになって練習を重ねていました。最終日の夜には有志が出し物をするお楽しみ会があり、そこで友達と4人でこの歌をCM通りに歌いました。絶対音感がある友人が耳コピして楽譜に書き起こし、各自パート練習を重ね、いざ本番♫「笑っていいとも!」のオープニングも完コピして会場は大盛り上がり👏高3の夏の思い出です。


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▶マジか?Sも部活の想い出?…ただし、選曲と、イベント魂全開気質と、鋭いギャグセンスにはSの今も変わらぬ特質を見るようで、場が大盛り上がりになったのも難なく想像できる。「いいとも」パートでは、いいとも青年隊に扮したらしいけど、高3からすでに興行師?(爆)

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【レポート⑥O・Yさん 】高校の吹奏楽部時代を思い出す、工藤静香<MUGO・ん…色っぽい>(2007)吹奏楽部と言いながら、体力とリズム感強化の一環で、週1.2回校舎の屋上でダンス練があった。暑かろうが寒かろうが全員ジャージ姿で強制的に、曲に合わせてオリジナルのダンスを踊らされる。狂ったように全力で…。入部当初は恥ずかしくて仕方なく、校内でも「これだから吹奏楽部はヤバイ」と煙たがられる一因だ💦それがガンガン本気で踊れるようになるのが夏の大会頃で、この頃にはむしろ率先して踊るように(笑)私にとって大切な夏を感じる一曲です。


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▶ひぇー、またもや部活の夏の想い出かいな~!つーか、あたしの現役学生時代は、文系部活にまったく縁がなかったからさー、音楽にひと夏の青春をかけてる若者像が想像できなくて💦もしかして部活体験者にとってみたら、曲への思い入れは歌い手以上かもねっ★

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【レポート⑦M・Kさん 】1994年2月のカーニバルの時期に,真夏のリオで2ヶ月間研究者修行してました。連日巷で流れていた,その年のノーミネート曲の中で,いちばん耳についたのが,優勝候補 No.1チーム「マンゲイラ」Atrás Da Verde E Rosa Só Não Vai Quem Já Morreu>でした。優勝は逃しましたが、30年前の本番映像がupされていてびっくり!さすがお祭り王国!クソ暑くなると,今でも「me leva que eu vou sonho meu ... ♪」のフレーズがアタマに流れま~す。


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▶もー、どうかしてるぜ~、リオのカーニバル(爆)。各チームは、毎年テーマを決めて、パレードのプロットやオリジナルソングを作るとか。曲のタイトルは「生きてる奴らはみんな緑とピンクのチームカラーのもとに集まれ!」みたいな意味らしいけど、町全体が往年の紅白の小林幸子状態じゃないかー💦画像見るだけで熱中症だー

PS 後編の【楽曲重視編】は8/29にUPします。お楽しみに♬

 

 

大人の喫茶店☕ 《yuge》へGO~♬

マブダチTが去年(2022年)の暮れ、西区天神山町で喫茶店を開業。ちょうど半年経ち、落ち着いてきた頃合いなので、みなさまへご紹介しようと取材してみました😊お店の名は《yuge(ユゲ)まずはSHOPカード、表と裏(笑)

うーんと年下のマブダチTとの付き合いは長く、もう20年近くになるのかな…。13年くらい東京で働いていて、じぶんで商売をしたいと思ったときに、地元名古屋に戻り、1年くらいかけて物件探しから始め、晴れて開業に至たという流れでした。この間、進捗は随時聞かせてもらっていたけど、店の窓から押切公園のグランドが見えるこの物件と出会えた時は、「待ってよかった!」と大喜びしてました👏

他にも当初から彼女が譲らなかったポイントは3つあって、まず店名。yugeの由来は、蒸気の「湯気」ではなく、何ものにもとらわれずに自由自在なことを表す仏語の「遊戯」なんですわ。それと、TRIMSO(トリムソウ)という工務店さんのセンスを気に入り、物件が決まる前から相談に行ってました(笑)。最後は、時代を逆行するかの如く、喫煙できる喫茶店を開きたいというこだわりがありました。

