秋の伊賀🏯漫喫帖

じぶんちにはまるで関心がわかないのに、よそんちのファミリーヒストリーにはなぜか鼻👃をクンクンさせるちんぴらです。この秋、20年以上つきあいのあるヨガの先生のMさん生誕の地、伊賀市へ足を延ばし、日帰り散策を満喫してきました~♫ いわばファミリーヒストリー現地体験版。小旅行ガイドとしても活用できます、どぞー

f:id:chinpira415:20201114122847j:plainまずは名古屋駅から近鉄特急で伊勢中川まで行き、大阪線に乗換え伊賀神戸へ。ここのところ近鉄に乗る機会が続いてて、改めて車両デザインを見直したけど、マジにタマラン👍 脚乗せバーはもちろん、金属のあしらい方がかつての近未来的でスキスキ

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そして愛煙家にはヨダレものの喫煙室!どの座席よりも贅沢な車窓独り占め空間にウットリ。のぞみのちっこい窓から眺める景色とはダン違いよ~。さ~すが近鉄

f:id:chinpira415:20201114141444j:plain伊賀神戸に到着後、今度はかつての日本的旅情誘う列車の旅へガラッと衣替え。手作り感満載の単線のローカル線・伊賀鉄道(なんと乗車券は車掌さんが社内を回って販売。しかも手書きチケット👀)に乗換え、1区目の比土駅で下車します。

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四方を低丘陵で囲まれたのどかな田園風景を眺めて歩くこと10分、『城之越遺跡(じょのこしいせき)へ寄り道です👣この画像の↓こんもりと木々が茂る辺りが目的地~♫

f:id:chinpira415:20201114150116j:plain入口に立つとこんな眺め。手入れの行き届いた公園の趣きね。そのまま奥に進むと…

f:id:chinpira415:20201121105032j:plainそこには水が湧き出る3か所のポイントと大溝があって、どうやら古墳時代前期に「水の祭祀」が執り行われた場所だったと考えられてるみたい。 あとさー、流路に沿って石を立てたり貼り付けたりしてあるでしょ。今から1600年も前に石を使った造形美を生み出している点が珍しいらしく最古の日本庭園遺構とも謳われてるの。

f:id:chinpira415:20201121105204j:plain確かにこの石組みは現代に通じる気がするよね。特にうねった曲線の流路がステキ周囲を低い山々に囲まれた小盆地に、突如現れる水の祭祀場、上空写真でどぞー!

f:id:chinpira415:20201121115456j:plain訪問時大平和正(1943-)という彫刻家の作品が遺跡庭園内に野外展示中だったの。中には大掛かりだったり、金属が使われていたりする作品もあるんだけれど、なぜかスッと大地に馴染み、悪目立ちしてないんだよね。ずーっとずーっとその場所にあって、作品群も共に呼吸しているような…これも城之越の包容力なのかな…。ええ塩梅でした。

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ってなわけで遺跡探訪の後、もう一度伊賀鉄道に乗り込み、いざファミリーヒストリーの地へGO。比土の田園風景から北へ向けて乗り進むと、見る見る間に車窓は街中の景色に様変わり。大正11年に建てられたロッジ風とんがり屋根がカワイイ上野市駅に到着です。市町村合併で正式には伊賀市となったけど、住人の愛着が強く、駅名は上野市のママなんだって。ただし、営業目線で「忍者市駅」は許したってことか(笑)。

f:id:chinpira415:20201121144514j:plainさて駅から一歩外に出ると…さーすが城下町は道が掃き清められていて清々しい!地方の城下町を歩くと住人の矜持が隅々まで表れていて実に興味深いわ~。町は三つの天守閣を持つ伊賀上野城を中心にして、外堀に沿って学校や武道場が並び、現在も文武両道の志がまるっと健在。やっぱ上野住民にとっては、お城が絶対的な求心力になってるね。お城を見上げながらの生活様式は、きっと住人の美意識にも影響してるだろうな。

