束の間のダーリン♥ 年上編

あ~あ、ピーター・フォンダも死んじゃったか…。お気に入りの役者の訃報を目にすると、思い出グルグル駆け巡る…。―というわけで、今回はあたしの洋画男優遍歴をご紹介★ 銀幕の中の束の間のダーリンたち…さてどんなメンツが並ぶかな~♫

1人目ダーリン♥ 

f:id:chinpira415:20190822221433j:plain▶もはや知らない人も多いでしょうが、超有名芸能一家に生まれたピーター・フォンダ(1940-2019)は、70年代を代表する映画界の“顔”だったのよ。といっても、あたしもまだ中高生時代だったから、当時の人気振りはイマイチわかってなくて(汗)、彼が主演した映画『ダーティ・メリー/クレイジー・ラリー』(’74)1本だけで、めでたく忘れられない男優にランクイン!まさに“束の間”のダーリンです(笑)。

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▶確か、高校卒業まで残すところあと数日の昼下りに、TVで放映されたんだよなあ…。手元のメモによると今から40年前、1979年2月だって(汗)。もちろん吹き替え版。名うてのドライバーとメカニック野郎の2人組が、レース用の新しい車欲しさに、スーパーマーケットに強盗に入り、警察に追われて大騒動になるってだけの話。途中、はすっぱな女が乗り込んできて3人逃避行になるものの、ぶっちゃけ何の深みもなし(爆)。

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▶犯罪描写も、カーチェイスも、人物設定も、見事にぺっらぺらでさー、カッコイイんだか悪いんだかよくわかんなかったわけ。ただ、脳みそツルツルの割には、映画内エネルギーの質といい量といい、見たことないほどまばゆくて、圧倒されたのよ!でもって、ウソみたいにあっけないラストのお開き…。ピーターのだらしない笑顔としゃくれたアゴのライン(スキ)ともども、今でも“踏切”に出くわすたび、蘇る1本ですわ~。


Dirty Mary Crazy Larry Trailer 1974

 

2人目ダーリン♥ 

▶お次は、さらにみなさまに縁遠いであろう男優、ウォーレン・ウォーツ(1928-1982)。束の間どころか、あたしにとってはオールタイムベスト1ダーリンなんですけどね~♪ 鬼籍に入った役者は、永遠度がぐっと高まるし…(笑)。1本に絞るのは至難の業だけど…やっぱ最初の出会いデリンジャー('73)は外せない!

f:id:chinpira415:20190823222349j:plain▶1930年代の米国に実在した悪名高きギャング、ジョン・デリンジャーの半生を描いた1本で、これまた40年以上前に深夜のTVでチェックしたの。ウォーレン演じるデリンジャーは、人は殺さず金は銀行からしか奪わないがモットーの粋な犯罪王でさー、クセモノ揃いの仲間との絆も強く、テンション上がりまくり~✌そう、なんといっても映画の最大の魅力は、おおっぴらに反体制の旗を振れるところですから~♪ FBIとの派手なドンパチに、脱獄…我々の見果てぬ夢を代わりに体現してくれて痛快極まりなし★


Dillinger 1973, Warren Oates , Harry Dean Stanton

▶しかもこの映画、死と背中合わせのアナーキーな日々を緩急使い分けたアクションシーンで織り上げ、実録チックかつ詩的なの。ウォーレンのいかつい顔と、時折りのぞかせるナイーブな表情との落差が辛抱タマランかったそして意外にも彼はウエットなシーンでこそ本領発揮する役者なのよ。傑作ガルシアの首('74)もむせび泣いたな~。

f:id:chinpira415:20190823085904j:plain女には愛を贈り、仲間には筋を通す…まっ、いかにも男が惚れる男のイメージですわな(笑)。亡くなった年、なんとイオニアのステレオのCMに登場して驚いた。きっと広告代理店の営業マンあたりにウォーレン心酔者がいたんだろうね(笑)。享年53歳…よく考えたら(よく考えなくても)今のあたしより年下じゃん!やっべー(爆)


1982年 パイオニア ロンサムカーボーイ(60秒)

 

3人目ダーリン♥ 

▶もはや懐かしすぎて誰もついてこられない?(汗)茶目っ気たっぷりなおチビさんダドリー・ムーア(1935-2002)もあたしの束の間のダーリンでしたあ~。ただし、認知経路は若干異なり、超辛らつな映画評論家ポーリン・ケイル女史の著書「映画辛口案内」の中で、ベタ褒めされていたダドリーに興味が湧き、すでに彼の全盛期が過ぎた91年にビデオでまとめて見たのがきっかけだったの。

f:id:chinpira415:20190824130613j:plain▶今にして思えばレンタルビデオ屋さまさまの時代でしたね(笑)。喜劇役者の身体能力の高さを吟味するには、お手軽に再生できるソフトで繰り返し見るのがベストなのよ~。もともとは音楽畑の人だから笑いの間合いが抜群だし、気の強いデッカイ女の周りをグルグル回る小型犬みたいな身のこなしに、母性本能をそそられたものです😊イギリス人らしい皮肉屋ぶりや、酔っ払い貴公子な横顔も◎ビデオで愛した束の間のダーリン、これもまたよし♫(若干、布施明入ってる?!)