さて前置きが長くなりましたが、いざ大人の喫茶店☕《yuge》へ—こちらが入口です。10年近く空き店舗になっていた物件が、シックな色調で大人喫茶店としてOPEN!Take Out用の小窓も、彼女のイメージ通りの仕上がりになってます。壁のタイルあしらいにグッときますね~

店内に入り、右側の小窓の内がこちらの画像。会計とTake Outのためのカウンターが設えられてます。山小屋風ライトもアクセントになってますね。

そして左側は紫色のソファーがコーナー展開になっていて、まるで“お昼間スナック”風~♬ 陽射したっぷり、我がもの顔で寛げます(笑)。

そのまま窓に沿って、並び席が4席続きます。昔の純喫茶でよく見かけた木製で低めの椅子は、長居するのにサイコー👍背と座面をコバルトブルーとカーキーの布に張り替えてて、店内の色彩設計がシックにまとまってました。

正面突き当りがお手洗い。その前に目隠し用の壁が一枚仕切りになってて、店舗のロゴがさりげなくあしらわれてました。派手過ぎず地味過ぎず…シャレてます。


突き当りの壁には、ちんぴらがオープン記念に進呈した、マティスの〈グレーのパンタロンオダリスク(1921)半立体にコラージュした手作り作品もかけられてますよー、ヤッター!ウチで眺めるよりナイスじゃないの~、自画自賛😊

厨房前のカウンター席から眺めると…飾り棚に並ぶカラフルなマグカップが絵になってます。塗り壁のテクスチャーにも味わいがありますね。

最後に、奥から入口を見渡してみました。カウンターの天板に貼られたタイルの色合いが美しい。床、壁、家具…全体の色調が見事にハモってます。また、天井には強力な換気設備をしてて、喫煙できるけどクリーンな空気がKEEP。愛煙家以外のお客さんもごくフツーに来店している理由がわかりました。

お待たせしました、ここからはメニューのご紹介~♬最近始めた、金・土限定の自家製カレーランチがこちらです👇 無水&無添加グルテンフリーで、スパイスと野菜たっぷりの茄子キーマカレー。ご飯はジャスミン米をベースにアニスやスパイスシードで香ばしく爽やかに仕上げたレモンライス。日替プチサラダも付いてます。このレモンライスとスパイスカレーの組合せが超ウマくて、他では味わえない絶妙カレーです

お店の看板となるのは、やっぱyugeオリジナルのブレンドコーヒーでしょう。深入りなのに爽快!出張り過ぎず、かつ存在感は残す仕上がりになってます。粘りに粘ってバリスタさんに交渉したとか…こだわりの強いTらしいエピソードです😊

そしてスィーツ好きにたまらないのが手作りケーキメニューでしょう。今回は特別にわんぱく盛りでご紹介。手前から、カレー並みにスパイスを使用したグルテンフリーのキャロットケーキ。トップにはレモン風味の豆乳フロスティングを。左奥は、小麦粉、卵、乳製品一切不使用のしっとりバナナタル。シナモンソルトを効かせてシャレオツです。最後は、米粉100%使用で保存料や白砂糖不使用&無添加シフォンケーキが2種類並んでます。豆乳ホイップをつけて食べるとさらに◎

大人になってから、ある日突然アレルギーが出るようになったT。食べると調子が悪くなっちゃうものが増えたけど、ヴィーガン専門のお店に美味いものがあったためしはなく、しかもバカ高い💦だったら自分で作ってみよう、思想ではなく、味で勝負するぜ~♬…と、お菓子作りからユルく始めました。なので、ことさらヴィーガングルテンフリーを謳い文句にしてません。そもそも愛煙家だしね🚬(笑)

【番外編】yugeを訪れ、お店をお気に召したマブダチMの愛娘Eちゃんは、理科の問題でこんなエッジの効いた解答をしたらしいよ、恐るべし小学生バカウケです(笑)。とりあえず先生にお店に来てもらえれば、さらに加点されるでしょう😊

そうそう毎日、いろんな種類の生花がコーナーごとに活けられ、お出迎えしてくれるのもyugeの魅力🌼みなさま、ぜひ大人の喫茶店、《yuge》へGO~♬我が家のごとく寛げること間違いなしです!地下鉄浄心駅から徒歩6~7分ですよ👣

