勝手にシネマ評/『悲しみに、こんにちは』('17)
「へーっ、“だるまさんがころんだ”は、世界共通の遊びなんだあ…。」
バルセロナの町の一角。子供たちがはしゃぐ夏祭りの情景を、ぼーっと眺めながらのオープニング。夜空に輝く花火の幻想性も効果的で、幕開け早々からわたしは、映画と対峙する気構えなどスッカリ忘れ、子どもの頃の記憶手帖をゆったりと開いていた気がする。半世紀も前のホコリにまみれた我が記憶を―。
カルラ・シモン監督作品『悲しみに、こんにちは』は、1993年のスペインを舞台に、両親を亡くしたばかりの少女フリダの“ひと夏”の体験を描く。
のっけから身も蓋もないことを言うけどゆるしてね(汗)。そもそも、この映画を文章で紹介すること自体、一番やっちゃいけない行為だと強く思うわけ(笑)。映画の中で目撃したたくさんの瑞々しい出来事が、言葉に落とした端から、凡庸な幼少期スケッチの集積にしかならないのがミエミエなの(汗)。たとえ多くの人に見てもらいたいと願っても、本作に関しては、他者の解説や見解がもてなしの役目になるどころか、かえって足を引っ張る恐れさえある…。
つまり鑑賞者一人一人と作品との、一対一の化学反応だけで純粋に成立する映画なんだよね。遅ればせながら、映画と観客の最も幸福な在り方を思い起こした気がする…。そのうえでなお、書き記しておきたい衝動にも駆られるから困ったものよ(笑)。わたしのゴタクをお聞かせする前に、まずは物語を軽く紹介しておこう―。
だ~るまさんがこ~ろんだ~♪と、ひとしきり遊んで帰宅したフリダが目にするのは、親類たちが引越しの荷造りに追われる光景だった。フリダはお気に入りの人形を抱きながら、大人たちの動向を見守るしか術はないが、あれよあれよという間に、両親との想い出から引き離され、生まれ育った町と人間関係に別れを告げることになるのだ。さよなら、バルセロナ!
そして目が覚めれば、あたり一面が緑に覆われたカタルーニャ地方の一軒家だ。田舎で暮らすママの弟エステバおじさんの元へ引き取られ、奥さんのマルダと、幼い従姉妹アンとの4人の生活が新しく始まる。はい、 「両親を亡くして親戚のウチの子になる」設定ですね(汗)。だから、ツイ我々も身構えてしまいそうだが、映画はフリダを観客の半歩前に立たせ、彼女を物おじしない好奇心と冷静な観察力で動き回らせるため、大人仕立ての余計な推察を挟む余地はない。我々は、シンプルに目の前のフリダの体験を目撃し、共に一喜一憂するだけ。
苦手な牛乳と格闘する朝食でのしぐさ、生まれたての卵を用心深く運ぶ後ろ姿、肉屋でハムをつまみ食いし、雷で電気が消える暮らしに驚き、森の中に祀られたマリア像の前で願いを伝えるフリダ…。この一匹狼少女は、顔に似合わぬダミ声(!)と鋭い眼差しで新天地探検に乗り出すが、日常のすべてが挑戦の連続だ。それをカタルーニャの自然と、おじさん一家の包容力が背後からしかと支える。
一人っ子同士のフリダとアンの距離が縮まり、姉妹と化すプロセスも実に楽しい♫ 嫉妬、羨望、競争心が露わになっても、同じ目線で世界を臨む“今この瞬間の遊び相手”は、かけがえのない宝物なのだ。夜中につるんで家の中をブラついたり、大人たちの目をかすめて笑いを共有したり…2人にしか通じない波動で、子ども帝国が築かれて行く―。
一方でフリダは、独り占めできる愛情のシャワーを絶たれたこと、二度と両親に会えない事実は、ウッスラわかっている。ただ、「死」をどう整理したらいいかの判断がつかず、宙ぶらりんな気持ちを内に抱えながら、周囲に向けて反発するかと思えば急に無防備に甘えたり、ときには孤独の牙城で妄想に耽ったりを繰り返す。映画は、そんな言葉にできないモヤモヤや、落ち着かない気分をすくい上げ、あえて野ざらしのままで進行。そっけない演出ゆえの破壊力には、想像以上の手応えがあった。
幼いフリダの葛藤は、「死」と対峙するときの我々の足取りと何ら変わらない。いやむしろ、子どもならではの理屈や、何としてでも首尾一貫したいと必死になる彼女の本能に、逆に多くの気づきを与えられる。死を自問自答しながら、毎日を生きるという離れ業…。喪の儀式は、遺された者の生が問われる時間なのだ。
また、少女ひとりに求心力を持たせて、場をかっさらうような映画にしなかったのも本作の非凡な点だろう。親代わりとなるエステバとマルダが、迷いながらも逃げずに本気でフリダの喪失をバックアップするスケッチをはじめ、少女を取り囲む人間模様がとても充実している。
亡き両親の痕跡も含め、スクリーンには絶えず様々な人物が出入りし、幼い身ながら彼女がすでに世の中の一員として生きている側面を立ち上げる。そう、世の中から照射されることで、フリダの姿はさらに重層化され、我々は彼女の未来をも思い描きながら、映画の時間に浸ることができるのだ―。
本作は監督の幼少期の体験をもとに制作。映画の中では明かされないが、両親の死因はエイズだった。フランコ政権崩壊後の90年代初頭のスペインでは、独裁政治から解放された喜びでドラッグが蔓延し、2万人以上もの人がエイズで亡くなったという。おおっぴらにしにくい問題と同時に、フリダ自身にも感染の恐れがあり、映画の中では「血」のつながりに光明を見出すこともあれば、「血」にまつわる影のエピソードも織り込んで見せて行った。
さらに言えば、そうした複雑で特殊な事情も含めて描きながら、なんの予備知識も持たないスペインの少女の“ひと夏”の体験が、我々の記憶を同機させ、改めて生の一回性をも痛感させるのだ。
ラストがまた素晴らしい!“バッタもん家族”をやってるうちにたどり着いた、無防備な一瞬がたまらなく美しい…。ここに記すのを躊躇するほど意表を突かれ、かつ、これ以上フリダの胸の内を物語るにふさわしい表現はない“究極のリアクション”で閉幕する。涙による幸福の寸止めと、背後に流れる不協和音めいた音楽まで…悔しいほどカンペキ★
ザンネンながら名古屋での劇場公開は終了(涙)。でも機会があればぜひ見てほしい1本。タイトルと作家名をしかとメモっておいてね!
