勝手にシネマ評/『運び屋』('18)
薬物使用で逮捕された人気ミュージシャンの映像が、派手に世間に流れていた3月某日。「 “伝説の運び屋”の正体は90歳の老人だった」―と、謳い文句が躍る映画を見に行った。
クリント・イーストウッドが監督・主演する新作『運び屋』(’18)だ。大いに笑い、めいっぱい楽しませてもらった。―が、本作は、実際にあった麻薬密輸事件の映画化だという。考えてみたら日本の騒動と源泉はいっしょなのだ。いや、リアル犯罪として比較したら、そのウン百倍もタチが悪いのは明らか。まったくもって言い逃れできない真っ黒案件である。なのに、気持ちよく手を叩き、快哉まで叫んでしまうのだから、困ったものだ(汗)。
改めて思った―「映画」という装置が、アウトローを物語るとき、いかに最大級の効果を発揮するかを!劇場の暗闇に身を沈め、世の中からはぐれた輩どもの輝きをこっそり拝むと、しょぼい毎日がいきなり活気づく…あれですよ、あの愉悦!
じぶんを大きく見せたい…それも反体制を気取って…という青臭く後ろめたい欲望に、映画はタイムリミット付きで個別に奉仕してくれる。それゆえ我々は、錯覚の時間内で、日々の規範からより遠いところまで運ばれたいと切に願うのだ。真っ黒だろうが真っ白だろうが、左だろうが右だろうが、なんだってかまわない…トンでもないジャンプを体感させてくれ!と(バンジーだから紐ついてるしね 笑)。
そして文句なくトンでもないジャンプを味わいましたよ~。なにせ90歳のジジイのわんぱく体験にお付き合いするのだから、全てが未知との遭遇(笑)。映画はイリノイ州のへんてこな花畑のシーンから始まった。「なにこのヨレヨレの花?もしや薬物栽培でもしてんの?」などと、ぼーっと眺めていたら、名前も知らない花より、さらにヨレヨレシワシワ猫背の御大イーストウッドが、テンガロンハットではなく、麦わら帽子を被ってひょいっと登場★荒野をさすらい続けたカウボーイの終着点は、土と共に生きる園芸家なのか~と苦笑い。一瞬、デレク・ジャーマンみたいな求道者像を思い浮かべるものの、すぐさま撤回(笑)。
ヨレヨレの花は、1日だけ開花するデイリリーというユリ科の一種で、イーストウッド扮するアールは、移民たちを使ってこれを手広く栽培し、ひと財産を築いた成功者だった。しかも、枯れても山のにぎわいどころか、軽口をたたきながら正装して品評会に繰り出す様は、まるで花道をねり歩く歌舞伎役者のごとき艶姿。その有頂天ぶりが可笑しいったらありゃしないのだ。ところが洋の東西を問わず、ジジイのええかっこしいを「馬鹿だね~」と笑って許せるのは、他人様ゆえのことらしい。家族をないがしろにしてきたカッコつけ男は、ヨメと娘から見放されて久しい憐れな老人でもあるのだ。
さて、外堀から伺っているだけでも、『運び屋』がどんな展開になるかは、概ね予測できるだろう。デイリリーの生態のようにアールは早々と萎れ、転落街道まっしぐら。艶姿から12年後の2017年、商売は傾き、自宅と農園を差し押さえられ、手元に残ったのは古ぼけたフォード1台だけ。無論、しょげて帰れる場所もない。人生の高低差を味わうのはヒーローの常だが、口の減らない90歳の老人に、一発逆転の打ち手など用意できるはずもなく、はてさてどうしたものか―。
「町から町へと走るだけでカネになる」―。無違反運転で国中を旅してきたのが自慢のアールは、そう持ち掛けられてテキサス州エルパソへ。運転免許返納に怯える日本のシルバードライバーからすれば、ここぞとばかりに自尊心を取り戻せそうなキャリア・パス図だが(笑)、案の定とびっきりヤバイ奴らがお出迎えだ。ただし、アールが出没する先は、いつでもどこでも花道に早変わり♪じぶん十分の立ち回りを披露なんかして、退路を断たれたジジイに怖いものはない。
で、中身は見るなと言われた荷物を、鼻歌交じりに指定の場所へ運べば…アラ不思議。ダッシュボードから大金入りの封筒が、手品みたいにでてくるではないか!いやー、やっぱ現ナマのパワーはすさまじい。アールの皺くちゃの手で握りしめると、かえって札束にナマナマしさが割り増しされ、妙に興奮しちゃったわよ~。というわけで、取り急ぎこれで孫娘の結婚披露宴代はゲット。汚名返上&家族の信頼回復に一歩前進か。
こうして超お手軽&高額バイトに身を乗り出したジジイは、運び屋稼業に精を出し、次から次へと失くしたものを買い戻す。そもそも根がええかっこしいだから、これを機に老後を手堅く内向きに生きようなどと改心するわけもなく、稼ぎは周囲に大盤振る舞いし、踊りまくりモテまくり。世間ではよく「金のない年寄りは誰にも見向きもされずに孤独」と、教訓めいたことを言うが、あぶく銭が人気者の座を保持するための運用費に充てられる絵は、大ウケしつつ、どこかウッスラと侘しさが漂うようにも映る。
もちろんイーストウッド映画だから、老人に金をチラつかせ、家族との和解の果てに大団円…には至らない。アールに絡ませるのは、家族は家族でも麻薬密輸元締め一家のボスや、組織に忠誠を誓う手下の若造や、はたまた赴任したてのエリート麻薬捜査官という顔ぶれで、要は背景の白黒に関係なく、男同士のジャレあいこそがヒーローの現役感を司るパワー源だという仕立て。女どもにすまないと詫びるしぐささえ、様式美の内なのだ。
「タタ(じいさん)」の愛称で呼ばれ、運び屋記録を更新するほど振り切った仕事ぶりを披露したアールは、映画ならではの血統書付きアウトロー。カーラジオをBGMに、自由気ままにオレサマの流儀で浮世を疾走する一方で、朝鮮戦争の退役軍人だという経歴が終始通低音として鳴り響く。具体的にはほとんど語られないが、だからこそ、見たくないものを嫌というほど目撃してしまったであろう老人の虚無感が際立って見えた。
そうイーストウッドが作る映画は、ある意味、いつだって形を変えた戦争映画。そして彼が演じるヒーロー像には、常に鎮魂のしぐさが刻印されている。折れ曲がった背中で、ダーティーワードを連発する孤高の狂想老人に、男たちが惚れるのもわからなくもない(笑)。イーストウッドはしぶとい。まだまだ飛べるな。この先も治外法権でジャンプし続けていただきましょう!
『運び屋』
2018年/116分/アメリカ
監督/製作/主演 クリント・イーストウッド
撮影 イブ・ベランジェ
音楽 アルトゥロ・サンドバル
脚本 ニック・シェンク
キャスト ブラッドリー・クーパー ローレンス・フィッシュバーン
PS 次回は4/13に更新します
橋本治は永遠にえらい!
