2021年「1日1枚シリーズ★」発表!📅

2021年の制作テーマは…

「1日1ページ 本の書き写し」!

あっという間に2022年がスタートしました💦 そこで、恒例となっている、去年の「1日1枚シリーズ★」の発表です!去年の1月1日から丸1年間、毎日毎日飽きもせずに続けたのは…「1日1ページ 本の書き写し」でした~。

f:id:chinpira415:20220106152135j:plainちなみに「書き写し」をネットで検索すると、これを趣味にしている人がけっこういて驚きました👀写経をはじめ、天声人語を毎日書写するとか、小説を一冊丸ごとノートに手書きで完コピするとか…出てくる出てくる💦みなさんホント熱心なんっすよね。じぶんは、1年間やり通すことが大前提なので、もっといい加減です(笑)。ただし、手書きを楽しみたかったので、ノートは吟味しました。選んだのはツバメノート

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みなさんも見覚えがあるのでは…?黒澤明も愛用したという老舗メーカーのノートが、デザイン的にも使用感的にも一番しっくりきたのです📓 そしてやっぱり日本語の書き写しは、縦書きじゃないと雰囲気が出ない。あと、2Bの鉛筆でグイグイ書いてゆくのに似合いそうだったのが、こちらの「ツバメノート 立太罫(12mm)11行」です。

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1日1ページ、5冊あれば概ねOK。ページ数が若干足りないけど、まあコピー用紙で足せば何とかなる(笑)。365日使う道具が決まれば、あとはお茶の子さいさいですね~♫しかもそんなプランを、暮れに遊びに来ていたマブダチのYちゃんに共有したら、元旦に間に合うよう鉛筆を届けてくれて…(感涙)「トンボ きれいに消えるかきかた鉛筆 2B」です。これ、力を入れなくてもマジにきれいに消えるんですよー!!!というわけで、2021年元旦から書き写しまくった記録をちょこっと公開しますね✍

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【1冊目 文学のことば編 1.1~3.13

さて、じぶんの本棚の整理も兼ねての「1日1ページ 本の書き写し」。毎日1冊本を選び、目に止まったページから11行くらいを書き写すというルールで始めました。記念すべき1冊目は、言わずと知れた夏目漱石『それから』。[財源の杜絶] [他人の細君] なんていう言い回しは、書き写すことでよりドキっとしてしまったな…代助の人生の方が生身のあたしよりよっぽど重いんだわさ~、ひぇー💦

f:id:chinpira415:20220106165042j:plain元旦に漱石を取上げたこともあり、ノートの1冊目は日本文学から拾い集めることにしました。1月16、17日は、画家・岸田劉生『劉生日記』より、大正10年の元旦と大正12年9月1日のページを書き写し。何と関東大震災の当日に日記をつけてんのよ~!

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こちらは震災時の動画。この惨劇を目にすると劉生の観察精神により驚かされます💦


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あたしととって日本で一番濃厚な親子といえば…岡本一平岡本かの子岡本太郎です。この三位一体ぶりは、漫画「アタックNO.1」の八木沢三姉妹を超えるインパクトがあります(笑)。一平がかの子を看取った文章、太郎が一平&かの子を克明に捉えた文章、どちらも鮮烈。書き写しながら、鉛筆の芯が燃え上がりそうになりマシタ~🔥

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【2冊目 翻訳のことば編 3.14~5.22

ツバメノート2冊目は、我が本棚の海外文学のコーナーからピックUPして書き写し。「私にとって、自己中心的であるということは一つの美徳である。」…ギッシング、かっけー!これぞ英国人、正統派の隠栖道ですね。1902年に書かれた『ヘンリ・ライクロフトの私記』は1998年版岩波文庫で37刷!かつての日本人はこれほどクールな人生哲学書にフツーに親しんでいたのね。ノマドの古典『ハツカネズミと人間』も大切な1冊。

f:id:chinpira415:20220106205630j:plain偶然ですが5月6日と7日の書き写しは、戦場で女たちを夢想したパルチザン原子爆弾の開発中に妻に先立たれた研究者…共に戦争の片棒を担ぎ、孤独を知ってしまった男たちの横顔が垣間見られる一節でした。両方とも、繰り返し読みたくなる名著です。