『悲しみに、こんにちは』
2017年/100分/スペイン
監督/脚本 カルラ・シモン
撮影 サンディアゴ・ラカ
音楽 エルネスト・ピポ
製作 バレリー・デルピエール
キャスト ライラ・アルティガス パウラ・ロブレス ブルーナ・クッシ
PS 次回は10/13に更新します
ゆるゆるプラモデラ~ 📐
わ~い、わ~い、プラモデルもらっちゃったあ~♪
ある日、マブダチのダンナK男から、唐突に「これ、欲しい?」とプラモデルのハコを手渡されたの。K男はラジコン好きで、定期的にプラモデル屋に通う50代おっさん。ほとんど親戚のように行き来してる間柄だが、プラモデルのお裾分けは初めてで、「やったー!」と大はしゃぎ~。
我が家にTAMIYAがやってきたー!
やってきたのは『マンモス ダンプ(1/32ワイルドミニ四駆シリーズNO.13)』。兄がいるので、子供の頃はプラモデル=男の子の通過儀礼のようにながめていたけど、あたしにはあの“説明図”がウザくてさー、今までにじぶんで作ったのはちっこいの2個くらい(汗)。ただし、プラモのハコは、イラストも素材も、ずっと“萌え~”よ★ それと、中でクールに待機しているあのパーツ群!!!しんぼうたまら~ん♥
本当は組立たくない…(笑)
ずっとこの状態で眺めていたい…。だって、数珠つなぎになってるパーツは、レイアウトの極みだもん!しかも凹凸がリズムを生み出し、平面では得られない快感がある~。一方K男は、タイヤに萌え~とか(笑)。性的興奮ポイントといっしょで、人間の志向は実に多様。わかんないもんね(爆)。それではここいらでボチボチ始めましょう~♫
さーて、作るぞー!
何かにつけて、ルール通りを無視するあたしだけど、何せ40年以上ぶりのプラモデル。ここはイッパツ 大人になって、説明図通りに作ることにしました。ふむふむ、まずはシール貼りから始めるのね。簡単じゃん!確か昔はじぶんでカットして、水に浸した後でピンセットを使い…だったような…。しかもそこで必ずしくじったもんよー(爆)。
ボディ組立完了~★
K男から聞いた教えに従い、パーツはペンチでコツコツ切り離し、切り口にペーパーをかけ、組立ては快調に進行。接着剤不要のスナップキットだから、ラクチンラクチン♩そうそう、説明図に、ほとんど文章がないのには驚いた👀イラストと番号だけで誘導してくれるのよー。あたしの性格わかってんね。超ミニマムレシピ、取説の鏡だわ~。
早くもモーターくん出動🚘
動きの要になる部分も、あっけないほど仕組み化されてるんだね~。シャフトにグリスをさして、ギヤーをつけるだけ。「えー、こんなんでいいの?」ってかんじ(汗)。ギヤーは手順がわかるよう色付けされてるんだけど、カバーをしたら見えないじゃん。スケルトンにしたらカワイイのに~💠…とイチイチ注文の多いちんぴらです(笑)。
タイヤまわりにトライ👇
振り返ると、ここが一番難易度が高かったかも…。まず、ホイールの組立ては、同じものを4つ作るだけと思いきや、左と右があるみたいで…なんでやねん!それと、K男が惚れ込むタイヤ4個それぞれに、このホイールを突っ込むときの手探り具合がわからん!不可視の構造体=難解ってヤツですか?(笑)きっちりハマってパチっと音がしたときは胸をなでおろしましたあ~(大袈裟)。
タイヤとモーターの合体
モーターに六角シャフトを取り付け、タイヤ✖4を左右に配置し合体。電池BOKの組立もス~イスイ。ここまでくるとメカっぽさが味わえて、ちょっぴりワイルドだぜ~♫
ほら、いっちょあがり~🍴
あとはバッテリーを搭載して、ボデーをくっつければ完成!のはずが…やっべー!単三の買い置きが1個しかない。そういえば、説明図の冒頭に電池を2個用意しろって書いてあったけ(汗)。画竜点睛を欠きましたね。結局、言われたとおりにできないちんぴらです。で、そのうっぷんを晴らすべく、ここからはゆるゆるプラモデラ―編に突入だ!
わたしがやりたかったのはコチラ😊
お見立てごっこで~す。萌え~なパーツたちをイメージして、なーんちゃってTRUCKキットを自ら作成したってわけ。シャレですからシャレ(爆)。
ホンモノを隣に並べての記念撮影…呆れてやってください(ぺこり)。
でもいいわよ~、そもそもこれだと組立てる必要もございませんから(笑)。
もちろん化粧箱も手作り♫ へなちょこイラストを描き、なーんちゃってパーツをビニールに入れて格納すれば、これぞまさしくALLハンドメイド✋オリジナルの7/10サイズで仕上げました(爆)。最後にタミヤの★マークを切り張りすれば、カンペキ☄
おっとー、完成品のお披露目を忘れてた!
