サクッとお江戸✑備忘録 2018夏
クソ暑い名古屋を脱出して2泊3日でお江戸へGO!ハッキリ言って、名古屋と比べたらどこも避暑地ですね(笑)。しかーしその反対に、胸の内は絶えずHOT🔥 今回足を向けた企画展が、たまたま予備知識のない未知の作家ばかりだったから、サプライズの連続で、わたしにとっては最も贅沢に美術と対峙する時間となりました♪まだ開催中の展示もあるよん!“ちんぴらピノキオ”をガイド役に仕立てて、ちょっくらご紹介で~す★
1本め👀『小瀬村真美:幻画~像の表皮』原美術館
▶御殿山をトボトボあがり、「小瀬村真美(1975~)?誰それ?」なーんて調子で、ノー天気に初対面を果たして大正解!“知らない”って、炊き立ての白飯並の威力がありますね(笑)。
▶ところが文章で紹介するとなると、難易度はかなり高いよ~、困った(汗)。(ちなみに受付で配布されるご本人による展示解説文がわかりやすくてとてもイイ!斜め座りして自作と向き合っている風な印象で、鑑賞の伴走にもってこいです✌)
▶小瀬村作品のほとんどが、映像や写真の形で並んでいるんだけど、絵画の構図が意識されているからか、遠目には写実絵画に見えるわけ。でもって、見覚えのある絵画みたい…と思って近づくと、絵の一部がゆるりと動き出したりしてギョっとする一幕も―。目を凝らせば凝らすほど実体はほどけて朦朧となり、イメージが定着しないんだよね。
▶おそらく作業としては、すっごく丹念に仕込んだハッタリの連続と組合せ。ところがハッタリ✖ハッタリが、なぜか“作り物に見えないわけよ。むしろ虚像が呼吸し始めるから驚いた。なんだろうこの艶めかしさの正体は…単なる動画で終わらないの。作品の背後にたなびく「時間」が作用しているとしか思えないんだけど―。はい、そこでアホなわたしは、なーんちゃって小瀬村にトライ(笑)。ちんぴらピノキオをコマ撮りだ~♫
▶バカですね。これじゃあただの連続写真じゃねーの😞。挙句の果てには、冷蔵庫に転がってたトマト🍅で無理やりオチをつけて失速。《素人は続けるほどに墓穴掘り―。》小瀬村真美さま、あなたの作品は引続き追っ駆けさせていただきます(ぺこり)。※9/2まで開催中。急いで!
2本め👀『ゴードン・マッタ=クラーク展』東京国立近代美術館
▶ある日、画家のマブダチSから送られてきた画像を見てぶっとび!何これ?おうちをぶった切ってるじゃないの~ひぇ~。「8時だョ!全員集合」のセットじゃないんだからさ~(爆)。
▶作者の名はゴードン・マッタ=クラーク(1943-78)。70年代に活躍し、ずいぶん前に死んじゃってる人なんだけど、一体どんな狙いが制作背景にあったのか、気になってしょうがなかった作家なんだよね。はい、そこで目下開催中の、没後40年アジア初の回顧展へ突撃!面白すぎて3時間以上も滞在しちゃったよー(汗)。
▶例えば建物解体なんてひっきりなしに繰り返され、目にしたことがある光景でしょ?なのに建造物が絶妙のバランスで巨大彫刻へスライドしたと思ったら、やがて天地と共振するような未知の空間にヘンシン…な~んてことが繰り広げられるわけですよ(映像で体感)。切断が始まり、太陽光がゆっくり屋内と屋外の境界線をとっぱらって行くプロセスの美しいこと!キザな言い方をすれば「永遠」を目撃した感さえあったなあ…。
Gordon Matta Clark Exhibit at Whitney walk through with Jane Crawford
▶ゴードンの創作活動は35歳で夭折するまでのわずか10年ぽっきりのこと。でもこの間、都市を舞台に様々な方法でARTの概念を軽やかに押し広げる活動をしていたの。しかもそのすべての振る舞いが、悔しいくらいカジュアルに世界を再編集してて唸った!咄嗟に、天沼矛(あめのぬぼこ)で “こおろこおろ” と掻き回すあの古事記の名場面を思い出しちゃったよ~(笑)。さてそこで、わたしもじぶんの持ち物を再編集♫
▶上下が別れるこちらの5品➡けん玉、蟹型の小皿、鶏ボンボン入れ、ミシュラン人形、ちんぴらピノキオをモチーフにして、世界を再編集!まさにスプリッティング?