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ゴンブリッチ『若い読者のための世界史』はシャレてます。世界史解説本を読んでいる気が1ミリもしません(笑)。世界史=昔ばなし語りが素晴らしいのです。日本もチラッとだけ登場しますが、その素っ気ない扱い方にシビれます。端役の端役ですから~

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【3冊目 新書のことば編 5.23~8.2

そして3冊目のノートは、蔵書の中の新書に的を絞って書き写し。様々な専門分野の入門書として刊行される新書は、ピンポイントに知識を得たいときにもってこいですよね。しかもお手軽価格。スリムサイズなので、読み返しやすいという点も◎です。内田樹『先生はえらい』橋本治『国家を考えてみよう』は、柔らかな語り口ながら、何度紐解いてもその度に発見がある新書の王様👑書き写すのも楽しかった~♫

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【4冊目 映画のことば編 8.3~10.13

まだまだ情報が少なかった時代に映画に目覚めたので、映画関連書籍はかなり読み漁りました。映画は総合芸術だから、様々な角度から論じられている書籍がたくさん出ていて、「こんな見方ができるのか…」「こうやって制作されたのか…」と、映画を見る眼が鍛えられました。ポーリン・ケールの映画評を読んだときの衝撃、キアロスタミ監督にお会いしてサインをもらった日の記憶を呼び起こしながら、書き写しは続きます―。

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シネフィル(映画狂)たちの勝手な妄想を読むのも好きでした。映画という夢物語を、もう一度じぶん仕様の夢物語に祭り上げるには、ある種の芸が必要なんですよね。ただ、自宅にPCを持ったことで一番買わなくなったのは映画関連書籍かもしれない💦好きな映画に関してさえ、情報以外の間口を求めなくなっているとしたら…ちょっと反省

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【5冊目 いろんなことば編 10.14~12.31

最後は、ジャンル分けしにくかった本をチョイス。書き写しながら、水村さんの「もし」にはドキっとしたし、高橋さんの「なぜ」はジェンダー問題の奥の深さに気づかされました。結局2冊とも、この後、再読したんですよねー。

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お次は、写真家・小林紀晴芸術家・村上隆の文章です。どちらかと言うと、お2人の作品より、文章の方が好みなんですよね…💦

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都築響一の編集者人生は、心の底から“あっぱれ!”と呼びたいものです。単なるキワモノ好きとは違います。じぶんが惚れ込んだものを、長く深く捉え続けますが、頭のどこかで「たかが…」と思っている節が見受けられるのです。そう、「たかが」と考える批評性があるからこその「されど」の強度。あたしもブレない独居老人を目指します😊

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美術にまつわる話は、真面目に語られれば語られるほど、どこかハッタリ臭くて可笑しいんですよね。価値が定まっていないものに、一旦尾びれ背びれがつき始めると、もはやその暴走は誰にも止められなくなるみたい。それにしても28歳でミケランジェロの素描画を落札って…相当派手な博打だね。しかも半分しか描かれていないとは…大笑い♫

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森達也『世界はもっと豊かだし―』は、SNSがなかった時代に、明確な射程もないまま憎悪することが目的化してしまった世界の恐ろしさを説いているが、20年後の今、憎悪の連鎖は感染症並みの破壊力を持ってしまったのはご存知の通り…💦そのうえ豊かさに賭けることが、冷笑される世界になってしまった…。予言めいた一節でした。

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そこで大晦日、最後の書き写しは『般若心経で締めくくりましたあ~。ぎや~てい ぎや~てい はら ぎや~てい♫ 生れて初めて写経だ ぎや~♪ イッパツ呪文かけといたから、これでOK★ 2022年もほがらに過ごしましょう😊

f:id:chinpira415:20220107184443j:plain書き写し、誰でもできます、オススメですよ。面白いのは、文章を書き写すとき、何度も音読することになるので、意味より著者のリズム感に敏感になるんですよね。それとやっぱり、前後の文脈が気になって、そのまま読書の波に乗っかり、ツイ再読しちゃったこともしばしば。再読して愛着がわき、処分するつもりがそっと本棚に戻した本もありました~(笑)。2021年の「1日1枚シリーズ★」、今回も大いに楽しみました!

PS 次回は1/29に更新します