ちょうど自宅前がマンション建設中だから、重機を背景にパシャ📷 そして意外にハマったのが荷台に埴輪写真。ちょっとよくない?(笑)
実はこの段階でも電池を買い忘れてて…仮止めをして撮影(汗)。まだ1度も動かせてませーん。プラモデルファンのみなさま、邪道ですいません(ぺこり)。でもじぶんとしては、TAMIYAのサイトをチェックしたり、プラモデラ―たちの真剣動画にめちゃウケたり(マニアってホント素敵なバカ揃い!)、もらったプラモデル1個でガッツリ遊び倒せて「うーん、マンダム~♪」でしたあ~(笑)。K男に感謝感謝★
※動画解説『プラモデルができるまで』。懐かしい匂いの工場見学ごっこに萌え~♥
PS 次回は9/26に更新します
サクッとお江戸✑備忘録 2018夏
クソ暑い名古屋を脱出して2泊3日でお江戸へGO!ハッキリ言って、名古屋と比べたらどこも避暑地ですね(笑)。しかーしその反対に、胸の内は絶えずHOT🔥 今回足を向けた企画展が、たまたま予備知識のない未知の作家ばかりだったから、サプライズの連続で、わたしにとっては最も贅沢に美術と対峙する時間となりました♪まだ開催中の展示もあるよん!“ちんぴらピノキオ”をガイド役に仕立てて、ちょっくらご紹介で~す★
1本め👀『小瀬村真美:幻画~像の表皮』原美術館
▶御殿山をトボトボあがり、「小瀬村真美(1975~)?誰それ?」なーんて調子で、ノー天気に初対面を果たして大正解!“知らない”って、炊き立ての白飯並の威力がありますね(笑)。
▶ところが文章で紹介するとなると、難易度はかなり高いよ~、困った(汗)。(ちなみに受付で配布されるご本人による展示解説文がわかりやすくてとてもイイ!斜め座りして自作と向き合っている風な印象で、鑑賞の伴走にもってこいです✌)
▶小瀬村作品のほとんどが、映像や写真の形で並んでいるんだけど、絵画の構図が意識されているからか、遠目には写実絵画に見えるわけ。でもって、見覚えのある絵画みたい…と思って近づくと、絵の一部がゆるりと動き出したりしてギョっとする一幕も―。目を凝らせば凝らすほど実体はほどけて朦朧となり、イメージが定着しないんだよね。
▶おそらく作業としては、すっごく丹念に仕込んだハッタリの連続と組合せ。ところがハッタリ✖ハッタリが、なぜか“作り物に見えないわけよ。むしろ虚像が呼吸し始めるから驚いた。なんだろうこの艶めかしさの正体は…単なる動画で終わらないの。作品の背後にたなびく「時間」が作用しているとしか思えないんだけど―。はい、そこでアホなわたしは、なーんちゃって小瀬村にトライ(笑)。ちんぴらピノキオをコマ撮りだ~♫
▶バカですね。これじゃあただの連続写真じゃねーの😞。挙句の果てには、冷蔵庫に転がってたトマト🍅で無理やりオチをつけて失速。《素人は続けるほどに墓穴掘り―。》小瀬村真美さま、あなたの作品は引続き追っ駆けさせていただきます(ぺこり)。※9/2まで開催中。急いで!
2本め👀『ゴードン・マッタ=クラーク展』東京国立近代美術館
▶ある日、画家のマブダチSから送られてきた画像を見てぶっとび!何これ?おうちをぶった切ってるじゃないの~ひぇ~。「8時だョ!全員集合」のセットじゃないんだからさ~(爆)。
▶作者の名はゴードン・マッタ=クラーク(1943-78)。70年代に活躍し、ずいぶん前に死んじゃってる人なんだけど、一体どんな狙いが制作背景にあったのか、気になってしょうがなかった作家なんだよね。はい、そこで目下開催中の、没後40年アジア初の回顧展へ突撃!面白すぎて3時間以上も滞在しちゃったよー(汗)。
▶例えば建物解体なんてひっきりなしに繰り返され、目にしたことがある光景でしょ?なのに建造物が絶妙のバランスで巨大彫刻へスライドしたと思ったら、やがて天地と共振するような未知の空間にヘンシン…な~んてことが繰り広げられるわけですよ(映像で体感)。切断が始まり、太陽光がゆっくり屋内と屋外の境界線をとっぱらって行くプロセスの美しいこと!キザな言い方をすれば「永遠」を目撃した感さえあったなあ…。
Gordon Matta Clark Exhibit at Whitney walk through with Jane Crawford
▶ゴードンの創作活動は35歳で夭折するまでのわずか10年ぽっきりのこと。でもこの間、都市を舞台に様々な方法でARTの概念を軽やかに押し広げる活動をしていたの。しかもそのすべての振る舞いが、悔しいくらいカジュアルに世界を再編集してて唸った!咄嗟に、天沼矛(あめのぬぼこ)で “こおろこおろ” と掻き回すあの古事記の名場面を思い出しちゃったよ~(笑)。さてそこで、わたしもじぶんの持ち物を再編集♫
▶上下が別れるこちらの5品➡けん玉、蟹型の小皿、鶏ボンボン入れ、ミシュラン人形、ちんぴらピノキオをモチーフにして、世界を再編集!まさにスプリッティング?
