満開🌼昭和洋食器コレクション

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に一度のお愉しみ♫ 大人美術部が2022年最初に訪れたのは、愛知県陶磁美術館の企画展『昭和レトロモダン 洋食器とデザイン画』です。1950~70年代に地元の愛知や岐阜で製造された懐かしの洋食器が、所狭しと集められたお宝展示!なんたって1961年生まれの我々は、こうした生活美意識をリアルタイムで体験してますからね~♬戦後の洋食器文化をお勉強しながら、四方山話に花を咲かせた鑑賞となりました🌼

f:id:chinpira415:20220220113412j:plain戦前から海外で評価の高かった日本の洋食器産業は、GHQから優遇され、戦後の早い時期に生産を再開することができてたみたい。特に「MADE IN OCCUPIED JAPAN」の文字が刻まれた輸出向けの製品は主に米国に送られ、貿易事業として復興の足がかりを担ったらしいわ。こちらは岐阜のヤマカ製陶所が手掛けた輸出用洋食器のフルセット。まだまだ食べるのにも苦労していた時代にこんな商品を生み出していたとはね👀

f:id:chinpira415:20220220114358j:plainでもって高度経済成長期に入り、日本国内の生活様式が徐々に変わり始めると、一般家庭にも洋食器が普及。そこには、海外のデザイン動向を調査研究したり、欧米を代表するデザイナーを招聘してデザインの向上に努めたりしながら、各メーカーが日本独自の洋食器作りを確立していった背景があるんだよね。意匠認証制度を確立し、模倣からオリジナルでの切磋琢磨…これぞ日本のお家芸ですわ~🎌

f:id:chinpira415:20220227111404j:plainそして当時の輸出用人気デザインが竹笹文!東洋テイストが神秘的に見えるのか、竹って陶器に限らず欧米ウケのテッパン意匠だよね。こちらもヤマカ製陶所が1947~1952年に製造したシリーズ。抑えた色味がかえって目を引き、今でもシックで新鮮🐼

f:id:chinpira415:20220220222148j:plain今回初めて目撃したのが国内向けに作られた鳴海製陶ツンドラシリーズ。これまたMADE IN JAPANならではの凛とした美を感じますが、油性マジックでキュキュッと描いたかのような線画がタマランですなんてカッコイイの~、ツンデレではなくツンドラ😊ソーサーはケーキ皿としても兼用できるよう高台がなく、しかも木の葉を模した丸四角形になってるわ、カップにはひねった把手がついてるわで、超エレガント💎

f:id:chinpira415:20220227131807j:plainロングヒットパターンとなった《ツンドラ》は、大皿1枚とカップ&ソーサー6脚で一揃え。いくらナイスなデザインとはいえ、少子化が進んだ今じゃそんな大仰なセット購入なんて考えられないでしょう💦ただし生活水準が右肩上がりの高度経済成長期では、一般家庭も洋食ブームに乗ってディナーセットを手に入れたい“高嶺の花願望”があったのよ。あたしもしっかり覚えてますわ~、日本陶器《若杉》シリーズ!食器=5組で1セットがキホンでしたね。茶碗蒸し皿やお銚子もあるのがご愛敬(笑)。

f:id:chinpira415:20220227131737j:plainでもって、およそ日本の食卓では不要なアイテムもあるのに、洋食器一揃えをコンプリートし、応接間の茶箪笥に並べるという中流儀式にノリたがったのが昭和の日本家庭。そしてこれが実現できたのは、各メーカーがこぞって実施した「頒布会」という販促方法にあったのよ!おそらく異なる商品が定期的に届けられる頒布会の仕組みに、積立&カタログ好きな日本人の血が騒いだんだろうね。当時の手書き企画書にも大ウケ。

f:id:chinpira415:20220227132550j:plainそうそう一揃え感は贈答品でも威力を発揮してましたね。結婚式の引出物でどれだけ出回ったことか!逆にセットのゴージャスさに腰が引け、押入れの奥に眠ったままになるのもよくある話(笑)。こちらは阪神百貨店の箱付きのカップ&ソーサー6脚セット三郷陶器のデザインワークがキマってるね♬ ところがあたしは中身より箱にそそられるヒネたガキでさー、金具とリボンに陶酔し、パッキンを外して宝箱にしてたっけ…