PS 次回は8/13に更新です

 

紙芝居映画劇場『ペーパー・ムーン』(1973年)🌛PART2

さて1973年制作のアメリカ映画ペーパー・ムーンを、手間ひまかけた紙芝居仕立てで紹介する特集の後編です。アディとモーゼは、親子と偽り、聖書を売りつけながら、アディをセント・ジョーセフに住む叔母さんの家まで送る旅を続けてきました。ところが、モーゼが見世物小屋に出演していた自称ダンサーのトリクシー(マデリーン・カーン)にぞっこんになり、車に同乗させると言い出すではありませんか!むろん、助手席から追い払われたアディは面白くありません。

付き人イモジー(P.J.ジョンソン)も乗り込んできて、縁もゆかりもない奇妙な4人旅が始まります。イチャイチャしながら、男女の駆け引きに夢中になる前列のふたりとは対照的に、後部座席では、9歳と15歳の少女ふたりがかったるそうにタバコをふかしながら、互いの境遇を打ち明け合ったりして、メチャ可笑しい。すでに老成か…?

いえいえ、さすがはアディ、大人しくしてるはずなどありません。どこに座るか問題で、本気でちゃぶ台をひっくり返して自己主張。だだっ広い草原で、女VS女の、意地をかけた一騎打ちが繰り広げられるんです。ただし、ここはトリクシーが一枚上手。本音を打ち明けつつ、今だけ譲れと交渉が成立します(笑)。

とりあえず一旦引き下がったアディ。でも恋に浮かれたモーゼを目覚めさせるため、軽薄そうなホテルのフロントマンを間男に仕立てようと画策するんです。

何度も書きますが若干9歳です(爆)。でも、仮のパパでも、トリクシーの色気に骨抜きにされてゆくのを黙って見過ごせないんですよね~。娘目線の嫉妬と、女目線の嫉妬が複雑に絡み合ったアディの演技に舌を巻きつつ、切なさも募る場面です。

最終的にはイモジーンに協力金を支払い、結託してウソの芝居をし、別れさせることに成功。寝取られ男になったモーゼは、アディに「大きくなっても男をだます女にだけはなるな」と約束させて、再び二人旅に戻るのでした。しかし色ボケの貢ぎ代は大きくて、休業中にせっせとため込んでいた儲けが激減。そんな時、ふたりは密売人らしき男が酒を隠し持ってる納屋を見つけ、泥棒に入ります。しかも、大胆にも盗んだ品を当の密売人に売りつけて荒稼ぎに成功💰…が、ウカれていたのはそこまでで、警官に見つかり、夜更けにしょっ引かれるハメに💦実はこの悪徳警官は密売人の一味で兄弟なんですよ~。よって尋問はシャレにならず、超ハード💦映画はサスペンス調に早変わりします。はてさて最大のピンチをモーゼとアディがどう切り抜けるか…は、見てのお楽しみです★

カーチェイスあり、車交換劇ありで、最後の最後までネタは大盛です(笑)。

何とか追っ手を煙に巻き、州越えに成功したふたり。せしめた大金で、今度は銀山を騙し当てようと意気揚々ですが…。最後の最後にモーゼはボコボコにやられ、有り金全部を、巻き上げられるのです…オーマイガー!

当初の予定通り、モーゼはアディをセント・ジョーセフまで送り届けます。叔母さんちは想像より善人で、落ち着いた暮しができそうなのは一目瞭然。それでもアディは最後にもう一度尋ねてみる…「私のパパでしょ?」と。しかしモーゼはきっぱり否定。そして感傷的なるのを避け、さっさと車を走らせ立ち去って行くのですが…助手席に夜市で撮ったアディの写真を発見👀映画のタイトルがここに重なるのです!

