2020年「1日1枚シリーズ★」発表!📅

2020年の制作テーマは…

「1日1枚 河原 温(かわら おん)」!

2021年がスタートしました。そこで遅ればせながら去年の「1日1枚シリーズ★」の発表です!去年の1月1日から丸1年間、日々是丹精、続けたのは…「1日1枚 河原 温(かわら おん)でした。ところでみなさん、河原 温(1932-2014)はご存知?地元愛知県出身のコンセプチュアル・アートの第一人者。代表作のTodayシリーズは、美術館の収蔵品コーナーへ足を運ぶと、けっこうな確率で遭遇してるはずなんだけど…見おぼえないかな…?

f:id:chinpira415:20210108113636j:plain

単色で塗られたキャンバスに、白色で制作日の年月日のみを描く「日付絵画」と呼ばれるもので、制作する日の0時から始め、その日のうちに完成させるというルールに基づき、1966年からスタート。なんと生涯に3000枚(!)近く描いたらしいのよね。そもそもあたしの「1日1枚シリーズ★」も、じぶんの決めたテーマとルールで1年間やり通すものだから、考え方はいっしょのはず(ホントか?)💦何はともあれ1年やってみた👍

f:id:chinpira415:20210108153758j:plainでも、毎日キャンパスを貼るなんてことは、土台無理だしやる気出ないんで(笑)、白無地の冊子に年月日を描くことにした。それだってどうせすぐに飽きるだろうから、冊子ごとに描き方を変えよう…と最初からルールもユルユル。まずは初回2020年1月1日。

f:id:chinpira415:20210108161111j:plain河原はキャンパスに下塗りをして、まるで印刷物のように何時間もかけてレタリングをしてるのよ。仮にテクや時間があったとしても、イラチなあたしがそんな修行僧みたいなアクションは続かないので…1冊目は文字を切り貼りして間を持たせマシタ~。

f:id:chinpira415:20210108162340j:plain見開きで考えれば、切った残りが翌日に使えるじゃん(笑)。早くも手抜き

f:id:chinpira415:20210108162618j:plain2冊目は、図柄も使っちゃえ~ってことで、建国記念の日横山大観(1868-1958)の富士を背景に、日付入り太陽をぶつけてみた もはや河原 温の欠片もなし。一方リアル日本は、この頃、コロナ予防のためのマスク買占め問題が勃発し始め、閉塞感が蔓延💦

f:id:chinpira415:20210108163012j:plain2月22~23日。キスリング(1891-1953)展のちらしを見開き2Pにわたって間延びさせ…やりたい放題。なんとなく楳図かずおの恐怖マンガをイメージしてマシタ😊

f:id:chinpira415:20210108165317j:plainかつてドラマでよく見た“切り張りの脅迫状”を真似て、文字コラージュにもトライしてみた。簡単そうに思えたが「2」「0」「2」「0」が毎日必要で、めちゃタイヘン💦

f:id:chinpira415:20210108170105j:plain印刷物を物色するだけでも一苦労だったのに、途中で書体のダブル利用を思いついちゃったもんだから、在庫が尽きて、ひぃーひぃー言ってマシタね(笑)。そしてコロナ禍は欧州を襲撃し、バタバタとロックダウンが始まることに―。

f:id:chinpira415:20210108171626j:plain4冊目は、連日立法形をテーマにして、ハコの中に今日の日付を描き入れ続けた。もしかして閉塞感の表れ?…いや、そんなナイーヴな人間ではないわな(笑)。

f:id:chinpira415:20210108174207j:plainそして4月に入り、わが国も風雲急を告げる状態に―。非常事態宣言が目の前に迫りつつも、やっぱりせっせと日付絵画制作「1日1枚シリーズ」=心を整えるための作業ね

f:id:chinpira415:20210108174839j:plainこの日はリモートワークの初日。ノートは5冊目に入っていて、写真をながめながら、あたしの永遠のミューズの“カラス”を一筆書きタッチで描き続けました…。世界が一変した時は、じぶんじゅうぶんになれるものを愛でて遊ぶに限るわね