f:id:chinpira415:20220227154914j:plain三郷陶器といえば、以前、尾張旭市の友人に誘われて陶器市に行ったことがあったなあ…。戦前に設立されているんだね。服部時計店が事業に出資して企業化したこと3人のデザイナーの活躍で“デザインのサンゴー”と呼ばれたこと、磁器に代わる新素材「マグナ」の開発など、なかなか勉強になった。こちらも朱赤と金彩が艶やかな《モダンセット》。グッとくるね~。カップを持つ小指が思わず立ちそうなデザイン😊

f:id:chinpira415:20220227174413j:plain青い薔薇がミステリアスな《ALICE BLUE》シリーズもよかった。昭和30年代後半の現実生活とは最もかけ離れた世界観が漂っているよ(笑)。余計な装飾を外しているからか、図案も色合いもひんやりと寂し気で色っぽいの。フランス窓に似合いそう…。少女漫画妄想が膨らんだわ💙

f:id:chinpira415:20220227174542j:plain洋食器産業が最も活況のあった1950~70年代には、転写技術の変化も著しく、シルクスクリーン本格的に普及。その一方で、むしろ“手描き”で差別化を図ろうという流れもあったというのはうなずける話。コバルトの手描き絵付を、北欧デザインと掛け合わせた鳴海製陶《てまり》シリーズは、グッドデザイン賞を受賞したロングセラー。和食でも洋食でも使い勝手のよい風合い、今も現役商品ですわ~♬

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【おまけ①】マブダチたちのコレクション拝見♬

ってことで、昭和洋食器に浸った後、実際に今でも愛用してそうなマブダチたちに声をかけて見せてもらいマシタ~。まずはHさんのレトロ洋食器。

「主に朝食で使うセットがこちらです。スタメンです !…昔  カレーライス専用の楕円の深皿や角砂糖を入れるシュガーポット、夏になるとガラスの器が出てきたり、正月しか使わない特別な器など、蚊帳つきのとびらの食器棚に入っていたなぁ....と記憶がよみ返りましたぁ」

f:id:chinpira415:20220310162507j:plain展示を一緒に見たMんちも…「左のお皿は使い易いサイズなのでヘビーローテ。食洗機にも入れちゃってハゲハゲ💦右は昭和レトロモダンなカップ&ソーサー。こんな壺の柄って家のカーテンとかに昔あったよね?お皿はケーキ皿にも使えるよう溝が無いタイプ。かわいいけどサイズが小さいのと取手が持ちづらいので普段は飾ってまーす」

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Kの家は…「ウチの昭和食器は、40年位前、三愛のシールを集めて交換したお皿です。どうも家を建て直した時に、私が捨てろ!捨てろ!って言ったそうだけど(苦笑)、残しておいたから思いがけない発見になったわ~」…展示を見ながら盛り上がったよね!

f:id:chinpira415:20220310172444j:plain古い食器好きのYちゃんちは…「左のシュガーポット&ミルクピッチャーはレトロな花と色がとっても好きで、実家から持ってきたやつ。アメリカ育ちだったおばあちゃんが、アメリカに住んでいる妹に送ってもらった60年ぐらい前のメイドインジャパン。」「あと、海外に輸出用に作った昔のメイドインジャパンもの。カップとソーサーがセットじゃないのもあるけれど、組み合わせを色々変えたりしても結構いい感じになる♬」

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【おまけ②】日本の器イロイロ

そうそう、昭和の洋食器を眺めながら、去年の秋に東京で見た『民藝の100年』展のことを思い出してたのよね。民藝運動の歩みも日本の「近代化」と密接に関係してるわけだけど、憧れで突っ走った昭和洋食器の流れと対極にあり、わたしが子どもの頃には、ハッキリ言って「民藝」的なノリはイケてない扱いだったわけよ。

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それが今じゃ立場は逆転💦消費されつくした昭和洋食器はあだ花で、手仕事の美を見抜いていた「民藝」の審美眼こそが日本の宝だとのお墨付きが…。わたしはどっちも好きなものはあるし、そうでないものもあるけどね(笑)。そういえば左手前の『緑黒釉掛分(りょくこくゆうかけわけ)皿』20年くらい前に1日陶芸体験でじぶんが作った皿とそっくりでバカウケ!

f:id:chinpira415:20220310220935j:plain本当にパクってないってば~(笑)。いやはや、まさかこんなオチになるとは…ねっ。『昭和レトロモダン 洋食器とデザイン画』展は21日まで開催中。ぜひお出かけください!

PS 次回は3/29に更新します