▶冗談はさておき(汗)、回顧展はたくさんの関連資料も目撃できる貴重な場となっております。9/17まで開催、ぜひ★
3本め👀『杉浦邦恵:うつくしい実験』東京都写真美術館
▶誠に失礼ながら、お名前さえ知らず、庭園美術館へ行くついでにたまたまのぞいた企画展。いやー、これまた出ました炊き立て白飯!カッコいいったらありゃしない~。
▶杉浦邦恵(1942~)は、20歳で単身渡米し、60年代後半からNYを拠点に活動を続けるアーティスト。写真技法を使った表現だけど、いわゆる伝統的な写真家とは違うし、むしろ既存の写真フォーマットをいかに逸脱するかに体重をかけて制作している風でしたね(奇しくもゴードンと同じ世代&同じNYで活動してる!)。そう、タイトル通りうつくしい実験の連続!…これがことごとくキマッてるんですよ~。例えば70年代に制作された写真とカンヴァスを組み合わせたこのシリーズ、さりげなくクールでたまらんかったです♥
▶国内で開催されるの初の回顧展は、年代順に作品が並び、新参者にとっては全貌に触れやすかったわ♫「へー、これを作った後に、こんな方向へ展開するんだあ…」と、50年間の「質」と「量」と「軌道」の全部に浸った気がします。その一方で、時代をシャッフルしたとしてもすべての作品がピンで立ってて、「たった今、すーっと生まれ落ちました…」という顔つきにも映るの。あまりのフレッシュさに思わずめまいが(笑)。
▶たおやかなんだよなあ…杉浦作品。「実験」につきものの前のめり感がゼロ。それでいて、しかと我が海馬に組み込まれてしまうほど印象的でした。よってちんぴらピノキオも今回はしっとりめ?で登場です(笑)。
▶会場の外でループ上映されている映像作品もお見逃しなく!中でもひたすら喫煙者たちをつないでゆくシリーズは、「世界の車窓から」とは真逆のそっけなさ編集の極みなのに、もてなし感はそれ以上♥ 9/24まで開催。小瀬村展と併せて見るのも◎
4本め👀『ブラジル先住民の椅子』東京都庭園美術館
▶お次は椅子😊 アマゾン河やシングー川流域で暮らすブラジル先住民の人々が手掛けた一木造りの椅子たちが、アールデコ様式の庭園美術館と朗らかにコラボってます。
▶今回の展示は、ベイ出版というブラジルの美術系出版社のコレクションから選りすぐられたものだって。その大部分は、野生動物をイメージソースにした造形美でどれもこれもインパクト大!また、フォルムや装飾性に、部族ごとのオリジナルの味わいがあり、違いを見比べながら鑑賞できて興味深かったよ。そして、そんなプリミティブなパワーをぶつけても、さらりと受け入れてしまえる旧朝香宮邸の洗練度にも改めて感服★
▶先住民にとって、椅子は男性だけしか使えない伝統があったんだって~。それと、超ユニークだったのが、「エイ」をモチーフにした椅子!あの美味しいエイヒレの「エイ」本体に、どうして座ろうという発想がわくのか…謎。生態を身近でウォッチしてる証か?空飛ぶ絨毯のイメージか?わたしには妖怪の一反木綿に見えるんですけど(汗)
▶そうそう、動物たちの「目」のあしらいもシャレてたよ~。やたらちっこくて、貝が張り付けられてるパターンが多かった。目が小さい➡キャラ立ちしない➡寡黙で詩的➡邪魔にならない➡長く愛用…そんなかんじ(笑)。さてちんぴらピノキオ用の椅子のモチーフは、お友だちのカラス!ただし厚紙仕様のため、体重制限ありです(汗)。
▶ベイ・コレクションのことが気になって検索したら、子ども向けにこんなワークショップをやってた!わくわくするぅ。さすがにブラジルにはサクっといけないが…(涙)
5本め👀『巨匠たちのクレパス画展』損保ジャパン日本興亜美術館
▶ラストは絵画の競演で締め括りましょう♪ 今回唯一の絵画展、それもクレパス画に限定した展示は、材料の特性もあってか、ガラに似合わずツイ郷愁に誘われてしまいました。だってクレパスは学校教材だったもんねー。幼い頃の体験の刷り込みってすごいな~。夏休みの絵日記もクレパス✎で描いたし~、ラジオ体操といっしょだね(笑)。▶出品作は何と152点。ご贔屓作家たちにはヨダレをたらし、初めて知った作家たちは帰宅後にググり…、鴻池朋子や天明屋尚のクレパス作品まで登場するから驚いた。そしてわたしが最も気に入ったのが鳥海青児(1902-72)の2点―『皿といちじく』『黄色い人』。ラッキーなことに、どなたかがUPしてくれてて再見できました!
▶クレヨンとパステルのいいとこどりで生まれたクレパスは、1925年に日本で発明された画材です。やっぱ使ったことがある画材だからか、見てるうちにムショーに描きたくなってきた~。そして自動的にあの匂いも鼻の先に立上っちゃった(笑)。
▶押し入れから引っ張り出してきたクレパス&クレヨンで、ちんぴらピノキオ夏の想い出編、いっちょできあがり~。
▶というわけで、ちんぴらピノキオをガイド役にした『サクッとお江戸✑備忘録 2018夏』編、いかがでしたでしょうか…。特に、初めて目にした小瀬村、ゴードン、杉浦の、理系アプローチの創造性には、本当に魅せられました。いやはや、世の中は宝の山ですね♫ 引続きお宝探しに精進させていただきます(ぺこり)。
PS 次回は9/10に更新します
ぜんぶ上等、Tara Books🌲
南インドの小さな出版社Tara Books(タラブックス)。とんでもなく美しい本を作っていると評判の出版社の全貌が、この春【世界を変える美しい本】と題して刈谷市美術館で紹介されました。終了したイベントですが、想像以上に発見が多く、引続き注目して行きたいチームなので、ザックリ共有しておきますね~♪
そもそも美術館が、現在運営中の一民間会社の活動にスポットを当てるって珍しいことじゃない?そう、Tara Booksを一言で説明するのはちょっと難しい…(汗)。でも鑑賞後は、美術館で紹介するのにふさわしい対象だなあと、スッと腑に落ちたの。まず2人のインド人女性、ギータ・ウォルフ(写真右)とV・ギータが偶然出会い、意気投合したのが事のはじまりです🌻
ふたりは交流を深める中で、“インドらしさを盛り込んだ子ども向けの本がないから、一緒に作ってみよう~♫”という話になり、1994年に会社を設立。早々、海外のBOOKフェアに、シルクスクリーンで印刷した2ページだけのサンプル本を初出品しました。それが、古いインドの民話を下敷きにした『はらぺこライオン』。するってーと、なんとカナダの出版社の目に留まり、いきなり8000冊の大量発注が舞い込んだんだって!わぉ~
『はらぺこライオン』
“ 無欲の勝利”とでも言ったらいいのか…。ふたりは、ハンドメイドの本を作るのが夢だったわけではなく、ましてや事業計画などないも同然だったみたい(汗)。しかも、「サンプルと同じように手漉きの紙にシルクスクリーンで!」とのオーダーを受け、そこではじめてどうやって作るかを考え(笑)➡少人数のチームを立ち上げ➡仲間の力を結集して作業にあたり➡1年かけて無事納品完了したのでした(パチパチパチ)。でもこれだけで終わらないのがTara Books!
