紙芝居映画劇場『ペーパー・ムーン』(1973年) 🌛PART1

ある日行きつけの図書館で1973年制作のアメリカ映画ペーパー・ムーンが目に留まり、借りてきて35年ぶり(!)に見直したら、想像以上に染みちゃって…😢そこで今回は作品への敬意をこめ、手間ひまかけた紙芝居仕立ての紹介にトライ!少々画像が多いので、2回に分けてお送りします。まずはPART1どぞ~♬

舞台は1935年。大恐慌時代のアメリカ中西部。映画は埋葬シーンから始まります。母親を交通事故で亡くしたアディ(テータム・オニール)は9歳にして天涯孤独の身になりました。そこへ母の元恋人らしき男モーゼ・プレイ(ライアン・オニール)が、ポンコツ車に乗って参列します。聖書訪問販売員を名乗るいい加減そうな男ですが、ご近所さんからアディをミズーリに住む伯母の家まで連れて行くよう頼まれると、渋々ながらも承諾。一緒に旅立つこととなりました。荷物をまとめモーゼの車に同乗したアディは、無邪気に喜ぶどころかクールな態度でモーゼの行動を観察します。いい人だけに見えないけど、コイツいったい何目的?…と値踏みしてる様子です。9歳にしてダミ声のアディ、タダ者じゃありません💦

案の定説明もなしにアディを連れて行った先は、母親が事故った時に運転していた人のお兄さんち💦事故を起こした当事者の身内ってところがミソですね。はい、示談を持ちかけて慰謝料をせしめようとの魂胆なのです2000ドルと吹っ掛けて、あっさり200ドルで手を打つモーゼの小者感が笑えますが、黙って一部始終を盗み聞きしてるアディに早くも正体は見抜かれています。ちゃっかり車を買い替えているけど、それ誰のお金?…と冷ややかに―。

それを知らぬモーゼは、最寄り駅からセント・ジョーゼフに住む叔母さんへ電報を打ち、列車に乗せ、示談金を独り占めして、体よくおさらばするダンドリです。

ひなびたゴーラム駅の風情がいいですよね。だだっ広い大地が物語を喚起させます。おそらくセットでしょうけど、アメリカのどのあたりか思わず地図で調べちゃいました(笑)。それにしても、どこまでも奥が深い撮影ですよね。

さて列車が来るまで小休止のつもりで入ったレストランで、ふたりの本音がさく裂します。わたしのパパじゃないの?とツッコまれ、詐欺師のクセにムキになって否定するモーゼのジタバタぶりが可笑しいのです。店内の装飾やお客たちの様子が書割りと化し、まるでアディ&モーゼの掛け合い漫才を見るかのよう~、ブラボー👏

パパじゃないを立証するため、アディに借金ができたモーゼは、本業で稼ぎながら彼女を送り届けることにします。その本業は未亡人宅を訪問し、生前ご主人が聖書を注文していたとウソをつき、残金の支払いを要求するというセコイ手口。ただこの不況下でもテクとしては意外と有効。アディはモーゼの商売をじっと吟味し続けます。そんな風に映画はユニークなロードムービーのフォーマットで綴られます。例えば夜になると安宿でもベッドを占拠し、ラジオを聴きながら一服するアディの牢名主ぶりなど目が離せません。何せモーゼは借金を背負ってしまったわけで、立場は逆転です。ところが大人顔負けに勘が鋭く、口が達者なアディが、いたいけな子役としてモーゼのアシストをして訪問販売に乗り出すと、瞬く間に売上がUPするではありませんか。そう、モーゼも詐欺の場では親子に扮することを厭わず、商売繁盛ににんまりです😊

になるとわかれば、計算高いモーゼは簡単に転びます。一緒に組んで稼ごうと持ち掛けます。9歳女子の顔色をうかがいながら、話を切り出すちっこさに爆笑しました。

仕切るのはオレ、おまえはかわい子ぶって隣に立ってるだけでいいからと、身だしなみ用のリボンを買いに行き、先行投資に抜かりありません。雑貨屋の店頭で、ご婦人店主から釣銭をせしめるモーゼの5ドル札詐欺、あたしもイッパツで騙されました~💦

訪問先が小金持ちそうだとわかると、モーゼの得意のメソッドを無視し、速攻で値を釣り上げるアディ。目利きの天才です。

道中、職を失ってさまよい歩く人々をふたりは目にします。特にラジオ愛好家のアディは日頃から国の動向に敏感で、ニューディール政策を打ち出した大統領を応援し、貧しい人々に同情的。一方しみったれのモーゼは了見が狭く世間に冷たいので、ふたりは互いに譲らず丁々発止を繰り返します。しかし最後は商売第一に立ち返り、コンビ解消とはなりません。

アディがいつも持ち歩いてるのは葉巻の空箱を利用した宝物入れ。ママの遺品も入ってます。一緒に撮った写真を眺めながら、いつになったらママみたいに美人になれるのかなあと、独り女子魂に火が付く夜もあるのです。白の下着姿がめちゃキュート♥

金めぐりが良くなってきました。軍資金は405ドルに!そこで男の子に間違えられて不貞腐れるアディに女の子らしいドレスを先行投資しようと決まり、洋品店へ。またもや釣銭詐欺ショーがお披露目されます。今回はふたりの華麗な連係プレイで煙に巻きました。最後はアディのウソ泣きで締めくくり、もはやこのふたりに敵なしです

その綿菓子をほおばりながら移動遊園地をぶらつくアディが、アールデコ風のワンピースを着ておめかししてるではありませんか!これ、あの洋品店に並んでいたヤツです。どうも稼いだ釣銭でゲットした模様(笑)。でも、夜店でモーゼと三日月に座って写真を撮りたいのに、勝手に遊んでろと拒否られ、ムカついて帰宅するハメに―。ちなみにいっしょに撮りたかったのはこんな夜店。5分でできるって…1935年にインスタントカメラはまだないはずですが。結局アディはひとり撮影し、写真屋のおやじから釣銭をごまかしてウサばらし。これが映画の最後で重要なモチーフになるのです。

夜更けにコソコソ宿に戻ってきたモーゼが、いきなり強気でアディに禁煙要請を言い放ちます。遊園地の見世物小屋に出演していた女を口説き、一緒に旅をしようと誘ったらしいのです。最強のコンビによそ者が介入か?はてさてこの先どうなる?

風雲急を告げるが…続きは7月13日更新のPART2で。

乞うご期待!


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