2022年「1日1枚シリーズ★」発表!📅

2022年の制作テーマは…

「1日1枚 マティスの世界」!

2023年がスタートしてすでに1ヵ月。 遅まきながら、恒例となっている、去年の「1日1枚シリーズ★」を発表しておきましょう。2022年の1月1日から丸1年間、毎日毎日飽きもせずに続けたのは…「1日1枚 マティスの世界」でした~。参考にしたのは、古本で見つけたこちらの画集

使った画材は還暦祝いにもらったFABER-CASTELL60色の色鉛筆ですワクワクするよね、この並び~😊これを思う存分使いたくて、お題をマティス作品に決定したのです。でも色鉛筆で油絵を模写するのは難易度高しでしたわ💦

でもって、毎日続けるときに目安とする作業時間は1日20分程度。つまり、色も付けた模写となると、作品の“一部分”がせいいっぱい。そこでスケッチブックではなく、LIFEの12.5✕7.5センチの大判の単語帳に描くことにしました🎨少し厚みのあるケント紙が理想的で…道具が決まれば勝ったも同然🏁はい、1年間365日、描きためたものがこちらです👇

制作は年代順にGO👣

さて具体的な制作方法です。マティスの世界を毎日堪能するために、1つの作品を分割して模写してみようと考えました。まずはご覧ください。最初のお題はマティスが困窮時代に描いた〈夕方のノートルダム(1902)。これを1月1~3日に分けて描いたのが次の画像です。やってみてすぐわかったのは、一部分をクローズUPして描くと、新たな抽象画を生み落とす快感が味わえるってこと模写しながら、ちゃっかりじぶんの絵に仕立てられる愉しさがあるのです。

ついでに、模写しながらマティスのスタイルの変遷を体感したくて、制作年代順に描き進めることをルールにしました。1904年夏、サントロペに滞在したマティスポール・シニャック(1863-1935)と知り合い、点描画に目覚めたときの作品―<豪奢、静寂、悦楽>(1904)は、8日間で描き分けました。なんと色鉛筆で点描画にトライです

その翌年、1905年にはアンドレ・ドラン(1980-1954)と、スペインとの国境に近い漁村コリウールで創作活動をしました。緑の壁、赤い窓枠、サーモンピンクの反射光…色鮮やかな<開かれた窓 コリウール>(1905)には、マティス作品の重要モチーフの窓がでーんと真ん中に登場!フォーヴィスムだって色鉛筆でトライです(笑)

3月20~26日の7日間で描いたのは<青い裸婦(ビスクラの思い出)>(1907)。肉感的な女性像というより…腕や下半身は筋肉モリモリだし、顔も男性的で、奇妙なポージングの裸婦。フォーヴィスム=野獣派と呼ばれるようになったからなのでしょうかねえ?

エルミタージュのお宝模写

ところが、1年後には<赤のハーモニー(赤い食卓)>(1908)を描いちゃうんだから、このあたりのマティスの画業は日々活火山です!5月8~14日でこのエルミタージュ美術館の至宝をコツコツ模写。何で一枚の絵にこんなに多彩なモチーフがバラバラに浮かんでんだよー、壁紙のアラベスク模様がテーブルにまで増殖してて、模写するのも手がかかってタイヘーン&おもろかったですぅ~😊

そして、6月10~13日には言わずと知れた<ダンスⅡ>(1910)にトライ。これ模写すると、誰でも瞬時にマティスになり切れるのよね(笑)。こんなちっこいカードに分割して描いても、外へ外へと踊りの輪が広がり、無限の宇宙を夢想できるのです🌌

次もエルミのお宝<画家の家族>(1911)。気が遠くなるくらい室内情報量が多い絵だから💦、7月13~15日に描いたチェスの場面だけご紹介。偶然ながら、テーブルにつなげて置いたら腕がぐーんと伸びて可笑しい😊全く別の絵になっててこれもありですね。

単色でぶっちぎり!

制作日が前後しましたが、マティスの最も刺激的な1枚<赤いアトリエ>(1911)は、6月21日~7月8日の12日間で描きました。181✕219cmの絵の中にマティスの自作絵がどっさり登場し入れ子細工になってるわ、壁&家具&床まで赤でイッパツ決めしてるわの、めくるめく迷宮世界👀キューブリックの映画美術にも影響を与えた気がしますね。

赤の次は青!1912年にモロッコを2度旅したマティスは東洋的な精神性に目覚めます。青のグラデーションで窓からの景色を静かな箱庭のようにフラットに描いた<窓からの眺め タンジール)(1912)。夏真っ盛りの7月27~31日に手がけました。

9月5~8日<モロッコ人たち>(1915-1916)は、黒の縁取りが強いので、正直言って模写しながらもモチーフが何かわからなかったんです💦黄色の部分は花なのかと思って塗っていたんだけど、黄はターバンで緑の部分はイスラム教徒が着用するバーヌースだって!なるほど、腰をかがめて祈りを捧げている姿だったのか~(笑)。

エロスより装飾性

マティスは東洋的な官能美をイメージした風俗画もたくさん描いてます。10月5~10日<両腕を上げたオダリスク(1923)、10月11~14日ヒンドゥー教のポーズ>(1923)を模写しましたが、裸婦より室内の装飾性の方にインパクトがあって魅かれるし、植民地主義的テーマもファッション雑誌の1ページ的カジュアルさを先取りしているように感じられて、思わず「あ~、カワイイな!」を連発しちゃいます😊ほらほら、壁紙やカーテンや織物地のバリエの豊富なこと!きっとマティスは旅先で女子モード全開で雑貨屋を巡り、エロスとは無関係にあれやこれやと物色したと思うな

さらに、ロシアの王女をモデルにした<すみれ色のローブときんぽうげ>(1937)になると、まるで銘仙の着物の図案集を連想させて華やかさこの上なし!

<黒い地と読書する女>(1939)には、またまた自作の絵たちが壁に並びますが、ここでは窓の代わりに大きな鏡と塗り込んだ黒によって、室内が宇宙船に見えました

そして遂に年の瀬。マティス最後の油彩画のシリーズに取り掛かりました。12月22~25日<大きな赤い室内>(1948)12月29~31日<黒いシダのある室内>(1948)を描き終えて今年の1日1枚シリーズ★も無事に終了。あー、心身ともに充実した1年でした!

おまけマティスの絵を半立体に!

そんなわけで、去年毎日マティスの絵とお近づきになっていたので、マブダチたちへのプチプレゼントにもマティスの名作テイストを使用。模写するだけじゃ飽き足らず、これを半立体にしてみたらテンションがあがり、1粒で2度美味しい1年でした。すでにスピンオフとして過去に紹介しましたが、その後制作したものを巻末につけておきますね

chinpira415.hatenablog.com

半立体<バラ色の裸婦>(1935) キルティングを使ったおっぱいがポイントです☝

半立体<ラ・フランス(1939) 椅子、👗、帽子、レース…4レイヤーで立体度高し☝

半立体<家の中の沈黙>(1947) 室内に本人を登場させ、テーブルごと半立体に―☝

半立体<ルーマニア風のブラウス>(1940) セーターや手芸パーツでデコりました☝

PS 次回は2/13に更新します