2019年1月29日 作家の橋本治さんが亡くなってしまいました😢。享年70歳。訃報をネットで目にしたとき、ザーッと血の気が引くのが、じぶんでもありありとわかりました。この30年、橋本さんの文章に、何度シビれ、大笑いし、自由を味わったことか―。
橋本治という名の金脈は、「量」「幅」「質」そして「奥行き」までもスゴ過ぎて、一生賭けて探索する宝の山だと勝手に思っていた節があります。あたしが呑気に3合目あたりをうろついていても、橋本金脈は「減らない、錆びない、逃げ出さないから大丈夫。お愉しみはずーっと続くよどこまでも~♫」と、信じ切っていたんです。どうしてそう確信していたのか…。尋常じゃない仕事量をはじめ、病気のことも公言されていたのに、それでもなぜかフツーの人の身に起こるシンパイごとを、橋本さんには結びつけて考えようとしなかった…「いつまでもあると思うな親と金と橋本治 」だったなんて。
橋本さんの文章に魅かれたきっかけは、1989年に文藝春秋から創刊された硬派女性向け雑誌「CREA」での連載『絶滅女類図鑑』だったと思います。女たちの頭上を、イヤミと皮肉タップリに、まわりクドく旋回し続けるようなめんどっこいエッセイで、当時の女性誌にはまずお目にかかれない代物でした。難解な言葉など1個も出てこないのに、問題定義の連続技に我が脳ミソはとっ散らかり、ぜんぜんスッキリしない…(汗)。ただ、見過ごせないものが蠢いていることだけは、しかと感じとってしまったのです。
世の中が、女子のワガママぶりを無視できなくなり、女子の扱い方に幅をもたせるフリをし始めたとき、橋本さんは赤い絨毯でもてなすどころか、当の女子たちでさえ無自覚な本質をえぐり、白日の下にさらしてみせました。しかも、オヤジの本懐的な物言いではなく、とうの昔に終わった男社会の現状を読み解いた上での投げ掛けだったから、余計に驚きました。13歳年上のこの人はいったい何者?と、自然に興味がわいたのです。
こうして橋本さんの教養の厚みに圧倒させられる日々がはじまりました。『絶滅~』などの論評がB面だとしたら、同じ時期のA面では、古典の現代語訳をガンガン披露する橋本金脈。橋本さんは、滔々と流れる日本の歴史の末端に、じぶんの日々の営みも地続きで流れていると、フツーに考えてしまえる人だったような気がします。あたしも意を決し、95年の年末から文庫化された『窯変 源氏物語』を毎月購読。1年かけて全14巻と番外編『源氏供養 上・下』を読了し、忘れられない源氏イヤーとなりました。
実は『窯変ー』の「薄雲(うすぐも)」の章、光源氏最愛の女性・藤壺が亡くなるくだりに差し掛かった96年の春と、傍迷惑な軟弱BOYが自滅する「柏木(かしわぎ)」の章を読んでいた同年の晩夏に、親しかった友人が立て続けに急逝…。我が人生で最も足元が揺れる日々の中にいて、支えとなっていたのが『窯変ー』でした。特に源氏の死後を描いた宇治十帖、「浮船(うきぶね)」の章には鳥肌が立ちました。『アンナ・カレーニナ』は、アンナの死後にデカイ話へ変調して爽快でしたが、橋本源氏は終盤になるにつれ冷徹なリアリスト目線が冴えわたり、雪の女王みたいな振舞いで超カッコいいんです!
“僕には、有名な古典をわかりやすくポピュラーにしようという発想は、全然ない。原典が要求するものしか書かない。古典に対する変な扱いや、変な迷信を取り除きたい、ただそれだけのこと” 枕草子から始まった古典シリーズは、徒然草、古事記、平家物語etc…と続き、一人の作家の仕事とは信じがたい偉業を成し遂げます。そこにさらに輪をかけ、美術分野にまで分け入って『ひらがな日本美術史 1~7』を発表。「芸術新潮」での連載は立ち読みで済ませ➡本にまとまったら買うを繰り返しました(笑)。
『窯変ー』さえ、気に入ったフレーズが出てくると傍線をグイグイ引いたあたしですから、教科書以上に読みふけった『ひらがな―』シリーズなんて、自慢じゃないけどカンペキにじぶん仕様に使い込んでます(笑)。実物と遭遇するチャンスがあれば、見る前に読み、さらに見た後でまた読みなおす…生涯テキストの決定版となりました。橋本さんの美術評は誰のものとも似ていません。いや、美術に限らずすべてにいえることですが、対象と対象の背後にたなびく周辺事情まで事細かに思考をめぐらせ、まるで自ら時空を超えてキャッチUPしてきたかのごとく、言葉を紡いで指し示すのです。
例えば橋本さんは、長谷川等伯の国宝『松林図屏風』(六曲一双)について、この右隻の左端にわだかまった冷たい空気の流れがあきらかにあると書いています。そしてここからの展開に頭クラクラ~(汗)。なんとこの屏風から、「ジャズのリズムが聞こえる」というオチへ淀みなく語り尽くすのです!単なる“言ったもんが勝ち”妄想じゃないんですよ。めちゃロジカルなの~。ウソだと思うなら、今すぐ『ひらがな日本美術史3』を求めて本屋へGOしてください。目からウロコが落ちまくりますよ★
そして『ひらがな―』シリーズで最も影響を受けたのが桂離宮の章です!橋本さんが、桂離宮へはじめて足を踏み入れた体験記にいたく感動し、ずーっとずーっと行きたくてしょうがなくて、2009年秋、遂にお出かけ~♪なんと贅沢にも旅のお相手は中野翠さん(30年来の仲!)★ふたりとも橋本さんの解説文をコピーして持参してましたね~(笑)。引き戸の向こうとこちらの浮世は全くの別世界…橋本さんに導かれて体感した桂離宮は、あたしにとって永遠にスペシャルな空間となりました(いつか書きます!)
橋本さんの訃報を知り、すぐに本棚から取り出して再読したのが『ふたりの平成』('91)と『橋本治と内田樹』('08)。橋本さんはもう同じ空の下にいないんだ…と思ったら、たまらなく寂しくなり、今にも生声が聴こえてきそうな2冊の傑作対談集に縋りました。じぶんの好きな書き手同士が「ほら、やっぱり水面下で繋がっていたのね!」と判明するときほど、至福の瞬間はありません。橋本さんは基本ひとり遊びの人でしたが、中野&内田ご両人に対しては「おまえら大好き!」と心から打ち解けていた気がするのです
同学年の橋本さんと中野さんが語り始めると、そこは学生街の喫茶店に早変わり~♪“願わくば元号が変わる今、“スカートをはいた男の子とズボンをはいた女の子”に、もう一度誌面で再会してほしかったです(涙)。一方、橋本&内田談義は部室ノリ。誰もまともに論じてこなかった橋本先輩の天才ぶりを、内田後輩がそれはそれは丁寧にヒアリングして我々に補足解説…フト高畠華宵の絵なぞ思い浮かべてしまいマシタ(笑)。
最後は小説家 橋本治について。最も衝撃を受けた1冊は…2009年の『巡礼』(新潮社)ですね。ゴミ屋敷にひとりで暮らす初老の男と、戦後日本の繁栄の道のりを交差させた橋本さん渾身の一作に、身も心も奮えました。ここで描かれる生真面目で孤独な男の生涯と、時代との乖離の手ざわりは、現代をも射程に収めていて恐ろしくリアルなんです。
「なぜゴミ屋敷の主になったのかー」を読者に想像させること…。橋本さんは、誰も見向きもしないものから、微かに立ち上がる声なき声を感じとり、じっと聴き入ってしまう人でした。そんな純粋な振る舞いが『巡礼』には凝縮されていた気がします。翌年に刊行された『橋』『リア家の人々』と、ぜひ併せて読んで下さい。平成が終り新元号に変わる今、「昭和」と独りで対峙した橋本さんの小説を紐解くことには、大きな意味があります。亡くなる直前までアクセルを踏み続けていた橋本さん。去年遅ればせながら『古事記』に耽り、橋本さんが『草薙の剣』(新潮社)を出したと知って、「なんてタイムリーなの!」と小躍りしたのに…ごめんなさい、未だに読み逃しています(汗)。その『草薙ー』は野間文芸賞を受賞。祝いの品に原稿用紙を希望し、「原稿用紙を前にすると幸福になる人間でした」とコメントを寄せたとか。あー、しみじみ泣けてしまいます。
でも橋本さんはたくさんの作品を遺してくれました。なにせ橋本金脈は、ボケボケしていたら一生かかっても踏破できないくらいのスケール、ヤバイです(汗)。この借金を踏み倒すことなく、これからもコツコツ読み続けて行きたい…だってこんなにあたしを奮い立たせ、かつ自由にさせてくれた師は他にいませんから。そう、橋本治は永遠にえらい!―合掌