1995年に出版された『はらぺこライオン』は、Tara Booksにとって重要な1冊となりました。①資金ができ、②土地を買って制作拠点を築き、③じぶんたちの得意なことが見定まり、④高い技術力をもつ職人たちとの協同作業に道筋が生まれ、⑤ハンドメイド本の製作を発展できるようになったと―。ほんの偶然のスタートとはいえ、意を決したときの集中力を想像するだけで、すんごくワクワクしちゃう話よね😊
さらにふたりは言います…『世界を変える美しい本』より
- 「私たちは仕事をしながら学んでいったのです」と―。
- 「世界のどこにも、アーティストによる本を、この品質で、この価格でつくれる出版社はないと思うんです。これこそが私たちの目標でした。…」
- 「つくり手にとって公正であり、読者にとって良いものであること、このバランスを保ちたい。それが私たちの本づくりの背景にある考えです。」
幸運なめぐりあわせに浮き足立たず、すぐにじぶんたちの理想とする持続可能なしくみを整え、具体的に動かしたのは驚きです。グローバル化した現代でこそ、こうした社会性のある高い視座を理念に掲げる企業は多いけど、未だ実情は絵に描いた餅じゃない?結局は日々売れたもんが勝ちのサバイバルゲームを繰返してるよね?ではなぜ、Tara Booksは絵にかいた餅にならず、20年以上も同じスタンスで走り続けられているのか。
今回の展示に、そのヒントになるカギはたくさん見つかりました。ただし「ここがスゴイ!」と感服するポイントはおそらく人それぞれ。そのくらい新しい試みに絶えず挑み続けているチームなんです。いうなれば決定打を必要としない点がTara Booksの強さだと思いましたね。そのうえ彼女たちは、一般的な意味での“成功”という概念から、もっとも遠いところにいる気さえしたんです。
ふたりはこんな発言もしています…『世界を変える美しい本』より
- 「私たちがインドで初めて民俗芸術で本を作ったと言っていいでしょう。…彼らを対等なパートナーとして出版界に引き入れたのは、私たちが初めてです。」
- 「彼ら(民族芸術家)にも確固たる世界観があると認識することが大切」
- 「私たちが扱う分野はとてもとても幅広いんです。私たちが好きなもの、敬意を持っているものを出版しています。」
- 「ただ、絵を眺めて読み捨ててしまうようなものにはしません。どんな考えから生まれた本なのか分かるようにします。」
- 「明確な価値観を持った本を作りたいのです」
- 「本の形そのものにも何かがあるのです。表紙と裏表紙の間に世界のすべてがある。本を開くと、別の宇宙へと連れて行ってもらえます。」
- 「本という形には、さまざまな労働が集約されています。」
- 「出来上がった本と同じくらい、つくるプロセスが重要なのです。時間が必要です。急いではだめ。」
- 「私たちにとっての挑戦は、どうやってアイデアを実現させるかということなんです。博士論文とは違います。本が出来たら終わりではないんです。」
- 「限界を知ることが大切だと思います。私たちは一気に5万部も刷ったりはしません。そのような成長は望んでいません」
- 「本づくりを続けて、Tara Booksの本を広めること。読者の手元に届けることは今でも最大の挑戦だと思っています」
明確な目的を持ってモノを生み出し⇒多くの人々に広め⇒その収益で新たなアイデアを実現してゆく…。今の世の中で、このサイクルを理想としないビジネスモデルはないでしょう。が、Tara Booksは20年以上も前から、さらにその先を見通し、かつ実現してきました。そう、彼らが広めてきたのは、本というモノを通した新しい見方や多様な考え方。そうした社会的視座をワークショップを通してコツコツ広め、世界中に支持されるようになっているから、けして絵にかいた餅にならないわけです★
Tara Booksの本は日本でも手に入ります。まずはそのクオリティの高さを、直接手に取って味わってみてください♫ ここ4~5年、本は共有財産だと目覚め、もっぱら図書館を利用してきましたが、 やっぱTara Booksの本は手元に置きたくなりました。単純にテンションが上がるんです! Tara Booksの活動をまとめた『世界を変える美しい本』(ブルーシープ)もオススメです。
超余談ですが、Tara Booksの全貌を知って、じぶんも本作りが好きだったことを思い出しました。まあ、本と言ってもじぶんの活動記録を備忘録的にまとめただけの代物ですが(汗)。装丁から全部手作りしてたんですよね…めちゃたくさん残ってる(笑)。
ただ、このサイトを立ち上げてからは、記録を「モノ」に仕立てて残すことが少なくなってます(汗)。わたしには社会的活動センスはないけど、じぶんの手を使い「モノ」に仕立てて別の文脈で表現するアクションは、やっぱ忘れたくないなあなんて思いました✑
Introducing the Exquisite Tarabooks
アーティスティックな本なら山ほどあるでしょう…。ワークショップだって猫も杓子も…ですよね?何より出版不況は世界的な流れと聞きます。でもTara Booksの活動は1民間会社の成功譚に止まっていません。何かもっと大きな投げ掛けを我々にもたらしている気がします。この先も彼女たちの挑戦から目が離せません👀
PS 次回は8/26に更新します
夏だ🌻みんなのカレーだ~🍚
あっついな~もぉ~!アマテラスったらハリキリすぎじゃね?まっ、天上界にぶーたれてても埒が明かないので(汗)、ここはむしろ俗にまみれ、食い物の話で暑さを忘却だあ~。はいそこで、夏と言えば…カレーですよ、カレー★いつものように強引に(!)、マブダチたちに「好きなカレー」調査を敢行したの~♪ 何か傾向があるのかな…?と蓋を開けたら、見事に全員バラバラ(爆)。ひとりとして重なる意見ナシ!つまりそれだけカレーは唯我独尊めしなのでした(笑)。
唯我独尊① お店カレー編
【エントリーNO.1】さすらいの食いしん坊Kちゃんが、週1ペースで通う『南インドカレー料理 カルナータカー』。このお店で「ナンは?」とつぶやいたら、速攻でどつかれます(ウソ)。南インドでは米と豆とスパイスでできたドーサがメイン(写真中央のクレープみたいなヤツ)。カレーは野菜中心で、油分が少なく、身体が内側から整うような滋味深い味わい。わたしも食べた☝ぜ~んぶ美味かった!