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ちなみに県立上野高校の校門を見てよ!ここを毎日くぐり抜けて登校してたら、そりゃあ背筋も伸びるってもんでしょう。ダラダラ高校生だったあたしとは大違いだわ💦

f:id:chinpira415:20201124104543j:plainこちらは藩士の子弟を教育するために建てられた『崇廣堂』。多くが創建時(1821)のままの状態で残っているらしいんだけど、Mさんが子どもの頃は建物自体をそのまま市立図書館として開放しており、毎日のように立ち寄るスポットだったらしいの。史跡が図書館なんて…何とも贅沢な話じゃないの~

f:id:chinpira415:20201123124915j:plain重厚さと解放感を併せ持つ空間。入母屋造がキリリと美しい

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続いて上野高校と『崇廣堂』の間の坂道をのぼると、築城の名手・藤堂高虎(1556-1630)が本丸の西に築いた日本一の高さを誇る石垣が目の前に!ほ~っ、これはこれは…

f:id:chinpira415:20201124110858j:plainマニアでもなんでもないけど、この迫力、テンション上がるな~♫力強さにプラス優雅さも漂ってるよね。黒澤明(1910-1998)の『影武者』('80)にも使われているんだって。

f:id:chinpira415:20201124110802j:plain今回あたしたちは城の西側の坂を上って裏手から城に入るコースをチョイス。裏側も木漏れ日が美しくて雰囲気抜群だった。Mさんは毎日のように犬の散歩に来てたって。

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登り切ったら初秋の陽射しに輝く伊賀上野城がお出迎え😊思わず目を細める―

f:id:chinpira415:20201124113412j:plain先に見上げた高石垣から下に見下ろすと…見晴らしは絶景だがさすがに足がすくむ💦上野の城下町が低い山々に囲まれた小さな盆地にあることがよくわかる眺望です。

f:id:chinpira415:20201124115750j:plainそんな中「えっ、なぜここに?」と足を止めた石碑が―。そっかー、上野は横光利一(1898-1947)が旧制中学時代を過ごした地なのね!だから親友の川端康成(1899-1972)が彼を偲んだのか…。実は高山文彦(1958-)『火花―北条民雄の生涯をたまたま読んでいたところだったの。ハンセン病と闘いながら、川端の手厚いフォローで数々の名作を著した早逝の天才作家・北条民雄(1914-1937)を描いた傑作ノンフィクションで、横光の登場シーンも出てくるのよ。日本文学の青春つながりを城のてっぺんで目撃するとは…運命的!

f:id:chinpira415:20201124122708j:plain現在の天守は、1935年に地元の名士が私財を投じて純木造で再建したもので、住人一丸となって取り組んだらしい。Mさんの亡き祖父も馳せ参じたんだって~。城下町住人の心の拠り所だから、一肌脱ぎたくなったんだろうね。ただ、どこの城下町もこの先どう維持するかはきっと難題だろうなあ…。お金、技術、何より心意気問題が…💦

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お城に隣接する上野公園には、松尾芭蕉(1644-1694)の生誕300年を記念して建てられた『俳聖殿』が―。この地に生まれた芭蕉の、それも旅姿をイメージした八角Mさんが上野で一番お気に入りの場所とか。いや~、なかなかオツですよ。旅に生きた漂泊の詩人がひっそり佇んでる風で、滋味深い。設置場所も◎ですね~👍

f:id:chinpira415:20201124144754j:plainどうもこの地は「城」芭蕉「忍者」の3本柱を宝物にしている模様です。

f:id:chinpira415:20201126100337j:plain実は、Mさんから毎年10月に開催される上野天神祭に誘われていたんだけど今年は中止(涙)。そこで400年以上も続く祭りの雰囲気だけでも少し味わおうとだんじり会館』を見学したら…びっくり!忍者ではなく鬼が練り歩く祭りらしいのよ~。それもけっこうおどろおどろしいお面でさー、鬼滅よりそそられました(笑)衣装も気になる👀

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そうそう、お昼ごはんはMさんとなが~いお付き合いがある日本料理店『伊勢之家』さんでいただきました🍚丁寧な仕事、ゆったりくつろげる個室、名古屋で食べるよりうーんとリーズナブルで美味しかった~~。調子にのってご飯おかわり!(笑)

f:id:chinpira415:20201127224742j:plainMさん城下町のど真ん中にあるお寺の出身。公共性や奉仕の精神を、ごくフツーに育んできてる人だとは常日頃から思っていたけど、今回生誕の地を一緒に歩き、城下町の矜持も遺伝子レベルで受け継がれている気がしたなあ…

f:id:chinpira415:20201127235145j:plain帰路三重交通高速バスで名古屋まで直行。これまた行きとは趣きがガラっと変わり、一粒で二度美味しかった~。よそんちのファミリーヒストリーの1ページを堪能した小旅行…とても日帰りとは思えないほど充実しまくりでした

PS 次回は12/13に更新します