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4人目ダーリン♥ 

▶打って変わって、巨漢おやじダーリンもいたわよ!ハリウッド殿堂入りを果たしたニック・ノルティ(1941-)。今もバリバリ現役役者よね~。白髪の好々爺になったとはいえ、あのでっかい肉の塊に抱きついて、宙に浮いた脚をバタバタさせたい~というババアの妄想も、引き続き継続中です(爆)。

f:id:chinpira415:20190824145307j:plain▶とはいえ、あたしが最も惚れこんだのは、ニューヨークに縁の深い3人の巨匠が撮ったオムニバス映画『ニューヨーク・ストーリー』(1989)第1話「ライフ・レッスン」に出ていた時のニックなの!彼が演じるのは、個展を目前に控えた画家のドビーイーストサイドの倉庫にアトリエを持ってて、こっぱずかしさも込みでいかにも当時のアートシーンの最前線を走ってる風なんだけど、ロザンナ・小鹿・アークエット(!)扮する小娘に翻弄されて、ムラムラは募るわ、制作は進まないわでおっさん大ピンチに(笑)。

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アトリエ内を殺気立ったライオンみたいに歩き回るニックの色っぽいこと!オープニング前のアーティストが、対戦前のボクサー並みにストイックの頂点にいる絵になってて、ワクワクが止まらなかったよ~。寸止めの美学ですかねぇ。極めつけは背後に流れるプロコル・ハルム「青い影」。おっさんを蘇らせるには感傷的なオルガン音が最適で~す(笑)。そしてもちろん新しい獲物探しも重要課題。何せアーティストは、いくつになっても恋がガソリンですから~。


Life Lessons Montage

 

5人目ダーリン♥ 

▶先を急ごう!次はおフランスからセレクト…でも素直にアラン・ドロンとか書けないのがちんぴらです(笑)。知ってるかな…イポリット・ジラルド(1955-)。束の間のダーリンでした。愛さずにいられない('89)は、90年の7月に劇場で見て、衝動買いしたポスターを長い間トイレに貼ってたわよ(笑)

f:id:chinpira415:20190824162447j:plain▶30歳になっても定職に就かず、高校生の弟と2人で気ままに暮らし、パリの街を我が庭のごとく徘徊する男を演じたイポリット。自己実現なんて端から無視したオレサマ野郎が、正反対のレイヤーで生きる女子大生に恋をして、主義を曲げない者同士の恋愛ドラマが繰り広げられます。惚れた相手だからこそ、徹底的にじぶんの筋を通そうと踏ん張るのは、やっぱお国柄でしょうかね…パリはやせ我慢が似合う街でもあります(笑)

f:id:chinpira415:20190824205040p:plain▶ただ、イポリットに夢中になったというより、このデビュー作でいきなり数々の賞に輝いたエリック・ロシャン監督(1961-)の思考にジャストミートしたの。政治に熱くなれなかったり、キャリアハッスルを嫌悪したり、束縛を嫌いじぶんの流儀に子供っぽく固執してしまったり…と、主人公の振る舞いを通じて立ち上る監督の感性が、同じ年のあたしにひどく刺さったんだよね。イポリットはその後もコンスタントに活動しているけど、監督は2013年以降新作を撮っていないみたい(汗)…同級生よ、今どうしてる?


Un Monde Sans Pitié (Hippolyte Girardot, Mireille Perrier et Yvan Attal)

 

6人目ダーリン♥ 

▶そろそろ最強の“混沌”役者ハーヴェイ・カイテル(1939-)に触れておかないと…。若い頃から、マーティン・スコセッシ(1942-)監督作品とは切っても切れない間柄。『タクシー・ドライバー』('76)筋肉ポン引き姿で、男も女もビビらせたのはご存知の通り。デュエリスト('78)『ジェラシー』('80)『ボーダー』('81)での脇固めも最高だった!

f:id:chinpira415:20190825225213j:plain▶とにかくハーヴェイがチラッとスクリーンに登場するだけで、辺りに不穏な空気がはらみ始め、予測不可能な映画に化ける瞬間を何度も目の当たりにしましたね~レザボア・ドッグス('92)の狂犬ぶりはもちろん、主役を射止めたバッド・ルーテナント('92)では、53歳にして全裸仁王立ちで極悪刑事をヒリヒリ演じ、あたしが握りしめていたちっぽけなモラルを木っ端みじんに破壊しましたあ~(爆)。

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 ▶とはいえ、ダーリン目線で見守ったのはピアノ・レッスン('93)のときですね。ハーヴェイは、話すことができないヒロインからピアノを教わる粗野な男を演じ、ここでも脱ぎまくり😊 はい、全裸チェックしたさに、劇場へ2回通いマシタ~(爆)。何せ監督が女性だからさー、いちいちタメをきかせたエロス描写で、美女と野獣”方程式に仕上げてしまうわけ。ぶっちゃけ、格調高めなレディースコミックです♫

f:id:chinpira415:20190827210011j:plain▶特に、ヒロインが身にまとう鎧のごとき19世紀のお召し物と、野獣ハーヴェイの節くれだった指、深く刻まれた眉間の皺、猫背気味のシャイな背中、血の果てまで見通しそうな鋭い眼光が呼応して、ロマンチックが止まりません。さらにはマイケル・ナイマンピアノ曲が鳴り響いちゃうんだもん…どこまでも女に都合のいい映画になってて、ニヤケ笑いが止まらない1本でしたね😊


The Piano Beach Scene - The Heart Asks Pleasure First

 

映画は監督主義のはずだったけど、振り返ってみると、夢中になった役者ダーリンもけっこういらしゃいマシタ(笑)。まっ、40年以上も劇場へ通い詰めているんだから当たり前か。そして90年代の後半になると、それまでのおっさん好きから徐々に年下へ移行し始め…。次回「束の間のダーリン」年下編もお楽しみに~

 

PS 次回は9/29に更新します