PS 次回は3/27に更新します
【ヘビーローテ調査】インスタント麺🍜
ちんぴらを虜にしているNHK朝の連ドラ『まんぷく』🍜 福ちゃん&萬平夫婦は思考錯誤の結果、ついに世界で初めてインスタントラーメンを完成させましたあ~パチパチパチ~♫ この人類史に残る発明品が発売されたのは1958年。1961年生まれのあたしにとっては、まさに子ども時代のソウルフードで、当時は「何が食べたい?」と尋ねられたら、合言葉のごとく「ラーメン!」とリクエストしてマシタ😊
お昼ごはんや、おやつとして作ってもらった記憶が濃いので、ウチではインスタントラーメン=子どもの食べ物として導入された気がします。あと、自営業だったから、子どもが喜び&時短も叶う魔法の一品は、猫の手も借りたい母にとっては救世主だったんじゃないでしょうか。―ってことで、インスタントラーメンにまつわる逸話は際限なくある気がして、いつものごとくマブダチたちにヒアリングしてみましたよん♫
《貧乏下宿時代の友》
▶あたしのこんなムチャ振りを聞いて、何とMさんは、最近のインスタ麺事情を把握しようと、目についた袋麺を大量に買い込んで試食に明け暮れてくれました!福ちゃん&萬平夫婦並みに研究熱心ですわ~♥ その結果蘇ってきたのは…高校生から親元を離れて暮らした青春時代の欠かせない生活源=インスタントラーメンの記憶★
▶仕送りが届いたら真っ先にラーメンを箱買いして、育ち盛りのお腹を満たす助けとしてたらしいです(涙)。ヘビーローテ銘柄は『サッポロ一番 塩ラーメン』。具材は、これまた“貧乏の友”のもやしくんで、卵が入れば超贅沢だったとか。料理テクもない若かりし頃のサバイバル術…今も昔も変わらないやりくりかもしれませんね👍
《インスタラーメン変遷物語》
▶あたしのくだらない調査に、毎回脳ミソをフル稼働させてくれるKちゃんは、1個だけ選ぶとなると…「結論出して作って写真も撮りましたがイマイチなんで、もう少し考えます」とさらに1週間熟考(爆)。「色々食べてきましたが、袋麺なら結局、サッポロ一番塩らーめん➡チキンラーメン➡サッポロ一番みそラーメン➡サッポロ一番しょうゆ味➡日清焼そばの順でしょうか。サッポロ一番強し!! 」
▶「作るのが面倒なので基本的に具材は卵のみ。その時の気分によって、そのままか溶き卵にするかの違いくらいです。ちなみにチキンラーメンも必ず鍋で煮ます。」「カップ麺なら、一時期カップヌードルシーフードヌードル(正式名称!)にどっぷり浮気してましたが、やはり本命、カップヌードルに戻りますね。ですが、ボクが今回一番にあげたのは、焼そばU.F.O。値段の違いがあまりないので、大体大盛を購入。」
▶「そして、一平ちゃん夜店の焼そイメージで普通のマヨネーズをマヨビームに。酸味が効きすぎておいしくないんですけどね…(汗)」。だって(爆)。イメージだけに使われた一平ちゃんには気の毒ですが、日本男子には「ラーメンの歴史あり」ですね👍
《こだわりの日清焼きそば》
▶マブダチMのダンナKさんは、どんなに上等な晩餐で「美味しかった~おなかいっぱい!」と唸っていても、「あとで日清焼きそば食べるよね?」がキマリ文句(爆)。で、本当に嬉しそうに作ってくれて、しかもツラれてみんなで食べちゃうという…メタボ爆弾投下男です(爆)。安藤百福も草葉の陰から泣いて喜んでいることでしょう~♪
▶Kさんこだわりの作り方は、具材なしのシンプルスタイル。そして、袋を開けた時に折れた細かい麺は入れないこと(セコさ禁止)。さらに、粉ソースを投入する前にごま油を数滴たらすことで、香り付けと麺が絡まない様にするんだって~。最後にマヨネーズとカラシを添えればサイコーのひとりメシ★ヨメが外出してる時の至福の一時とか😊
▶インスタ麺に具材を入れる派のあたしとしては、スナック菓子みたいで納得できませんが、確かにこのごま油テクはなかなかオツ。ヨメのMが握る塩むすびと一緒に食べれば無限ループ!ちなみに付属の青のりは色褪せするから買いだめ要注意だって(爆)。
《ザ・家庭の味インスタ麺》
▶またまた登場『サッポロ一番 塩ラーメン』!料理上手なYちゃんも、子供の頃によく食べた味が今も変わらず定番なんだって。「子供が産まれてからも野菜がたくさん食べられるので、サッポロ一番の塩かみそを、たまにお昼に食べるよ~」「ウチでは野菜の他に、チャーシューではなくハムとかまぼこを使い、食べる時にラー油をかけまーす♫」
▶う~ん、家庭ラーメンの見本のような出来上がり!心がほどけるぅ~。でも娘のSちゃんはチキンラーメンの何も入れずが一番お好きとか(爆)。どうやら男子と子どもの舌には具材のうま味は不要みたい。濃厚スープと麺をシンプルに味わいたいのかな~。
《タイ発、インスタ麺事情》
▶なんとダンナの転勤でタイで暮らす幼なじみのRも、『サッポロ一番 塩ラーメン』がヘビーローテ銘柄。「私は具なしの素ラーメンに溶き卵を入れてかき玉風にして食べるのが好き♡ 息子は茹でた麺を湯切りして、オリーブオイルとスープの素をまぶして食べるのにハマってました。でもバンコクでは買えたけど、田舎に引っ越したら1番大きなスーパーにも置いてなくて、その代わり出前一丁がデバってます」
▶「屋台や麺のお店では、麺とスープの種類を自分で選ぶんだけど、麺の選択肢の中にはインスタ麺もあって、おばちゃんが袋から出した麺を茹でながら「具は何入れる?」と聞いてきてこんな感じのものが出来上がってきます(次の写真)。1袋20円のインスタ麺が200円くらいのご馳走になるの。」
▶「タイで麺類は、音を立てて食べない事!というマナーがあります。必ずレンゲに一口分乗せてから口に運びます。タイで一番有名なインスタ麺・マーマーのトムヤムクン味を作って、『まんぷく』の福ちゃんが試食する時みたいにイッキにすすってみたら…むせました^^; 音を出してすすると行儀が悪い&すすると唐辛子でむせる という理由もあったりして…笑」
《休日にあったか麺》
▶寒空の日曜日。東京で暮らすYちゃんからラーメンレポートが届きました✍「わたしの好きなラーメンは、じゃ〜ん『サッポロ一番 みそラーメン』でーす」「愛知生まれとしては、やっぱ味噌☝️ 昔食べてた味が好き😍なんだか落ち着くのよねー」色とりどりのトッピングは、もやし、コーン、ゆで卵、ネギ…ワカメが入れば200点満点か(笑)
▶カップ麺のお気に入りも送ってくれたよ。『カップヌードル チリトマトヌードル』。「最初食べた時は…ん?どうなんだ、と思ったけど、あと引く美味さがあるんだなー。今日のお昼に食べました。大満足✋️ 寒い一日だったけど雪が降らなくてよかった~」
《夫婦と言えども自己主張》
▶ご近所マブダチK&F夫婦。ダンナKのヘビーロテは『日清のどん兵衛 きつねうどん』と『カップヌードル』。ほぼパチンコの景品でゲットしてるらしいです(爆)。ヨメのFはアルマイトの両手鍋で作る『寿がきや みそ煮込みうどん』(卵投入は絶対!)と『カップヌードル カレー』。「なぜかカップ麺は、マイ箸ではなく、割り箸で食べようとしちゃうな〜」…ほほーっ、やけに説得力がある発言(笑)。
▶Kは食うもんがない時のお供で、Fは誰もいない休日のひとりの時間に食べたくなるみたい。「子供の頃、TVで松竹新喜劇を見ながら、お昼ゴハンに味噌煮込みうどんを食べた印象が強いわ。藤山寛美のアホぼんの笑いと人情物に泣いたりして(笑)。小学校高学年から中学生くらいかなぁ…なつかしー。」 そう、ラーメン談義に郷愁は欠かせないアイテムなんだよね~。
《保守と革新のインスタ麺抗争》
▶マブダチKんちのインスタ麺ストック事情は、絶えず激しく選別が繰り返され、まさに“仁義なき戦い~下之一色死闘編”です(汗)。2019年2月現在、ヘビーローテの御三家として、辛うじて生き残っているのはこちら。「昔から変わらないのが『寿がきや みそ煮込みうどん』。母親はいろいろ具材をいれるけど、私は何も入れないか入れても卵くらいかなぁ…。母親はそれが嫌いなようで、すすっていると小言を言われる」だって!