Kちゃん行きつけのカレー屋はもう一軒、名古屋大学近くの『カレー食堂 ホジャ・ナスレッディン』。ほとんど自宅のように通ってるってよ~。カレーはもちろん季節ごとに変わる手作りデザートも絶品だって★
【エントリーNO.2】おしゃべり友だちのSさんのお気に入りは『日本料理 匠』の特製さらさらカレー。わたしもお土産でいただきましたよん♥具材が全部溶け込んだカレーはすんごく贅沢な味わいで、スプーン一杯なめるだけでカレー一皿食べ干した満足感がありまーす。赤ワインで煮たスモモのデザートも絶品。三越B1Fに店舗あり★
【エントリーNO.3】今回の調査で一番驚きだったのは、『CoCo壱番屋』をあげる人が多かったこと!名古屋ではあまりに一般的すぎて気にも留めなかったけど、強いよー、ココ壱カレー、恐るべし(汗)。しかも個々に定番メニューを決めてて、ヘビーロテしてるご様子(爆)。オッサン御用達店は侮れませーん。
- 55歳M氏⇒パリパリチキン&イカサラダ 「ココイチではいつもこれ!」
- 49歳KZ氏⇒チキンにこみカレー&ソーセージ&半熟タマゴ&しょうゆ 「大好きな名古屋メシの一つ。色々な組み合わせを試したけど、これでキマリ!半熟タマゴをくずしそこにしょうゆをかけるのが、myBestココイチ。たまーに、ソーセージからエビかつに浮気しま~す」
- 55歳O氏⇒ビーフカレー&ソーセージ&ツナサラダ もしくは ビーフカレー&カツ&ツナサラダ 「チキンよりビーフカレーの方がよく煮込まれてて美味しい!」
- 57歳H氏⇒海の幸カレー 「烏賊やアサリ、エビが入っていて楽しめます♪」
- 56歳K嬢⇒【期間限定】手仕込ささみカツカレー 「フツーのチキンじゃダメ。ささみじゃないと~」
【エントリーNO.4】滋賀で『らっこや』という古民家カフェを開いてるマブダチIさんに、お店の看板メニューを紹介してもらったよ。「お肉なしなのにコクがあるカレーを出してます。ひみつはカシューナッツ!生姜の甘煮もたっぷり入ってて、クセになる味」だって。うーん、見るからに香り高く濃厚そう~♫
唯我独尊②レトルトカレー編
【エントリーNO.5】レトルトカレーも魅力的だよね~。K家が薦めてくれたのは、今まで食べたレトルトで一番辛いと太鼓判を押す『ヤマモリのプリック』。プゥ〜っと汗が吹き出て爽快になるんだってサ(汗)。でも、ひとなめでアウトなヨメは、最近カレー本を買っておうちカレーを研究中らしい(笑)。
【エントリーNO.6】生活まわりに関して、いつも「はっ!」とする感性を披露してくれるマブダチYちゃん。最近のお気に入りは、無印良品の『バターチキン』と『プラウンマサラ』。「タモリ倶楽部でタモさんもうまいと言ってたよ~。あちこちにできたファミマのおかげで、食べたい時にすぐに手に入るようになった☀」。よっしゃー、あたしも試してみる~♫
唯我独尊③おうちカレー編
【エントリーNO.7】さてさてここからは、みんなの自慢の手作りカレーのご紹介。まずは、週末1日限定台所担当のマブダチKが作った『具だくさんスープカレー』。「じゃがいも、玉ねぎ、パプリカ、人参、ピーマン、ズッキーニ、キャベツ、茗荷、ニンニク、赤唐辛子、ミニトマト、牛肉こま切れ等、ぜんぶ細かく切るのがポイントだよ」。前日のカレーをメインにした朝定食、サイコー👀
【エントリーNO.8】新宿に暮らすマブダチYちゃんからは、実家の母上が作るカレーを薦められマシタ♥ ポイントは「8個の玉ねぎをみじん切りしてから➡ミキサーでさらに細かくし➡それを1時間かけて、ひたすらあめ色になるまで炒め続ける☝️一人で炒め続ける母の家族への愛情が伝わってきます😊」「具は玉ねぎとニンニクだけ。パン🍞につけて食べても美味しい。私も作るけれど、母の味にはならない…微妙なさじ加減があるのでしょうね」―ええ話じゃないの~(涙)。Yちゃんちの子どもになりたい♥
【エントリーNO.9】はい、こちらも日々せっせと家族のためにウチめしを作り続けるマブダチMの『牛筋カレー』。息子2人+ダンナ=計3人の男子の胃袋を満足させには、このモリモリ感が決め手だね。「ご飯は高知から送られてくるトウモロコシご飯(もち麦入り)。ミニ玉ねぎは牛すじスープで別煮して丸ごと使ってみた」。お手製らっきょがツヤツヤ光っててウマそう~💦
【エントリーNO.10】【NO.6】に登場したYちゃんちのおうちカレーは、飲食店勤務のダンナが監修、プロ仕様でーす★「手前の白い器の中身は、フルーツをたくさん使った手作りのカレーの元で、これも材料の一部。無いと味がペラい…。これにハチ食品のカレー粉をあわせ、辛いんだけど甘みもある複雑なカレーに変身!」
「作ってすぐに食べられるのがポイントだね。今日はエビだけど、トリでも牛でもおいしいよ~」―。半熟卵と飾り付け用のエビがしんぼうタマラン(涎)。
【エントリーNO.11】わたしが通うヨガ教室の先生は、なんとかつて名古屋で知る人ぞ知る人気カレー店を営んでいたマダム。未だにあの絶品チキンカレーの味が忘れられずムズムズするんだけど、当人曰く「二度と作れないわ~。すっかり忘れちゃった~」だって(爆)。で今回、西城秀樹の冥福を祈り、『ハウスバーモンドカレー』に初挑戦!これが妙にうまかったあ~、じゃがいもゴロゴロ、キャンプの味だったあ~⛺
【エントリーNO.12】オオトリはわたしが作ったカレーうどん🍝ヨガの先生お手製のカレー種をかつおだしで溶き、冷凍うどんを使った受験生の夜食めしな一品(笑)。具は油揚げとネギとかまぼこ。最後に片栗粉を溶き入れてあんかけ風にしてみたよ。クソ暑いときに、さらにあつあつのカレーうどんをツルツルっとイッキ食い~!
