画家・染谷亜里可は宙に遊ぶ🛸2/2
コンビ結成 ~🦋
◆前回に引き続き、画家・染谷亜里可くんご紹介特集です★ さて後半戦は、2011年の活動から始めましょう~♫ この年彼女は、お笑いコンビB&B(ふっる~)…ではなく、D.D.を結成!でも、2人の馴れ初めはB&B並みに、ふっる~です(笑)。何せ美大生時代からの相方、今村哲くんとのコンビだから~😊 そんなD.D.の第一弾発表作は、舞台美術で活躍している山元ゆり子さんとのコラボで、絵画・映像・音響・演劇的要素などを用いた体験型のインスタレーション『二重(にじゅう)に出歩くもの』でした!
◆会場は愛知県立芸術大学のサテライトギャラリー。こちらが当日の入口風景です。左には今村君の油彩の小品が並び、右にはソメヤくんのでかい「Decolor」シリーズがお出迎え。一見普通の絵画展に思うわよね?ところが本編は、2つの壁の隙間から身をよじるように入って始まるの!…するってーと、じぶんの身体サイズ感が狂うがごとく…
◆へんてこな小部屋が次から次へと続くんです。あたしはひとりで体験したから、「ここはどこ?あたしはだれ?」モードに浸りやすく、心細さと高揚感のせめぎ合いがメチャ気持ちよかった!でもこれだけでは終わらないわけです。タイトルが「二重」ですからね。しかも引き返そうにも引き返せない…帰れ~ない二人を残して♪~by井上陽水状態に(笑)。ラッキーにも山元さんが映像をUPしていたので、続きはこちらをどうぞ
◆カメラが介在する映像では、どうしてもあらすじめいた形に集約されてしまいますが、実際に体験すると「二重」というキーワードに様々な意味が感じ取れました。やがて、じぶんの中のもう一人のじぶんを追いかけて彷徨い、虚実入り混じった世界へ突入。一人ぼっちのいかがわしい道草体験に、胸騒ぎが収まらなかったの~。もう一度、どこか地方の夜祭かなんかでやってくれないかな…。とにかく唯一無二の体験でした!
美術館に潜伏🏠
◆そうそう、ソメヤくんは、あー見えてかなりの無鉄砲野郎なんですよね(笑)。あいちトリエンナーレ2013の並行企画展『ユーモアと跳躍』で、美術館に48時間滞在するという大胆な試みに挑んだことも…オーマイガー!(汗)
◆簡単に言っちゃうと、岡崎市美術博物館のロビーに、なーんちゃって住居を拵え、仲間といっしょに2日間暮らしたんですよ~。施設設備に頼らず、極力自力でやりくりし、非日常空間をじぶん十分領域に改造して遊び倒そうという企み。タイトルは『2つで三人』。あたしも2日目のお昼間に、こわごわのぞきに行ったんだけど(汗)、これがなかなかシャレオツな宇宙になってて快適でさ~♫ 上からのぞいた図がこちら―
◆壁はクッション性のあるプラスチック巻きダンボールをつなげたもの。ずるずるずる~っと引っ張り出して、間取り自由&プライベートも確保のD.D.御殿が完成。アルヴァ・アアルトも真っ青よ(笑)。家具も滑車を付けた移動式になってて、けっこうな人数が寝泊まりできる仕立て。半透明に人影がこだますれば…まさに陰翳礼讃ですよ~。
◆実験というほどストイックではなく、イベントというほど浮かれ過ぎず…。板についた自由思想の下で営まれていましたね。何より施設関係者さまの太っ腹な計らいに感服しました。できそうでできないすぐそこにある冒険、これぞユーモアと跳躍です👍
ちんぴらも飛び入り👣
◆このときD.D.は、関連企画として「みんなも妄想空間を考えてみてよ~、でもって実際に作って見ない?」というワークショップを開きました。そして本当に完成させた9組10名の空間を、迷路状につないで展示したのが『妄想の空間を連結しよう』です。
◆へへへ、あたくし不肖ちんぴらも、参入させていただいたんです。左端に見えるのがあたしの妄想空間。初代リカちゃんハウスをイメージしました。欲しくても買ってもらえなかったヤツ…(涙)。
◆あたしの場合、とにかく妄想力が貧困なんで、平面の組合せ&実用性でしか物事を考えられないの(汗)。リカちゃんハウスを等身大にして、貸本屋小屋にしたいなあ…パタパタ折り畳んで移動できたら笑えるなあ~と、いたって平凡に計画しました。
◆そして、以前、東大出(!)のクソ生意気なマブダチOが、読書好きなあたしに言い放った一言『本を読むのって、カッコ悪くないですか?』を、そのままタイトルにつけてみたの(笑)。だから部屋の中に陳列したのは、空き箱を装丁したなーんちゃって本で、タイトルも逆さに書いて悪ふざけ~♪
◆出窓には悪戯好きなカラスのモビールをあしらい、ぺらっぺらな貸本屋が出来上がったのよ~。構想3日、制作1ヵ月…D.D.の巻き込み力のおかげで、これまた超愉快な体験となりました😊感謝
所蔵品展を迷路に!