▶男子でも子どもでもない、大人の女子でも具ナシ派はおられましたね…仮説失敗(汗)。「カップ麺の最近のお気に入りは『日清のどん兵衛 鬼かき揚げ天ぷらうどん』。天ぷら、よくできてます。ひたひたにしていただきます。一味唐辛子も、たっぷりかけて。」と、力説していたその舌の根も乾かぬうちに「スーパーアオキで『チキンラーメン アクマのキムラー』見つけた~。スピンオフ版だわ~」との報告が―(爆)。
▶どうやらラーメン戦争・仁義なき戦いに終わりはないようです(汗)。食品メーカーのみなさま、さらなる企業努力をお願いいたします(ぺこり)。
《懐かしの味決定版》
▶さてオオトリはちんぴらの一品…ですが、ヘビーロテでいえば、やっぱ寿がきやみそ煮込みになっちゃうんで(汗)、ここはイッパツ初心にかえり、今までで一番好きだったインスタ麺を選んでみました!『エースコックのワンタンメン』ですぅ~。斜め切りにしたネギは一緒に煮込み、半熟ゆで卵と海苔をのせて完成♫久しぶりに食べたけど、つるりんワンタンがうっまーい★ぶたぶた、子ぶた~♫
▶ワンタンメンも発売から55年だって!目下『まんぷく』は、ライバル商品がガシガシ登場して大騒動ですが(笑)、このしのぎの削り合いが、結果的にラーメンのクオリティを飛躍的に高め、グローバル食品の代名詞になったってことなんだろうなあ。
▶それと、結局みんなのお気に入り銘柄は、ロングセラー商品ばかりでしたね~。いかに子どもの頃の刷り込みが大きいかもわかったわ。そう、B級グルメは懐かしさを食べるもの。メーカー側も、きっとびみょ~うなモデルチェンジを水面下で繰返しながら、守るべきところを守り続けているってことでしょう。日本企業のお家芸っすか?(爆)
《おまけ★ラーメン小話》
▶社会人になりたての頃、会社にキッチンがあったから(寿がきや みそ煮込み)と(ねぎ)と(油揚げ)を切ったのと(卵)を持って行って会社で作って食べてたら「変わったお弁当だねー」って驚かれたよ(マブダチM)
▶私の1番の思い出は…中学生の時、家の鍵を忘れてちんぴらさんちで時間を潰させてもらった時に、ちんぴらさんのお母さんが作ってくれたラーメンが『寿がきや 本店の味』だったってこと!メンマとコーンの食感が妙に印象に残ってて。それからしばらく、うちのラーメンも「本店の味」だった気がする(幼なじみR)
PS 次回は3/10に更新します
アルヴァ・アアルト 脱線日記 ✍
ちんぴらジャーナル、今回のお題は初のチャレンジ建築家!名古屋市美術館で開催された『アルヴァ・アアルト ―もうひとつの自然』展の感想をまとめようと意気込んでおります、はい。―が、なんたって自慢じゃないけど、建築の「け」の字もわかってないですからね。かなり無謀な試み…ヤバいよ、ヤバい~(汗)。
いつだったか、図書館へ足繁く通い、世界の名建築家と称される人々の作品集を手あたり次第に見まくっていたことがあるの。お勉強目的とは違い、ドールハウスみたいに愛でて楽しむくらいの軽~い気持ちで♫ 20世紀を代表するフィンランドの建築家アルヴァ・アアルト(1898ー1976)も、そんな風にちょこっとだけカジっていたお方でした♥
建築家の展覧会といっても、作品そのものを会場に持ち込めないんだから、書籍で味わうのとさして変わらないような気もするでしょ?でも全然違うんですね~。完成形は体感できなくても、様々なピースが並んだ展示を眺めながら、鑑賞者がじぶんなりに再構成する楽しさがある。今やミックスメディア展示がスマートにこなせる時代だし、じぶんの脳ミソの中でちょっとした建築家になりすませる…ってわけ(笑)。そして、やっぱ1人の創作者を追い駆けるには、回顧展形式で接近できるとありがたいですね!