さてみんなのカレー特集、いかがでしたか?…書いてるだけでテンションあがって、すんごく楽しかったあ~。取急ぎちんぴらは、今から冷凍してあるカレーパンを食べまーす(笑)。
PS 次号は8/10に更新します
極楽浄土日記 ☀2018
この春、なぜか名古屋の美術館は、“モネまつり”状態でした~。おいおい、画家はクロード・モネくんしかおらんのかいっ!と、ツっこんだのはわたしだけ?(笑)まっ、いいんですけどね、見るたびに発見があるから~★
で、モネとくれば ➡ ジヴェルニーのお庭 ➡ 池 ➡ そして言わずもがなの睡蓮…ですわな。ふふふ、でもおフランスに行かなくても、わたしは毎日“なーんちゃってモネ”を気どっています(笑)。通勤時に通り抜けする鶴舞公園内の『胡蝶ヶ池』を連日定点観測してるの~!これが、たっのしいたらな~い♫
ではでは、桜が散った4月半ばから今に至る池周辺の記録を、とくとご覧あれー。
①ガッツリ新緑!
4月19日☀ 西日に照らされた新緑がまぶしくも美しい胡蝶ヶ池の夕暮れです
5月9日☂☀ GWが明けたら、ちっちゃな蓮の葉が浮き始め、池の表面は水玉模様に。
5月14日☀ 雨あがりの朝。水玉の勢力は勢いを増し、茎も伸び始める。鴨が優雅にお散歩♩
5月24日☀ この時期、池は一雨ごとに激変。見よ!この伸びっぷりを。
6月1日☀ カラッと晴天。葉がグングン大きくなり、もはや池の水が見えない(汗)
6月5日☀ セイタカアワダチソウなみの成長パワーにびっくり(笑)
②開花宣言!
6月11日☁ 薄曇りの中、今シーズン初めてとなる蓮の花の開花を目撃!ひっそり咲くお姿に胸キュン♥
6月21日☁☀ ―が、10日経っても1日1花程度の開花状況。遠くに白いのが凛と立つ
6月26日☀ 梅雨入りしたのに晴天&猛暑続きで、蓮もお疲れ気味?
6月27日☀☁ 目を凝らせば、葉の陰に隠れて蕾がいっぱい出てるじゃないの~!
6月28日☁ うぉー!葉と葉の隙間からチクチク顔を出すのはぜーんぶ蕾やんけ!
6月29日☁☂☀ 目まぐるしく空模様が変わる中、じっくり開花の時を待ってる様子
③極楽浄土へまっしぐら!
7月2日☀☁ 公園入口には七夕飾りが風になびき、眺めているだけでキモチい~い♫
「あっ、そうだ!今日は母の誕生日だった…夜にでも☎入れないとなぁ」…なんて、考え事をしながら池の周辺にたどり着くと、本日は野外スケッチ愛好家のみなさまが先客に―。いいなあ、日がな一日なーんちゃってモネ三昧か…わたしも混ぜてほしい~。
なにせ太鼓橋もありますから~。まさに名古屋のジヴェルニーですよ(爆)。
7月3日☀ モネが描いたのは睡蓮。胡蝶ヶ池に咲くのは蓮の花。見分ける方法は、茎が水面から長く立ち上がっていて、割れ目のない丸い葉が、蓮の花の特徴らしいよ。
7月4日☁☂ キターーー!蓮の花もっりもり♫ 都会のど真ん中に極楽浄土が出現しましたあ~。明日からはしばらく本降りとのこと。花にとっては恵みの雨になるのか?
7月9日☀ 大雨が去り、ウソみたいなピーカン!極楽浄土の輝きは増幅してます★何を隠そう、『古事記』にハマってるわたしは、この3ヵ月弱の池の変遷を、イザナギとイザナミの“国生み”エピソードに見立てて楽しんでマシタ(爆)。今月末までは、引続き目の保養ができそうですよ。お近くの方はぜひ足を運んでくださいまし~♪
【おまけ】偶然だけど、アンリ・ルソー特集の『日曜美術館』で、MOMA所蔵の『夢』(1910)が登場。そうだそうだ!こっちはまさに蓮の花でしたね~。鶴舞公園はかつて動物園があった場所だというし、ちょこっとルソーも妄想?(笑)
PS 次回は7/25に更新します
オモロいわぁ~😊『古事記』(読み比べ編)
前号に引き続き『古事記』特集をお贈りしま~す♫
さて、『ラノベ古事記』の読了寸前でテンションMAXになってたときに、例のマブダチMがしれーっと「でもこの本は,古事記の最初の 1/3 のイワレビコが生まれるところまでなんですよね~」。…おいおい、それはないだろう~(汗)、遅出しジャンケンにガックリきのこになったわよ(汗)。Webで続きも読めると知ったけど、昭和36年生まれはやっぱ本にこだわって、困ったときの図書館頼みに猛ダッシュ。そこで戦略変更。神さまの話から代々の天皇の話へ移行する『古事記』の中巻&下巻へ読み進めるのは一旦お休みにし、愛着を感じた上巻のバージョン違いを楽しもうと目論んだのであります!
読み比べ1冊目に選んだのは『橋本治の古事記』(講談社)。敬愛する橋本センセイ♥ やっぱ『古事記』も現代語で蘇らせていたんですねぇ、さすがです(ぺこり)。これがねー、女主人調語りでグッとくるの。岸田今日子や市原悦子のナレーションを想像してみてくださいな~♫ ゆったりと神秘的に構えながら、語りの底に冷え冷えとした肌触りが立上る、何とも大人な味わいなのよ。思わず息をひそめて読み耽りました。
橋本センセイの古事記の特徴を3つ挙げると…
- 「序」は琵琶法師調「本編」は女主人調のトランスジェンダー 語り
- 神さま、土地、モノなど、名前の由来を丁寧に言及しながら進行
- 上巻に収められた8種の歌すべてが現代語訳で今に蘇る!