f:id:chinpira415:20210108175554j:plain世の中は、生まれてこの方一度も味わったことがない、超静かなGWになってたっけ…

f:id:chinpira415:20210108180303j:plain黒ペン1本で描き続けた反動もあり、6冊目は色がみを絵の具にして抽象の世界へGO~カラフルってだけで、テンションあがるぅ~🌼連休明けは感染拡大が収まり、落ち着きを取り戻した感もあったよね。個人的には映画館の再開がメチャ嬉しかった~~

f:id:chinpira415:20210108180813j:plain7冊目になると、日付より、白無地冊子に何を綴るかに目が向いてしまい…そこでいきなりキノコを登場させてみた。菌の繁殖が勢いづく梅雨の時期だし―🍄

f:id:chinpira415:20210108180918j:plain標本風味を出すために、色鉛筆で描いた絵の上にトレペを貼り付けたりして一工夫✋

f:id:chinpira415:20210108220649j:plain7月、徐々に暑さが増してきて頭が回らない…。そこで8冊目は、大好きな資生堂パーラーの唐草模様の包み紙を絡ませることにした💎2015年に仲條正義によってリニューアルされたこのデザインは、“銀座”のきらめきが匂い立つようで、素敵すぎるぅ★★★

f:id:chinpira415:20210108181029j:plain包装紙の、どこをどう切り出しても絵になるの!しかも華やかで色っぽい。水玉の飛ばし方やサイズも絶妙で、ホンモノと接近するとじぶんが自由になれるから不思議~

f:id:chinpira415:20210108181111j:plain仲條ワールドの曲線の色気を堪能したあとは、今度は色がみを3色に絞り、ロシア構成主義ごっこへ突進。結局じぶんの好みからは、なかなか抜け出せないものなのよね…。

f:id:chinpira415:20210108181148j:plainそこで一念発起!(大げさ~笑)PCに入ってるフォントを参考に、初レタリングに挑んだの。毎日書体を変えて下書きなしのイッパツ勝負。だから日にち間違えたし~😢

f:id:chinpira415:20210108220254j:plainやっぱ1冊くらいは河原 温をちゃんとやらないと…ねっ(笑)。どんなにヘタクソでも、日付ではなく「日付絵画」だと思い込めば、ある種の風景に見えなくもないし―👀

f:id:chinpira415:20210108181231j:plainようやく秋めいてきた10月後半。本棚をながめていて、たまたま目に止まったブルーノ・ムナーリ(1907-1998)の本を久しぶりに引っ張り出したら、1日1枚で記しておきたいデザインばかりで嬉しい悲鳴👄ムナーリを教科書にして、しばらくお勉強モードになった

f:id:chinpira415:20210108181558j:plainシンプルで、イキで、美しくて…日付との相性もぴったり。これは植物が変化して行くプロセス…ドラマ性が高くて、切り刻んだ色がみの残骸と組合せてもサマになっちゃう

f:id:chinpira415:20210108221008j:plainムナーリの有名なフォークを手に見立てたイラストも真似たよ。ここでは遂に手書きの日付を止め、印刷したものを貼り付けた。スキっと決まって気持ちイ~イ🚩

f:id:chinpira415:20210108181439j:plainムナーリは様々な分野で独創的なデザインを展開させ、言うなれば社会的に開かれたポジションで活躍を遂げた人。真似っ子してると、心も身体も軽快になった👣

f:id:chinpira415:20210108181511j:plainそして2020年、最後の1冊のテーマは「〇」すべてめでたくおさまりますようにと「〇」尽くし。2020年師走。帰省自粛要請のアナウンスが響き渡っていたコロナ禍の日本で、「1日1枚 河原 温(かわら おん)」はこうして幕を閉じたのであります―。

f:id:chinpira415:20210108181702j:plain河原 温というアーティストは、「Todayシリーズを始めた1966年以降、カタログ等にも一切経歴を明らかにせず、公式の場に姿を見せず、作品について自己の言葉で語らず、近影やインタビューなども存在しないなど、その実像を隠し続けた」―と記されています。じぶんの痕跡を消し続けることで、逆に誰よりも作品と自身が一体化し、永遠に至った河原 温。いかにじぶんを飽きさせないよう痕跡を残しまくりのあたしの着地とは真反対ですが(汗)、それでも、世界が一変した中で描き続けた14冊には、あたしの生きた時間がうっすら浮び上がって見えます

PS 次回は1/29に更新。去年見た映画の振り返りを特集しますね~