例えばこの【パイミオのサナトリウム】(1928-33)。アアルトが撮影した写真をはじめ、病院設備の解説書や病室の備品の陳列があり、院内のEVから見える景色を綴った映像も流れていて、実際のサイズ感が疑似体感できる仕立てになってました。また、院内の家具や照明設備もすべてアアルトがデザインしてて、今見てもしっとり美しい―。なんて言ったらいいのかな…外観も内部もすごくモダンで機能的なのに自己主張の匂いはなく、肌にスッと馴染み、療養生活が自然に日常化できそうな空間にかんじたんだよね。
図書館好きだから【ヴィープリの図書館】(1927-35)もたまんなかったですぅ~😊閲覧室の天井を見て!太陽光を拡散させて照明にする丸型スカイライトの大群に超ワクワク♪読書に最適な光を求めて手掛けたデザインがすんばらしい★ごめんなさい、あたしが行ったらテンションあがっちゃって、本そっちのけでずーっと天窓を眺めて過ごしそう…。プラネタリウムじゃないんだから~とひとり突っ込み(爆)。
一方施設内にある講堂は、音響効果を取り入れての波打つ天井で有名だけど、これも機能性だけじゃないよね。こんなうねうねが頭上から迫る空間に身を置くこと自体、身体感覚に変化が起きそう…。しかも木製!人の体内にはうねうねがいっぱい詰まってんのに、意外にも日常で触れる機会は少なくない?我が家を見渡しても風呂の蓋しか探しきれず…プラスチック製ですが(汗)。
で、このうねうねですが、さらにバージョンUPして壁にも展開♫1939年に開催された【ニューヨーク万国博覧会 フィンランド館】の設計に際して、アアルトはパヴィリオン内部に12mもの段飾りになった曲面壁を作ったの。壁をオーロラに見立てたんだって!うねうね=オーロラ…。いやー、もう我が家のスケールでは、なーんちゃっても調達できません(笑)。
会場内では、フィンランドの様々な側面を紹介する巨大写真を掲げ、自国の製品を展示し、ドキュメンタリー映像まで流したとか。昨今のイベント構成と変わらなくねっ?はっやいわー👀 さらに脱線して、ニューヨーク万博ってなんじゃらほい?と調べてみたら…「明日の世界」をテーマにした伝説の万博だって~♪
企業パヴィリオンが近未来イメージを掲げ、物欲をあおって消費社会へ誘導する…まるで1939年版「世界はほしいモノにあふれている」イベントなのよ、気になるでしょ★なーんちゃってAI登場のぶっ飛び映像まで見つかったわ…このアナログ感がタマラン😊
話をうねうねのフォルムに戻すと…他にも見覚えがありません?インテリアSHOPなどでもよく目にするアアルトの【サヴォイ・ベース】は、1936年に発表して以来、世界で最も有名なガラス製花瓶。湖の曲線をイメージし、80年以上経た今も、バリバリの現行モデルです。お馴染みついでに、会場内には三本脚の【スツール60】もゴロゴロ並んでた(笑)。そう、アアルトは、早くから家具や照明器具などのデザインも手掛け➡会社を立ち上げ➡商品化し➡世界市場へ持ち込んだ超ツワモノなんです。
芸術への感心が高く、絵も熱心に描いていたというアアルト。ジャン・アルプ(1886-1966)やフェルナン・レジェ(1881-1955)と交流があったと知って、大いにガテンがいったよ。思わず、昔ゲットした2人の図録を見返して、そのつながりを再確認しちゃいマシタ📚
さて、個人宅の設計で超有名なのが【マイレア邸】(1938-39)と【ルイ・カレ邸】(1956-1959)。ところが正直言って2件とも「趣味のイイ金持ちのお邸ね~。でもどこがそんなにスゴイの?」と、ずっと思ってマシタ(汗)。挙句の果てには、マイレア邸の外観を、勝手に憧れのサンダーバードの基地に見立てて妄想したりして…。関係者のみなさま、申し訳ございません(ぺこり)。
そう、なんだかんだ言っても、建築は実際のサイズを浴びて、体感してこそなんぼの世界。写真で眺めるだけでは、良くも悪くもインテリア紹介記事に矮小化させてしまうのよね。(いや、インテリアとして眺めるだけでもじゅうぶん目の保養です…👀)
―が、今回の展示のために撮り下ろしたドイツ人写真家アルミン・リンケの写真(下図)を見て、ちんぴらは突如開眼★建物としての情報量は少ない写真なのに、なんだかアアルト作品に宿る地縛霊も込みで写し撮ってるような気配がして、すんごく引き込まれたの~。リンケの写真が、建物と鑑賞者をつなぐ“窓”の役目になってたんじゃないかしら…。ヤバイなあ、現地へ行ってホンモノを味わいたくなってきた(汗)。
そうそう、東京の国立近代美術館へ行くたびに、ルイ・カレ邸の庭と邸をつなぐ等高線状の階段を思い出すのはあたしだけ?(笑)頭の中で『ロッキー』のテーマソングが鳴り響き、意気揚々と駆け上がったりしてぇ~、ウソでーす(爆)。
ちなみに国立近代美術館を設計したのは谷口吉郎(1904-1979)ですが、息子の谷口吉生(1937-)も現役の建築家で、ほら以前紹介した掛川の資生堂アートハウス(1978)を手掛けた御大。あの円弧ガラスの展示室を、ぺこっと内側に引っ込める絵を想像してみると…
じゃじゃーん!アアルトの仕事場【アアルトスタジオ】(1954-55)と呼応するじゃないのよ~♫ しかも、上部の明り取りの窓を始め、ペンダントライトのぼんぼり具合といい、等高線状の階段でリズムをつけたコーナー演出といい…何これ、シャレオツすぎるぅ!
一方、同じアアルトスタジオをリンケが撮ると、太陽光による刹那が立ち上り、単なるキレイキレイな建築写真に収まらなくて…これまたしんぼうタマりません👍ふむふむ、光の質にこだわったというアアルトの本質を射貫くには、光を道具にする写真家が最もふさわしいってことかー📷
アアルト作品の中で、あたしが一番胸騒ぎするのは【アアルトの夏の家】(1952-54)。この森の中の湖に面した自身の別邸は、建築の素材や技法を実験する場でもあったらしいです。一見無造作に映るレンガとタイルのパッチワーク壁は、実験と言いながらかなり高度な造形センスよ、けして真似できませんね~。ここでも脱線して、杢田たけを(1910-1987)のアッサンブラージュ作品なんかを連想(笑)。中庭には焚火用の炉が切ってあり、束の間北欧の避暑地の時間に思いを馳せてしまいます。
ということで、脱線交じりに綴ったアアルト展備忘録、いかがでしたでしょうか。トーシローに建築のハードルは高かったけど、鑑賞後、もう少し突っ込んで探りたくなり、見つけた1冊が『アルヴァ・アールトの建築 エレメント&ディティール』(小泉隆 著:学芸出版社)。ホンモノを見に行っても見逃しそうな細部まで丁寧に追いかけていて、すごく参考になりました。文章も的確、オススメです。
そして最後は、なーんちゃってアアルトコーナーで締め括り!いっしょに行ったマブダチから、アアルトのゼブラの織物もどきで送られてきたのは愛猫の毛並み写真(笑)。
あたしは100均で買った麻無地のクッションカバーに、油性マジックで直接描き!どうだ~、遠目で見たら遜色なし(爆)。それでは、おあとがよろしいようで―。
PS 次回は2/25に更新します
勝手に年間cinema🎬 2018年版
遅まきながら、あけましておめでとうございます(ぺこり)。どうぞ今年も『ちんぴら★ジャーナル』をご贔屓に♫ さて2019年の幕開けは、ちんぴらジャーナル恒例の年間映画特集です。去年1年に劇場で見た71本の中から、印象に残った数々の作品をガッツリMEMOっておきますね。レンタルする際の参考にでもしてくださいませ~★
母と娘と貧困の米国映画2本
▶きらきらファンタジーを創造するフィギュアスケート界の頂点に立ちながら、ライバル選手襲撃疑惑でヒール役に転落したトーニャ・ハーディング、憶えてますか?『アイ、トーニャ 史上最大のスキャンダル』('17)は、そんな彼女の昭和少女マンガも真っ青な半生をクローズUPした傑作なの~★性悪スパルタ母をはじめ、彼女を取り囲むハイエナ輩たちとの共依存関係の背後には、米国の成功至上主義が横たわっていて、なかなか複雑な欲望のパッチワークに仕上がってます。何より鼻息までトーニャになり切ったマーゴット・ロビーの演技に、興奮冷めやりませ~ん👍
▶『アイ、トーニャ』と抱き合わせで見て欲しいのが『フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法』('17)。安モーテルで暮らす、失業中のシングルマザーと6歳の娘ムーニーのひと夏のスケッチです。青い空、光る太陽、パステルカラーの雑貨たち…すぐ側にはディズニーランドがあり、まるで“夢の国”の玄関前で暮している生活に映るけど、実際のモーテルは低所得層のカオスと化す難破船(汗)。米国の現実をまざまざと照射しつつ、ママゴトみたいな親子を見守る眼差しには母性が宿る…。ムーニーの友情譚に泣けた~。
純愛ドラマならこの2本
▶さてラブストーリーと言っても、あたしがオススメするんだから、ありきたりな設定じゃないのは想像がつくでしょ(笑)。数々の賞に輝いた『シェイプ・オブ・ウォーター』('17)と、ハンガリー発の小品『心と体と』('17)の2本です。どちらもファンタジー色が強いんだけど、なぜか作り物めいて見えなかったの。かなりショッキングなシーンが出てきたり、周囲に溶け込めないハグレ者同士が接近するところも共通点だったな。
▶世界中がすれっからしになっている今、もはや現実設定で純愛へ着地させるのは到底無理なわけで、“運命の出会い”を描く場合は、「力技の捏造」と、逆に「眼を疑うような野暮ったさ」がキモになる気がするわね。欠けているもの、諦めてきたものを補いあうかのように、主人公たちが覚束ない手つきで内なるピースを1つずつ積重ねて行く…。待って近づいて&待って近づいてを繰返しながら、やがてスクリーンには永遠が立ち上る…そんな仕掛け。ヤダ、書いてるうちに見直したくなってきちゃった(笑)。
ホン・サンスのマジックに浸る3本
▶“運命の出会い”を、実生活でしれーっとやってのけ、世界一センセーショナルな映画監督と呼ばれているのが韓国のホン・サンス58歳。奥田瑛二似のこのおっさんは、自作『正しい日、間違えた日』('15)に出演した22歳年下のキム・ミニと不倫の仲になり、以降『夜の浜辺でひとり』('17)『それから』('17)と立て続けにタッグを組んで、ガンガン傑作を生みだしているの。どうも創作のミューズが初老の男の前に降臨したみたいね。
▶互いの思いを公言してはばからないお2人ですが、映画の中の恋愛事情が実生活をダブらせるような展開にもなってて、やたら手練れ。観客は、フィクションの中にゴシップ性を覗き見するつもりが、キムの纏う透明度の高い空気と、時間軸をズラす緻密な設計に酔いしれるうち、虚構と現実の迷路に迷い込む…。不格好な悲喜劇を、滑らかな手つきで綴り、辛抱たまりましぇーん♫ 3本まとめてチェックしてみて。
上等ドキュメンタリー映画どっさり
▶ドキュメンタリー部門は秀作揃いで選びきれない(汗)。インターネットによって世界との距離が縮まったせいか、どんなテーマだろうがツイ我が事として魅入ってしまう。作り手の知性によって世界の迫り方が様変わりするのも面白くて、劇映画より作家の想像力を吟味してる気がするわ。まず巨匠フレデリック・ワイズマンによる長編記録作品『ニューヨーク、ジャクソンハイツへようこそ』('15)。167もの言語(!)が飛び交うN・Yの下町ジャクソンハイツに生きる多種多様な人びとの悲喜こもごもを切り取り、面白いのなんの~、世界の交差点に居合わせた気分♫ 3時間なんてあっという間!
