ふたりの“しゃべり場”物語 🎨🖌

マブダチAくんが絵筆を取るようになったのは、確か50歳になる頃だ。パステルで絵を描く教室に行き始めたのをきっかけに、若い頃好きだったアクションをもう一度掘り起こす楽しさに目覚めたようだった。ただし50代って、仕事の重圧は大きくなる一方で体力は確実に衰えるから、好きなことに没頭する時間をKEEPするのは意外と難題…💦でもAくんはその後も地道に描き続けた。

しかも継続するだけにとどまらず、作品が描きたまったら西荻にあるギャラリー<ヨロコビto>で個展を開くようにもなっているではないか👍さーすが、イケてるビジネスパーソン!目標設定をした方が燃えるのか(笑)。でも絵に関しては、他者からの評価はあくまでオマケで、100%じぶん軸でトライしてて、社会性の高いAくんの今までにない横顔を見ることになった。そう、「絵を描く」ことに、仕事とは別の歓びを見出しているような印象を受けたのだ。

そんなAくんから、来年(2023年)夏にまた個展を開くと聞いたのは、ちょうど1年前。それまではスマホの画像で時折り見せてもらうだけだったから、今度こそ上京してナマで見よう!と早々にスケジューリング。Aくんとは、長年あらゆるテーマでしゃべり場してきた稀有な異性のマブダチだけど、創作に関してだけは照れなのか配慮なのかよくわかんないまま、何となくツッコミあってなくて…(笑)。やがて冬が過ぎ、春が過ぎ…残暑厳しい折に届いた個展のDMがこちらです👇

ゲッ!すんげー骨の折れることしてるじゃんこんなに根気があるヤツだったっけ?(笑)今までよりうんと増殖性が複雑になってるし…どのくらいのサイズなんだろう…、クラフト的な風合いはあたしが作るものと共通するような…。思わずシゲシゲと眺めていたら、何だか絵の中のモチーフに刺激され、手芸タッチで再現したくなってきた。例えばこんなかんじに—。

テクがないからめちゃザックリなんだけど、そこが味わいだから~(言い訳)。ある意味、Aくんの作品に対する“返歌”のつもりで作ってみた。最後は、個々のモチーフを箱型額縁にコラージュ。どうよ、Aくんの世界観とハモってない?😊

今年還暦になるAくんは、60作品描くのを今回の目標に1年間奮闘。途中、思うように進まず、焦ってボヤキメールが届くこともあったけど、蓋を開ければ見事にクリア。設営の様子が画像で送られてきたときは、思わず名古屋で拍手喝采した👏「へーっ、こんな描き方もするのか…」― ようよう全体像が見え始め、あたしも約束通り、開催2日めに会場へ👣

タマゲたのはすでに作品の半分以上が売れていたってこと!噂には聞いていたけど…まだ2日目ですよ2日目💦いつも「俺の作品はお手軽価格だからさー」と自己韜晦してたけど、それだけじゃないだろ~、よっ、人気者!そして初めてナマでゆっくり鑑賞させてもらい、あたしはこちらの👇<図書館司書・キョウコ>('23)を購入はい、しかとお気に召したわよ~♫

会場では白いフレームに入って展示されていたキョウコ。額装をちょっとデコラティブにした方が絵画っぽく見えると思い、作品が自宅に届いて早々近所の老舗の髙山額縁店へ。額縁を選び、その場で額装し直してもらったら、お店の人からも大絶賛!

萌黄色の壁紙コーナーにディスプレイした。素敵でしょ~😊

さてDMに返歌を贈ったんだから、ウチに届いた絵にも返歌をしなきゃ…と思い立ち、今度はキョウコの図柄をクッションカバーに仕立てることにした。押入れの端切れ箱から迷彩柄を引っ張り出し、まずはカバー本体を作った。

いよいよメイン部分。パッチワークする前に、こんな風に色や素材の風合いを吟味しながら端切れを並べてイメージ。このプロセスが最もスリリングで興奮する。実際に手を動かし始めると、思うようにいかないことばかりだからね(笑)

とはいえ…できたー半立体パッチワーク版<図書館司書・キョウコ>🙌

仕上げは、本体とメインモチーフを合体させ、四つ角に縁飾りを縫い、中にパンヤを入れてめでたく完成🏁 還暦の誕生日祝いに間に合うよう発送…ふーっ🎁

実はAくん1年前の59歳の誕生日に重い病気が発覚。その直後に、深夜にメールで病状を打ち明けられた時は、「冗談やめてよ…」と呆然となった。この先も、しゃべり場し続けることを当たり前のように思っていたから、全身から力が抜けた。ただあたしも、人生の無常を十分承知できる年齢にもなっている。打ち明けてくれたことに感謝しつつ、今まで以上に友情も全開でありたいと思って過ごした1年だった。悔しいことに、ヤツに教えられることの方がうーんと多いんだけどね(笑)

Aくんの病状は、医療科学的に見たら今も安心できる段階へは至っていないらしい…。でもヤツは、絵を描くことで“じぶん十分”になれる可動域を広げ、間違いなく幸福指数を高めた。つまり医療とは別の次元で、じぶんでじぶんのための特効薬を生み出し、自身で手当する道を見つけたのだ!本当に人間の力は計り知れない。時に思いもよらない跳躍を見せてくれる。科学療法とじぶん治癒力と、2方面からのアプローチで病との折り合いをつけ続けるAくんの姿が、妙に清々しい―

👆Aくんに贈ったクッションの画像が送られてきたこれにて交換成立だね(笑)。さあAくん、今から来年に向けて絵画制作再スタートだよ。次の作品制作ミッションは61歳61枚でどう?🎨

PS 次号は10/29にUPします