はい幕切れは映画史に残る見事な仕上がり、セリフも表情も間合いもカンペキです。意地っ張りなふたりの掛け合いは最後の最後まで対等でクール。それゆえに何度見返しても胸に迫ります。

200ドル貸しで振出しに戻ったふたり。そのときブレーキの利かないトラックが、坂道をゆるゆると勝手に下り始め、モーゼとアディは慌てて駆け出します。遥か向こうには一本道がどこまでも続き…。映画を観ることの幸福がここに極まります。

【おまけ】ネタバレどころの騒ぎじゃない、詳細解説でしたね(笑)。『ペーパー・ムーン』は、バディものであり、ロードムービーであり、詐欺に、犯罪に、アクションに、ドタバタ会話劇のテイストも加わった、映画の醍醐味テクがふんだんに使われている贅沢な1本なのです。ちょうど50年前に作られた作品ですが、この先も永遠に愛され続けることでしょう。そうそう、アディがいつも抱えていた葉巻の箱を利用した宝物入れの中味がこちら。子どもの頃、同じようなことしてたっけ…😊

そして、この1ヵ月、ずーっとアディ・モードになっていたあたしは、なんとアディ紙人形を作りました(どんだけヒマなんや~)!映画に合わせてモノクロ仕様です。

とにかく劇中でアディの身に着ける衣装がたまらなく可愛いので、それっぽく再現してみたのです(笑)。オーバーオールだけは、本物のデニム地を利用したのもミソ。彼女の正装ですからね。最後は石鹸の缶BOXを葉巻の箱に見立てて~♫

その後「そういえば、天才子役ともてはやされたテイタム・オニールって今どうしてるんだっけ?」と、ネットで調べたら…なかなか大変な人生のようで—💦本当の親子共演で得た栄光は、映画のように甘いオチとはいかなかったみたい…😢一方映画のヒットにあやかり、TV版が作られて、アディを演じたのは幼い頃のジュディ・フォスターTV版はコケたけど、その後のJ・フォスターの躍進ぶりはご存知の通り。人生とはなんと皮肉かー

PS 次回は7/29更新です

 

 

紙芝居映画劇場『ペーパー・ムーン』(1973年) 🌛PART1

ある日行きつけの図書館で1973年制作のアメリカ映画ペーパー・ムーンが目に留まり、借りてきて35年ぶり(!)に見直したら、想像以上に染みちゃって…😢そこで今回は作品への敬意をこめ、手間ひまかけた紙芝居仕立ての紹介にトライ!少々画像が多いので、2回に分けてお送りします。まずはPART1どぞ~♬

舞台は1935年。大恐慌時代のアメリカ中西部。映画は埋葬シーンから始まります。母親を交通事故で亡くしたアディ(テータム・オニール)は9歳にして天涯孤独の身になりました。そこへ母の元恋人らしき男モーゼ・プレイ(ライアン・オニール)が、ポンコツ車に乗って参列します。聖書訪問販売員を名乗るいい加減そうな男ですが、ご近所さんからアディをミズーリに住む伯母の家まで連れて行くよう頼まれると、渋々ながらも承諾。一緒に旅立つこととなりました。荷物をまとめモーゼの車に同乗したアディは、無邪気に喜ぶどころかクールな態度でモーゼの行動を観察します。いい人だけに見えないけど、コイツいったい何目的?…と値踏みしてる様子です。9歳にしてダミ声のアディ、タダ者じゃありません💦

案の定説明もなしにアディを連れて行った先は、母親が事故った時に運転していた人のお兄さんち💦事故を起こした当事者の身内ってところがミソですね。はい、示談を持ちかけて慰謝料をせしめようとの魂胆なのです2000ドルと吹っ掛けて、あっさり200ドルで手を打つモーゼの小者感が笑えますが、黙って一部始終を盗み聞きしてるアディに早くも正体は見抜かれています。ちゃっかり車を買い替えているけど、それ誰のお金?…と冷ややかに―。

それを知らぬモーゼは、最寄り駅からセント・ジョーゼフに住む叔母さんへ電報を打ち、列車に乗せ、示談金を独り占めして、体よくおさらばするダンドリです。

ひなびたゴーラム駅の風情がいいですよね。だだっ広い大地が物語を喚起させます。おそらくセットでしょうけど、アメリカのどのあたりか思わず地図で調べちゃいました(笑)。それにしても、どこまでも奥が深い撮影ですよね。