▶去年一番興奮したのが、老舗カメラメーカー・オリンパスによる損失隠蔽事件の真相に迫った『サムライと愚か者』('15)。英国人社長の不当解雇をきっかけに明るみに出たこの事件は、震災の年に発覚し、世界中のメディアで報道されたらしいが、当の日本人の記憶にはほとんど残っていない(汗)。ここで暴露される日本企業の隠蔽体質は、業界特有の話ではなく、もはや染み付いた日本人の性。今も昔も変わらない。あのゴーン氏逮捕騒動時にすぐさま脳裏をよぎった1本なのよ。テロップでつなぐ構成も秀逸。
【映画 予告編】 サムライと愚か者 -オリンパス事件の全貌-
▶想田和弘『港町』('18)は、古い町並みが残る岡山県の小さな港町が舞台。面白いのは、監督が完全オフモードで町をぶらつき、住民に話しかけたりして偶然集めた素材が、作品になっているところ。目的を持たないままお客さん状態でいるのに、カメラを回しているうち、被写体が勝手に映画の中に降りてくる!引きの強さも才能のうち~。
▶縫製工場で働く出稼ぎ女性労働者たちの姿を通し、現在の中国を描き出すワン・ビンの『苦い銭』('16)。過酷な仕事現場、貪欲な労働者たち…でもワン・ビンが撮ると全然ニガくなくて…むしろあったかな話に見えちゃう(笑)。人間を愛おしむ気持ちが強い作家なのよね…。人の営みの滋味深い部分をしっとり見守り、何度も胸を打たれたわ。
腹の座った傑作3本
▶結局、極めつけの1本を選びきれなかった2018年の映画事情(汗)。最後に、腹の座った傑作3本を駆け足でご紹介しておきましょう。1本目は、娘を殺されて泣き寝入りなんかしてたまるか!と、怒りを暴走させる田舎町の主婦と、アメリカ南部の閉鎖的な風土をクロスさせ、のっぴきならない空気を醸成させた『スリー・ビルボード』('17)。死者を真ん中に配し、2つの魂が救済される展開にシビれたあ~。役者もブラボー🚩
▶ベイルートの市民生活を舞台にした『判決、ふたつの希望』('17)も、2人の男のちょっとした諍いが、引くに引けない状況を生み出し、「じぶんならどうする?」と考えずにはいられない傑作です。両者の間を調整するはずの法廷が、むしろ闘いのリングと化す演出にメチャ興奮したわ。そして映画は、2人の心の奥底に横たわる怒りの正体ににじり寄ると同時に、じぶんにとって不都合な他者を想像させ続け、抜群のストーリー展開。熱い男たちと対照的に、終始冷静な2人の妻たちの存在感も印象的よ。
▶元気溌剌すぎて、若干恐ろしい87歳の御大クリント・イーストウッド。もはやガソリンを飲んでるとしか思えない(汗)。2015年に高速列車内で起こった無差別テロ事件を、実際に犯人を取り押さえた3人の若者を起用して撮った新作『15時17分、パリ行き』('18)は、運動神経抜群の傑作。特に一見全く場違いに映る観光シーンにノックダウン。あの陽光と俗な時間をチャージして新ヒーローたちは誕生したのね、神は光なり!
おまけ:小品でピリリ
▶ご贔屓役者ハリー・ディーン・スタントンの遺作となった『ラッキー』('17)は、老いと死を扱いながら、孤独との対峙に甘さが一切なく、カッコいいったらな~い!山椒がたっぷりかかったかけそば映画、サクッと一杯いかが?一方、31歳のテンションMAXヒロインが体当たりで動き回る『若い女』('17)は、カラフルな刺激のあるキムチ冷麺映画ね(笑)。若さにまつわる愚かさもウブさもまとめて放出してて、眩しいぞ~★
▶“若さ”つながりで…二ノ宮隆太郎監督・主演作品『枝葉のこと』('17)にも触れておきたい♪ 気の利いた言葉1つ言えない危なっかしい若い男が、何かに決着を付けたいと、ひたすら1本道を歩いているようなお話。父親に「殺すぞ!」と吐き捨ててそのまま閉幕する映画なんて前代未聞ですわ(汗)。でも驚くなかれ、「殺す」が「愛してる」に聴こえてしまう映画なの。黒コショウのきいたカレーうどんの趣き、いい汗かくわよ~。
というわけで、今年も映画館へ通いまっせ!
2018年に『ちんぴら★ジャーナル』でガッツリ紹介した作品も振り返ってね💛
PS 次回は2/8に更新します
2018年「1日1枚シリーズ★」発表!
2018年の制作テーマは…「1日1古代文字」!
さてさて、年末恒例「1日1枚シリーズ★」の発表です!2018年も、1月1日からエンエンと1テーマを追い駆け続けておりますが、今年のテーマ「1日1古代文字」は、ハードルが高かった~(汗)。何度も暗礁に乗り上げて、マジに墓穴を掘ったと後悔しきり…(笑)。とはいえ、テーマ自体は知れば知るほど面白くて辛抱タマラン世界。ここで、ちんぴらの紆余曲折をちょこっと共有させていただきま~す♪
漢字のルーツや象形文字のデザイン性は、子どもの頃からの気になりポイント。そのうえ、文字を手書きすることが激減するにつれ、漢字のフォルムが今まで以上に不思議に感じられ、モノとして愛おしくなってるみたいなの。ただ、どう考えたって奥が深そうなジャンルだから(汗)、とっかかりになりやすい本を見つけて…と出会ったのが、『漢字なりたち図鑑』円満字二郎/誠文堂新光社です。
日常生活でよく使われる漢字1223字の成り立ちが、気負いなくスッキリ解説されていて、非常にくすぐられました。説明する漢字の下に古代文字の例字がついていて、まさにあたしが求めていた1冊だったのです♫ ちなみに著者の円満字二郎さんは本名ですって!文字を研究するために生まれてきたとしか思えない~。
「1日1古代文字」作業工程公開!