響きがいいのよ~。『ラノベ古事記』が、チャラ男のオオクニヌシをはじめとしたわんぱく男子校の冒険譚だとすると、橋本センセイ版は女たちのスゴ味を堪能させる流麗な絵巻物風。なにせ古典を現代語で蘇らせた本家本元は橋本センセイですからねっ!その橋本センセイが、ここではグッと渋く年増女な貫録を匂わせて腕をふるっているからゾクゾクしちゃったなあ。例えばあの三貴神誕生のくだりはこんな調子―
イザナキの命は、アマテラス大御神におおせになりました。「あなたは、高天原をご支配なさい。」 イザナキの命は、つぎにツクヨミの命におおせになりました。「あなたは夜の国をご支配なさい。」 そして最後にイザナキの命は、タケハヤスサノオの命におおせになりました。「あなたは、海原をご支配なさい。」―(本文より)
イザナキは男神。なのに独り(!)で3人の尊い神さまを産んじゃって、そこで口にするのがこのセリフ。「ご支配なさい」は、性別を超えたトランスジェンダーな香りがして、実にしっくりきたんだよね~。そうそう、橋本センセイの書き下ろし新刊本のタイトルはなんと『草薙の剣』。ヤッタ~、引続きご教示をお願いできそうだわ!
そして読み比べ2冊目に選んだのは『絵物語 古事記』(偕成社)。はい、出ました、これまた傑作!古典中の古典、しかも“天地のはじまり”の物語となれば、「きっと上等な児童書版が出てるだろう…」と目星をつけ、子ども図書コーナーで物色した1冊なの。文章は富安陽子さん、挿絵はアニメーション作家の山村浩二氏、そして古事記研究者の三浦佑之氏が監修を手掛けています。
こちらはつかみに勝負をかけ、「序」をすっ飛ばして出発進行!児童向け図書には“あり”でしょう~。ページをめくれば「国生み」の章、その語りはこんなかんじ…
なになに、この国のはじまりのことをしりたいというのかな?よしよし、話してあげよう。 でも少々長い話になるぞ。なにしろその物語は、むかしむかし、大むかし、まだこの世の形がさだまらず、なんにもなかったところから、はじまるのだからな。―(本文より)
ザ・翁調ですよ~。素敵でしょ?本編は13章に分かれ、それぞれ20ページ程度の分量でリズム良く構成されています。語りを意識したシンプルな言葉使いが美しくて、何度となく声に出して読みたい衝動に駆られたわ。そのうえ、黒鉛筆だけで全ページに添えられた山村さんの絵がすばらしいのなんの…マジで腰が抜けそうになりました(汗)。ほれみて、日本列島、できてるじゃーん!
『古事記』の上巻は、天地開闢を始めトンデモ話の連続なんだけど、それをことごとく絵にしちゃう山村さんの創造性に、ただただ感服(涙)。もはや、挿絵仕事の範疇じゃございません。新しい宇宙を生み出している感さえあります。もしかして山村さんがイザナキなのではないでしょうか?(笑)
ほらほら、お酒に引き寄せられて、ヤマタノオロチもずるりずるりとやってきましたぜ。ヤッベ―、音も動きも匂いも感じてしまいますです、はい。騙されたと思って、ぜひ手に取ってみてください。一家に一冊、必読の書です★
そして最後はビジュアル本!『古事記 日本の原風景を求めて』(新潮社/とんぼの本)です。「これ、どこのことなんだろう…」―『古事記』を読み始めると、神話の地に思いを馳せずにはいられなくなるの。物語の伝承地に行きたいよ~♪とそわそわしちゃう(笑)。そこで見つけたのが、サブテキストにもってこいのこちら―
さーすが芸術新潮さん、『古事記』の風景がくまなく取り込まれていて、至れり尽くせりな実写アルバムに仕上がっています。えー塩梅の写真ばかりで、“エアー古事記ツアー”を満喫!イザナキとイザナミが最初に作ったオノゴロ島を皮切りに、黄泉比良坂をふさいだ千引岩(ちっこ~い!)や、オロチの首から流れ出る血で赤く染まったという斐伊川に、稲羽のシロウサギの伝承地白兎海岸も!もちろん神さまたちを祀る神社もどっさり登場~★
驚いたのは、高千穂にあるアマテラスゆかりの天岩戸神社の近くに、神さまたちが作戦会議をしたあの天安河原(あまのやすかわら)があるらしいのよ~。つまり、わたしがインテリヤクザと崇めるオモイカネさま♥が、ここで陣頭指揮をとったってことよね?いやー、もっともらしい気配が濃厚じゃないですか~。アメノウズメになり切って、踊り狂うステージとしても悪くないわよ(笑)。ニッポン列島、オモロすぎるぅー。
長年、神社はデートするのに最も好きなスポットだったけど、何が祀ってあるかなんてぜーんぜん興味がなく、ある種のインスタレーションとして体感してたわけ(汗)。それが今じゃ、物語性が先行しはじめ、映画のロケ地に見立てて想像するようになってますわ(笑)。出雲、高千穂、日向…いつか足を伸ばしてみたいなあ♥ この本は『古事記』全編を対象に、紀行文や最新研究ルポも掲載されてて、ちょっとおたくモードになれちゃう欲ばりな1冊。これで中巻⇒下巻への関心も、じわじわと高まってきましたあ~。
オモロいわぁ~😊『古事記』!
「見るなの禁」「穢れ」「禊」「国生み&国譲り」「蘇り」「美醜問題」「誓約(ウケイ)」「兄弟喧嘩」「母性と父性」「神殿」「天孫降臨」…。この2ヵ月、『古事記』を通して神話の世界に遊んでいたら、今まで使ってこなかった思考スイッチがONになり、絶えず脳ミソが喜んでる状態になってマシタ!次から次へと生まれる神さまたち、その誰もが全能じゃないからこそ、こうしてずーっとずーっと語り継がれているんだね。今の世の中に流布するドラマツルギーのすべてがここにある―古典はスゲーよ!
そしてつい最近、これまた何かと御託の多い(!)同級生のHに「古事記がオモロい!」と浮かれて共有したら―「『乞食(アッカトーネ)』ならパゾリーニだが、『古事記』なら、石川淳でしょう。格好いい訳だよ。読んでみらっしゃい。」と、結構なご助言がはいりましたあ~。イチイチ癪にさわるが、確かに石川淳と聞けば思わず食指が伸びる…。負けず嫌いの血が騒ぎ、速攻でアマゾン発注(爆)。いやはやこの後も、神さまに振回されそうな予感のちんぴらでしたー。
※本を物色する時間がない方に動画サービスを付けてみました★
PS 次回は7/10に更新します