さて列車が来るまで小休止のつもりで入ったレストランで、ふたりの本音がさく裂します。わたしのパパじゃないの?とツッコまれ、詐欺師のクセにムキになって否定するモーゼのジタバタぶりが可笑しいのです。店内の装飾やお客たちの様子が書割りと化し、まるでアディ&モーゼの掛け合い漫才を見るかのよう~、ブラボー👏

パパじゃないを立証するため、アディに借金ができたモーゼは、本業で稼ぎながら彼女を送り届けることにします。その本業は未亡人宅を訪問し、生前ご主人が聖書を注文していたとウソをつき、残金の支払いを要求するというセコイ手口。ただこの不況下でもテクとしては意外と有効。アディはモーゼの商売をじっと吟味し続けます。そんな風に映画はユニークなロードムービーのフォーマットで綴られます。例えば夜になると安宿でもベッドを占拠し、ラジオを聴きながら一服するアディの牢名主ぶりなど目が離せません。何せモーゼは借金を背負ってしまったわけで、立場は逆転です。ところが大人顔負けに勘が鋭く、口が達者なアディが、いたいけな子役としてモーゼのアシストをして訪問販売に乗り出すと、瞬く間に売上がUPするではありませんか。そう、モーゼも詐欺の場では親子に扮することを厭わず、商売繁盛ににんまりです😊

になるとわかれば、計算高いモーゼは簡単に転びます。一緒に組んで稼ごうと持ち掛けます。9歳女子の顔色をうかがいながら、話を切り出すちっこさに爆笑しました。

仕切るのはオレ、おまえはかわい子ぶって隣に立ってるだけでいいからと、身だしなみ用のリボンを買いに行き、先行投資に抜かりありません。雑貨屋の店頭で、ご婦人店主から釣銭をせしめるモーゼの5ドル札詐欺、あたしもイッパツで騙されました~💦

訪問先が小金持ちそうだとわかると、モーゼの得意のメソッドを無視し、速攻で値を釣り上げるアディ。目利きの天才です。

道中、職を失ってさまよい歩く人々をふたりは目にします。特にラジオ愛好家のアディは日頃から国の動向に敏感で、ニューディール政策を打ち出した大統領を応援し、貧しい人々に同情的。一方しみったれのモーゼは了見が狭く世間に冷たいので、ふたりは互いに譲らず丁々発止を繰り返します。しかし最後は商売第一に立ち返り、コンビ解消とはなりません。

アディがいつも持ち歩いてるのは葉巻の空箱を利用した宝物入れ。ママの遺品も入ってます。一緒に撮った写真を眺めながら、いつになったらママみたいに美人になれるのかなあと、独り女子魂に火が付く夜もあるのです。白の下着姿がめちゃキュート♥

金めぐりが良くなってきました。軍資金は405ドルに!そこで男の子に間違えられて不貞腐れるアディに女の子らしいドレスを先行投資しようと決まり、洋品店へ。またもや釣銭詐欺ショーがお披露目されます。今回はふたりの華麗な連係プレイで煙に巻きました。最後はアディのウソ泣きで締めくくり、もはやこのふたりに敵なしです

その綿菓子をほおばりながら移動遊園地をぶらつくアディが、アールデコ風のワンピースを着ておめかししてるではありませんか!これ、あの洋品店に並んでいたヤツです。どうも稼いだ釣銭でゲットした模様(笑)。でも、夜店でモーゼと三日月に座って写真を撮りたいのに、勝手に遊んでろと拒否られ、ムカついて帰宅するハメに―。ちなみにいっしょに撮りたかったのはこんな夜店。5分でできるって…1935年にインスタントカメラはまだないはずですが。結局アディはひとり撮影し、写真屋のおやじから釣銭をごまかしてウサばらし。これが映画の最後で重要なモチーフになるのです。

夜更けにコソコソ宿に戻ってきたモーゼが、いきなり強気でアディに禁煙要請を言い放ちます。遊園地の見世物小屋に出演していた女を口説き、一緒に旅をしようと誘ったらしいのです。最強のコンビによそ者が介入か?はてさてこの先どうなる?

風雲急を告げるが…続きは7月13日更新のPART2で。

乞うご期待!


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