①まずはレイアウト決め!
1日1テーマと言いながら、実は今年の作業は、毎日の積み上げで完結できなかったの(汗)。文字の数珠つなぎにドラマ性も持たせるので、ページごとにまとめて構成する必要があり、次の画像は12/21~12/25の5日分の作業になります。
左上の風景画はエミール・ノルデ➡その下が宮崎学の写真➡横に移動し森狙仙の日本画があり➡靴下はいてる女の絵はロートレックで➡右下の五姓田義松の刺青男で1ページ。…と、説明しても、サッパリ意味不明ですよね?(笑)
②古代文字、入りまーす!
では、この5つのモチーフがあたしの頭ン中でどんなイメージになっているかというと…。例えば12/24のロートレックのポーズは、「人」の古代文字に見えません?「人」という漢字の成り立ちが、絵から生まれた象形文字だということがバッチリわかるでしょ?これがやりたいことの一発目なんですぅ😊
そしてやりたいことの二発目は翌日へどうつなげるか。まず、前日の文字が翌日のモチーフの中にも入っていることが絶対条件。次にこの絶対条件を含んだモチーフを大量の印刷物素材の中から探すわけです。つまりここでは「人」を探し➡その中から刺青男をモチーフに選び➡絵を見て浮かんだ様々なイメージから➡12/25の古代文字を刺青=鮮やか➡「鮮」に決定しました👍
これで少しはわかっていただけたでしょうか…(汗)。ちなみにハードルが高かった要因は、1.モチーフをWebから調達しない 2.『漢字なりたち図鑑』に収められた漢字のみを使う 3.1漢字1回のみ使用 の、じぶんが決めた3つの縛りでした。手持ちの素材でやりくりするので、めいっぱい想像力を膨らませ、ボキャブラ天国状態じゃないと、つなぐのがタイヘンなんですぅ~(涙)。
③漢字の成り立ちをメモして完成!
そんな風に数珠つなぎした12/21~12/25の1ページの絵柄がこちらでーす👇
12/21 大地の絵から「地」(形成文字)➡12/22 雪の「地」に浮び上がる「鹿」(象形文字)の図柄➡12/23 怪しい「鹿」に描かれた艶っぽい「毛」(象形文字) ➡12/24 陰「毛」がのぞく女の「人」(象形文字)の横姿 ➡12/25 男の「人」の背中の刺青が「鮮」(会意文字)やかに光り…てな具合(笑)。じぶんでいうのもなんですが、くだらねぇ~。労多くして功少なし…ですね(爆)。
上手くハマると快感!
『漢字なりたち図鑑』によると、漢字の成り立ちは4つに分類されるそうです…知りませんでした(汗)。
- 象形文字:何かの形を描いた絵がそのまま形になったもの
- 指示文字:形がないものを。記号などを使って表現したもの
- 会意文字:すでにある漢字を組合わせ、その意味を掛け合わせて新しく作り出した漢字
- 形成文字:意味を表す漢字と、読み方を表す漢字を組合わせて新しく作り出した漢字
例えばこちらの荒木経惟の写真を見て、あたしは書道教室の帰り道にじゃれ合う「兄」と「妹」の後姿をイメージしました。文字と図柄がピッタリでしょ!4分類では、「兄」は会意文字、「妹」は形成文字に当てはまるそうです。
白馬と豹が取っ組み合ってる何とも奇妙なルソーの絵は会意文字の「暴」を、エジプトから出土したマスクは、指示文字の「面」を見立てました。これまた会心の当たり~。
黒田清輝の有名な3部作「智」「感」「情」は、作品タイトルそのままを書き込んでみました。「智」は本になかったので会意文字の「知」に置き換え、「感」「情」は共に形成文字です。今までこの絵の良さがサッパリわかんなかったけど(汗)、古代文字から振り返ると、タイトルとポーズが妙にハモって驚きマシタ\(◎o◎)/!
強引につなげる日々!
まっ、こんなことのために、我が脳ミソは日々消耗したのであります(笑)。いくつかのページを紹介しておきますね。「どう考えても、つながらないだろう?!」と突っ込まれそうな、むちゃぶりつなぎもご愛敬。来年は企画倒れにならないよう気をつけマース😊
古代文字刺繍プレゼント!
古代文字に明け暮れていたちんぴらは、マブダチたちへのプレゼントにも古代文字を応用★ その人のイメージを漢字一文字“刺繍”で表し、さらにミニ団扇に仕立てて進呈してみました🎁 これが意外にも好評を博したんですよね~♫
調子に乗って、ちょっと豪華にミニ掛け軸に仕立てたのがこちら!なんだか、“ザ・命名”ってかんじ(笑)。誕生日プレゼントにナイスパスでした⚽
4匹の愛猫がいるO家へは「猫」の一字を進呈🐈 。なんと、ホンモノの床の間に飾って愛でてくれてるみたいで、恐縮しちゃいました(ぺこり)。
こんな風に“交換の手段”になった古代文字たち。えー仕事してくれましたあ~。そして企画倒れにならず、何とか2018年も無事終わりそうでございます。もちろん来年も「1日1枚シリーズ★」はやり抜きまーす…もう少しだけお手軽に(笑)。
PS 年明けは1/20にイッパツめを更新します。2019年も「ちんぴら★ジャーナル」をご贔屓に♫夜露死苦~
つづきが楽しみ~♪ 朝の連ドラ『まんぷく』🍜
前回、“いま、つづきが楽しみなこと”を関係各位にヒアリングして、大いに楽しませてもらったちんぴら5歳(笑)。満を持して、あたしの楽しみも発表させていただきましょう~♫ 10月からスタートとしたNHK朝の連ドラ『まんぷく』です!