◆名古屋市美術館で2014年に開催した『遠回りの旅』もスペシャルな企画でした👍所蔵品を中心にした人生の旅にまつわる作品の紹介と、D.D.の謎めき迷路を合体させた体験型の美術展。一粒で3度美味しかったです🍴
◆常設展で見慣れたあの作品や、「おいおい市美さん、こんなの持ってたの?」と意表を突く小品が飛び出したり、近隣の美術館が所蔵する名品も集め…まるでセレクトSHOP!そう、そう、所蔵品=クローゼットのお洋服と見立てたら、コーディネートはグングン広がるよね👗。 展示方法を公募にしても面白いんじゃないかしらねっ。
◆ブランクーシ、スニガ、岡本太郎にマックス・クリンガー…意表を突く並びも、「旅」という文脈を補助線にして近づけば、受け止め方がガラッと変わって妙に新鮮。はい、そこにD.D.がまたまた迷路をぶっこんだんですよ~。ほら、会場にいきなり脇道が出現してるでしょ!さっそ~われてフ~ラ、フ~ラ♪目~の前がク~ラ、ク~ラ♫
◆『昼の目 夜の目』と題されたこの先の迷路体験は、美術館のバックヤードに一匹のネズミになって潜入するイメージ🐭狭い通路を手探りで進めば、段差や、穴ぼこや、天井裏や、抜け道に出くわし…立ったり、はいつくばったり、寝っ転がったりして、身体フル稼働の大忙しに―。しかもその間、作品鑑賞もあり~のなんですよ。やがてたどり着いた場所は…月の愛香(内容はナイショ)、うーんマンダム♥
◆2Fでは、人生初、じぶんの後ろ姿に恋に落ち、せつない道行体験ができる小部屋『鏡の回廊』も堪能し、一粒で何度も美味しい鑑賞となりましたね。小気味よい文章で綴られた図録がまたよくできてて、帰宅した後ももう一杯、ゴハンおかわりしたかんじ(爆)。収蔵作品鑑賞とのコラボD.D.作品、ぜひまたどこかでやっておくれ~📢
ちんぴら、穴にもぐる🍩
◆2016年にはソメヤくんの母校の記念企画展で、ドット柄のちっこい穴にすっぽり!
◆こんなところにあったのか~、どこでもドアだ~。立ち上がり部分に意外と高さがあり、どう入ったらいいか一瞬戸惑ったりして…よっこらしょ。知らない間に撮影されてマシタ(汗)。レセプション日、傍らのビール缶も一興でしょうか(笑)。
◆“起きて半畳寝て一畳”どころの騒ぎではなく、かなりちっこ~い人小屋だったけど、中に入ると息苦しさはなく、むしろ一穴入魂しましたね(笑)。造形物としての佇まいにもソメヤくんのセンスが光ります★ 作り込み過ぎていないのに、存在感はピカイチなのよ。おっさんたちが憧れる男の書斎にどうっすか?チャクラ全開になりまっせ~。
ブラボー、ART!
◆ベルベットに浮かぶお月様から始まったソメヤくんとの交流。今回、じっくり振り返ってみて、我が事ながら改めて縁の不思議さに驚かされちゃいました。フランシス・アリス、ウイリアム・ケンドリッジ、ガブリエル・オロスコ(画像右)、フィッシュリ&ヴァイス、ゴードン・マッタ=クラークetc…ソメヤくんから教えてもらったアーティストたちに触れ、じぶんの思考が大きく変化したのもとっておきの体験になったけ…。
◆絵を買うときに思うのは、「この人の、次の作品が見たい!」という衝動なんですよね。次作を制作するための絵の具代を、勝手に渡したつもりでいるの(笑)。未来の博打の片棒になり、あたしにできない冒険をガツーンとやってもらいましょう~という心意気。作家の創作時間にまで思いを馳せられるなんて、すんごく贅沢なことじゃない?
◆最後に紹介するのは、ソメヤくんの作品で一番愛しいクレパスの作品です。女の子2人が机の上で何かやってるシルエット…いっしょに本を眺めているのか、手芸でもしてるのか、それとも夕飯の下ごしらえか(笑)。とにかくこの絵の、2人で何かに夢中になってる姿がたまらなく好きなの~。しかも、俗世を離れて宙に浮いてる~!★タメ年のあたしたちも、こんな風に頭ン中で常に切磋琢磨しあってる気がするよ、「Viva人生!」っていいながらねっ♫
染谷 亜里可 展 - Left inside Right
会期 : 2019年5月18日(土)- 6月22日(土)
会場 : ケンジタキギャラリー 時間 : 11:00 - 13:00 / 14:00 -18:00
名古屋市中区栄3-20-25 TEL 052-264-7747
PS 次回は6/29に更新します