▶冗談はさておき(汗)、回顧展はたくさんの関連資料も目撃できる貴重な場となっております。9/17まで開催、ぜひ★
3本め👀『杉浦邦恵:うつくしい実験』東京都写真美術館
▶誠に失礼ながら、お名前さえ知らず、庭園美術館へ行くついでにたまたまのぞいた企画展。いやー、これまた出ました炊き立て白飯!カッコいいったらありゃしない~。
▶杉浦邦恵(1942~)は、20歳で単身渡米し、60年代後半からNYを拠点に活動を続けるアーティスト。写真技法を使った表現だけど、いわゆる伝統的な写真家とは違うし、むしろ既存の写真フォーマットをいかに逸脱するかに体重をかけて制作している風でしたね(奇しくもゴードンと同じ世代&同じNYで活動してる!)。そう、タイトル通りうつくしい実験の連続!…これがことごとくキマッてるんですよ~。例えば70年代に制作された写真とカンヴァスを組み合わせたこのシリーズ、さりげなくクールでたまらんかったです♥
▶国内で開催されるの初の回顧展は、年代順に作品が並び、新参者にとっては全貌に触れやすかったわ♫「へー、これを作った後に、こんな方向へ展開するんだあ…」と、50年間の「質」と「量」と「軌道」の全部に浸った気がします。その一方で、時代をシャッフルしたとしてもすべての作品がピンで立ってて、「たった今、すーっと生まれ落ちました…」という顔つきにも映るの。あまりのフレッシュさに思わずめまいが(笑)。
▶たおやかなんだよなあ…杉浦作品。「実験」につきものの前のめり感がゼロ。それでいて、しかと我が海馬に組み込まれてしまうほど印象的でした。よってちんぴらピノキオも今回はしっとりめ?で登場です(笑)。
▶会場の外でループ上映されている映像作品もお見逃しなく!中でもひたすら喫煙者たちをつないでゆくシリーズは、「世界の車窓から」とは真逆のそっけなさ編集の極みなのに、もてなし感はそれ以上♥ 9/24まで開催。小瀬村展と併せて見るのも◎
4本め👀『ブラジル先住民の椅子』東京都庭園美術館
▶お次は椅子😊 アマゾン河やシングー川流域で暮らすブラジル先住民の人々が手掛けた一木造りの椅子たちが、アールデコ様式の庭園美術館と朗らかにコラボってます。
▶今回の展示は、ベイ出版というブラジルの美術系出版社のコレクションから選りすぐられたものだって。その大部分は、野生動物をイメージソースにした造形美でどれもこれもインパクト大!また、フォルムや装飾性に、部族ごとのオリジナルの味わいがあり、違いを見比べながら鑑賞できて興味深かったよ。そして、そんなプリミティブなパワーをぶつけても、さらりと受け入れてしまえる旧朝香宮邸の洗練度にも改めて感服★
▶先住民にとって、椅子は男性だけしか使えない伝統があったんだって~。それと、超ユニークだったのが、「エイ」をモチーフにした椅子!あの美味しいエイヒレの「エイ」本体に、どうして座ろうという発想がわくのか…謎。生態を身近でウォッチしてる証か?空飛ぶ絨毯のイメージか?わたしには妖怪の一反木綿に見えるんですけど(汗)
▶そうそう、動物たちの「目」のあしらいもシャレてたよ~。やたらちっこくて、貝が張り付けられてるパターンが多かった。目が小さい➡キャラ立ちしない➡寡黙で詩的➡邪魔にならない➡長く愛用…そんなかんじ(笑)。さてちんぴらピノキオ用の椅子のモチーフは、お友だちのカラス!ただし厚紙仕様のため、体重制限ありです(汗)。
▶ベイ・コレクションのことが気になって検索したら、子ども向けにこんなワークショップをやってた!わくわくするぅ。さすがにブラジルにはサクっといけないが…(涙)
5本め👀『巨匠たちのクレパス画展』損保ジャパン日本興亜美術館
▶ラストは絵画の競演で締め括りましょう♪ 今回唯一の絵画展、それもクレパス画に限定した展示は、材料の特性もあってか、ガラに似合わずツイ郷愁に誘われてしまいました。だってクレパスは学校教材だったもんねー。幼い頃の体験の刷り込みってすごいな~。夏休みの絵日記もクレパス✎で描いたし~、ラジオ体操といっしょだね(笑)。▶出品作は何と152点。ご贔屓作家たちにはヨダレをたらし、初めて知った作家たちは帰宅後にググり…、鴻池朋子や天明屋尚のクレパス作品まで登場するから驚いた。そしてわたしが最も気に入ったのが鳥海青児(1902-72)の2点―『皿といちじく』『黄色い人』。ラッキーなことに、どなたかがUPしてくれてて再見できました!
▶クレヨンとパステルのいいとこどりで生まれたクレパスは、1925年に日本で発明された画材です。やっぱ使ったことがある画材だからか、見てるうちにムショーに描きたくなってきた~。そして自動的にあの匂いも鼻の先に立上っちゃった(笑)。
▶押し入れから引っ張り出してきたクレパス&クレヨンで、ちんぴらピノキオ夏の想い出編、いっちょできあがり~。
▶というわけで、ちんぴらピノキオをガイド役にした『サクッとお江戸✑備忘録 2018夏』編、いかがでしたでしょうか…。特に、初めて目にした小瀬村、ゴードン、杉浦の、理系アプローチの創造性には、本当に魅せられました。いやはや、世の中は宝の山ですね♫ 引続きお宝探しに精進させていただきます(ぺこり)。
PS 次回は9/10に更新します