みなさますでにご存じかと思いますが、『まんぷく』は日清食品の創業者・安藤百福と妻・仁子の半生をモデルにした夫婦愛ドラマ。当たり前のように食べてるあのインスタントラーメン、でも誰がどうやって世に生み出したかは、意外と知られていないですよね。そんなインスタントラーメン誕生秘話が、大阪を舞台にドラマ仕立てで紹介されるということで、初回からがっつりハマっているのです(笑)。
《百福の研究小屋に一目惚れ!》
実は、安藤百福に注目したのは2014年にさかのぼります。横浜トリエンナーレを見たついでに、偶然立ち寄った『カップヌードル ミュージアム』で、百福が「チキンラーメン」を発明したという研究室を目撃したからなんです!忠実に再現された板張りトタン屋根の研究小屋は、あたしの理想のスペースNO.1★ このコックピット感と、解放感を併せ持つ究極のスペースで、日がな一日好きな研究に没頭できた百福が羨ましくて羨ましくて~。
《百福=立花萬平役は長谷川博己★》
そんな百福さんを誰が演じるかというと…ジャジャーン、長谷川博己で~す。正直言うと、NHK発・狂い咲き不倫ドラマ『セカンドバージン』のときは、「なに、このネズミ男?」と、まったく食指が動かなかったのですが(汗)、園子温、庵野秀明、黒沢清らクセ者監督の映画で披露した振り切った演技に魅せられ、じわじわとマイブーム(笑)。今じゃ勝手に日本のベネディクト・カンバーバッチと呼んでるんですぅ~♫
端正な顔立ちに居心地が悪いのか、どこか足早に2枚目路線をスルーしようとしてる異端の貴公子。そこが、バカ正直で熱くなったら一直線、胆力抜群の突き抜けた発明家・立花萬平役にピッタリなんですよ~!文句のつけようがございません(笑)。
ドラマは、背景となる激動の昭和を描いている点でも秀逸で、特に戦争の傷跡を今までにない視点で切り込んでいて興味深いんです。第3週目では、朝ドラとは思えぬような憲兵からのハードな拷問シーンがあったりして、萬平の自尊心との格闘に血が騒ぎました。牢名主風な男に怪優・六平直政が登場するところも心憎い!きっとまた、六平の出番がある気がしてるのはあたしだけ?(笑)
《スキップで演じる♫福子役安藤サクラ》
とはいえ、朝ドラのエンジンはヒロインにあり!安藤サクラですよ~。こちらも正直言って合意形成ができたのはつい最近のこと(汗)。『万引き家族』の信代役を見て、「おっと、まるでマグダラのマリアじゃないの~、こりゃあスゴイ!」と感服したんです。でも、朝っぱらからマグダラのマリアは濃過ぎですよね(笑)。じゃあ、どんなヒロインになるんだろうと期待に胸を膨らませていたら…
まずスタート時点では、女系家族の末っ子役で登場し、母や姉が担う生活の中心線から少し外れた周辺を、ヒラヒラ舞うように演じてみせました。いわば、スキップしながら“世界の妹”として振る舞うのです。ちんぴらは、このノンキなリズムがすぐに気に入りました★しかも福子は、戦前に英語が話せる設定で、楽しそうにホテル勤務をしてるのよ~。ロケ地は明治村の帝国ホテル!朝からウットリさせていただきました♥
そして女系家族の浮き沈みはドラマになりやすいというか….。長女の咲ねえちゃんが結婚したと思ったら➡早々に病死(涙)したり、次女の克子ねえちゃんが➡画家のダンナと子だくさんにぎやか暮しをしてたりと、ネタに事欠きません(笑)。そのうえ内田有紀が演じる咲ねえちゃんは、この後も“夢枕登場”というトンデモ演出で続投⚾。家族の絆を深めるアイコンとなるのです。
もちろん、萬平&福子が出会い、2人の仲が深まって行くプロセスは、回を重ねるごとに盤石になって行きます!信念の発明家と、その姿勢を断固支持するチアリーダーの組合せは、ある意味、変わり者同士の意気投合なのですが、キナ臭く進む時代と対峙し、風穴を開けるパワーがみなぎっていて、一緒にスキップしたくなるのです♫
《駄々っ子ママ役、松坂慶子に唖然》
ところが、萬平&福子の初々しいやりとりに、イチイチ激震を走らせる裏ヒロインがいるんです!憲兵よりも恐ろしい、福子の母・鈴子を演じて話題沸騰の松坂慶子さまです。「私は武士の娘です!」を印籠に、駄々っ子ママ全開のやりたい放題はまるでホラー(爆)。誰よりもお姫様でいたい鈴子ママが、すねていじけるときの後ろ姿があざとくてタマリません。思わず、鬼才ジョン・ウォーターズ監督の傑作『シリアル・ママ』('94)が脳裏をよぎりました(爆)。
四六時中「どうするの?」「どうなるの?」と口うるさい鈴子ママは、家族を心配するというより、じぶんの思い通りにならないことへの不満を晴らしたいかんじが濃厚で、かなりイラつくババアなんですよ~(爆)。でも、大女優の美しさオーラをそのまま身にまとって傍迷惑キャラで暴走するから、ぎりぎりのラインでセルフパロディに着地し、めちゃ笑えるんです。
松坂慶子がここまで化けるとは…誰が予想していたことでしょう。福子と萬平の結婚を全身全霊で猛反対し、泣く泣く許して嫁がせても、未だ発明家婿にぶーたれている鈴子ママ。いや、彼女の暴走は、終幕に向けてさらなる進化を遂げそうで、ちょっとコワ愉しみでもあります(汗)。何せじぶんで観音様と名乗り始めてますから~(爆)。
《立花夫婦に寄り添う野郎たち》
戦争がようやく終わったと思ったら、今度は敗戦後の食糧難が始まります…ふーっ。福子たちが、被災を免れた克子ねえちゃんちにやっかいになり、ギリギリの生活を送っていたある晩、家に押入った泥棒が大阪帝大卒の美青年・瀬戸康史扮する神部くんです。ところが立花ファミリーは、戦争で天涯孤独になった泥棒の身に同情し➡食事でもてなし➡居候させてやり➡やがて萬平の右腕に抜擢するという落語みたいな神対応!神部くんは学歴採用なのか、はたまた顔採用なのか…どっちなんでしょうね(笑)。
声がデカくて、抜け目のない、欲の皮の突っ張ったギラギラ男・世良役の桐谷健太も朝から濃いよ~。儲け話を聞き逃すまいと、萬平の周囲に常に徘徊。わかりやすく胡散臭いヤツで、かえって潔くて『まんぷく』の清涼剤と呼びたいです(爆)。画面から世良の声が地響きのように鳴り響いてくると、「よっ、待ってました!」と声をかけたくなるの♥どこか懐かしい匂いがする役者さん、これからもっとよくなる気がします。
《立花塩業、塩軍団たち》
“世の中の役に立つ仕事がしたい!”という萬平のモットーが、発明品となって次々と繰り出すたび、「 あたしも発明家になりた~い♬」と朝からテンションが上がります😊戦後、海に近い廃屋へ引っ越したふたりが、倉庫に眠っていた鉄板を利用して、塩の製造を始めるくだりにはワクワクしたなあ。それまで機械屋だった萬平が、食品製造へ舵を切るターニングポイントになりました👍
本格的に塩業に乗り出す決意を固めた萬平と福子はイッキに事業拡大へ。社員第1号の神戸くんが採用担当に任命され、14人もの若い衆を集めてきます。採用難に悩む今の企業人事が見たら歯ぎしりしそうなミラクルシーンですね★そうそう、この血気盛んな若者たち=塩軍団は、「塩ザイル」と呼ばれて人気沸騰中とか!目指すは和田三造の絵画『南風』の筋肉ですね(笑)。
住み込み従業員を抱え、いきなり大所帯となった立花塩業の奮闘劇は、我が両親を思い出し、感慨深いものがありました(涙)。ウチも出稼ぎの職人さんと共同生活をしていた時代があったのよね…。目下ドラマは塩作りを止め、社運を賭けた栄養食品ダネイホンの拡販にGO!してます。インスタントラーメン発明への道はまだまだ続く~
《あなたとトゥラッタッタ♪》
視聴者を朝ドラへ誘うポイントとして、主題歌の効果は侮れません。DREAMS COME TRUEの『あなたとトゥラッタッタ♪』を初めて耳にしたときは、「えっ?難しすぎない?大丈夫?」と唯一シンパイのタネだったんだけど…(汗)。マブダチMのダンナから、オープニングシーンの福子の動きがあたしに似てるよ~と指摘され、「なるほど!あのキョロキョロしながらの大股歩きは身に覚えが…」とガッテン👍それ以降、すーっかり耳に慣れました😊
『まんぷく』は、夫婦愛、家族愛、仕事愛、隣人愛…と、人間の営みを慈しみながら物語を綴っていきます。福子の立ち位置も、“世界の妹”から“世界の母性”へ大きく移行。その一方で、様々な角度から戦争の検証にもトライしていて、非常に興味深いのです。まだまだドラマは前半戦が終わったばかり。これから3月までホンキでつづきが楽しみ~♪ 目が離せません👀 未見の方々も明日からご一緒にいかがでしょうか~、トゥラッタッタ~♪
(「あさイチ」冒頭の「朝ドラ受け」、華丸・大吉のコメントでさらにまんぷく!)
PS 次回は12/28。年内最後の更新です★